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『次で最後です。榴散弾装填完了。』
[ランチャーの射撃姿勢を維持する女。
背後で警備課員は手早く装填を行う。
噴煙がスクリーンになろうとも構わず女は射撃を行う。
続けて放たれたのは機体の上空30mで爆風と共に散弾をばら撒く対人/対軽装甲用車両向けの弾頭だ。]
[ビル外の部下に気を回す余裕はない。
機体の火力は黒服達の士気を挫くには十分だとは理解でき
潰走による目標捕縛失敗も容易に予測できる。
今はただ、苛立たしげに爪を噛む事しかできなかった。]
『曹長。
連合軍及び極東軍から事態の説明を求める通信が入っています。』
無視しろ。
どの道、直ぐに連中は来る。
支部をパージする準備に入るぞ。
[即座に優先順位をつけて、頭を切り替える。
部下を引き連れ、地階へと向かった**]
― 姫路市某所:路地裏 ―
権さん。
『カシムか……何の用だ』
[路地裏から呼びかけてくるアラブ系の優男に老人が口端を歪める。]
特務曹長 ウルズは、支援屋 アリーセ を能力(襲う)の対象に選びました。
特務曹長 ウルズは、特務曹長 ウルズ を投票先に選びました。
― 大阪市街 ―
[甲高い警報が大阪全域に響き渡りはじめる。
それは、無条件の市街退去を訴える極めて高レベルのものだ。
対象エリアのテレビ放送は全てカラーバーに切り替わり、携帯端末は緊急メールが配信される。
画面には指定の地域で市街脱出の臨時輸送バスを出すとの通達と、それぞれの出発時間が書かれていた。]
― 大阪市街 ―
[甲高い警報が大阪市街全域に響き渡りはじめる。
それは、無条件の市街退去を訴える極めて高レベルのものだ。
対象エリアのテレビ放送は全てカラーバーに切り替わり、携帯端末は緊急メールが配信される。
画面には指定の地域で市街脱出の臨時輸送バスを出すとの通達と、それぞれの出発時間が書かれていた。]
― 大阪上空 ―
[京都方面から轟々たる爆音をたて飛来する大型ヘリ。
100に届こうかという大編隊は各機がそれぞれが3機の第二世代ギアを懸架している。
ヘリには急降下を行う隼がペイントされていた。
京都に駐屯する連合軍即応部隊ストライクファルコンズだ。]
― 財団支部 最上階 ―
2機で航空優勢が取れると判断したか……。
[ビル上空をフライパスする制空戦闘機。
綺麗な編隊を組んだそれを見上げて淡々と呟きを漏らす。
各部署の部下達は、避難経路を使い大阪各地へと散り
日本列島外へ脱出するもの、列島内に留まり工作員として潜伏するものと、事前の計画通りに支部放棄計画は進んでいる。
ビルに留まる最後の一人となった女は、エレベーターに紫色のカードキーを通して財団支部最下層へと降りてゆく。]
― アン・ナジュム8号機コクピット ―
As salamu alaykum
<平安があなたの上にありますように>
『Wa alaykumu s salaam』
<貴方の上にこそ、平安がありますように>
ABHI Operation System Iblis Vr 8.09
ABHI Slot1 Ali Connected...
ABHI Slot2 Sinan Connected...
[コマンドワードを唱えれば戦闘システムが起動する。
コフィンと俗称されるコクピットブロックに静かに寝そべる女。
支持具で固定された体、その両腕にが様々な管が繋がれている。]
― 財団支部 大深度地下ハンガー ー
『第二世代ギアが300。制空戦闘機2』
『相性が最悪の機体で攻囲を行うとは正気とは思えませんな』
『カタール戦役の市街戦で間違った戦訓を得たようだな』
[脳に直接入り込んでくる声。
アリー親衛隊少佐とシナン陸軍大尉は、女がまだ銃の撃ち方も知らぬ18の娘だった時から指導を行ってきた教官でもあり
その身が朽ち果てようとする時に、脳幹と外部記憶装置の体に身を窶しても女に力を貸し続ける事を選択した戦友でもある。]
広域ジャミングによる撹乱を行う。
『ABHI Slot17 Yunus Connect Error.』
『民間人の退避が完了していない。交戦規定に抵触する』
[ABHIへの接続が妨害されれば、女の不快感が二人へと流れこむ。
感情の相互フィードバックがシステムの欠点でもあり利点でもある。]
『財団機へ告ぐ。
貴機には、本国の支援なく連合軍の根拠地で孤立無援の身である。
故国から遠く離れた極東の地で無為な死を望むのか。
ただちに投降せよ。』
……ここに居るのが砂ジンだと思っているのか?
全く……。
[意識すれば、鈍い振動音と共に最上階ヘリポートへ続くカタパルトデッキに機体を横たえる。]
『財団機へ告ぐ。
貴機には、本国の支援なく連合軍の根拠地で孤立無援の身である。
故国から遠く離れた極東の地で無為な死を望むのか。
ただちに投降せよ。』
……ここに居るのが砂ジンだと思っているのか?
全く……。
[酷く間の抜けた投降勧告には苦笑しか浮かばない。
意識すれば、鈍い振動音と共に最上階ヘリポートへ続くカタパルトデッキに機体を横たえる。]
『財団機へ告ぐ。
貴機には、本国の支援なく連合軍の根拠地で孤立無援の身である。
故国から遠く離れた極東の地で無為な死を望むのか。
ただちに投降せよ。』
……ここに居るのが砂ジンだと思っているのか?
全く……。
[酷く間の抜けた投降勧告には苦笑しか浮かばない。
意識すれば、鈍い振動音と共に最上階ヘリポートへ続くカタパルトデッキに機体を横たえる。]
[無人の兵装設置システムが起動し
空力特性を考慮したのか極めて華奢な機体に過剰といえる程のミサイルユニットが取り付けられて行く。
最後にライフルらしきものを右手で取れば、ゆっくりと屋上ヘリポート部がスライドして大阪の青空が広がった。甲高い音をたてブルーライラックの機体がレール上垂直に登りすべり空へと射出される。]
「アイツラが――連合軍が憎くて憎くてたまらないからさ」
[ノイズ混じりの音声がサシャの通信機に届くだろうか。
[眼前を飛行する戦闘機に左腕を向ければ、手首に内臓されたビームガンを2射する。
音速巡行中の戦闘機は火線に飛び込むようにして、あっけなく青空に咲く火球と化した。]
『目標、連合軍岐阜航空基地』
[眼下のギアを無視して放たれる男の声。
背部に背負う垂直射出式のランチャーから10発の対地ミサイルが射出される。
それは、5分足らずで基地に到達立つし離陸を行おうとする航空機や滑走走路を尽く粉砕していく。]
― 大阪上空 ―
さて。
『無能な上官を恨んでもらうしかないな』
[撃ち尽くした背部ランチャーをパージすれば、一気に加速。
僅かに遅れて始まる対空射撃を周囲のビル群の窓ガラスを粉砕しながら高速で回避。
右手のライフルをビルに向ければ光条が走り、ビルを光が凪いだと思えばビルが崩落し、道路に展開しているギアを飲み込んでい行く。]
――地虫が。
[崩壊したビルをフライパスすれば、ギア部隊の対空砲火が流れ弾となり周囲のビルを削ってゆく。
こちらに対空射撃を行うギアに左手首を向ければ、光条が走る度に、ギアが正確にコクピットブロックを撃ちぬかれて擱座してゆく。]
ハハハハ――。
同じ事を連合軍に言ってやると良い。
AIU軍等いないとな!
死ぬのは、人だと!
[狂気さえ感じる笑い声。サシャの声は届かない。]
『ザヒア曹長。遊び過ぎだぞ。離脱しろ』
――了解。
[言葉と共に左手首に繋がる管から緑色の液体が流れこんでくる。
苛立たしげに舌打ちをすれば、機体はマッハ4まで加速。
カムチャッカ半島の方角へと飛び去ってゆく。]
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