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───ありがとう。
馬鹿。もっと早くに言ったら傷に障る。
お前、きっと容赦なく叩いただろう?
[別にそれが理由ではない。
が、冗談めかして笑ってからかった。
照れ隠しでもある。友の祝福が嬉しかった]
お前は知──…知らないだろう、な。
ああ、いや…分からないか…。
[少し、歯切れが悪くなるのは彼女の出自ゆえに。
友の記憶が、どれ程まで残されているのかも分からぬ為に]
ジルという。しっかり者の、可愛い人だ。
[だから敢えてごく簡単な紹介をしておいた。
惚気が混じっているのは、さして意識のうちにない]
…───
[ふ、と。優しい気配を感じた気がして、顎を上げた。
宙に気配を追い、やがて軽く目を閉じる。
蒼く微かに滲む白い可憐な花の祝福───…]
…女神の護り、だな。
[やわらかに空へ微笑む]
[これ以上の祝福と護りは、自分にとって存在しない。
大切に花を胸に抱くように拳を一度胸に当て、足を踏み出す。
腰には剣、けれどこれを使うつもりはない。
心向かう方へ、大切な友の元へ。
念じて足を踏み出せば、くるりと周囲で景色は変わった]
→─ 砂漠の町 ─
― 砂漠の町 ―
[行けば、目指す姿はすぐに見つけられた。
椅子に座り込む赤毛の男は、目立つのだ。
今は幸い妙な者らがいる風もなく、彼を害した者もないようだ。
それに内心、ほっと息をついた。
かの狼が、友を手当てしたことまでは知る由もなく]
ギィ、
[足音を殺さずに行く。
服は替えられていたから、
既に軍装が血に染まっているようなことはない。
けれど盾はなく、左腕も碌に使えそうにないのは見て取れるだろう]
[そのしみじみとした声に、ふ。と目を細めて]
あのひとは──…
素晴らしい、
[時があればどうなったかも分からない。
そんなことは口にはせず、周囲の気配に何か言うこともない。
ただ友の言葉に、穏かに笑った]
ああ。
[沈んだ記憶に、男が何かを言うことはない。
幻のような時の話、幾つもあった未来のうちのひとつの話だ。
他の…例えばゲルトにするように、少し友の上に視線を置いて、
やがて何事もなかったように笑みを浮かべた]
私の女神だ。
[歯の浮きそうな台詞は、嘘でも誇張でもない]
…お前に直接、言えて良かった。
[大切な友だからこそ。
こんな切欠であるけども、と。冗談めかして少し*笑った*]
/*
あーーー。格闘に持ち込む前に打ち合ったほうがいいか。
いいよなあ、前振りあったもんなあ。
ギィのあれ拾ったほうがいいよなあ……
おし。剣使うか。
― 砂漠の町 ―
[彼を目にした時、真っ先に感じたのは痛みだった。
友は傷つき疲れきっているように目に映る。
それは別段身体についてのものだけではない。
怪我は、互いに与え合ったものだ。
似たようなものか、もしくは此方が深いくらいのものだろう。
けれど──…心が。軋み、痛む。
冷え切ったまなざしに、自分もあんな目をしていたのだと思う。
同時に、その瞳の奥の苦しみを感じた。
当たり前だ。歪められてしまっているのだ。
歪められながらも尚、”彼らしく”ある様に痛みを感じる]
[ここに来るまで、刃を打ち合わせる気はなかった。
どうにかして、最初から拳の打ち合いに持ち込もうかと思っていた。
けれど、気が変わった。
引き抜かれた白刃、鮮やかに輝くのは友の矜持だ。
説得するにせよ殴りつけるにせよ、
これと打ち合わねば互いに納得など出来ないだろう。
その直感。ゆえに男も刃を抜いて構えた。
今度は盾はない。片剣である。
先とは違い、左肩を引くようにして斜めに構えた]
終わらせて、
… お前を連れて帰る。
[落とした決意はごく低く小さく。
右の手に剣を構えて、先手を誘うように目を細めた*]
[友の心の内を、完全に推し量ることは出来ない。
けれど。対峙した時に、思い知るようにして知った。
彼と刃合わせずに終わることなど、ありはしない。
それは愚かな業のようで──…
紛れもない、
知らず、いずれかの若獅子と似た感慨を得たのは偶然か。
───いや。だからこそ呼ばれ、集ったか]
……!
[静寂を一瞬にして打ち破り、友が剣先を閃かせる。
時同じくして男もまた、静から動へと移っていた。
ずれのない動きで、打ちかかる剣に対して刃合わせんと剣先を下げる。
目前で剣先が揺れた。
手へ振り下ろす動きからの、切り払う水平な動き。
常であれば遅滞なく、流れるように行われた動きだろう。
…いや。今ですら、その綻びを見つけるのは至極難しい。
鼓動の半拍にも満たぬ程の空隙。
それを視界だけでなく全身で捉えると同時、身体が動いた]
[弾きあげた刃が、眩しく陽を弾いて回転する>>511
刃の軌跡を追って振り仰ぐ刹那、
友の目が吸い寄せられるように空へ向けられるのを視界に捉えた。
思わずその視線を追うように、同じく刃を見送ったのは一瞬のこと。
振り抜いた勢いのまま、自らの剣をもまた後ろへ放った。
地面に落ちる音を待たずに、前へ駆け出す───まだ、だ]
っ、ギィ、
[低くした姿勢を押し出すように、前へ。
名を呼びながら、一歩引いた友の方へと間を詰める。
…ああ、いつかとこれは同じだ。
あの時使ったのは、確か剣の鞘だったか。
記憶が脳裏に交錯したのは一瞬のこと。
握り締めた右の拳を、鳩尾目掛けて突き出した]
帰って───、こい。
[同時に彼の右肩を掴むように左腕を伸ばす。
左肩が痛もうと全力で手を伸ばした。
友を支えるように、抱えるようにして身体を近づける。
心音を近づけ、まなざしを、声を───届ける]
お前にそのような場所は、似合わん!!!
[ギィは誇り高き男だ。
己の意思を以って、今と対峙することの出来る男だ。
その誇り高さを穢す者に怒りを込め、
友を腕に引き戻さんと、彼を抱きかかえるように腕を*伸ばした*]
お前は、
[払われた手に、再び掴みかかろうとはしない。
隙のある動作だ…いや。構えてすらいない。
構えることすら忘れた風情で、視線だけを友へと据えた。
それだけが必要だと言わんばかりに、彼を見つめた]
お前の理想を追い、
私が──…それを成すを阻んだ。
私から大切なものたちを奪ったのはお前、
そしてお前の信じた理想を阻んだのは…私だ。違うか?
[お互いさまとまでは言わず、
けれど滲ませるほどの気安さを以って口元にだけ笑みを刷く。
視線は刃の鋭さで、友の上にひたと据えられたまま]
けれど──それでも私は未だ諦めていない。
互いに奪い、奪われ壊しあっても。
大切なものは未だ残されているからだ。
────お前も。
お前も残されているからだ、ギィ。
それを奪おうというのなら、たとえお前でも赦さんぞ。
私から
…我が生涯の
それくらいは、出来るのだろう…?
[挑発と信頼は表裏一体のものとして置かれてある。
男は最後は薄く笑みすら見せて、
まっすぐに、友へ向けて右の手を差し伸べた*]
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