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順を追って説明しましょう、オットーさん。
いいえ、とは云え、僕達にも説明できる事はそう沢山あるわけではありませんが。
まずは、この場所を離れましょう。
[二人の険悪で妙な様子から、やはり彼を伴うのは自分の仕事だろうか、と溜息をつきかけたが、フリーデルがハンカチで彼の涙を拭う動きを確認すれば、そのまま、オットーをフリーデルに。或いはアルビンにさり気無く任させようと、その背を軽く押した]
葬式は。
仕事に入ってないのですがね……。
[既に、元々何重にも包まれていたシーツは再び亡骸に包み直されたが、誰が包んだのか、シーツは真赤に染まっていて、余り意味をなしていない。
血に汚れたシーツの上から更に亡骸を包むべく、他の布が無いかと探し始めた]
人手が必要ならば、応援を頼むかも知れませんが。
ゲルトさんの埋葬は、後で僕が済ませておきますよ。
この家も、出来る限り閉じておいた方が良い。
[後を考えると、これから状況を整理し、この中に人狼がいる、その事実を認識して。
態々ゲルトを埋葬する時間が、冷えた感情を以てば勿体無く感じられ、主にフリーデルに対し、それを告げる事にした>>68]
[背を押し、オットーを任せようと彼を託す時。
き、と強い視線。敵意すら混じるだろうその視線を正面から視て、ふう、と溜息が唇から漏れた]
ではアルビンさんにお尋ねしますが。
ゲルトさんが殺されたのが"人狼"の仕業として。
どうして、彼女が人狼だと考えている様な御様子を?
[都会から忽然と姿を消したフリーデル。嘗てはリーディヤ。
彼女が、何故、都会からその姿を消したのか。幸か不幸か、それとも唯の情報不足か。既に彼女は人狼だと疑い蔑まれた事は知らないのだが。
そうアルビンに問い返した時、口許が薄い笑みを浮かべていた]
[表情を作り過ぎた。後から流石に拙いなと気付いたのは全て吐き出した後]
人狼とは、例え血を分けた親兄弟、恋人も友も喰らう悪魔です。
昨日までの平和、友情や愛情も、腹が空けばあっさりと翻す。
主の教えは、悪魔とはその様な存在だと示されておりますから……。
どうして、同じ村の皆さんを人間だと言えるのですか?
もしかすると、村の何方かが、汚らわしい化け物かも知れないのに。
[この様な話を、口許に笑みを湛えながら問う事自体が既に異常だが。
アルビンへ向けたその問い掛けは。フリーデルへ吐き捨てた言葉と同じ意趣返しを籠めていたのだと、誰かが気づいただろうか>>66。
それに向けて、アルビンの反応を見ても、ふんわりと、この場では限り無く胡散臭く見える微笑を浮かべて、やがて諸々を済ませパメラの家へと到着するまで、特別言葉を発する事は無かったのだった]
― ゲルト宅からの道 ―
[『あぁ…この男が人狼なら、俺死んだかもな』。
汚らわしい等、あの程度の可愛い憎まれ口など、人狼を前に疑心暗鬼に陥る村人達の間では日常コミュニケーションである事は、既に知識と経験で理解しているのに。
自分は所詮、唯でさえ猜疑心を抱かれ易い、余所者。
例え多少の犠牲が出ても、この様な理不尽な任でむざむざ息絶える気はない。
ならば、極力、挑発や暴言、他人の恨みを買う様な言葉は慎むべきと、こうして素を隠して見た余所行きの丁寧言葉さえも、嘗て古書店で購入した、『猪でも解る。貴方と私のはうとぅー丁寧語』なる本を三日徹夜で読み返し習得したと云うのに。
自分は、あの本を読んだのに、猪以下と認定を受けたのだ。
いや、或いは、あの本は、『慇懃無礼』の対処法までは書いてくれてなかった]
[さらりと聞き流せば良い物を。
対して初対面故に好き嫌いも無かったが、何を思いか、アルビンが汚らわしい、とフリーデルの手を払い退けるのをみた時。
無意識に『少しからかってやる』と、ネガティブな遊び心が首を擡げたのだ。
それは裏打ちが存在したからだろうか?
ならば猶更、何も云わず様子を見るに留めるべきだった。
もう何年もその姿と行方も知れずにいた、若かりし頃の昔馴染みだ。
わざわざそこまでの事をする義理があるのかは疑問だが。
然し、今この中で間違いない。心強い真実はひとつだけある。
フリーデルは――――]
[唯、先程のアルビンの言葉が、意識の奥に掛かり続けていた。
彼女にどの様な罪があると云うのだろうか。
いいや、想像するだけなら自由ではあるのだが。
都、出て行った、人狼。
少なくとも、あの昔、何かがあったろう事は間違いないと、そう]
― パメラの家 ―
[先程までは知らずにいたが、聴けばゲルトを含む青年3人は幼馴染であるらしい。
行商人と聴く割には、妙な程、パン屋の店主などパンを売る以上接点の薄そうな相手と仲が良い、と考えていたが、アルビンの怒りを汲み取る努力は行う事にした。
どちらにせよ、今この村に存在する6人の中では、真に余所者であり、淡々と疎外感すら漂うドライな目線を持つ自分が、説明を行うのが最も適任ではあるだろう。
実際、朝に認めた橋の降りから、視掛けたゲルトの家、血塗れたシーツまで、掻い摘んだ説明は自分が行った。
亡骸を目にしていない女性二人は、それでも表情を蒼白とさせていたが、話を呑みこむ事は出来ている様だ]
[人狼の話を余り知らない。パメラが見せた物知らずの表情に、微かに眉を動かしながらも、先日の噂を持ち出した]
パメラさんは、人狼の噂を聴きませんでしたか?
この近くの森で、獣の様な、人狼の様な物に殺されたかも知れない、不審な御遺体が見つけられたと云う。
僕も、この村へ赴任するに際して、その噂を聴かされては来たのですよ。
[詳しい説明を求められれば応えただろう。
然し、職務上の関係も含めて、多少は教会が好みそうな描写を交えて]
まず、私達が認識したほうが良いのは。
人狼は、今夜また、ゲルトさんの様にこの中の誰かを殺すかと思われます。
……夜の間までに、誰か。
人狼と思しき方を探し、死んで頂かなければ。
今夜は誰が殺されてしまう事やら……。
[この村は、小さな村故、幼馴染、友情の絆などが随分強いらしいから。
再びそれが壊されるかも知れない。そんな不安を煽る様にして、村の者達の表情を見比べていた。
感情が乾いている様、余りに冷淡と。その不気味な程ドライな様子から、本性を隠しきれていない事は、覚悟だけはしていた**]
神父 ジムゾンは、村娘 パメラ を能力(占う)の対象に選びました。
[釈然としない表情を抱え、瞳を見てくる娘。パメラの視線に、出来る限り丁寧に説明してやる事にした>>95]
はい。結論から告げてしまえば、そういう事になりますね。
噂は、ご存知ありませんでしたか……。
いいえ。外から赴いてきた僕の様な者が知り得る情報ならば、現地の方は、と考えていたのですが、案外盲点なのでしょうかね。
……然し、人狼とはどういう存在か。とは。
中々簡単な様で難しい質問ですね……。
とても簡単で、解り易いお返事をご用意するならば、僕はこう云います。
『それは人狼へ、直接聴いて下さい』と。
[パメラの考えた様な疑問は諸説存在する故明確な返答は難解だろう>>97。
『罪ある故に罰はあれり』。
神から与えられし使命、やそういうお綺麗な言葉で説明するのは、案外素の表情で話すよりも難解な物]
ええ、昨日の様子は、僕は善く視させて頂きました。
本来、この様な状況になければ、隣人を愛し、友を讃え、互いを知り合う、この村の様な場所は、とても素晴らしい村だと僕は思います。
この村に産まれ、この村で育ち続けてきた貴方達も。
日は浅かれど、居心地のいい場所に住むシスター・プジーも。
然し、誰が人狼であろうと、その居心地の良い場所を壊してしまう事は、大変嘆かわしい事です。
『何故』かは……僕にはとても理解しきれませんが。
[この村の誰かが、人狼。信じがたい気持ちや表情は、嘗て散々目にした事だ>>98。
故に、人に非ざる未知の物に対し、恐怖や実感の無い疑問を抱く。これも当然の事だ]
[少なくとも、ここまではその認識で済んでいた]
ええ。抵抗を覚えるお気持ちは、善く理解できます。
然しパメラさん、貴女はその上で、未だ良く状況を理解為されて……。
――…でないと……?
[違う。今の言葉は、本当に典型的な村人から聴けた言葉か?
いや。無知で、純粋な様で]
[『こいつ、実は強かな性格してた奴か……?』
反吐が出そうな程純粋。そう形容したフリーデルの言葉が、胸の中や頭の片隅をコロコロ転がる小石の様な違和感として形を成した気がした>>108
然しそれは、さり気無く織り交ぜられた、彼女の言葉に視線を奪われる形となる。
食い扶持を減らす為に、実の子を捨てる親。
正しい。所詮はそんな物であり、孤児院の孤児等、どうせ8割はそんな身の上であると、斜に構えていた。
何だかんだと、強い印象を抱いていた彼女。
だが、自分はあの頃から、彼女が何故都を出たのかは勿論。彼女の身の上話ひとつ、聴いた事は一度も無かったのだと云う事を、今更の様に思い起こさせていたのだった]
神父 ジムゾンは、シスター フリーデル を投票先に選びました。
[ここでひとつの数字的理論を解説しよう。
ひとりの人間が、人狼の跋扈する村で生き残る為の方法。
ひとつは、人狼を探し処刑する事。
多少事態に直面した物ならば、すぐに理解できる尤も現実的な解決策だ。
勿論、何も知らずに育ち続けた人間には酷だろうが、そんな物は脇に置ける。
この方法が、誰より正しい正攻法だ。
しかし、自分が生き残る為には、実はもうひとつの正攻法も存在する。
それは、村人達から処刑されない事。人狼に殺されない事。
究極的な話、自分が生きてさえいればいいのなら。
それまでの間に、何人の罪無き村人が命を落とそうが、構わないのだ。
最後の最後で人狼を殺し、最後に残されたひとりになれば、究極的にはそれは勝利なのだ]
[然し、人狼だと疑われて殺されない為にはどうすればいいか。
人狼に邪魔だと感じられて屠られない為にはどうすればいいか。
これもこれで、問題が解り易く解答の難解な問題。
だが、ジムゾンと云う、教会の人間。
人狼の存在を探し、時には正しい人間を巻き込んででも、奴らを葬る事こそ命題。
異端審問官
今ここに、ひとつのわかり易い解答は見いだしている。
つまりだ。
『自分が死ぬ』と言い出したり、『お前が人狼だろう』と疑われていたり。
死に行く人間には、無駄な手出しをせずに死なせてやる事。
例えそれが、唯の人間だと理解できている相手でも構わないのだ。
最低でも、それはその日、間違えども自分が死ぬ可能性がひとつ減る事に繋がるのだから]
― 回想 昨夜教会 ―
[女教皇、正義、節制。開かれたタロットの十字には、概ね悪くないカード。
幻惑や迷いを示す、月が共に開かれた事は気掛かりだが、後に回想すれば、それは彼女の過去を暗示する物なのだろう]
……まあ、予想は出来てたが。
フリーデルは『人間』か。
[元々、到着と同時に、適当な村人を占う予定でいたのだが。
思わぬ再会、想像もせずにいた人物。
何故なのか、自分は何を思いなのかも解らないが、然し昨夜は確かに彼女を視たのだ。
――夜毎に、特定の人物の魂を、占じ視る事の出来る、『占い師』の能力者。
これが備えられている事が発覚したが故に、自分は異端審問官の道を開く事にしたのだ]
[此処で、自分が一言名乗り上げる。それで済む。
自分は、特別な力を持つ異端審問官である。彼女は人間だ。
主張する事で、今日彼女が殺される事は無くなるのだろう。
だが、その後、ならば今日、誰を殺せば良いのだと云う疑問が起こり、今度は、完全な余所者である自分こそがそもそも疑われる可能性の方が高い。
何より、夜になれば最期、朝日はまず迎えられないだろう]
……ええ。確認しましたよ。
確かに、貴女は正気な様ですね。
[笑みで表情を歪め、離れたフリーデルに、頷いて応えた]
[そうだ。お前はまだ正気だろう。
少なくとも、人間と知って見殺そうとする様な。
血も涙も無い悪魔と比べたら、よっぽど]
[...これが最も最善の方法なのだ。
今夜、自分が人狼に殺されさえしなければ、生き残る道は拓ける。
疑わしい者は既にひとり存在している。
後必要な物はそれを突きつけるに足りる証拠だけ。
フリーデルの犠牲は、最終的には人狼を殺す為の礎になるだろう]
そこまでして僕を要視して頂いて恐悦な限りです。
然しシスター・プジー。
僕達は、昨日お会いしたばかりの身。
今、アルビンさんが仰られた様。
貴女が嘗て、都で人狼の疑いを掛けられたと云う事実が存在したのでしたら。
この場の皆が、貴女を疑わずには。ええ、要られないでしょう。
喩えそれが、清廉な身に穢された、心無い過ちであり。
潔白を証明し、貴女の事を助ける様な、心優しき人間も存在しない。
救う様な神も存在しない。
悲しき被害者であるのだとしても。
申し訳ありません。
貴女を助けて差し上げる事は、難しい様です。
[助けられる立場にいながら。
彼女を助けようとも思わない人間が眼の前にいるのだという事を知れば。
彼女はどんな表情を自分に対して浮かべるだろう?
後は任せろ。
俺のやるべき事は、必ずやる様に努める。
とでも、死に行く彼女に意味も薄い慰めを無言で籠めながら。
本当にすべきかも知れない事をせずにいる自分に対して]
後悔の無い選択、ですか。
そんな青臭い物が。本当に存在するのでしょうかね……。
[パメラや、アルビンの口にしたその言葉を嗤う様独り否定したのは。
本当にそんな物を青臭いと見下しているからなのか。
それとも]
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