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あちち...
[ トカゲの炎は、軽く、指先を舐めていったが、怯まず正面から撃った矢は命中して、今度は、透き通った緋色の石が残されていた。 ]
これで、ようやく三つ、か。
[ ポケットには、小さめな水色の欠片と、少し大きめな琥珀色と緋色の欠片。 ]
水と、地と、火の精霊、かな?
[ 精霊に関わること一切を禁じる家訓のおかげで、精霊石に触れたこともないカレルには、正確には判らなかったが、どことなく精霊の気配を残した欠片は、生きているようにも見えて、カレルは、そっと、石の表面を撫でた。** ]
[ 精霊達が集まり始めた様子に>>116風竜とカレルは扉の前へと舞い降りた。 ]
うわ...綺麗だ。
[ そこで騎竜師達の集めた欠片がオクタヴィアスの唱える言葉に従って、彩なす光の集まりとなり、やがて薔薇色の宝珠へと姿を変えるのを見て、感嘆の声をあげる。>>117 ]
え?聖宝?
[ 相前後してヤコブの呟きが耳に届き、きょとりと青い瞳が瞬く。しかし、聞き返す以前に、宝珠を手に口を開いたオクタヴィアス...と名乗っていた人の、真実の名乗りを受けて... ]
[ 色々と予感はあった。むしろ只人では有り得ない、とは、最初から思っていた。そこは仲間達も同様だろう。
しかし、口にされたのは、騎竜師にとっては余りにも特別な、畏敬と憧憬の念を抱かずにはいられない...神にも等しいとさえ思える人の名で。 ]
いえ...気付いてしかるべき、でしたね。
[ ピュルル、と啼く風竜の、なんで気付かなかったの?と、問いかける顔に、カレルはへにょりと眉を下げた。 ]
それにしても『始まりの騎竜師』様と手合わせだなんて...
[ 究極の無茶振りでは?と、戸惑う間に、凛として名乗りでるヤコブの声に>>121息を呑んだ。 ]
[ ヤコブの瞳に宿る強い意志は、彼の心のそのものを示している。常に己を律する強さと、気弱なカレルをも心にかけ、手を差し伸べてもくれた優しさと視野の広さ。
彼になら託せる、と、この場の誰もが納得したのは当然だろう。 ]
貴方なら必ず認めてもらえるはずです。少し...かなり羨ましいですが。
どうか御武運を、ヤコブ。
[ 学友の名を呼び捨てにしたのは、初めてだった。** ]
[ 白銀と蝋色、対照的な双色の竜が、縦横に空間を駆け巡る。 ]
凄い...。
[ 合図も言葉も無く、文字通り一心同体の動きを見せる、天聖の騎竜師と聖銀竜は言わずもがな、剛芯の騎竜師と闇竜の、黒の一対もまた、見事な連携で超絶の技に食らいついている。 ]
段々、速くなってる...
[ 剛芯の二つ名通りの、折れぬ強さとしぶとさに加え、戦いの最中、速さと鋭さを増していく様は、まるで白銀の一対を追いながら、その光に導かれ、内に秘めた力を引き出されているようにも見える。 ]
凄いよ、ヤコブ...あはは、やっぱり羨ましいかな?
[ この場に立ち会えた事の嬉しさと、この身も共に空を駆け登りたいと疼く本能と、どちらもに、心が震え、泣きたいような気持ちになる。 ]
ピュルルー
[ 『私たちだって、いつかきっと』...ふいに、同じように見上げていた風竜の鳴き声が、いつも以上に、はっきりと、そう聞こえて、カレルは、思わず相棒へと視線を向けた。 ]
うん、アーク。そうだね。
[ だから今は一つも見逃さず目に焼き付けよう、と、青空の色の瞳は、美しい光と闇の交錯を再び見つめた。*]
/*
せっかくなので>>165の精霊さんたちに気づいとこうかどうか迷ったんですが、普通でも空しかみてないようなこの子が、目を離して、そんなとこに気がつくわきゃーなかった。
[ その槍の先に、彼らの全力が、魂の全てが込められている。見ているだけで、そう判る渾身の一撃を繰り出さんとするヤコブとグラナートの姿>>193 そして逃げるでも、往なすでもなく、真正面から、その全てを受け止めんとするシリルとヴァイスの姿。>>194 ]
もう...届いてます。
[ 『届いてくれ』という、ハンスの言葉が耳に入ると>>200カレルは、最後の交錯から視線を離さぬまま、そう口にした。
本当に伝えるべきものはきっと、もう、あの偉大なる英雄の心に届いている。剣と槍の交差はただ、それを、形として確かめるためのものにすぎないだろう。 ]
[ やがて、大剣が石の床に落ちる音が>>195激しくも美しい乱舞の終わりを告げる。 ]
ああ...
[ 終わってしまったのかと、どこか惜しむような気持ちが過ぎり、カレルはその想いに、わずかに俯いて苦笑する。 ]
いや...まだ、終わりじゃないですね。
[ 顔を上げ、暫しの間を置いてから、降りて来た二人の元へと歩み寄る。]
凄かったです、お二人とも!
[ 全開の笑顔で声をかけた、直後、響いた女性の怒りの声に>>206思わずそのまま固まる羽目になった。* ]
― 霊王の領域 ―
[ 怒っている女性には逆らわぬこと...というのは家訓と同様に、男子にのみ受け継がれてきた、ロゼルア家先祖代々の口伝だ。
行儀よく先祖の忠言を守り、カレルは、天聖の騎竜師と、精霊の愛し子とのやりとりを、黙って見守った。
見守りながら、そおっと三歩程、後ろに下がったのは、怖かったからではなく、邪魔をしないため...ということにしておく。 ]
うわ...
[ 出来るだけ静かにしていたが、痴話喧嘩、というよりは、姉弟喧嘩のようなやりとりの合間に、注がれた癒しの力には>>216思わず声が漏れた。 ]
凄い...疲れまで取れてる。
[ 呟いた後、続いた名乗りと祝福の光を受け>>217慌てて胸に手を当て、貴人への礼を贈る。 ]
あ、ありがとうございます。
[ 赤くなってつっかえながら感謝の言葉は、伝説の偉人に対するには落第点だろう。
尤も、相手がその点を不敬と断ずるようには見えなかった。
そもそも建国王からして、どちらかというと気さくな若者風だし、精霊の愛し子も、もっと神々しい女神のような存在かと思っていたのに、最初に聞いたのがあの一喝だ。
今更、最敬礼で接するには、色々と無理がある。 ]
シリル様も、ヤコブ、も、もう大丈夫そうですね。
[ 色々と、噛み砕ききれない情報を頭と胸に詰め込みつつ、とりあえず全力出しきったうえに傷を負っていた二人も回復したようなのを見れば、カレルは、ほっと安堵の息を吐いた。 ]
― 虚無の深淵 ―
[ やがて、休息の時を経て『最後の難関』と、宣された扉が開く。>>220 ]
うわあ...本当に、虚ろな感じですね。
[ この世界を飲み込もうとする『翳り』、そう説明だけされたのでは、判らなかっただろうけれど、何もない、と、しか言いようのない灰色の空間と、誰彼の境を溶かすような重くどろりとした存在には、言いようの無い、圧倒的な寒々しさを感じる。>>221 ]
(すごく、嫌な感じだ)
[ 胸の内に、落とした苦い想いを感じとったように、風竜が、ピュルル、と澄んだ聲をあげる。 ]
大丈夫、行くよ、アーク。
[ 風竜の背に身を置いて、前に...前後すら分からなくなりそうな空間だったが、カレルは、それでも真っ直ぐに、飛び込んでいく。 ]
[ 遠く、深い場所から、ゆらりと浮き上がった『虚ろ』が、吹き付ける風に吹き払われる。 ]
アー、クッ!!
[ 風のブレスに切り裂かれた粘体を、引き剥がして、カレルは、剣を握り直した。 ]
[ 触手ごと、もう一体の分身も鋭く切り裂き、カレルは、大きく息を吐いて、風竜の首を優しく叩いた。 ]
ごめん、油断したね。......ありがとう。
[ もう、二度と、あんな声は聞かない。それは、アークと出会い、騎竜師として、空を初めて駆けた時から決めていたこと。
忘れるわけはなかった。** ]
― 虚無の深淵 ―
[ 聞いてほしい、という声に、>>298騎竜を寄せれば、告げられたのは、実質一撃必殺を狙うという言葉。 ]
叩き壊す重さの一撃...ですか、だとすると、僕等は援護に回るべきですね。
とりあえず、邪魔な触手の刈り取りでも。
[ それなら任せてとばかりに風竜が、ピュルルと啼く。触手への攻撃は、おそらく囮の役も担えるだろうとの目算が、カレルにはあった。 ]
核を砕くなら、アレに飲み込まれる寸前まで踏み込む必要もあるでしょう。それに耐えられるのは...
[ 続けて口にして、ヤコブと同じ相手に視線を向けた。>>299** ]
― 虚無の深淵 ―
[ カレルの言葉と視線に、間違い無いと同意するヤコブの言葉>>309自らその任を請け負うと名乗り出たハンスの瞳がまっすぐに、その信を受け止めた。>>303 ]
必ず、道は拓きます。
[ 護ってみせるというヤコブの言葉に続くように、カレルは告げる。 ]
グレートヒェンさん、ありがとう。出来れば、この後は、僕らの分は、ハンスさんの援護に力を回して。
[ 白花の力を受け取って>>313礼と一緒に、願いを託す。如何に仲間が力を尽くし援護したとしても、神代から存在する『虚無』の核に一撃を加える役目が、最も危険であることは動かしようの無い事実だ。
だからこそ、ハンスとリュストが無事であることは絶対条件だと、カレルは固く決意していた。
それはきっと、ここに在る全員...始まりの騎竜師と、その兄弟も含めて、の想いと重なっていると信じてもいる。 ]
シェンさんは、いつも頼もしいな。
[ 動ずる事がないのか、ただそれを表に見せぬだけなのか、ただやるだけ、と、言い切るシェンに>>319少し羨ましげな目を向ける。
迷いないその気性は、やはりカレルの憧れるもののひとつだ。 ]
うん、ゾフィヤさん、頼みます。
[ 道を作る、というゾフィヤに>>315ならば後ろは振り返らず行けると確信して、風竜は、舞い上がる。 ]
シリル、さん!最後はお願いしなきゃいけないですけど、その前に無茶をして、また怒られないようにしてくださいよ!
[ どさくさ紛れに、そんな声まで投げ置いて、前に、と、飛び出すシェンとエルナトに並んで、風が灰色の淀みを斬り裂いて翔ぶ。 ]
うわ、相変わらずダイナミック。
[ 炎の渦を纏うかのように回転しながら触手を薙ぎ払うシェンとグラナトに>>320感嘆の声をあげ、 カレルは、笑みを浮かべた。]
負けられないね、やるよ、アーク!
[ ピュルルー!と、高い声をあげた風竜が、ブレスを放ち、風の刃が触手を斬り裂く。 ]
[ 僅かに後ろ、ヤコブとグラナートの力強い風の嵐が、迫る触手を押し返し、周囲に風の渦を作る。 ]
アーク!跳ぶよっ!!
[ 普通なら無理だろう。けれど、この力強い風の力を借りれば出来る。そう判断して、カレルは風竜の背を蹴った。 ]
はああっ!!
[ 渦巻く風に身を任せ、体を捻りながら、再生しかけた触手に向かって、縦横に剣を揮う。 ]
うわっっっと!!
[ さすがに最後はバランスを崩して、そのまま灰色の中に落ちそうになったところを、急反転してきた風竜の脚ががっちりと掴んで、引っ張り上げた。 ]
...なかなか『始まりの騎竜師』殿の真似は出来ないね。
[ 風竜の脚から背へと、身軽によじ登りながら、零したカレルに、風竜は、ピュルルと、あたりまえでしょ?と言わんばかりの聲を返した。 ]
でも...ありがとう、アーク。
[ 彼が何をするかを理解して、それでも止めず、その動きをカバーするように飛んでくれた相棒に、そっと感謝の言葉を落とし、カレルは再び前を見据える。 ]
もう一度だ、アーク!
[ 鋼竜と鋼鎧の騎竜師が、通る道が作られるまで、再生する間など与えはしない、その決意を示すように、風の刃が、三度触手を刈り取っていく。
そして、聞こえたゾフィヤの声。>>334 ]
アーク!
[ 名を呼ぶより前に、風竜は、大きく右へと旋回して、『虚無』の中心から距離を取り始めていた。* ]
/*
自由落下というか、騎竜に跳ね飛ばしてもらってからの、直上からの一閃、なら、どっかの紅輝さんがやったけど、あの必殺技も、神降ろしが条件だったからなあ。
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