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[イースの勧め>>203は、大丈夫です、と丁重に断りを入れる。
今に限らず、道化師は誰かの前で飲食することを見せたことがない。
訊ねられたなら、必要がないからだ、と伝えるが、自ら公言することはほとんどなかった。
魔王やタイガも小ホールで休息をするなら、終わるまで待つことになる]
― 六芒星形の空間 ―
[道化師が階段を昇り行くのは魔王が進んだ後のこと。
円柱が壁として並ぶ空間の奥、黄金の玉座には見覚えのある槍を握った女性の姿があった。
女性の口から抑揚のない声が紡がれる]
同じ言葉同じ思想しか口に出来ない繰り人形ですね。
……と、正しく繰り人形も出てきましたか。
[女性と似た容姿の戦乙女も現れ、道化師は軽く肩を竦めた]
力を集めて散らせ、でしたか。
『アレ』をどうにかするのが先決ですね。
[槍を携えた戦乙女が接近を狙い、道化師へと迫ってくる。
当然の如く、それを受け止める心算はなく、道化師はするりと上空へと逃げた。
しかし彼女らも翼を持つ者達。
道化師目掛け、下から垂直に槍を突き上げてきた]
しつこいですねぇ。
[パチンと指を鳴らすと、紅い大きな覆い布が現れ、戦乙女目掛け落ちていく]
[覆い布に対し戦乙女が槍を突き出す。
その先に道化師はおらず、更には覆い布に突き刺した槍の穴も開いていない。
完全に覆われたその中で起きるのは、闇による身の侵食だった]
そのまま塗り潰されてしまいなさい。
[抜け出そうともがく戦乙女だが、やがてその身は闇に覆われ、侵蝕し尽くされた力は布の隙間から霧散していった*]
[パッと紅い覆い布を手に取ると、挑発するように戦乙女へと振る]
貴女方も大概猪突猛進ですかね?
[手にした槍でどうにかしようとする戦乙女を、誰かさんらと重ねるように言って小さく笑い、手にした覆い布に別の魔術を施す。
飛び上がって来た戦乙女に対し、ひらり布を振れば各属性(光と聖以外)を纏ったナイフが次々と生み出された]
[槍を回転させ弾き返そうとする戦乙女の防御の縫い、ナイフは眉間や喉、腹部等へと到達する。
突き刺さったナイフ同士を各属性が駆け抜け、最後には大きな爆発を起こした。
力がまた一つ散っていく*]
[魔王が語る昔話>>209 >>210 >>211。
出会う前、眠る前にあった出来事なのだろう。
魔王が秩序の王たる相手に立ち向かう理由。
その一端を見た気がした]
フフ、ヴァートル様のものを壊そうとする者には鉄槌を下しませんとねぇ。
[ブン、と紅い覆い布を大きく振り下ろすと、布は瞬時にステッキへと変化する。
指だけでくるりと回転させ、右手でしっかり握り、大きく振りかぶると先端から魔力で構成された鞭がすらりと伸びた。
鞭独特の音が空を切り響く]
離れていても無駄ですよ。
[魔力の鞭の長さは自由自在だ]
[長く伸びた鞭は、離れた位置の戦乙女へと襲い掛かり、打撃と共に胴体へと撒きつく]
えいっ☆
[強くステッキを後ろへと引けば、相手の意思とは別に戦乙女は道化師の傍へと引き寄せられ。
道化師の傍を通過して反対側へと放り投げられた。
戦乙女の身は広間の壁、円柱へと叩き付けられ、その動きを鈍らせる]
まだまだ行きますよ。
[魔力の鞭は道化師の意思に沿って縦横無尽に動き回り、戦乙女を滅多打ちにした。
最後に強烈な一撃を叩き付けると、戦乙女の姿は消え、力が霧散していった*]
[高所の戦乙女らがバランスを崩している隙に、道化師はステッキを左手に持ち替え、右手首を翻してカードを一枚出現させる]
たまには暴れさせてやらないと、ですね。
[左手の甲をカードの背に当て、解放の魔力を込める。
カードの表面が膨れ、灰銀の塊が空中へと飛び出した。
バサリ、と羽ばたく音が響く]
[道化師の傍に現れたのは、灰銀の毛並みをした双頭の狼。
その背には同色の翼があり、羽ばたくことによりその身を宙に浮かせていた。
元々いた双頭狼を道化師が改造した、唯一無二の魔物である]
さぁ、お散歩の時間ですよ。
[双頭翼狼の背中に飛び乗り、その頭をぽんと撫でてやる。
狼は遠吠えを一つ、空間に響かせた後、宙に在る戦乙女目掛けて力強く羽ばたいた]
[迎え撃つ戦乙女の槍が、片方の狼の頭を狙う。
首を動かすことで避けた片首だったが、そのせいで槍の穂先は道化師の眼前へ]
おおっと。
[道化師はそれを後ろに倒れ込むことで回避する。
ぽふ、と道化師が狼の毛並みに埋もれている間に双頭は戦乙女を咬み千切り、首を振る反動で遠くへと放り投げていた。
放物線を描く中で戦乙女の姿が消え散り、力が『始原の秩序』たる女性へと急襲されていく]
この子達には散らすのは難しかったですかねぇ。
[身体を起こして状況を確認しつつ、上空から他の者達の様子を眺めた*]
[双頭翼狼を自由に飛行させる間、その背で道化師は握っていたステッキを手の中でくるくると回す。
ステッキは瞬時にボールへと変化し、道化師の手の中に収まった]
ほーらポチ、とってこーい!
[ぽーん、とボールを投げると、ボールは延々落ちることなく飛び続け、それを目指して双頭翼狼は飛び始める。
傍から見れば遊んでいるようにしか見えないそれ。
しかしボールは真っ直ぐに戦乙女へと向かっていた]
[ボールに気付いた戦乙女は槍を薙ぎ真っ二つにしてしまう。
その瞬間、分かたれたボールが巨大化し、戦乙女を飲み込み閉じ込めてしまった。
戦乙女が中で槍を振り回すのに合わせ、ボールがぐにぐにと変形する]
逃げるが先か、砕かれるのが先か。
[そうしている間にも狼はボールに迫り、二つの顎門を大きく開いていた]
[凍て付いた咆哮は戦乙女を閉じ込めたボールごと凍りつかせてしまう。
それに対し再び顎門を開き、双頭が同時に噛み付けば、ボールは粉々に砕け散った。
中にいた戦乙女もまた砕け散る]
はい、よく出来ました。
[双頭を同時に撫でてやれば、再び遠吠えが響き渡る。
そうして双頭翼狼は再び標的を探して飛び回った*]
[風で遊んでいると、イースから忠告>>261が飛んできた]
その時はその時ですよ。
そう簡単にやられる心算はありませんけれどね。
[忠告にはそんな言葉を返す。
自分の行動に責任は持つ。
自分が為したことで呼び寄せた結果に不満や文句を言う心算はなかったし、何か起きれば身から出た錆、となるだけのこと。
ただし、周りに影響を及ぼすことに関しては、何も考えていなかった。
そこは、頑張れ、と笑顔で言うことになるのだろう*]
[遊ばせている双頭翼狼は長い尾で戦乙女を払ったり、爪で飛び掛ったりと楽しげだ。
狼の好きにさせながら、道化師は同朋達や勇者らの動きを上空から見遣る]
目標はタイガなんですが、まだまだですねぇ。
[己が手をかけた狼の最終目標はタイガの強さ。
けれど彼自身、未だ進化の途中と言えそうな、追いつき難い強さを内包している。
いずれは人型に変化させることが出来れば、と思うが、そこは狼の成長度合い次第だろう]
[こうした魔物の改良を始め、魔具作成や薬品の精製など、道化師が手がけるものは多い。
その中で実用に足ると判断された試作品が主にカードの中に封印されていた。
勿論、闇鴉やスライムのように単純な戦力が封じられていることも多い]
あー、こんなのもありましたっけねぇ。
[ただし多すぎるため、全てを把握しているわけでもなかった。
双頭翼狼の背中で寝転がりながら、カードの確認をする姿はどこまでも緊張感がない*]
[双頭翼狼の背にうつ伏せで寝転がる眼下で、玉座に在る姿が動く>>304のを見た]
ようやくですか。
…アレをどうにかすれば、とは思うのですが。
[呟いて、己の掌を見る。
以前よりやや密度の薄まったそれは、魔力浪費の表れ]
少し調子に乗りすぎましたかねぇ。
[笑う表情に陰りはない。
ここまで補充せずに来たのだから、当然と言えば当然だった]
ま、出し惜しみせずに行きましょうか。
[そう言って道化師は静かに眼を閉じる]
[旋回し、立ち向かってくる戦乙女を払い落とす双頭翼狼の背で、道化師のカタチが崩れた。
崩れたモノは一度凝縮した後、魔力の粒と化して部屋全体を覆い尽くす。
呪言もなく発動するのは加重の魔術。
動きを鈍らせ、飛ぶものを地へ落とす重力の法だ。
対象は当然、玉座の前に立つ『始原の秩序』とその影である戦乙女たち。
同朋や勇者らには一切効果は及んでいない]
[魔術が発動する際、上空を見たものはいただろうか。
上空の飛び回る双頭翼狼の背に道化師の姿はなく、在るのは灰銀の毛並みに埋もれた仮面のみ**]
[道化師の正体は器物の魔族。
本体は仮面であり、人型の部分は魔力で構成されている。
故に飲食は必要なく、睡眠も取らない。
身体の回復には癒しの力ではなく、魔力そのものを必要とする。
この詳細を知るのは魔王と、道化師にしつこく問い質した者のみ]
それから後でどなたか魔力を分けてください。
少々使い過ぎました。
[あっけらかんと放つ言葉は、皆にどのように響いただろう**]
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