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― 夜明け前・東門 ―
おお。けっこう集まってるじゃねえか。
[弟子たちを引き連れてやってきたゲオルグは、。東門に集まった人々の静かな熱気に愉快愉快と笑った。
遊撃で相手の後ろを引っ掻き回すなどという危険な場所に、手を挙げてまで行きたがる酔狂な連中が自分たち以外にもけっこういたということだ。
それだけ聖地の人々の熱意が高いという表れであり、]
あの騎士さんの人望ってやつだろうなあ。
ありゃあ、人の先頭に立つよう生まれついた人間だな。
[上に、ではなく前にだ。
みなを引っ張っていくだけの魅力と心意気があると<、スピーチするクレステッド>>9を見ながら感心する。]
おっしゃあ、おまえら。
今日は大工は一時休業だ。
聖殿さんのためにひと肌もふた肌も脱いでやろうじゃねえか。
戦いだあなんだ言っても、びびることはねえ。
要は気迫だ。相手に呑まれんな。逆にびびらせてやれ。
でもって生きて帰れ。
絶対にだぞ。
帰ってこねえやつには酒もねえから、そのつもりでいろよ。
[うす、と答える弟子たちひとりひとりの眼を見て頷く。]
おし。じゃあ行くぜー。
今夜も美味い魚で一杯やんぞー。
[改めて声を上げ、他の皆と一緒に移動を開始した。]
― キサンへ ―
[キサンへの道中、棟梁をはじめとする大工一行はみなそれぞれに加工された角材をいくつも抱えていた。
普段は荷車を曳いている馬も、角材や鎖などを背に振り分けて運んでいる。
いつも使っている荷車は頑丈なのが取り柄だが、静穏性など無いに等しいために、必要な資材は自分たちの足で運んでいくことにしたのだった。
無事にキサンまで到着すれば、弟子たちが持ってきた物の仮組みを始めたり別の資材を工房に取りに行ったりしている間に、自分はチャールズの工房に同道させてもらいたいと告げる。
炭を借り受けることと、もう一つ頼みもあった。]
チャールズ、俺にもなにか適当なもん見繕ってもらえねえかな。
弟子どもには使い慣れねえ得物持たすより、いつもの工具の方がいざってとき身体も動くだろうけどよ。
おれはあいつら守ってやんねえといけねえからさ。
なんか、長くてぷっとくて、振り回すだけでいいやつないか?
[具体的には金砕棒や大金槌、グレイブなどの薙ぎ払う系ポールアームやツヴァイヘンダー等があれば喜んで振り回すだろう。**]
棟梁 ゲオルグは、邪悪な妖術師 ベルガマスコ を投票先に選びました。
― キサン ―
[ずいぶんとアバウトな頼みに応じてチャールズが工房の中から持ってきたのは、とびきり大きな剣だった。>>28
シンプルで武骨で重量感に溢れていて、刃は無いながらも打ち込まれた炉の熱と鎚の重さが冷たい鋼の上に跡を残している。
分野は違えど、職人の真摯な技が込められているのはよくわかった。]
すげえなこいつは。
こいつなら存分に振り回せそうだ。ありがてえ。
ありがたく借りてくな。
[試しにと振り回せばぶううんと空気が鳴る。
最初こそ重さに振り回されたが、幾度か振ううちに次第に慣れて、風裂く音も高く早くなった。
まんざらでもない顔でツヴァイヘンダーを担いで、弟子たちのところへ戻っていく。]
― キサン ―
[弟子たちのところへ戻れば、準備の進み具合を確認する。
借りてきた軍馬の中から4頭を選び出して攪乱用にする作業はほぼ終わっていた。
相性のいい2頭の間に丸太を置き、丸太の端から伸びる鎖を馬具の上に装着した固定具に繋ぐ。
2頭で引く丸太は盛大な音と土ぼこりを立ててくれるだろうし、そのまま魔物の群れに突っ込めば不運な連中をいくらか跳ね飛ばしてもくれるだろう。
さらに2頭の馬を借りて荷台を取りつけ、その上に作っていたのは投石器だった。
構造自体は単純だから加工してある材料さえあれば組み立てもすぐだ。]
おう、順調か?
炭もらってきたから種火作っとけ。
ほらそこ。重りの固定確認しとけよ。
[武器にと借りてきた巨剣が、既に指揮棒扱いになっている。
合うならくれてやってもいいとチャールズに言われているが>>50、手に馴染む未完の武器に確かに愛着らしきものも沸いてきていた。]
[そうこうしているうちに敵陣に動きありとの報せが伝わって、皆の緊張がまた一つ高くなる。]
うはは。楽しくなってきたじゃないか、おい。
いよいよだな。
[刃のない剣で肩を叩きながら、その時が来るのを待った。]
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