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[それからしばらく後、治療が終わる頃。
背中に2発目の叩きが入って、思わずしまったという顔になる]
そうだ! 思っただけで別に口に出してなかった!
[更なる墓穴を掘りそうな発言であったが、幸い神官長の声が響いたお蔭で、この辺りは有耶無耶になった。
と思いたい]
[神官長が次なる試練を告げた直後、こちらを窺うアイリ>>104と目が合うこともあっただろうか。
動揺も反発もしない様子に彼は疑問を抱いているようにも見えた]
[実際、対戦相手がアイリ以外だったなら、反応は違っていただろう。
それは能力的な部分もあるが、もう一つ]
(俺が嫌だと言ったら、あいつは怒りそうだもんな)
[怒られることそのものより、逃げの姿勢を見せることで、また一歩出遅れるのが嫌だという、意地のようなもの。
そのような感情を抱くに至った一因は――精霊節前交わした会話に遡る]
― 精霊節前 ―
[ウェルシュがにこやかに語るリート――アイリの評価>>69を、男は仏頂面で聞いていた。
あまりの無反応っぷりに、聞いていないと思われたかもしれないが、そうではなく]
あー。
[トーンの低い声を出し、くしゃりと自分の髪に手を突っ込む]
そういうとこ、あるって知らない訳じゃねー……けど。
[ぼそぼそと、らしくもなく歯切れの悪い口調で喋る。
ウェルシュが何かとアイリに突っかかる自分を見かねて、彼の態度の裏に隠されたものを教えてくれようとしているのはよくわかるのだが]
でも、そうだって認めちまったら……。
[なんだか負けのような気がする。
意地とか反発心もあるけれど、それ以上に]
(本当に……あいつ一人でいいみたいじゃねーか)
[彼の戦闘面での弱点を、まだ知らぬ頃のこと。
実力だけでなく人格面も完全無欠というのは、相棒として召喚された身には少し堪えるものがあった]
― 現在 ―
(だから、いいんだ。あいつが相手なら)
[そんな半分以上虚勢の感情は、果たして相手には見抜かれただろうか。
ともかく今は、枝の上の探索が第一ということでは、意見が一致したようで。
再び不安定な樹上の足場へ、二人でアタックする>>105]
ぐっ……なんだこの風。
[途中突風に煽られ、アイリと共に堪える場面もあった。
図体の分、風に吹き飛ばされる心配はアイリよりは薄いだろう。
ウェルとセイジの名を聞けば、あの二人はどのように試練を受け止めたのかと、しばし想い馳せたりもした]
魔力?
……んー、なんかじわっと温かくなる感じ?はあるが……。
[アイリにより大地の力の薄膜を張られるも、出て来る感想はかなりぼんやりとしていた]
目に見えないものを操れとか、そうそう出来るもんじゃねーって。
[反論はするも、ステファンのような例外がいることも事実で。
となるとやはりイメージが重要、となるだろうが、残念ながらそちら方面にはかなり疎いのだった]
でも、前よりは体が頑丈にはなったし、力も筋肉量以上に出せてるとは思うがな。
[最低限としてアイリに叩き込まれたことは、少しずつではあるが身に付いている。
その辺りが僅かな光明だろうか]
攻撃……魔法……。
[そうは言われても、男にはやはりピンと来ない。
土で攻撃だとか、脳筋らしいと言われた所で想像出来ないのが本当の所だ]
つーか、脳筋じゃねえ!
一応特待生取ってんだぞ!
[それは私立高への進学を希望した男に、両親が課した第一条件であった。
野球部目当ての志望というのは目に見えていたので、まず無理であろうスポーツ推薦を念頭に提案したのだろうが、野球の苦手な野球部員は成績上位者になることでその条件を満たしたのであった]
[速度を上げつつも、アイリの顔はどこか思案げで。
彼の内心は読めないまま、不安定な枝の上を進んでいく]
……いや、なんでもねえ。
[声を掛けられればそう答えつつ、こちらも思考を巡らせる。
魔力の循環――攻撃魔法――アイリに一人でいいと言わせないため、次なる段階に進むことを**]
トオル。空気は無色透明なのに毎日吸い続けてるではないか。
[魔力を操る事はそんな簡単に済むワケではないけど]
まあ、ステフの様にあんなに早く順応できる方が特殊だと考えたほうが良い。
どうせ、魔法の詠唱や操作などややこしい事を覚えても
意識しすぎて時間がもたつくなら逆効果だしな。
[だから、身体の中で魔力が循環して、無意識に筋力も耐久力もあげられている。
そんなトオルの今の状態は、かなりの良コンディションだともいえたが]
そうだ、攻撃魔法だな。当然大地属性にも存在するぞ?
とはいえ、残念ながら小技はともかく、中技大技は僕にも扱えん。
まあ、どうせ脳筋のトオルがそんな術式を扱えるとは……
…… …… ……
…… …… ……
…… …… なに??
[完全にピタりと足を止めたアイルリートが
こしこしと瞼を擦りだして、米神をくりくりともみだした]
[大蛇戦の疲労も完全に癒えきらないまま、強行軍で疲れたのだろうか。
まずい、幻聴が聞こえるなど、まさかまだ毒が身体に残されていたのだろうか。
そう思い込みたいアイルリートは、真顔でトオルを真正面から見つめて]
…… …… …… …… …… …… な に ??
[異世界人が魔法をみた瞬間、あるいは理解不能な神秘をみた瞬間の
白昼夢だろうか、え、嘘だろう?本当にいっちゃってるのか?と
そんな言葉を万言より雄弁に語り尽くした様な表情がそこには浮かんでいた。
大事な事過ぎて二度確かめる程度には]
[正直アイルリートにも異界の学力がどれほどかはわからないが
彼らの異界での話を聞いている限り、フラクシヌスより水準も高そうな気がする。
そんな異界の学園にて、トオルが(このトオルが!?)特待生?]
…… …… …… …… ……さあ いくか。
[この無礼野郎の馬鹿太郎の癖にかしこいだと?
いや、まさかこの僕より上という事はなかろういやありえて堪るか天地がひっくりかえり、世界樹の枝から牛肉やシルクや城が実として成ろうともそれはありえてはならん、そうか特待生こいつは馬鹿の癖にかしこいのか口を開けば『ヤキュー』『ヤキュー』と運動の事ばかり聞いていたからてっきり、これが人間の神秘というやつなのだろうか…。
そんな脳内で渦巻く万言の言葉を、ちょっと乾いた笑みに詰め込んでいた]
大地の御魂 加地 徹 トールは、疾風の御魂 九神 星司 シュテルン を投票先に選びました。
― 『世界樹』の枝 スヴァーグニル ―
[探索を初めてしばらく後、二人は2匹目の大蛇と遭遇することとなる>>153]
素早い敵、か……。
[イメージが固定化されたからか、精霊石の欠片から戦鎚への変化は問題なく行えたが、相性がいいとは言えなさそうな敵に自然表情は険しくなる。
しかしその警戒も、アイリに言われた通り、牙による攻撃に対してのもので。
アイリの後方から、障壁に激突する様>>154を見ながら、先よりもスムーズな対処を心に決める]
[しかしその見通しは甘かったと、すぐに思い知ることとなる]
[尾を構える予備動作。
先の力任せの振り払いとは違う鋭さのようなものを、その動きに感じるも。
アイリに声を掛けるより早く、突き刺す動きの尾が障壁を破壊する>>155]
なっ……壁が壊れた!?
[ほとんど無敵の盾として、絶対の信頼を寄せていた障壁が、一撃で破壊された。
その事実に思わずアイリの言う通り、一歩後退してしまう。
鋭いだけでなく、その尾の先端には、毒すら備わっているようだった]
アイリ、落ち着け……!
[内心の声に思わず口に出して反応するも、眼前で繰り広げられる攻防>>157に、それを聞いている余裕はないと感じられた。
展開までややタイムラグのある障壁は完成するより早く破壊され、動きを阻害するための枝も間に合わない。
それでも彼が退こうとしないのは、こちらに被害を及ばせないようにするため――というのもよくわかっていたから。
攻防に手出しすることすら出来ない自分がもどかしく、戦鎚の柄をきつく握りながら歯噛みする]
[そしてついに、一進一退の攻防を、大蛇の尾の一撃が破る>>158]
アイリ!?
[脇腹を尾針が突き抜けて、僅かな赤が空中に散る。
アイリの顔色はみるみる内に悪くなり、ついにその場に膝を突く]
くそ……!
[追撃だけはさせてはならぬと、咄嗟にアイリの前方へ飛び出すけれど。
頭上高く構えられた尾針に、対処する術はまだ見えていない]
僕僕言ってんじゃねえ。
失敗したのは俺も同じだ。
[アイリの口癖を咎めたのは、この時ばかりは気に食わないからではなかった。
敵の戦法をもっと早くに見抜けたなら、あるいは魔法を展開するための時間稼ぎを自分が担えたなら。
彼の代わりとはいかないまでも、出来ることは自分にだって多くあったはずだ。
悔しさに顔を歪めた所に、アイリが告げた指示は]
――出来ねえよ。
[自分はいいから先にというアイリへ、きっぱりと拒否の意志を告げる]
その状態から逃げ切れる保証なんてないのに、置いていける訳ないだろうが。
[歩くことすらままならない様子、無理に動けば余計に毒が回ることにもなるだろう。
アイリの計算を信じて最善手を取れるほど、冷徹な頭も持ち合わせてはいなかった]
[先に交わした魔法に関する会話を思い出す]
空気……。
[目に見えぬけれど、確かにあると感じられるもの。
確かに地の魔力への印象は、徹にとってそれに近しいものだった。
暑ければ手団扇で煽ぐように、空気を操る術もまたある訳だが]
うん。無理だなそれは。
[しかし詠唱だの操作だのと、複雑に動かすイメージは、やはり全く湧かないのだった]
[そんな男が告げた、特待生であるという事実に]
なんだよその反応は!?
[二度聞き返された挙句、盛大に乾いた笑みを浮かべられた]
いや、特待生っつっても私立だし、そこまで滅茶苦茶頭いい訳じゃねーけどな?
[それこそスポーツ目当てでもなければ、私立より公立の人気が高い地域。
地区全体で見た成績で言えば、中の上程度といったところか]
ほら、好きなことのためなら努力も苦にならないって言うだろ。
甲子園に行くためなら、勉強くらいなんてことないぜ。
[と言って、中学の部活引退後急激に成績を上げた徹を見て、両親と教師が盛大に溜息ついたのは余談である]
― 『世界樹』の枝 スヴァーグニル ―
――うおおおっ!
[動けぬアイリ>>249向け、必殺の刺突が繰り出される。
そこに割り込むようにして振るった戦鎚は、狙い通り尾を横から打って、その軌道をアイリから大きく逸らす。
一瞬安堵の表情を浮かべるも、それは敵の狙いが見え見えだったがためのまぐれ当たり。
横合いから飛び出した標的を認識し、スヴァーグニルは鋭い尾をこちらへ向ける]
そうだ……俺が相手だ!
[背中から聞こえる声>>250を無視して、大蛇の前に立ち塞がる。
再び鋭く突き出された尾を、戦鎚で弾こうと試みるけれど]
いってぇ!
[左腕を僅かに掠める針。
出血があるかないかの傷口から、消毒液の数十倍くらいの激痛が走る。
しかもそれは肌を侵しながら、じわり、と広がりつつあった]
――いや、アイリ、回復はいい!
まずは自分を優先してくれ!
[所詮は掠り傷、一戦終えた後の治療でも間に合うと、自分を奮い立たせる。
実際、アイリのように回復する手段はなくとも、地の魔力による肉体強化が、毒の侵入を大きく遅らせてはいた。
とはいえ、二度、三度と繰り返される尾の連撃を、体も武器も重量級の男は捌き切れず。
細かい傷が増え、脂汗と動きの鈍りは、隠せないものとなっていく]
くそ、このままじゃ……。
[焦りと共に大蛇を見据えた時、ひとつ、気付くことがあった。
尾の動きこそ素早いが、その支点――つまり腹に当たる部分は、連撃の間はほぼ動かない]
あそこに、攻撃が届けば――!
[しかし、当然ながら尾の攻撃は、接近を許してなどくれず。
遠距離に攻撃を届かせる手段があればと、思わずにはいられない]
『思うのならやるがいいぞ』
[そんな時、意識に滑り込むように聞こえた声にはっとする]
ど、どうやって!?
[思わず訊き返すが、もう助言は済んだとばかりに沈黙が返る]
そうだ……魔法!
[イメージがわかないからと、除外していた攻撃手段。
しかし今なら、『何をしたいか』はともかく、『どうしたいか』ははっきりとしている]
うおおおおおっ! 届けっ!!
[詠唱も何もない、曖昧で無茶苦茶なただの願望と共に、戦鎚を地面へ叩き付ける]
[果たして]
[ぼこん、と音が響いたのは、戦鎚が打ったのとは別の場所。
大蛇の腹の辺り、打たれて飛び出したかのような、土の杭が出現していた*]
ふざけるなトオルっ!
これは冗談で言っているのではないのだぞ!
こいつの毒に侵されて倒れてからではもう遅いのだぞ。
死んでからでは回復魔法は利かないんだぞ!
僕はいいから早く… …… ……っっ!
…ここで成功させなくてどこで成功させるというのだ
世界の盾としてあれ。
高く聳える守りの巌であれ。
誰より前にたつ闇への障壁たれ。
それが、大地の勇者が残した教えだ。
…だから成功させて当たり前。
…僕は大地の守護者、マガーネルの直系だ…
[大蛇の攻撃は届いていないはずなのに、アイリの方から届いた呻き声>>339。
自分の声が彼の集中を乱したことには気付かず、異変があったとしても振り返る余裕はない]
……大丈夫だ、まだあいつは倒れてねえ……。
[長く複雑な詠唱が、アイリの声で紡がれる>>340。
その一手のための時間を稼がねばと、痛みに震えそうな指で戦鎚を握り直し、前を見据えた]
[土の杭は大蛇の腹を掠め怯ませたものの、決定打には至らない。
そこに届く、アイリの声と魔法発動の合図>>341。
ピラミッドのような四角錐の結界が、大蛇の全身を覆い、尾を振るうことすら出来ぬように閉じ込めた]
――ああ!
[狭い中でものたうつ大蛇が、結界にぶつかり衝撃音を立てている。
しかし、それが壊れるまでの間、待つつもりもない。
アイリの立ち上がる気配と共に、毒とは違う、力もたらす熱が体に漲り始めた>>342]
おおおおおおっ!
[走りながら、戦鎚を振り被る。
そして、四角錐に封じられ、ろくに動けぬ大蛇の脳天目掛け。
気合いと共に全身の力籠め、戦鎚を振り下ろした]
[ガシャァァン、と、ガラスの砕けるような音が響く。
暴れる尾が勢いで結界から飛び出すが、それは空中で力をなくし、枝の上にのたりと落ちた]
[勢いで宙に両足浮かせた男。
身体強化を受けつつ振り下ろした鎚の下、大蛇は脳天に大穴を穿たれ動かなくなっていた。
間も無く『ねむらせるもの』の名を持つ蛇もまた、土に還ることだろう*]
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