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ペクトラ。パメラさんですか。
慎ましく、花開く前の蕾を思わせる様な、私は大変宜しい名前かと。
おぉ。美味しいですね。このクルミマフィン。
この辺を食べたら、一度教会にお伺いしなければ。
まだ僕は場所を知りませんが……シスター、案内をお願いしても?
[注文したパン3つを食べるまでの間に、パン屋にいる者達の顔と名前を知る位の余裕はあるだろう。
その間に、奥で焼かれているシフォンケーキが姿を現せば、食指がそちらにも動くかも知れないが]
[何にせよ、その暫くの間は、実際に言葉通りに美味しいパンを人当たり良さそうな笑顔で頂き続けた]
いやあ、本当に美味しいですねえ、この村のパンは。
花見の場所にも困らず、食事も美味しい。
この条件二つが揃っていれば、人間基本的に幸せに活きて行けるでしょうねえ。
いやあ美味しい美味しい……。
…………。
…………おいこら教会の人事部……。
幾ら出没した森に近い村だからって。
なんつー場所に俺を飛ばしてくれたんだおい。
[人当たりの良さそうな笑顔で、パンを食べ続けていた。
聴き取れないだろう小声で何かいってたが、この個性的な神父なら、唯のひとりごとと受け取られたかもしれない]
神父 ジムゾンが「時間を進める」を選択しました。
― 回想 ―
[ジムゾン・フォーゲルシュタインとは、神父である。
自由を愛し、堅苦しい枠に囚われず、少しだけ奔放で、とても強く滑らかな会話の問題で時には他人と軋轢ができ易いかも知れない性格であるが、神父である。
教義上、後ろ側でこそこそと隠れなければ、お酒とお煙草と、後何かは忘れたが、最後のひとつを含めた3つの正義を公然とは愛せない立場であるが、神父である。
そんな性質の為か、今は神に仕える聖職者の道を選んだ女性と、若い頃には知り合う事もあり、お互い少しは、その頃の相手の事情を知り知られしている状況であるが、神父である。
そんな自分は、少し特殊な立場故、ひとつの教会に留まる事はなく。
巡礼の旅や、神父の存在しない村の応援に駆けつけ、先々を飛び回る様な生活を今は送っている、神父である。
そんな神父の立場は、少し特殊だ]
― 回想 都市の中央教会 ―
花盛りの村……夏の気候に行われる夏至祭を初めに。
夏が盛況であれど、季節は余り問わず、美しい花が咲く花の名所としても、人口の割にはそこそこ有名……。
で?近くの森で人狼の仕業らしき不審な死体が発見されたから。
敬虔で物腰柔らかくて、優しそうで穏やかそうな神父として、俺が行って。視て。
審問してこいと。
[神父不在である花盛りの村へ、毎年派遣される神父として、急遽、決定されていた神父と入れ替わる形で、夏至祭に合わせて花盛りへ赴く旨を言い渡された]
ぎりぎりまで正体見せる気はないからな。
この村、祭りの準備に今は閑散とした人も少ない村なんだろう。
そんな場所じゃ狩人もまずいないだろう。
教会は、俺に死ねとでも云ってるんですかねぇ?
当然、俺は俺のやり方でやらせて戴きますよ。
死ぬのはまっぴら。生きる為なら多少の犠牲も仕方無いだろう?
だから余程の事が無ければ、俺は絶対に名乗り出ない。
[それを告げる司祭へ、不満を隠す努力もせず。
然し最終的には同意し頷いたことで。
ジムゾン・フォーゲルシュタインの、花盛行きは決定されたのだった]
― 回想了 ―
ご安心くださいな、だから追加で頼んだんですよ。
それに、コレくらいならまだ何とか。
[さもありなんか、都会には出た事も無いらしいオットーの言葉に小さく笑みを浮かべながら、随分と活気のあるパン屋を見回す。
どうやら今村にいる人がほぼ全員集まっている様だ。多少、意外性の高い知り合いが存在する事を除けば、中々に悪くない場所。
パンを食べ終わる頃、差し出されたのは生クリームを添えたシフォンケーキ]
なるほど。ここは良い村ですね。
少しこの服を着てるには暑い事と、
花粉症患者に優しく無い事を除けば。
[サービスと言われた、柔らかく暖かい曲を描いた生地を眺めて、薄く笑いながら、フォークを伸ばすことにした]
[その後、まずはこの村の教会へ向かおうかと、重く降ろしていた腰を上げようとした時。
眠そうな表情でいた、ゲルトと呼ばれていた青年が窓外に呟いた言葉に視線を向けた>>#0]
嵐ですか……?これはまた急な。
あぁ、もう遅いですね。もう間もなく降り出しますよ。
僕は教会で、と考えていたのですが。
教会は近いですか?
僕も嵐に濡れたくはないのですが。
[教会に掛かる時間を聞きながら、然しこの雨が止みそうに無ければ、言葉に甘えて世話になるのも悪くないだろう、と。
黒雲の近づく闇空を遠くから眺めながら、今あげたばかりの腰を、気付けば再び降ろしていた**]
― パン屋 ―
[黒雲から注ぐ水滴は、ぽつぽつとぼとぼとと、緩やかに確実に、嵐となり行く。
気掛かりは、そう、村と街とを繋ぐ、あの強度的に心許無い橋]
これほどの水は、咲誇る花達のお腹も飲み膨れでたぷたぷになるんでしょうね。
限界を越えて、溢れる程に降らなければ良いんですが……。
[言葉では花を労わりながら、心は橋と、それの掛けられる川をじっと見つめていた。
元々、不安と危機感、この村で花開くふたつの種を携えて訪れた身。
余り良い予感と云い難い嵐の訪れは、ふたつの花の種を健やかに育てていた]
[然し、人間は寝床を必要とする種族。当面はまず今日の宿の心配をしよう]
そう、宿は遠いのですか……。
この様子ですと、そこまで遠ければ、宿に到着する頃は、まず服の下までずぶ濡れのぼと鼠になる事請け合いでしょうね。
[話は早い、そう遠くなければ教会でお世話になるのが尤も良いだろう。
教会とは全ての者に開かれた家。パン屋の御厚意に甘えるよりそちらの方が気も楽で――]
ええ、それでは。教会へ。
シスター ―――。
["シスター"。聖職者。
この村に住んでいる、イコール。
ご住所は当然、世界何千件と用意されております神様のお家......]
― 回想、とある不良神父の話 ―
[後の自分はこう述懐した。
『あの女を前にするのは、本物の悪魔祓いより緊張したかもしれん』。
元々喧嘩早く好戦的、物怖じもしない反面、信徒に説法などと厳かで繊細な事など、豚に空を飛べ、馬に逆立ちしろ、と云う様な物に等しい。
そんな不良神父の役目が、実践的な悪魔祓いに割り振られたのは、当時の教会人事を褒めちぎって良い事だと思われる]
[性格は無礼、普段は人を選ぶ粗暴な性格でこそあれ、悪魔祓いを依頼する様な人間に対しては、例え相手が悪魔であろうが魔女であろうが、変わらずの態度を貫く不敵さは、人次第でなかなか痛快に映えていた。
本当に、悪魔や化物が存在する事例など稀。
毅然とした態度で、聖水をぶちまけ、教典を読み、銀や十字など、素人目にも御利益のありそうな物品を鏤めるだけで、普通の"悪魔祓い"は済む。
そんな普通の仕事の折、暑苦しく着苦しい礼服を着せられ赴かされた屋敷で、彼女はいた]
[年齢は自分とそう変わらない。然し年齢以上に少女の瑞々しさを感じさせる振る舞いを見せる彼女は、身体の商売をしている部類の人間だった。
名前は確かリーディア。街ではそれなりの評判を得て、こうして礼服を着せる様な屋敷の人間が目をつける以上は、それ程の人気はその頃あったのだろう。
彼女が噂の、程度には名前を聞いて理解した]
『結局、以前のおっさん、女絡みで恨みを買い漁ってたんだと。
お前もそうならねえ様に気をつ……あ、いえ。何でもありませんはい』
[その後、街で姿を見かけた時、彼女に声を掛けられる様になったが。
それは押しは決して弱くない彼女の性格故か、相手の心を擽りつつも、辛辣にあげて落としもしちゃう処に振り回された故か。
彼女との相手はどうにも、此方の調子を狂わされていたのだ。
それはやがて数年後、何かの修羅場に巻き込まれたらしく、忽然と街から姿を消すまでの間の関係だったが。
年月が経過しても変わらないらしい、当時の軽快ながら艶やかさを感じさせる笑いを、後に再び見る事になろうとは、当時は考えなかった>>35]
― 現在 パン屋 ―
……あ〜〜……。
もう雨足が近づいてますね。教会でも濡れてしまいそうですね。
[『この状況、もしかしなくとも、恐ろしく気まずく無いかい?俺』
少しだけ、このパン屋の席で夜を明かす事が魅力的にも感じられたが。
そうは行かない、この村にいる間は、最低限、ひとりになれる部屋が必要なのだ]
……で、では。
せめて、ご飯を頂いてから。
[気まずい、が結局は教会に案内される事を選んだだろう。
煮込まれたビーフシチューやサラダがテーブルに並べられるのを見ながら、せめて宿を確保した後に嵐が来て欲しかったと胸中で呟いたのだった]
神父 ジムゾンが「時間を進める」を取り消しました。
神父 ジムゾンは、シスター フリーデル を能力(占う)の対象に選びました。
神父 ジムゾンが「時間を進める」を選択しました。
― 深夜 教会の一室 ―
[今はフリーデルと云う名。彼女が用意してくれた寝床の部屋で、蝋燭がか細く揺らめく。
天は黒雲、花は嵐の中儚く散り往く、絶え間なく矢の降り注ぐ様な雨夜の音。
絶え間なく涙を流し続ける様な窓辺の近くで、バロック調を思わせる様古めかしいタロットが、十字を描く様な形で、五枚伏せられていた。
胸中で思い浮かべるは、年月を経ても若かりし頃を忘れてはいないらしき、馴染みの女性。
正直、アタリだと思わない。命懸けの役目に何をしていると云う気がしなくもなかったが。
彼女が本当に、あの頃の彼女のままなら良い。
そう思い、視やる真実は、期待や信頼から来るのか、或いはその逆なのか]
[十字を描かれた、本来並べるべきタロットの用法とは異なる、特別な配列を齎すそれらを視るべく、指先が動く]
Padre...(我らが父と)
Figlio...(其が神子と)
e Spirito...(聖霊の元に)
[上下、左右。中央に伏せられたカードを縛る、十字架を、ひとつひとつ剥がしていく。
そこから現れる真実。心に描く人物を示す、占術の視]
...... Santo ......(其の魂を示し給え)
[十字架に貼り付けられた、中央。最後のカードを開く時。
指先が何故か震え、開くのに微か時間が掛かった事を、知る者は誰もいなかった**]
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