情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[性格も自分を呼ぶ言葉も、表情も、全てを。
作り上げ、固定し、維持し続けなければ立っていることなど出来ない。
――――出来なかった。
絶望も憎悪も恐怖も怨嗟も湧き上がる憤怒も、何もかもを押さえ付けて忘れたフリをするには、その方法しか無かった。
十年以上も前、非力で無力であった一人の小娘には。*]
― 回想:十数年前、オルヴァル ―
[太陽と鴉を頂く旗を掲げた帝国と島国オルヴァル間で行われた戦争。
当時から精鋭揃いと讃えられたウルケルの傭兵部隊を雇い>>263、帝国軍の猛攻を耐え凌ぐもやがては敗戦へと追い込まれたオルヴァル。
帝国に吸収されることによってオルヴァルの地は物資の流通が豊かになり、今や元の国民の大半が支配を受け入れて既に長い。
しかし、国民も、嘗て軍部に所属していた人間も多くは知らないはずだ。
戦争の裏で安価で武器を売り捌き、国民に強国への勝利の夢を抱かせ続けた>>265存在を。]
[ユルド社。
国境の分け隔てなく武器の販売を手がける商会の名前だった。
戦中は国軍…或いはウルケルの傭兵たちに破格の値段で武器を提供していた。
…国益のために。商会を取り仕切る会長の口癖だったが、その実、ユルド社は裏で帝国とも取引を交わしていたのだ。
ある時には商会の伝手を使って海運業も営む商会>>0:87へ。…もしくは直接商会の者の手で。
オルヴァル近辺の暗礁地帯の多い複雑な海域の海図や国軍の情報などが多く帝国へ売り渡された。
それは売国奴と称されるに難くない所業だっただろう。
――けれど、戦中の混乱の中。
そのことに気付き、糾弾した者はいなかった。]
[オルヴァルのとある港街に敗戦の報が齎されたのは湾岸に建てられた最後の砦が陥落したという報せと同時>>274だった。
国軍の艦隊は壊滅し、帝国の艦隊が港まで押し寄せていると>>275ほうほうの体で逃げてきた残兵が触れて回っていた。
戦果の報せを受けたユルド社の動きは素早く、何よりも誰よりも早くに帝国へ恭順の意志を示した挙句、自ら社の未来の跡取りである長男の子女を帝国へ差し出したのだった。
かくしてユルド社はオルヴァルの中の幾つかの商会の中でも唯一国の吸収による縮小の害を受けることはなく。
現在は次男夫婦が会社の跡を継ぎ、実権を握っている。*]
[今は既に亡国と成り果てた国の歌。]
[よく口遊んだメロディが記憶から消えた頃。
私は間近な場所で行われていた非業を知った。
…唯、それも今となっては*昔のこと*]
/*
自分で作った歌詞が落とすとなると思ったより恥ずかしくて躊躇してしまいましたがやるしかない…
だって中佐の「不羈」を拾いたかったんです…拾いたかったんです…
/*
校歌みたいのを作詞する人ってこんな気分なんですかね。
などと思いながら考えました>>541
後悔は…し…し…してます……
/*
だだだだだいじょうぶでしたかね
こんな綺麗な戦線物語に悪い爺さんの話ぶちこんで!世界観ブレイクしてたらすみませんほんとうに。はい。
/*
メモ確認。
さて、>>593戦いに行きたいのは様々なのですが、私はとがない少尉なのでわくわくしながら待機しておりますね
/*
おっ、遅くなって戻ってきたら陛下…
ヘイト投げていいんですか?いいんですか!??
投げますよ?いいですね!?
― 海峡南方海域:第三隊 水雷母艦上で ―
[船の他に島の影は見えないかと探っていた時でした。
ふと横目に第四艦隊の方へ目を遣った私は、丁度複数の複葉機の影が空へと発ったところ>>607を見届けます。
そして、リーミン中佐からの指示が、直ぐに。>>608]
…
[水雷艇の方への主な指示でしたが、一応、了解の意を示します。
上官への態度をアイグル少佐に咎められてから>>401気をつけてはいるのです。これでも。]
[水雷艇が七隻、相手方の方へ向かったのだけを確認し、私は哨戒を続けることにします。
流れ弾が当たったら事ですから、太い帆柱の後ろに回り込んで、上空を飛ぶ複葉機の動きをじぃっと見つめました。]
――っと、!
[流れ弾が飛んできたのか、帆柱の一部に穴が空き、足場がぐらりと揺れて。
私は帆桁の上でバランスを取ると、ふ、と息を吐きました。]
危ないじゃないですか!もう。
[反射的に文句が出ますが、敵方が聞いてくれる訳もなく。
直後に遠く、巡洋艦の砲門>>682の音が轟いたのです。*]
― 回想:"私"の戦争 ―
[そこは海の上でした。
青々とした海に白い轍を作りながら進んでいく船がありました。
きらきらと陽の光を受けて輝く水面は眩しく、時折海鳥が甲高く鳴いて船の傍を通り過ぎて行きます。
空に高く掲げられた太陽と鴉を頂く旗は風を受けて大きくはためいていました。]
[ミリエル・クラリス。
まだ齢十にも満たなかった当時の私は太陽を掲げる船の中、暗く薄ら寒い船室の一角に身を置いていました。
祖国の敗戦は疾うに決まっていましたが、私の戦争が始まったのはその時からでした。]
[大人たちの都合は等々あったでしょう。
私は賢しらに装ってはいましたが、子どもだったのです。
社の為だ、家族のためだ、行ってくれるなとお祖父様に言われて、一も二もなく了解したのですから。
その結果、祖国が陥落したと同時に私は遠く帝国から訪れた船>>637で住み慣れた地を離れることになりました。
未だに家族が恋しい年頃でした。けれど、人前で涙を見せないというのが私が自家での暮らしで身に付けた数少ない特技でしたから、太陽を背に抱く船へと乗り込む時にはすっかり幼いながら鉄面皮の様相で居ました。人質と、宅で漏れ聞いた言葉の意味をその時には理解したつもりでいたのです。]
[船へ積荷のように積み込まれた私は、捕虜のように軟禁を受けていたわけではありませんでした。望むならある程度船の中を歩き回ることは出来たのでしょう。
しかし、来る日も来る日も私がしていたことと言えば、船室に閉じこもって一人で延々と"歌"を歌うくらいのものでした。
…怖かったのです。自分とは違う、異国の人間が。彼らの目が。視線が。
彼らが私のことをどう見ているのかを向けられた視線から悟ってしまうのが怖かったのです。小娘の知識として刷り込まれていた非征服民の末路は尽く悲愴なものでした。]
[そうして海の上で日々を過ごすうち、私は自分の乗る船が皇帝陛下の乗っているものだと知りました。
そして、自らと年の離れていない皇太孫も同乗していることも。それを知った経緯は、如何なものであったでしょう。本人と顔を合わせる機会があったのか、それとも船員の口からか。彼方の記憶は既に薄れて定かではなくなってしまいましたが。]
[何はともあれ、閉塞的な空間で娯楽や嗜好品の類もまるでなく、過去と違い過ぎる己の境遇に私の心は荒むばかりであったのです。
伸びていく金色の髪はやがて傷みを孕んで瞳と似通った薄い色にまで質を落とし、陽の光から離れ続けていた弊害で肌は病的な青白さを帯びていきました。]
[やがて喉から出る"歌"すらも旋律を失くして言葉となり、音となり、やがては途切れとぎれに撒き散らされる怨嗟の声に成り果てました。
自分を引き渡した祖父を怨み、敗れた祖国を憾み、自らの境遇を恨み、同時に自らと同じく歳を重ね、帝国の太陽として未来には崇められるのであろう皇太孫へ嫉妬の念すら抱きました。]
[そして。後後に自らの扱いが決定するその時まで歪な感情を持て余し続けた私は、――…笑うことを、覚えたのです。]
[何があろうと自らの為だけに、動くことが出来るように。
受け入れたくない記憶を他人事と見做して振る舞い、自分を守ろうとしたのです。
どんなに理不尽で不条理な事態に対したとしても笑っている自分は"ミリエル"である自分とは違うものなのだと。そう思い込むことで。]
[不羈。嘗て歌っていた歌の中の一言。
自由であるため。…そう想っているのとは裏腹に、自分で自分に枷を課し続けていることには目を*瞑ったままで*]
/*
最初は病み顔の似合うチップという不純な理由でミリアムチップを選んだのですが、病み顔はどうも使う場面がない気がする。
基本的に笑顔ですからね!笑顔!
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新