情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
聖女 ナネッテは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 教会:大聖堂 ―
市民の避難を急がせて! 怪我人は奥へ!
身体が動くものは数名で組んで哨戒に回りなさい!
[てきぱきと部下に指示をしていく。押し寄せた市民、詰め掛けた怪我人、城から這々の体で逃げ帰ってきた司祭達――それらが織り交ざって、教会の大聖堂は普段の静謐さがまるで感じられないような喧騒に包まれている]
恐れることはありません。
神はいつでも私達を見守ってくださっています。
今与えられている試練も、全ては私達のために。力を合わせて乗り越えましょう!
[パニックになりかけている市民達に向けては、毅然とした聖女として振舞う。それがもっとも彼らを落ち着けるものであることを知っているから。だから、内心の動揺は一切表に出さない]
― 回想:はじまりの教会 ―
[元から、何かおかしいものは感じていたのだ。
枢機卿自ら、任地へ向かうことを任命するなんてことはまずない。勿論猊下の指示だ、逆らうことなんか出来るはずもない。逆にそんな凶悪な吸血鬼の征伐へと加えていただける名誉に感涙したのだが――不自然な点はその頃からあった]
(変ね……異教徒に対する
[今度の征伐のメンバーを見れば、自分以外に教会の人員はほとんどおらず、対吸血鬼の戦力は魔物狩人だけ。教会から全権を託された、とはいうものの狩人達は独自の判断で動くため、ほとんど自分は居るだけの状態だった]
……吸血鬼の"捕獲"を完了した?
しかも、搬送も終わったですって?
[そして自分が与り知らぬまま目的の吸血鬼は捕縛され、そして征伐――息の根を止める――をすることなく解散した、と聞かされる。
聞いていた話と違いすぎる。わきわきと身体に手を伸ばしてくるその狩人に平手打ちをして、急いで城に向かったのだ]
― 回想:城にて ―
[捕らえたという吸血鬼もその目で見たが、牢でしょんぼりと佇むその姿は叱られた子犬のようで、わざわざ白木の杭を撃ち込むほどの邪悪な雰囲気を感じなかった。
――胸元に注がれる下卑た目線には邪なものを感じたが、それは吸血鬼に限った話でもない。こうして疑問は膨れ上がる]
(こんなもの、邪魔なだけなのに……)
[胸元のロザリオをきゅっと握る。このロザリオだって変に浮いてしまっているし、説法に赴いても男達はぼうっとして話を聞いているのか分からない。この若さで上り詰めたこともあって、口さがない者達から
(どうして見せしめに? 危険ならばその場で殺害するべきなのに。
何かそうしなければならない事情があった……? そんなもの、思いつかないけど)
[彼と言葉を交わしていたかもしれないが、救出の嘆願は無視していた。それに心揺らぐようでは、
― 宴の前 ―
[そして、事実を確認しようと城を辞して教会に足を運んだその時。それは始まった。空を埋め尽くすコウモリの群れ。光の届かなくなった街に、人々の混乱する声が耳に届く。そして――司祭達が突然帰ってきたのだ。自分を追ってきたのかと思えばそうではなく]
――陥落した? 城が?
[瀕死の司祭達の途切れ途切れの話を繋ぎ合わせれば、こういう事だと分かる。見せしめの処刑をしようとしていた所にコウモリによって奪還されてしまった。直後、吸血鬼達が襲撃してきて、瞬く間に城内は制圧された。他の人々の安否は不明――
不安そうにこちらを見つめる侍者達と教会に詰め掛けてきた市民達を見て、事は喫緊の課題と知った。自ら大聖堂で指揮を取ることに決めたのは、このときである*]
なあ
試練もいいけど、ここはもう定員オーバーになりそうだし、一ヶ所にみんな集めるのも逆に危なくねぇかい
[気の毒にも死にそうなほど怯えてる人らには聞こえないように、声を抑えてその場の指揮官めいたシスターに聞いてみた。
城はもうダメだって話、だし**]
― 教会:大聖堂 ―
そうですね、今はここに人が集まっているからこうしていますが……
このままではいけないことは、私にも分かります。
[市民の声>>40に頷く。この教会のキャパシティだって無限ではない。このまま市民が押し寄せ続ければいつか限界を迎えるのは明白だった]
(とはいえ、どうすべきか)
[市民達の声を聞くと、街の外へ出るための道はコウモリに封鎖されていたらしい。となると街の中で安全な場所を確保しなければならないが――これだけの市民を一度に収容できる施設に心当たりは無い。侍者達に聞いてみたが、ここより大きな建物は城しかないようだ。その城は、既に陥落している]
……他に避難所に出来る建物がないか、確認する必要がありそうですね。
[現状、こちらから打って出ることはできない。聖別された武器もほとんど狩人が持っていってしまったし、聖水も形だけでない聖別がなされているものは数が限られている。今ここに吸血鬼がやってきたら、自分が矢面に立たねばならない状況で、自分がここを離れるわけにはいかないからだ。さらに、侍者達も哨戒が精一杯で、捜索に出る余裕は無い。ならば――]
(狩人達の到着を待つことにしましょう。流石にこの状況なら、サボるわけにはいかないはず)
[先ほど侍者に数少ない聖水を持たせ、彼らを迎えに行かせた。彼らを呼び戻せば取りうる手も増えるはず。そう思っていたが――]
……なんですって? 狩人達がいない?
[解散はした、というがその後酒場で騒いでいたらしい、という話は聞いていた。だが現状、彼らの姿は見えないらしい。市民達には見えないよう話を進める]
(自ら遊撃に出るほどやる気に溢れているようには思えない――ならば)
[考えられる可能性は二つだ。自らの責務を放り出して逃げたか、あるいは吸血鬼の恨みを買って先に狩られたか――]
……大丈夫です。私達は、私達で出来ることをしましょう。
[自分達が不安がっていては市民に不安が伝わってしまう。侍者達を落ち着けて――どうにか騎士達が追いつくまで、もたせなくてはならなかった*]
[ようやく市民達も落ち着きを取り戻してきたのか、家族が身を寄せ合って大人しく座るようになった。
侍者達が彼らに一言ずつ声をかけていき、自分の姿を確かめて落ち着く。その流れで、市民の混乱は収まりつつあった]
(これで、騎士達が来るまでどうにかなるかしら)
[騎士も全て倒され、たどり着けないかもしれない。しかし今そんな恐ろしい想像はしたくなかった。長杖を持って虚勢を張るにも限度がある。しかもこの長杖自体は聖別もなされていないただの杖だ。いざとなれば隠された銀の短剣が頼みの綱なのだ]
(どうか、襲撃が来ません様に――)
[そんな風に祈る。その祈りは通じるか*]
……ええ、残念ですが……騎士は未だ、こちらに辿り着いていません。
[旅人から声>>119をかけられれば、市民に聞こえないよう小声で話す。教会の騎士がもとよりいなかったことは敢えて口にしなかったが]
ええ、入り口以外の場所は今、侍者達が哨戒を行っています。侵入を察知すれば動きがあるはずです。
……全員が、一網打尽にされることがなければですが。
[複数人がまとめて倒されるようでは終わるが、正規の聖別がなされた聖水を一つは持たせている。たとえ叶わなくとも、連絡をする暇もなく倒されることはない――そう思って複数人で組ませていた]
地下墓地……私が見た感じでは地下施設があるような構造には見えませんでしたが。どうでしょう?
[地下があるか、と聞かれれば側に居る侍者に訊ねてみる。返答はやはり同じで、この教会に地下は無いとのこと]
すみません、この街のことは詳しくなくて。来たばかりですから……
[少し申し訳なさそうに返した、その時]
[羽音と共に蝋燭の明かりが揺れる。光を飲み込む漆黒の鴉が、灯りの熱をものともせず佇んでいた。そして、まるで人の言葉のようにそれ>>126>>127は紡がれた]
……皆さん、静粛に!
どうか落ち着いてください!
[落ち着き始めていた聖堂はその脅迫に天地を返したような喧騒に包まれた。悲鳴、怒号、絶叫――まさに阿鼻叫喚であった。その中に]
『うわぁぁぁっ!! もうダメだあ!! おしまいだあ!!』
!
いけません!
[パニックになり逃げ出しそうになった市民が居て。慌てて侍者と共に引き止める。だが滅茶苦茶に暴れ、目は泳ぎ、鼻息も荒く、とても落ち着いてはいなかった]
『離せよ!! 終わりなんだよお!! もう俺達助からないんだあ!!』
誘いに乗ってはいけません!
今飛び出したら――その瞬間に狙われます!
[叫ぶように怒鳴る青年を落ち着かせようとする。そう――今逃げ出せば、間違いなく吸血鬼は彼の背から襲い掛かるだろう。それが分かっていて行かせはしない]
『じゃあどうすればいいんだよお!! アンタらが行ってくれるのか!!
どうせ行かないだろう!! だが俺達は』
――わかりました。
[青年は呆気に取られた顔で叫んでいた言葉を止め。侍者達は絶句してこちらを振り向く。教会の長椅子に長杖を立てかけると、彼らを振り向くことなく入り口へと歩いていき]
――聞け、吸血鬼よ!
汝の求めに応じ、今この度我が身を捧ぐ!
なれば汝らは盟約を以て、彼らを見逃すと誓え!
[聖女様、と制止する声は後ろから聞こえてきた。だが今は振り返らない。それよりも――彼らを護る事の方が重要だったからだ*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新