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8人目、 ギィ が参加しました。
ギィは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
[華やかでいかがわしい街の一角にあるラウンジで取引の相手と会い、奥の部屋に通されたあたりから記憶は曖昧になっている。妙に甘い匂いだけが印象に残っていた。
それからどこをどう運ばれたのか、今は洋上に浮かぶ豪奢な部屋の中にいる。
同室には男がふたり。
自分の分の乗船券は、おそらく無い。]
[恐怖は感じなかった。
期待すら抱いていた。
待つこともまた、胸疼かせる喜び。]
きて――…
[とろり囁いた声を聞きとがめて、男たちの片割れが近づいてくる。
それを見上げ、柔らかく微笑んだ。**]
― 客室 ―
[たぷたぷと、重い水音がしていた。
バスタブの中で、ふたつの人影が重なっている。
圧し掛かるようにして腰を振っているのは金髪の大柄な男だった。
その下で嫋やかな白い体が揺さぶられている。
金髪の男が動くたにび短い声が上がり、赤い髪が乱れて跳ねた。
室内とバスタブを隔てるのは透明な壁だった。
区切られた空間の中で、濡れた声がくぐもり反響する。]
「おい。高い商品なんだぞ。ほどほどにしておけ」
[部屋の中から声を掛けたのは、黒髪の痩せた男だ。
油断ならない目つきは鋭いが、今は同僚に呆れた色をしている。]
「いいじゃねえか。どうせ痕も残らねえんだ。」
[答えた金髪男が組み敷いた体にナイフの刃を滑らせる。
その瞬間はうめき声が上がったが、血はさほど流れず、すぐに止まった。]
「そういう問題じゃねえよ。ったく、飽きもせずによくやるよ」
「こんだけの上玉、手ぇださねえほうがおかしいだろ?」
[背中で交わされる言葉を意識から遠ざけて、囚われの"商品"は小さな息を吐く。
体が重い。あの甘い香りがどこからか漂っている。
足に絡みつく粘ついた"水"も、手錠も、銀の首輪も、全てが厭わしい。
けれども微かに心の琴線に触れるものがあった。
予感だ。魂響き合わせる者が近づいているという。
その瞬間を思えばこそ、苦痛も屈辱も甘美へと変わる。
背筋の震えを勘違いした男が、嬉々としてまた腰を振り始めた。*]
[ それは、中の者の注意をひくのに充分な合図だろう。
拉致された当人にとっても、また。 ]
入ります。
[ 宣言とともに、ドアを開く。
ロックを解除するカードは、潜入作戦をお膳立てした"兄弟"が手配してくれた。
長身をわずかにかがめて室内に踏み込む。
この先は、臨機応変だ。 ]
[聞こえた。
愛しい子の声が胸の奥に触れていく。
それだけで世界の色が変わった。]
ああ───ここだよ。
[溢れる情感のままに声が艶めく。
早く、来て―――…]
[意識に伝わる声が部屋の狼藉者たちに届くことはない。
"商品"を相手に獣欲を発散していた男は体を離し、シャワーを浴びていた。
蹂躙されていた方はといえば、両手を手錠で繋がれシャワーフックに鎖を引っかけて吊られている。
体は弄ばれたそのままだったから、そのシャワーの湯をこちらにも掛けて欲しい、と思う。だがそう頼むのも癪だったので黙っていた。
腰から下はバスタブの中で、浅くぬるい水に浸かっている。
粘つき蠢く"生きた水"だ。
軽い麻痺の作用でもあるのか、力が抜けて立てなかった。]
[金髪がシャワールームから出た頃、部屋のドアがノックされた。
「誰だ」とか「ルームサービスは頼んでないぞ」などと男たちは騒いだが、自分にはドアの向こうに誰がいるのかわかっていた。
微笑んで身じろぎ、その瞬間を待ち受ける。]
[ 彼の人を背後に庇う位置へと滑らかに移動し、誘拐犯たちに向き直る。 ]
悔い改めの刻を与えます。
[ 男たちが、投げかけられた言葉の意味を理解するのに一瞬の間があった。
が、返事は言葉ではなく、武器でなされた。
黒髪の男の手元から刃物が飛び出す。圧縮空気の音はかすかだ。
おそらくブレードには特殊加工が施されている。だが、躊躇なく籠手で受けた。
衝撃はあるが、貫通するには至らない。射出ナイフが床に落ちる。 ]
[ 同時に、金髪の方の男も攻撃を繰り出す。
息のあった連携だ。
こちらはワイヤーだった。とっさに剣を抜き、受ける。
先端にフックのついたワイヤーは剣に絡みつき、次の瞬間、青白い電光が弾けた。 ]
──っ!
[ 剣を手離したのは悪くない判断だったと思う。
だが、痺れは残り、蹌踉めかされた。* ]
[困惑がもたらした室内の静寂は、争いの激しさに書き換わる。
混乱の間に打ち倒せば制圧も容易だっただろう。
だが救出に来た彼がそれを良しとしないことは熟知していた。
未だに、三度攻撃を受けるまで、を守っている男だ。
金属音が幾度か交錯し、青白い火花が爆ぜた。
長剣が落ち、守る背が揺らぐ。
眉を上げたが、不安は無かった。]
窓際の灰皿が見えるかい?
あれを壊しておくれ。
[彼の背が触れたシャワーブースの壁越し、彼だけに聞こえる声で囁く。
捕えられている間、無為に過ごしてはいなかった。
己を縛る術の要はそこだと推測している。
香を使った呪術でも、一角を崩せば破れるだろう。*]
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