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[探していた内の一人とばったり出会ったのは、
ちょうど彼が王宮へと戻ってきた時だっただろうか。]
これはこれは、オルブライト殿。
ご無沙汰しております。
[>>244僅か三十にして国政の一翼を担う英才。
その姿を認めれば、ぺこりと頭を下げた。
数年前、彼が外務長官に就任した際には、
その若さを危ぶむ者や妬む者も多かったと聞く。
けれど僕はむしろ、期待と喜びを胸に抱いたものだ。
なにせ地位を得るのに年齢など関係ないという事を、彼は証明してくれたのだから――と、閑話休題。]
昨今はお変わりありませんか。
なんでも、一部の周辺諸国が我が国の資源を狙っている……との噂もありますが。
[ラメールを仮想敵国とした軍事訓練を行っている、とか。
宮廷内に某国のスパイが紛れ込んでいるのでは、とか。
そんな噂が幾つか、僕の耳にも届いていた。
もっとも、どれもこれも所詮は確証のない噂に過ぎず。
そもそも監査局が表立って動くような話でもないのだが。]*
/*
ところで自分の中では、地位としては長官>局長のイメージなんだけれどラメールではどうなんでしょ。
長官はいわゆる大臣クラスだろうし、普通はフィオンの方が上役かなー?
あとリヒャルトは……尚書が秘書だとすれば、国王の個人的な部下になる?
/*
尚書令、つまり尚書の長官は時代によってただの秘書だったり大臣だったり文章係だったり宰相だったり面倒というか。
宰相相当だとすれば、その補佐官は事務次官か官房長クラス?
[>>270職務中とは変わってフランクな態度の彼に、
僕は頭を上げると、にこりと微笑んだ。
僕もいつかは彼と肩を並べられるくらいの立場に。
――否、更に高く、位人臣を極める程にまで上り詰めたいものだ。]
既に把握されていたとは、さすがお耳が早い。
[そも戦争なんていうものは基本的に、国力という貴重なリソースを湯水の如く浪費するだけの無駄極まりない行為だ。
――戦わずして人の兵を屈するは、善の善なる者なり。
外交折衝で無駄を回避できるなら、それに越したことはない。
その点、彼が既に動いているというのなら安心できる。]
ええ、近いうちに陛下直々に跡継ぎの発表があるとか。
なんとも気が早いことです……陛下は未だご壮健であられるのに。
[とはいえ、陛下の御身に何かあってからの発表では遅すぎる。
早いうちに後継者を確定させて混乱が起こらないようにすると共に、徐々に権力を王太子に移譲していくお心づもりなのだろう。]
今や国中、大人から子供に至るまで、
二人の王子のどちらが指名されるのかという話題で持ちきりですが。
貴殿は、どうなるとお考えなのです?
[軽い世間話の体を装って、彼の立ち位置を探ろうと尋ねつつ。]
[彼の答えがどうであったにせよ。
自分の意見としては、と告げたのは。]
僕は――フェリクス殿下ではないかと予想しております。
[兄殿下の方の名前。]
長子にして、その威風と勇名は国中に轟いており。
軍部からの支持も厚いフェリクス殿下を指名するのが道理でしょう。
[実際、僕の思想や立場は別として、
フェリクス様が指名される可能性のほうが高いとは思っていた。]
……しかし、あの御方は些か武に傾倒している。
我ら文官にとっては肩身の狭い時代が訪れそうですね。
更に、それに乗じて軍部が増長するような事があれば。
この国は不毛な戦争へと転がり落ちていくのではと――……。
……失敬。
このような話、この場でする事ではありませんでした。
何処で誰が聞いているかも分かりませんからね。
[ふ、と息を吐く。
彼ならば、僕の言わんとしていた事が伝わるだろうか。
フェリクス殿下が後継者となった場合の、危険性が]**
[去り際に一言、周りに人がいたとしても彼にしか聞こえない声量でこう言う。]
…私も貴方と考えは同じだ。
[何か言葉が返ってきたなら、それを聞き届けた後に執務室へと向かっただろう。]
おっしゃる通り。
両殿下とも、王たる"能力"がある事は疑いようもありません。
[>>305彼の言葉に深く頷く。
しかし僕は敢えて"器"とは表現しなかった。
人を統べる器と、人を統べる能力は別のものだら。]
……こうも長々と立話を失礼しました。
またいずれ、仕事場にてお会いしましょう。
[今度は軽く頭を下げて。]
[彼の去り際、すれ違う一瞬。
小さくもはっきりとした声が聞こえたならば。]
どうか陛下に、我らの考えを献言下さるよう。
[同じように、互いにしか聞こえないくらいの声量で、このような一言を伝えたのだった。]
[>>307彼の姿が廊下の向こうに消えるまで見送った後。]
……我が意を得たり。
[と、一言だけ呟いて。
僕もまたその場を後にするのだった。]*
―― 王宮・外回廊 ――
[夕暮れの涼しい風に髪がそよぐ。
一仕事を終えての帰り際、僕はふと、ただぼうっと外を眺めていた。
[目線の先は王宮より遥か北。
巌しい山河に囲まれ、語るべき物といえば堅牢な要塞くらいの。
僕の生まれ故郷は、そんな地方にある小さな寒村だった。
と言っても、そこで過ごしたのは生を受けてから僅か十年あまり。
故にさしたる思い入れなどは無く、むしろ――……。]
……ふん。
[今の総督が彼の地を受け継いだのは、いつ頃の話だったか。
ゾネスの武断的性質を表したかのような彼女の噂や逸話が聞こえてくるたびに、僕は眉を顰めながら思うのだ。
「これだから軍人というものは、粗暴で野蛮で気に食わない」と。]
それにしても、今日は疲れたな。
[ああ、早く帰って妻の料理が食べたいな、なんて考えながらも。
僕は手すりに寄り掛かると、もう少しだけ風に当たって涼むことにした。]*
/*
そういえば故・デズモンドおじいちゃん、現役の最後が中佐だったのか、それとも退役に際して中佐を送られたのか……(細かい
……うん?
[風に当たっていると、>>387思いがけず声を掛けられて。
体はそのまま、僅かに振り返り視線だけを向ければ、そこには軍服に身を包んだ若者が立っていて。]
ご苦労。
……その階級章は士官候補生のものだったね。
見回りの最中に迷子にでもなったのかい?
それとも年上の先任軍曹あたりに虐められて逃げてきたのかな?
[なんて、ほんの少し嫌味っぽい言葉を向けてみたり。]*
…………。
[僕としては嫌味を言ったつもりだったのだけれど。
>>402そう素直に返されると少々調子が狂う、と頭を掻いて。]
……若くして集団のリーダーになった際、
もっとも面倒な存在の一つが"年上の部下"だよ。
特に軍曹といえば多くは叩き上げのベテラン。
君を若輩と謗り、従おうとしない者もいるだろうからね。
[僕も局長就任当初は、そういった部下の統制に苦労したものだ。
まあ、当時僕に従わなかった愚か者どもは"もういない"。
今いる監査官たちは皆、僕の手足となって働く有能で有用な部下たちだ。]
ものはついでだから、ここは僕がひとつ、
新任の君に軍人としての心構えを教授してあげよう。
[そこでようやく、彼女の方に向き直り。]
――軍人というのは、道具だ。
王命によってのみ放たれる一本の矢のようなもの。
折れてしまえばそのまま使い捨てられるだけの道具。
特に下級の兵卒になればなるほど、
その命は紙切れよりも軽く、一切れのパンよりも安い。
だから君は、ただ陛下の命令にのみ忠実な道具であり、
効率的に部下を死なせる方法を考えていればいいのさ。
[冷たく持論を言い放つ。
多分に棘が含まれた理論ではあるが、決して暴論ではない。]*
/*
しまったランダム間違えた(
……まあいっか、若いけど15+7の22歳。
で、チップは誰想定にしよう?
3(7x1)
/*
三番目、ユーリエ。
うーん……もっと明るく朗らかな感じの子な印象。
でもまあ名前だけだしいいかな、うん。
ちなみに結婚年数は3(3x2)
[>>418返ってきたのは肯定はなく否定の言葉。
けれど僕は、それに驚くでも眉を顰めるでも無く。]
そうか。
[とだけ、短く返した。
彼女が何を思い、何を考えたかなんて分からないし、興味もない。
先程の僕の言葉だって、特に理由があって忠告した訳じゃない。
ただなんとなく、そんな気分になっただけだ。]
じゃあ、僕はもう失礼するよ。
君もやることがないならさっさと帰るといい。
[そう言って、立ち去ろうとして。
少し離れた所で、ぴたりと立ち止まり。]
……ああ、言い忘れていたね。
僕は監査局長のシュナウザーだ。
君が僕の"監査"の対象にならないような、
清廉潔白な士であることを願っているよ。
[それだけを言い残すと、
今度こそ彼女の前から去っていくのだった。
――最後の言葉もまた、嫌味のような言い方だったけれど。
それは僕にしては珍しく、偽りのない本心から放った言葉。
彼女が有象無象の俗物や、あるいは僕のように、
不正に手を染める人間にならなければ良いのだけど、と。]*
―― 自宅 ――
[その後、家へと帰ってくれば。]
やあ、ただいま。
遅くなってしまってすまないね、ユーリエ。
[出迎えてくれた妻の名を呼んで軽く抱擁する。
結婚してから早くも三年が経つが、出掛ける際のキスと帰宅の際のハグを僕は一度たりとも欠かしたことは無かった。]
子供たちはもう寝てしまったのかな。
……それじゃあ久方ぶりに、君と二人で夫婦水入らずといこうか。
[家族以外には見せないような笑顔を浮かべて。
そうして僕の平和な夜は更けていく。
この僅か一月後に、ラメールを未曾有の動乱が襲うなんて――今の僕には知る由もないのだった。]*
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