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8人目、棟梁 ゲオルグ が参加しました。
棟梁 ゲオルグは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
─ スミ湖畔・材木集積所 ─
これとこれとこれだな。
おっしゃぁ。
とっとと運べ―。
[びりびりと湖畔を揺らして大声が響く。
周囲の大工たちは聞きなれた様子で『へーい』と答え、水から揚げた丸太を荷駄に積んでいくが、材木商の男は半分がた耳を塞ぎながら愛想笑いしていた。]
さすがに良い木だった。
んじゃまた、次もよろしくな。
[そんな材木商の手を引き剥がすようにしてがっしりと握手したこの男こそ、マイヤー工房の主、棟梁ゲオルグであった。
聖地セーファの東の跳ね橋修繕用にと、みずから材木を買い付けに来たところである。
跳ね橋も壊れているわけではないが、何しろ歴史のあるものだ。
時折具合を見てやらないと万が一ということもある。]
積んだか?
んじゃ、帰るぞー。
[再び湖面を震わす大声が響き渡ったところで、抗議するような水音がした。]
なんだ?
[振りかえれば水面からなにか得体の知れないものが何体もざばざばとわき出してくる。
なんとも言い難い見た目だが、例えるならばヒレのない魚に蛙の手足を生やして、藻や草を被せたようなもの、だろうか。
少なくとも、尋常な生物ではないのは一目でわかった。]
なんだ、こいつら。
[豪胆で鳴らしたゲオルグもさすがにたじろいだ横で、材木商が悲鳴を上げる。
『ひぃっ!こいつがうわさの化け物っ!』
叫ぶが早いが、脱兎の勢いで走り去っていく。]
ああん?噂の化け物だあ?
『最近、スミ湖で見たってやつがいましたよ!』
『襲われた奴がいるとか!』
『なんか変な奴が化け物と話してるのを見たとかいうのも!』
[眉をぐいいと持ち上げる棟梁の後ろで弟子たちがわいわいと騒ぐ。
ぺたぺたと湖畔にあがってくる化け物を前にして、棟梁はほほうと唸った。]
1人か2人、走ってって町と聖殿さんに知らせてこい。
おまえ、そこの丸太一本寄越せ。
[積んだ荷の中から振り回せるほどの丸太を一本受け取ると、両腕で構えて地面を踏みしめる。]
残りはこの気色悪い奴らをとっちめるぞ。
[次々と顔を出す化け物相手に、豪快に笑った。**]
おおう。
そこにいるのはもしやチャールズの旦那かあ?
[目ざとく見つけて立ち止まり、担いでいた丸太を地面に突いて手を振る。
ゲオルグの背丈以上あった丸太は、今は何かで抉られたように先端が折れていた。
弟子たちも一緒に立ち止まって息を整えていたが、荷車を曳く馬はなにかに怯えているようで御者の指示も聞かずに町へと走っていく。
馬車が行ってしまうのを気にも留めず、チャールズが近づいて来るのを待った。]
― キサン→スミ湖の途上 ―
[近づいてきたチャールズに無事を問われて、ぐいと力こぶを作ってみせる。]
はは。無事も無事。ぴんぴんしてらあ。
おお、ちゃんと報せは届いたか。
なあに、逃げてきたんじゃないや。戦略的撤退ってえやつよ。
[ぐははと胸を張って見せる体には擦り傷打ち身の類はいくつもあったが、たしかに深刻な傷は見当たらない。]
どんな奴かってえ言われてもなあ…
[なんて言えばいいのか、という顔をしたあと、駆けてきた方角を振りかえる。]
見た方が早ええな。
ほら、あれだ。
[湖へと続く道の向こうから、得体の知れない大きなものが近づいて来ていた。]
小っちゃい奴らはぶん殴ってやったんだけどな。
あいつはちとな。
どうにも魚臭えから水から離れりゃどうにかと思ったんだがよー。
[追ってきていたのは、無表情ながら明らかにひいこら言っていそうな魚蛙の化け物数匹と、それよりひとまわり大きな同種の化け物だ。
大柄なゲオルグよりさらに頭一つ分は大きいその化け物は、手に魚の背骨を剣にしたような武器までもっていた。
見た目は脆そうだが、丸太を折るほどの威力はある。]
あいつを町まで連れてくわけにはいかねえよなあ。
旦那、ひとつ頼まれてくれるかい?
[改めて丸太を構えなおしながら、当然やるだろ?の顔でチャールズに目配せした。]
― キサン→スミ湖の途上 ―
剣はな、どうもこう頼りなくていかん。
おおっと、旦那の腕を信用してないわけじゃねえよ?
けどもっとこう重くて太くてずしっとしてる方が性に合ってよう。
[昔、剣士隊見習いだったという弟子がチャールズの長剣を借り受けて、『こいつはすげぇ』と試し振りしているのを横目に、生粋の大工はそんなことを言う。]
もう避難始まってるのか。
そいつあ手際がいいな。
おっしゃあ。おまえら、とっととこいつらぶちのめすぞ!
[まだ残っていた弟子たち3人ほどに気合を入れ、チャールズと肩を並べて化け物たちに仕掛けていく。
チャールズが繰り出す戦槌の音に愉快愉快と笑った。
自分よりも一回りも年上だが、チャールズの腕っぷしの良さは良く知っている。
酒場での大立ち回りに、さて巻き込んだのだったかどうだったか。]
ちまいのは弟子連中に任せて、でかぶつをどうにかしてやろうぜ、旦那。
あんときのあれでよ。
[目配せ一つ。にやりと笑う。
酒場で酔って大暴れしていた巨漢相手に、あの時は酒瓶だったが]
いっくぜー。
[化け物が振り回す骨剣を掻い潜り、化け物の脛らしきところめがけて丸太をスイングする。
タフな化け物は倒れはしなかったが、よろめく程度はした]
旦那ぁ。
[今だと視線を向ける。]
― キサン→スミ湖の途上 ―
[チャールズの力の籠った、それでいて流れるような動きはいつ見ても心地いい。
得物の重量と速度とバランスを利用した一撃は、楔を一つ打って大木を真っ二つに裂くような見事さだ。
けれども化け物もさるもの。
チャールズの二撃目を骨の剣が受け止める。
酒場の友が押されるのを、黙って見ているつもりはない。]
おうおうおう。こっちも忘れてもらっちゃあ困るな。
[化け物の足を叩いた丸太をぶうんと大きく回し、勢いをつけて真横から叩き付ける。
チャールズへの追撃に気を取られた化け物の横面に丸太の端がぶち当たり、なかなかに良い音を立てた。
**]
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