情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
9人目、旅の作家 ローレル が参加しました。
旅の作家 ローレルは、おまかせ を希望しました(他の人には見えません)。
― 広間 ―
あー、もう最悪ぅ。
[帰郷するのは一年に一度と決めて、もう三年。結局タイミングが合わず、その間一度も村には戻れなかった。
やっと時間が出来、久しぶりの故郷だ……と思った矢先に、これだ。
村に入ってすぐ、両親に会う暇もなくこの屋敷に閉じ込められた]
人狼なんてさぁ、本の世界じゃ無いんだから……。
[ぼやきながら、椅子に座って天井を見上げる]**
ほんと、こっちは母さんのシチューを楽しみにして来たっていうのにさぁ。
[気付けば、昔なじみが隣に来ていた。無愛想な様子でも、なんだかんだ言って私を気遣ってくれる辺り、昔と変わらない]
んー、いやまだ、決めて無いけど。人狼が本当に居るのなら、誰かと一緒の部屋がいいなぁ。
[そう言って、二人の顔を少しの間見つめてから]
なんてね、まあ適当に決めとく。ここなら部屋なんて腐るほどあるし。
[笑いかけて、そう続けた]
じゃ、また後でねー。
[自分も早く部屋を決めなければ、いや先に妹に会っておこうか。なんて考えながら広間を出るオットーにそう声をかけると、先程まで彼と話していた男、ジェフロイに向き直る]
久しぶり。たまたまこの村に居る時にこんなことがあるなんて、あなたも不運ね。
[同年代でも、アルビンによく懐いていたオットーやコンスタンツェと違い、私は彼の所にいることが多かった。昔から乱暴者として名の通っていた彼だったが、流石に歳の離れた私にそう言った面を見せることはなく、むしろ村の外の話などを聞かせてくれたものだ。私が村を出ようと思ったきっかけでもある]
んー、まあ、確かに危ない事も多いけど。
[そう、女の一人旅には危険が多い。勿論、あまりにも危ない所は通らないようにしたり用心棒を雇ったりするけれど、絶対に安全なことはない。だから、大抵はなにか護身の方法を備えているものだ。
私の場合、そういう事を一切考えずに村を飛び出してしまった。奇跡的に辿り着く事が出来た街の宿屋では酷く怒られ、そこでナイフを使った護身術を習ったことで、今でもこうして旅を続ける事が出来ている]
でも、自分の知らなかった事が沢山知れて、楽しいよ。この武器とかも、そうかな。
[荷物から、細長い鉄の塊を取り出す。作られた所ではマスケットと呼ばれているそうだが、その名前は忘れてしまっていた]
凄いんだよ、これ。筒の先にこの黒い粉と玉を詰めて、こっちの縄に火を付けてここを引くと、凄い速さで玉が飛び出して。ちょっとした鎧なら突き抜けちゃうんだから。
[まるで使った事があるかのように話しているが、実際にこれを使った事はない。準備に時間がかかり過ぎるうえ、中途半端な賊(これは全ての賊の中でも大部分を占めるのだが)に見せると、噂を聞いた事があるのか、すぐに逃げ出してしまうのだ]
お久しぶりです、ディルドレさん。
[軍服を着た"彼女"のことはよく覚えている。オットーやコンスタンツェ、それに時々私も、悪戯をしては酷く叱られたものだ。小さい頃はとても恐ろしい存在だったけれど、今となってはいい思い出の一つになっている]
はい、なんとか元気でやってます。早く会いに行きたかったんですが、村に着いた途端にこんな所に入れられて、最悪ですよ、もう。
早く騒動が終わるといいんですけど。
[ここ最近の被害の事は、村長に話を聞いただけなので現実感がなく。村の人間からすると、その態度はとても呑気なものに見えたかもしれない]**
もう、私だってもう旅人の端くれなんだから、そのくらい分かってるよ。
[万一の時には躊躇するな、というジェフロイの言葉には、頬を膨らませて答える。
ただ、分かっているとは言っても。自分が本当にそれを出来る、という確信を抱けたことはない]
……うん、わかってると、思う。
えへへ、久しぶり、コンスタンツェ。
[割り込むようにして話しかけて来た大きな声に振り向くと、それは妹のコンスタンツェだった。
旅に出る前はあまり饒舌な方でなかった妹が発する言葉の嵐に、少し面食らう]
いや、別に呼び戻された訳じゃなくて。たまたま村に戻って来ただけなんだけど、そしたらこんなことになってたから、びっくりしたよ。
手紙は書こうと思ってたんだけど、時間が無くて。
[もしかすると、この三年で一番変わったのは妹かもしれない。昔は、本当に口数が少なくて……そのくせ、オットーと一緒に気が付いたら何処かに行ってしまっていたり、悪戯したりで、両親も私もハラハラさせられることが多かったのだ。
旅に出る一年ほど前から、私の影響か、よく本を読むようになっていたから、もしかするとその結果なのかもしれない]
うん、心配してるだろうから早く二人に会いたかったんだけどね。二人とも、元気?
[それでも。三年ぶりの肉親との再会に、私の顔は自然と綻んでいた]
だって、急に帰ったほうが面白いじゃない。あなたも驚くかなーって。
[本当は、連絡するのを忘れていただけなのだが。それを正直に言うとまた怒られそうだったので、こういうことにしておく。
ううん、あんまり意味無いかも?]
いやいや、本当に忙しくて手紙なんて書く暇無いんだって。
あなたも一回旅をすれば分かるわ。
[これは本当だ。"本"なんてものは、確かに書く人があまり居ないから高値で売れるけれど、結局の所それ一冊を売ってしまったらそれっきり。それだけじゃ生活なんて出来ないから、他のことで生計を立てる必要がある。
私の場合、街と街の間の地形や風景、国の様子などをまとめておいて、それと引き換えに国や街の有力者に援助してもらっていた。本業の物語作りとは別にそういうこともしなくてはならなかったので、本当に暇が無かったのだ]
なになに、お姉ちゃんと似てるのがそんなに嫌なの?
寂しいなぁー。
[妹が、ジェフロイの言葉を強い口調で否定するものだから。ついそんなふうにからかってしまう]
三年の間にコンスタンツェに何が……しくしく。
[目に手をあてて、泣き真似なんてしてみたりして]
"今の所"、ね。ふふ。
[ああ、やっぱり私達はよく似た姉妹だ。妹の言葉を聞いて、思う。
ジェフロイから村の外の話を聞いていて、私は旅に出るつもりは無いのか、と聞かれたことがある。その時私は、"今の所、そのつもりはない"とそう答えたのだ。
その二年後、私は見事に村を出ていた]
大丈夫、あなたももう少ししたら旅に出るわ、きっと。
[でもそうしたら、親だけを残すことになってしまう。そうしたら、その時は村に戻っていてあげよう]
そうだ、もう部屋って決めた?
[流石に、オットーやフランツの言葉通りに同じ部屋に泊まろうなどとは思っていない。狭いし。
大体、冗談のつもりで言ったのにあんなに真面目に返されるなんて。
……よく考えたら、あの二人に冗談を言った私が悪かったかも]**
まあまあ、見てなさい。あなたが旅に出るのは、そうね……三年後くらいかしら。
[なんて、特になんの根拠があるわけでもないけれど。不思議と、あながち外れた年でも無いのかな、とか思ったりする]
まだ決めてないのね。いやまあ、ただ聞いてみただけ。
じゃあ、私もいい加減荷物を置いてこようかな。
[村に帰ってすぐのことで、私はまだ旅荷物のままだ。歩きに耐えられるよう出来るだけ小さくしてあるとはいえ、結構な大きさの荷物だし、早いところ何処かに置いて来たい]
そうそう、人狼が怖かったらお姉ちゃんの部屋に来てもいいんだよ?
[去り際、悪戯っぽい笑顔でそう言うことも忘れずに。そのまま二階へと向かった]
[二階に上がれば、廊下の両側に扉が並んでいる。真ん中あたりの適当な一室が開いていたので部屋はそこに決めた]
ふう。
本当に帰って来たんだなあ、わたし。
[窓から見える村の景色に、ついついそんな言葉が口に出る。
思えば、長いようであっという間の三年間だった。自分が凄く変わった気もするし、何も変わってないような感じもする。
ただ一つ、旅をして分かったことがあるとすれば、それは]
ああ、故郷っていいなあ。
[昔馴染みや、妹と話していた時も。そんな素振りは見せないようにしていたが、本当は懐かしくて泣きそうだった。たった三年会っていなかっただけでも、とても遠い存在になってしまっていたから]
それにしても、早く母さんと父さんに会いたい。
[三年だけでもこうなのだ。それより長いアルビンや、ディルドレ
はどんな気分だったんだろうか、なんて考えながら、しばらく村をぼんやりと眺めていた]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新