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[術を放つと同時、走り出す。
自分の腕力で、カレルを引き離して取り戻せるとは思っていない。
けれど、僅かでも触れる事ができれば。
そうすれば、活路が見出せるから、と]
……カレル様っ!
[名を呼びながら伸ばすのは、自らの紅に染まった右の手。**]
/*
深夜に書いた文章を読み返すと、居た堪れなくなる事ってありませんか。
俺はしょっちゅうあります(
……落ちる直前の辺り、意識回ってなさすぎねーか、これ。
仕方ないけど、金曜〜土曜の夜は残念化が激しいわ……。
……カレ、ル、さま。
ここは、僕、が。
ベネディクト君と……一緒、に。
[掠れた声で告げつつ、魔力を集中する。
今の一撃で、触媒は得られている。
魔法陣を描けない分、精度は自分でも保証できないが、とにかく、二人を逃がさなくては、と。
その一念で、呪を紡いだ]
全ての礎、我が根源に応じよ……。
[静止の声はあったか。
あったとしても、止める気はなく]
光、繋ぐ、途、を。
[途切れがちの詠唱に応じて、血色の光が舞い散る。
不安定な転移の魔術が揺らめき、その煌きがカレルと、ベネディクトの周囲をふわりと舞った]
……拓け!
[叫ぶような詠唱と共に、不安定な力が発動する。
制御の覚束ない魔力の波動がどれほどの効果を発揮するのか。
わからぬけれど──今は、それに賭けて。
術が発動し、二人の姿が見えなくなると、は、と大きく息を吐いた。*]
……あんまり、無茶しては。
……ダメ、です、よ?
[転移の術が発動する間際、小さく小さく紡ぐ。
それが、
/*
うむ。
まあ、とっくに中身は割れてるだろう、と思いつつ。
完全な中バレワードだよなぁ、
[どっかの瞬槍さんが散々使いましたからねぇ]
……こんな、状態で、逃げられる、とは、思えない、から、じゃ。
……答えに、なりませんか、ね。
[仮に共に逃げたとしても、この傷では足手まといになる。
何より、自身が転移魔術に耐えられるかも怪しい状態だった]
それ、に。
まだ……捜さないと、ならない、もの……ある、し……。
[未だ消息の知れぬ父と姉。
城門に掲げられた王の首を見れば、近く仕えていた父の生存は望めぬだろうけれど。
それでも、という想いはまだ、残っていた]
[掠れた声で話す間も、身の内に抱えた闇は寄らぎ、ゆれる。
それまで楔であった光と離れたが故にか、それが強くなるのは抑えられそうになく]
(……まずい、かなぁ……)
[けれど、それを押し止める術もない青年の思考は、どこか他人事めいてもいた]
……残り、たい?
[掠れた声で、繰り返す。
傍らに膝をついた存在に応じるように、血がざわめく]
……僕…………は。
[額に向けて伸びる指先。
触れさせては、触れられたら、と。
そんな危機感が手を上げさせて──途中で、止まった。
直接触れたなら、内にあるものは容易く気取られるだろう。
魔と盟交わした名残。
永き時を経て現れた、血脈に眠る深き闇は]
― 王都陥落数日後・城門前 ―
……のぞ……み?
[零れ落ちるのは、掠れた呟き。
額に触れた指が滑り、それと共に落ちる言の葉が闇を揺らがせる]
ぼく……の……望み……は。
[光の傍で、光を支えて。
浮かんだそれは、一瞬で飲まれて、消える。
それは望みじゃない、与えられた務めだと。
そんな声がどこからか、響いて、消えて]
……ぼく……は。
[ずっと、抑えられいてた闇。
強き力に惹かれて目覚めたそれは、楔となる光と離れ、そして、目覚めの契機となるものに近く触れて。
押し止める事など──既に、できぬまでに高まっていたから]
……いきたい。
誰かに、何かに、押し込められる事なく。
……光を、畏れる事、なく。
あるがままに……いき、たい。
[ぽつり、ぽつりと零れ落ちるのは、無意識化に押し込めていたもの]
……そうする事で。
望むように、あれるなら……。
[放たれた言葉の矢は、不安定な意識に突き立ち。
僅かに残っていた、光を慕う想いを貫いて]
……ぼく、は…………ぼくの、あるべき、側を……。
[緩く、手が上がる。
内なる闇に突き動かされたのか、それとも、自身の意思か。
その時は、はきとはわからなかった、けれど]
……認め、ます……。
[そう、紡いだのは間違いなく、自分自身の意思]
/*
…………。
踏まれ所が的確過ぎて、しばし不審生物化したなど。
[返信悩んだというよりも、不審化のせいで中々文章が打てんかったいきものの数→1]
……仰せの、ままに、御主。
[そう、と紡がれるのは、受け入れる言の葉と]
己があるべき場所で、あるべき生き方を。
貴方の、下で、手に、します……ギィ、様。
[己が闇を認め、それに沿う宣の言霊。*]
[それから、どれだけ眠っていたのかはわからない。
引き出された闇に飲まれるが如き、深い眠り。
取り巻く闇に沈んだ意識は、別れ際の
― 闇の覚醒より数日後:王都ヘルグリューン邸 ―
[意識が戻り、身体が動かせるようになった後。
真っ先に向かったのは、自身の家だった。
己が在り方を認めつつ、けれど、まだ諦めきれていないもの──血縁の行方を辿りたくて。
けれど、どこから辿ればいいかわからないから、そこ以外に訪ねる宛はなく]
…………。
[やって来たその場所には、相変わらず人気はなく。
これは、完全に諦めて断ち切るべきか、と思った矢先──肩の毛玉が、ふるる、と身を震わせた]
……パッペル?
[どうした、と問おうとした時、庭の隅から肩に掴まるのとよく似た、けれどそちらよりも煤けた毛玉がふわころり、と転がって来た]
……リンデ!
[とっさに名を呼び、そちらに駆け寄って掬い上げる]
リンデ、お前だけ?
姉上は、どうした……!?
[問いかけに、煤けた毛玉はきゅ、と短く鳴いて。
直後、脳裏に広がったのは──あの日、毛玉が目の当たりにした光景]
……なに。
なん、だよ、これ……。
[見えたのは、魔物の強襲に対し、それまでは使う事なかった魔術を用いる父と。
自らの血を用い、術を用いるその姿を、恐ろし気に見つめる住人たち。
その場でなされていたやり取りは、届かない。
ただ、一つだけ、理解できたのは。
護るために振るった力、それを恐れた『人』が、父と姉を殺めた、という事実。
それだけ]
……は……。
[その場に生じた静寂を破ったのは、青年自身の漏らした声]
……なに、これ。
こういうのも、あり、なわけ……?
[手の中の煤けた毛玉はもう動かない。
肩の上の白が悲し気にきゅう、きゅう、となく声も、遠い]
これ……ほんと。
なん、にも……。
……護るための魔術の研究、とか。
何にも、意味なんて、ない、だろっ……!
[ヘルグリューンの家の務めは、守護。
国を、王家を、そして多くの人々を。
護るために、この地にあり続けた。
それを、その護るべきもののひとつが否定したというならば]
……そのための、力なんか。
二度と……求め、ない。
[振り絞るような声音が紡ぐのは、訣別の宣。
──微かに残っていた光を、自ら打ち砕き、闇となる、と。
それと共に、捨てたものがひとつ。
それは親しい者にのみ許していた『エディ』という自身の呼び名。**]
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