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[天寿に逆らい延命をさせたあげく、間に合わなかったという最悪の自体を思えば]
彼女の、最期を、看取って欲しいんだ。
[彼女の孫へと紡ぐ言葉に、懇願の色が乗るだろう。
焦燥に苛まれながらも、身体操作の簡易術式を思い返そうとしていたりするのだが……
“彼女の最期を看取らせたい”その想いに二心はない]
[椅子から転げ落ちそうになる>>285のを見れば、慌ててそのからだを支えるだろう。
戦闘力がない方とはいえ男は人外、彼一人を抱える腕力くらいはあるのだが――…
人外であるがゆえに伸びることないその背丈、体躯の差だけはどうしようもない。狭い空間に倒れこまれては、起こすとなっても一苦労なのだ。]
僕が何者か、か。
[連れの者に手伝ってもらい肩を貸す姿勢になりながら、彼の問いを復唱し]
誰にとってのものを聞きたいかによるかな。
認識が変われば映るものもまた変わるから。
境界なき者、平凡な気狂い、高位ならざる者、冒涜者、神の依代、――への捧げ物…それから……
[まともな呼び名がないのだが、言われている本人は特に気にすることもなく。
真っ当な存在ではない事だけはこれだけでも通じるだろう。]
[「ありがとう>>318」そう言葉をかけられたなら、何故礼を言っているのかわからないといった表情を浮かべる。
男の認識は『自分の我儘で、自分の望む最期を迎えさせたい』であり>>37、そこには自身と想い人の感情だけが存在している。
もし、彼女の孫が死んでいたのなら、死霊術を駆使してでも彼女の前に連れてこようと考えていた程、他者への意識は低いのだ。
礼を言われる筋合いなどない。少なくとも、男の脳内では。]
[疑問に思ってみたものの、今はその意識を追うだけ時間の無駄と判断し]
そんなことより、歩けるようになったかい?
[彼女の孫に、彼女の元へ向かうよう急かすだろう]
[足を進め頷く姿>>337を見れば、浅く安堵の息を吐き、彼が馬車から降りるのを助けるように動くだろう。
馬車の中では気にならなかったのだが、地面に足をつけたなら……普通に肩を貸すには背丈が足りない事に気づくだろう。腕の下に潜りこむような体勢で、彼が男の肩に重心を置けるようにした。]
― “彼女”の家 ―
[そして姿を消して扉を開けたなら、突然開いた扉に首を傾げる彼女の義娘を尻目に、まっすぐに彼女の前まで向かおうとした。
肩を貸す相手が声をあげようとしたり、触れようとする素振りがあるのなら、極力止めようとするのだが……
彼の反応は如何様のものであったのか。
彼の言葉を制するのに、腕の下に潜るような配置から、口まで手が届くかだけが心配である]
― “彼女”の部屋 ―
[彼女の孫が彼女の義娘と話そうとした時は焦ったが、その後は黙したままなので、何を思うかは気に留めずに先を急ぐ。
やがて、彼女の部屋へと着けば、去った時より呼気が浅くなってしまった想い人へと声をかけ――…]
ごめん、遅くなった。
約束通り連れてきたよ。今、皆を呼ぶから少しだけ待ってて。
[間に合ったという事への喜びを浮かべながら、壁にかかった振り子時計を慣れた手付きで操作した。
その間は連れてきた彼が、彼女に何を語ろうと、それを阻むことはなく]
[男が時計に施すは、おかしな時間に時計がなれば何事かと集まるだろうという企み。
彼女の小さい孫にとっては、眠りの妨げになるだろうけれど、彼女の最期にはかえられない。
男が時計を元の場所に戻してまもなく、見当違いの時を告げる12度の鐘の音がなる。
足音が近づくのに気がつけば、連れてきた彼には、人差し指を自身の唇に当てることで静かにするようにと伝えるだろう。]
[そして、最初に男が望んだ通り>>37、彼女の灯火が消えるのを見届ければ、用は終わったと言わんばかりに、連れてきた彼女の孫を伴って、その場を去ろうとするだろう。
――すんなり戻れればの話だが。]
― “彼女”の部屋 ―
……え?
[先程まで沈黙を保っていた連れが、帰る時になって声を上げた>>405。
彼女に縋る者の心情を考慮しなかった男は、思考を疑問符で埋め尽くされてしまい―…
結果、“透明化の術を張る”という意識を切らし、二人揃って、彼女の家族の前に姿を現してしまった]
――っ!!
[そしてすぐさま催眠の魔法を施行し、周りの人間達を眠らせた。
雑役女中が眠りにつく際に、水差しを取り落としかけたが、それもしっかり掴みつつ]
[水差しを近くの机へと置き、縋る男に向き直る。
言いたいことがある。言いたいことがたくさんある。
言いたいことのうち殆どを、言葉にまとめられそうにないのだが、言いたいことがたくさんある。
しかし、言葉に出す事はしないよう注意して。声に出さぬようただ一言の問いを練った。]
[相手に紡ぐは声なき声。
彼にとっては、口論になってしまったら、それがこの家だけでなく近隣に聞こえてしまったら、記憶の操作をする対象が増えてしまうが故の配慮なのだが……
相手が目覚めたばかりであることが抜け落ちてしまっているあたり、平常心はどこかへ行ってしまっているのかもしれない]
――何故?
[目の前の青年の首を削ぎ落としてしまいたい程の怒りを抑えて紡ぐ声は、酷く冷たく感じられるかもしれない。
相手が肉声で話している事など、気づく余裕などありはせず。
ただ、自身が彼女に抱いていた感情を否定されたという事だけが、今の男の思考を埋めている。]
お前には、彼女が不幸な死を遂げたように見えるのか?
[男にとっては“彼女が幸せに生き、幸せに逝けた”それが全てなのである。相手の抱く喪失感なぞ考慮にいれるわけもなく。
彼女の血縁者という意識よりも敵対心が勝ったのか、呼び方さえもかわっている]
――僕が言われたのは少し違う。
[想い人との思い出を語る姿>>428に、気勢を削がれてしまった為、その声は落ち着いたものへと置き換わる。
懐かしさを覚える言葉を聞いてしまえば、その思い出を噛みしめるように反芻する。
が、締めの言葉は次のようなものだった]
教える気はないけどね。
[“あなたが好きになれない人を、私が好きになれると思う? 人を好きだと言えるあなたは素敵だと思うけど、あなたが私を好きなくらい、あなたはあなたを好きになるべきだわ”
――なんて、彼女に振られた際の言葉をどうして彼女の…いや、恋敵の孫に聞かせてやらねばならないのかと。]
[そして、先ほどの彼の抗議の言葉は肉声>>420ではなかったか?と、記憶を巡るよりも早く、外に魔法が発動する気配を感じとり、大体の状況を察する事になった]
……彼らには少し眠って貰っただけ!
僕ら本当はここに居ちゃいけないんだ!
それよりも今は逃げなきゃ、ここから、急いで!
[簡単な説明だけをして、彼の手を引き、急いで外へと。
そこには男が想像したとおり、夜明け前に聞こえてた喧嘩の声に釣られたであろう野次馬が、馬車に置き去りにしていた者によって、深い眠りについていた。]
ごめん!!あとは僕が記憶操作しとくから!彼を朝が来る前に!
[男は、物言いたげにこちらを見る相手に、彼を預け城館へ向かうように急かすだろう。
そして、彼らが走りだるのを見送れば……]
[自身の犯した後先を考えぬの行動と年甲斐もない口論に、頭を抱えたくなるのだが……
自身の起こしたことへの後始末にかけられる時間を思えば、自己嫌悪に浸る時間もなく。
自身が夜が明けても平気な身であるとはいえ、太陽が昇ればそこは人ならざる者のみの時間ではない。人が起き出せば起きだす程、後片付けが増えていく。
故に、すべてが終わるまでは不眠不休且つ魔力の補充もできそうになく――…]
― 城館へ向かう途中 ―
[夜が明けてすぐ、男は自身の犯した事への後始末を終えたのだが……
城館に向かう途中、バランの夜にて指揮した一団に捕まった。
昨夜の作戦行動に関する報告書を作らねばならない事を、すっかり忘れてしまっていたのだ。
特に死霊術封じに関しては、宗教儀式に則ったものを扱っているのだ。
それがどういったものなのか、まとめておかねば、事後処理をする者達に類が及ばないとも限らない。
魔力の補充はできたものの、休息のないまま、日が高くなる頃まで働くことになってしまった]
― 城館・ホール ―
[顔には疲労の色が張り付いて、今すぐベッドに飛び込みたい衝動に駆られるのだが、後回しにできぬ仕事であるが故。
眠気を堪えて、事後処理を担当するであろう猟犬>>393の元へ行き、先にまとめた物>>443を渡す。
内容はといえば、作戦区域、術式に扱った香油の種類、該当する宗派、それを扱う際に助力を求める事が可能な血族のリストアップ等。
ある意味これも自分の行動の後始末である。]
― 城館・自室 ―
[やるべき事が一段落した後は、ふらふらとおぼつかない足取りで、自分に割り当てられた部屋へ向かう。
扉を閉め気力の糸が切れてしまえば、倒れ伏すのは硬く冷たい床の上、だが男には起き上がる気力さえも残っていない。
石の床に抱かれてから、寝息をたてはじめるまで、それほど長くはかからなかった**]
― ホール・深い眠りに着く>>445より前 ―
[疲労困憊といった様子でホールに続く扉を開けば、小間使いらの視線が気になった]
(またどっかの下級が、僕の仕事場に無断で入り込んで自滅でもしたのかな…)
[……が、よくある事と思うに至り、急ぎで片付けることでもないと判断する。
連れてきた青年と猟犬のやりとり>>507>>509を知らぬ男には“金髪の小さいの”という意識で視られてる事など気づくわけもなく。
猟犬へと書類を渡し>>444、その反応>>454から、問題がない事を察知したなら、ふらふらと部屋へと向かうだろう。]
― 自室 ―
[あれからどれほど時間が経ったのだろう、もしかしたら少しも時間が経ってないのかもしれないが……
太陽が顔を出したままなのか、星が舞う時間なのか、床に身を預け微睡む男からは時計の針を伺うことができず。]
……ね…むぃ…
[またそのまま意識を手放しかけながらも、ゆったりとした速度で思考を巡らせる。]
[思考の海に身を委ねていた男>>549の耳に、扉を軽くノックする音が飛び込んだ。
頭の中を覆うぼんやりとした靄を、取り払うように首を振ったなら、男は起き上がり扉へと。]
バランの、血子の、親、ね…
[要望も考慮するとのことを聞き、眠い頭で反芻すれば、彼女の孫に彼女の話を聞かせようとしていた事を思い出したのだが――…
あいにくと、名前は知らないし、聞いてもいなかった。]
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