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意識しちゃったら、もっと可愛く見えるし、
撫でたいとかぎゅーって抱きしめたいとか。
ずっと側にいて心配とかされたら幸せだろうなぁとか、色々思うんだ。
でも、俺もうすぐ卒業だし、
大体……その男同士だし。
こんなこと考えるのおかしいんじゃないか、とも思う。
――あれだけのギャラリーの前で、
転ぶなんて無様な真似できるか!馬鹿!
[実際には足を掛けられるのを避けたのではなく、
たまたま跳んだために避けられただけだが
そういう運も勝負のうちだと思っているので、気にしていなかった]
わかったって。
部屋戻ったらちゃんと湿布貼るって。
全くどいつもこいつも……。
[ぶつくさ言うものの、ディークも心配はしてくれてるのだろうと
心の中でこっそり感謝するだけに留めて]
お前も安静にしてろよ。
それ、あいつだろ?
[どこから漏れたのか、ジェフロイとディークの打ち合いが
あったことだけは知っていたようだ。
知っていても試合に手を抜くことはないので、
大した事ではないのだが。
明らかに今日以前についた痣のあるディークに向けて
言葉を投げた]
― 翌日早朝・自室 ―
[まだ朝には少し早い時間。
春を告げる鳥の声に起こされて目覚める。
同室者は目覚めていただろうか。
ちらりとそちらに視線を向けて微笑んで。
窓の近くによって少しだけ窓をあけると、
さわやかな春風が流れ込んでくる]
長かったような、短かったような……。
[最後の試験を終え、あとは結果発表を待つ身。
8年前入学した頃もこんな季節だった]
― 回想・入学したての頃―
[それは初めての実技の授業だったか。
学科はともかく、実技についてはそこそこ自信があったのか、
初めての授業をとても楽しみにしていた。
柔軟体操の後、模擬刀の取り扱いについて説明をうけ]
『じゃ、真っ先に素振りをしてみたい奴、手をあげろ!』
[そう教官に言われて真っ先に声と手をあげた、はずだった]
『はい!』
[驚いて声の持ち主に視線を転じた。
今となってはその声は同時だったのか、相手が先だったのかはわからず。
だが、教官に当てられて一番に刀を手にした男の名はよく覚えている]
――ジェフロイ・スコーピオン
[それが彼の名だった]
― 翌日早朝・自室 ―
[意識が現実に帰ってくると、ため息をつく]
こんな爽やかな朝に嫌なことを思い出してしまった。
[気分が悪くなったので、窓を閉めてベッドに潜り込んで、
本来の起床時間までもう一眠りした]
― 試験夜・寮自室 ―
[リエヴルが好意をもってくれているんだろうとは思っていた。
だが、それはあくまでも先輩あるいは友人としてであり、
このような告白を聞かされたら、それも失ってしまうのだろう。
リエヴルに向き合った結果がそれなら、
それで構わないと思っていた]
[だから、今。
彼がこうして膝に突っ伏しているというのは、
全くの予想外であり。
手を伸ばして突っ伏したリエヴルの頭をそっと撫でながら]
今のお前が可愛くないなら、
一体何がこの世で可愛いんだ……。
可愛すぎて、困る、くらいだ。
でも、お前がもし可愛いって言われるのが、
意味がわからなかったり、困ったりするなら言うの止める。
お前のわからない言葉で伝えて、
伝わらないの勿体ないから。
その代わり、これからは好きだって言う。
― 回想・入学したての頃 ―
[ジェフロイとかいう少年が初めて素振りをする時、
自分は失敗すればいいのに、とかセコいことを思っていた覚えがある。
一番をとられたことがよほど癪だったのだ。
前に立った少年は自分の目からは緊張しているようにも見えていた]
[一振りごとにぶんと、空気を切る音がなる
自分はといえば、練武場に座りながら目を丸くしてそれを見ていた。
剣の扱い方なんて碌に知らなかったのに、
こいつの剣を振りかた、気合入っててすげぇ格好いいと思って。
それが余計に癪に触る。
心の好敵手リスト第一号の誕生だった]
ああ……
[試合で取った行動はシロウにも忠告されたばかりだったから、
ばかというのは認めざるを得なかった]
俺も今にして思えば、そうすればよかったと思うけどさ。
どうしてだろうな。
跳びたくて、止まらなかったんだ。
……や、ちょっと。
リエヴルと組んでお前らと戦うってことに、
舞い上がってたかも、しれない。
[口にした言葉が相当恥ずかしかったのか、赤面した]
そうか……。
勝ったんならいい。
ちゃんと手当しとけよ。
[恥ずかしさにのたうち回っていて、半分上の空だったが、
勝った負けたにはさすがに敏感に反応してから、
自分を棚にあげて、勝利を労った]
― 深夜〜翌日:自室にて ――
[リエヴルが机に向かって、ペンを手に何かを書きつけている。
ちらりと見るとあのノートだ、とピンときて、
何を書いているのか見せてもらった]
お前、本当に凄いよな……。
[あの長くはない時間の間で能力を読み取り、
更にこうして纏められる能力は、最上級生を含めても
校内一なのではと思っている]
アドヴァイスっても、お前らの戦いを
見てる余裕もなかったからな。
[ディークに突かれた腹を手で抑える。
散々言われたからか、さすがに湿布は貼っていた]
……基礎体力の強化は捨てるのか?
[自身が体力をしっかりと付けてきたからか、
そこは気になった]
そっか……。
[つくづく自分はリエヴルに甘いなぁと思う。
こうしてしょんぼりした表情を見せられると、
なんとかしてやりたいと思ってしまう]
お前がそういうなら、見せてやりたいけど。
昨日実技試験終わったばっかで、相手いるかなぁ。
[例年、実技試験が終わった後は
怪我人続出で、練武場は閑散としていることが多かった]
……まあ、普通の感覚なら
命令に従えばいいってもんでもないけれど、
軍人ってのはそういうもんだし、
それになりに来てるわけだからな、俺達。
それに困ったことにその命令は筋が通ってるからな。
と、俺は思うんだが、お前はどう思う?
[そうリエヴルに問いかけた]
[しゅんと項垂れたリエヴルをみてうんうんと頷く。
ついうっかり撫でそうになるが、
さすがに真面目な話の時は控えようと自分の気持を抑えた]
いや、ずるいのはお前だろ……。
[計算されたようなタイミングで拗ねるんだから堪らない。
でも天然なんだろうな]
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