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[ 少し体勢が良くなかったからか、青い剣に跳ね飛ばされた焔は、四散してから少しの間、空中に留まってから水の中に消えていった ]
やはり、あれが気の澱みの元、か。
[ 前を往くトールの長柄刀の冴えは、万全で、むしろこれまで以上にその刃は生き生きと揮われているように見える。
が、その刃の閃く先で、獣の纏う昏い焔が強く燃え上がるように見えて、一瞬、公子は眉を顰めた ]
[ トールの長身から繰り出される長柄刀の一閃、それは、心構えも無く近付いた公子には躱事も剣で受ける事も不可能な間合いで ]
くあっ!!
[ 銀の閃光を追うように走る紅の軌跡* ]
[ 氷の剣が貫いたのは、混乱に隙を見せたトールに背後から飛びかかろうとしていた焔の狼の頭...ごう、と音立てて散った焔は、トールの顔も少々は灼いたか ]
ぼーっとしていると、命を落とすぞ!貴様、戦士の気概はどこへやった?!
[ トールは、どう反応したか、まだ惑乱の中に居るようであれば、血塗れた左腕の拳を固めてごん、とその頭上に拳骨を落とす ]
俺が死ねと命じるまで、死ぬ事は許さん!
さっさと目を覚まして、勤めを果たせ!
[ 断末魔の咆哮上げて散っていくくすんだ赤を、不機嫌全開で蹴りつける ]
ふん...!
[ 狂気よりも強い怒りに支配された、公子の氷の剣は、かつて無い程に冷え冷えとした、絶対零度の凍気をもって、封印の間の熱に拮抗しようとしていた* ]
/*
あ、トール来た。すまんね、あんまり面白くない返しになって。
しかし、ほんとにくっそ可愛いな、このわんこ。
[ エアわしわし ]
ローランドにも、沢山助けられてるなー。
[ 剣から放たれた凍気は、広がる香の成分を包んで氷の粒を運ぶ暴風となって荒れ狂い、狂焔の眷属に触れれば一気に蒸発して更にローランドの香を拡げていく ]
[ ユーリエの放つ水と光、そしてコンスタンツェの光の精霊術も頭上から降り注いで、香の効果で弱った獣達は、徐々に動きが鈍っていった ]
[ 粗方の分身達が鎮まった頃、狂焔の咆哮が響き渡り>>135嵐龍とカークが、ユーリエの傍に舞い降りて、その手に何かを託すのが見えた>>137 ]
ふむ...切り札はユーリエに託されたということか。
[ 視線を移せば、狂焔の纏う焔と闇、そして狂気の波動は深く濃く、長く切り結ぶような事をすれば、先のトールのように、呑み込まれるか...下手をすれば「喰われて」しまう可能性すらある ]
確かに、ユーリエの飛び道具にしか出来ぬ事かもしれんな。
ならば...
[ 公子は氷の剣を左肩に置くように構え、振り向く事無く声を張った ]
トール!あの狼の足を止めるぞ!
[ ローランドの香と、コンスタンツェの術は、後ろからユーリエを支えるだろう。前の道を斬り開き、好機を与える役目は戦士たる二人が負うべき役目、と ]
交互にかかって、やられる前に引く、繰り返せば奴は狙いを定められん。
[ 所謂ヒット&アウェイの戦術を二人掛かりで行う、と、戦術を伝え...先に駆け出そうとして、足を止めた ]
...先に往け、トール。
[ 先陣を切るのは、お前の役目だから、と。そう命じて、笑みを浮かべた** ]
[ その間にも剣の冷気を高め、トールが身を翻して巨狼の背後へと回る動きを見せると同時に、大きく振りかぶった剣を正面に振り下ろす ]
オオォッ!
[ 横面をはり倒すような勢いでぶつけた凍気に、巨狼の頭がこちらに向けば、更に気を引くように雄叫びめいた声をあげて、その足元に向かって駆けた ]
[ 咆哮と共に、吐き出された闇が襲って来るが、その大半は、ユーリエが放った突風>>156に散らされ、ローランドの香に浄化されていく ]
破っ!
[ 闇の残滓を搔い潜り、トールが切り裂いたと同じ場所を狙って氷の刃を突き入れれば、びしりと音を立てて、焔の熱を凌駕する氷塊が、奥深くに食い込んだ ]
[ 立て続けの攻撃に、苛立つように身を捩った巨狼が、振り上げた前肢は、しかし真っすぐには公子の身に届かない。
巨狼の死角から、黒い疾風が再び襲いかかり、その動きを阻んだからだ ]
ふ...
[ 狙ったタイミングを逃さず動いたトールの姿に、思わず笑みが零れる ]
[ 巨狼がこちらに気をとられれば、トールの刃が焔を裂き、矛先がトールに向かえば、その隙に乗じて氷の刃が襲う。
いつ引き、いつ攻めるか、言葉を交わさずとも、その姿が見えずとも、互いの動きが繋がり、巨大な敵を翻弄する、その感覚に、身の奥から熱が湧く ]
うあっ!
[ 苦し紛れに振り回された焔の尾が、公子の身を弾き飛ばす ]
(龍...!?)
[ 床に叩き付けられる一瞬前、ユーリエの放った光と風纏う翠龍の一弾が、空を翔て狂焔へと襲いかかる姿が目に映り、息を呑んだ>158 ]
[ 地水火風、光闇影...七色の封が狂焔を縛り封を為し、銀の光が雪のように降り積もる。
先刻までの狂乱の熱が幻でもあったかのような静寂の中、守り人は妙に軽い調子の礼を投げて寄越す>>175 ]
ああ、大事無い。
[ 無事を問いながら近付いて来たトールには>>179軽く手を挙げて見せてから、公子は跳ね飛ばされてから座り込んでいた床から立ち上がり、剣を収めた ]
お前は...
[ 無事か?と問い返そうとして、くす、と笑いを零す ]
その傷はさっさと治療しておけ、馬鹿者。
[ 示すのは、トールが自ら切り裂いた腕の傷。
そして、コンスタンツェの問いと>>181それに対する守り人の答えに耳を傾ける>>185 ]
そも、普通の人間の一生などでは計れぬ話だな、それは。
人の世の在る限り、争いは止まず、神ならぬ人の身に「負」の心を完全に捨てる術は無い。
[ 冷たくも響く声で、そう断じてから、腕組みして目を細めた ]
神代の封を修復したからとて、一度壊れたものは、元の封と同じ強さは保てぬのではないか?
可能な限り、世の乱れを届かせぬため、この地を不可侵としたのは判る。だが、動かぬ水は腐り、動かぬ大気は澱む。
「負」の気を届かせぬだけではなく「正」の気を巡らせる事も考えてはどうだ?
[ 神代の封なれば、人の手に余る、とは、欠片も考えぬ公子は、この場に手を貸した者...そして、地の乱れに直接関わる者としての立場で、そう口にした。
先に守り人自身が、この地の停滞に不満を吐いていたのを耳にしたせいでもあったが ]
タンツェ、奉り、封じれば、と言ったのは、お前だったな...その手は使えるのではないかと、俺は思っている。
封じたものを、正しく祀り、生気と精気を巡らせることによって、封を強めることがな。
[ 地の神徒との戦いの最中、娘が口にした事>>2:80を耳に止めた時から、その方策を意識の底で考え続けていたのだと、その言葉から知れたろう ]
お前達が人の世には関われぬなら、俺がその橋渡しとなってもいい。
今すぐに結論を出せとも言わん...俺は、只人よりは長く生きる筈だからな、手を借りる気になったらそう言え。
ああ...言っておくが、この場の意味を知った以上、俺は二度と近寄らぬなどという殊勝な真似はせんからな。
[ 時折は様子を見に来る、と、それは決定事項として言い放った* ]
対か...成る程、それは無視できんな。
[ 正確な意味は知らずとも、狂焔の対となれば、強大な存在なのだろうとは予想がつくから、守り人の言葉には>>207あっさりと頷いた ]
ああ、俺の言葉はまだ思いつきに過ぎん、手を貸す気の在る者が人の世にもいると、覚えて貰えばそれだけでも構わん。
[ ここに来ることは拒まないと言われれば、今はそれで充分と頷き、コンスタンツェの要望>>210を聞けば、小さく笑った ]
お前も大概、物好きだな。
[ 連れて来てもいいのか?と、そこは守り人に水を向けたが、戦の無い世などつまらない、と言い切るトールの訪れを期待しているような相手だ、大方答えは知れていた ]
[ そして、ふと、思いついた顔で、守り人の方を振り向いた ]
ところで、お前は甘い物が好物と聞いたが、酒の方は飲めるのか?
カーク。
[ 酒のつまみに甘味というのは、少々変わっているが、土産は待つ者が好むものがいいだろう、と、尋ねて笑う。
知ることとなった真名ではなく、始めに名乗られた名を呼んで* ]
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