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― 夜半 ―
月は。……今夜は問題ないようだね。
[頃合を見計らい、音無く寝台から降りる。
人目を憚りながら慎重に廊下を抜け、安置場に立つ。
人狼が姿を現すよりも早い時刻のことだ。]
[邸内に集められてからたった数日で、
賑やかだった館は静まり返り、人が集まるのは唯一、
幾つもの遺骸が安置されているこの客間となってしまった。
彼らはかつての談笑も忘れ、物言わず横たわる。
出来ることの限られた中でも、骸は丁寧に弔われている。
静寂と闇に包まれた中で淡い月明かりを借り、
目当ての遺骸を探し出せたならば、その傍らに立った。]
ジェフロイ。
寝ているところ、悪いね。
ちょいとばかり、…血を、借りる。
[服の間から手を入れ、処置済みの銃創に爪を立てた。
傷口に手を当て、その血に触れ、
コンスタンツェにしたのと同じよう
静かに対話を行ってゆく―――魂の色を見る為に。]
……フン。
やっぱり、ねえ………
[ジェフロイは人間である、と、視えた影は語る。
自分に視ることが出来るのは一日に一人で、
ローレルとジェフロイを一度には判断出来ない。
ジェフロイは確かに人間だが、では、ローレルは何だ?
そして彼女と対峙したオットーは『何』だ?
それに、運よくか計算尽くか、惨劇の場にうまく
居合わせずに居るアルビンは―――
人狼の正体を見破れる力であれば良いのに、と
何度悔やんだろう。この力はまるきり後手に過ぎず、
多数の人間の中では一定の行動指針となるだろうが、
少数の中に残されてしまえば、まるで無意味なもの。
そも、人狼が何人居るのかも分からぬのだ。
何一つ確信を得ることが出来ないのが、歯痒い。]
…お…っと。
いけないいけない。
[踵を返そうとして、
寝台の傍でずるりと何かに滑りかけた。
慌てて声を殺し体勢を立て直す。]
……やれやれ。耄碌してきただろうかね。
[苦い響きを喉の奥に押し込みながら、
安置所に姿現した時と同様に、自室に戻る。
己が立ち去って暫くの後、“人狼”が同じ場所に立ち入るなど夢にも思わない。]
[老女は気づかなかった。
拭き取り切れなかった血溜りを靴が踏み、
点々と、安置部屋からこの自室まで
切れ切れの 赤い 足跡を残していることに。
寝入り際に聞こえた獣の声は、夢か現か。**]
/*
く、苦しいなあああ。
最早これしか思いつかなかったんだ…。
もしも喰うならその跡に便乗しようかと思ったんだけど、流石に死体は喰わないよね。うん。
オットーが出入りしてるから足跡そちらにもついちゃうんじゃという懸念もある、あるが…
時系列的にどうしても、わおーん聞いてからじゃおかしいので、前にせざるを得なかった。
ここの部分(時間前後すること)想定外だったらすまない、と言うね!
/*
不自然さを極力抑えるならオットーを狼と断じて
殺し合いする方向になるんだろうけど、
ローレルもジェフロイもオットーが狼だとなぜかピンポイントで当てちゃってるので、アタシはできればしたくない。
それに「襲撃」でなく「吊り」部分をオットー(人間面)に委ねるのは非常に気が引けるんだ、人狼モードではアルビン襲撃もあることだし。大変だろう普通に。
出来ればアルからの疑いが欲しいところだけど、どうだろうねえ。ほんと毎日苦しいなこれ。
予想外多すぎで動き悪くて申し訳ない。
― 朝 ―
[寝覚めも夢見も悪かった。
朝からどうも体調が優れぬようだ。
精神も体力も日々消耗が続き、心なし動悸が早い。
狼の遠吠えがいやに耳から離れない。
あれは夢ではなかった、と思い返したならば、
鳩尾の奥が引き絞られるように痛む。
死傷者の有無を確かめる為に重い身体をおして寝所を後にした。]
[部屋を出てふと、斜め前の書斎から話し声を耳にした。
独り言ではあるまいに、複数――つまり、
オットーとアルビンであろうと予測を付ける。
微睡みの中で捉えた遠吠えは確かに狼のものであろう。
聞こえた方向から推測するに、階段か安置室か。
自身も夜の間に一時的とはいえ足を踏み入れた場所だ。
時間が悪ければ遭遇していたのかと、今更ながらに震えが走る。
同時に確かな事実もあった。
オットーとアルビン、この二人の中に人狼は、いる。
昨日命を落としたふたりが人間であったというのであれば、
状況からより疑惑の深いのは――。
自ずと、護身用の短刀を握り締めていた。]
お……っと。
[突然開いた扉に、思わず双眸を見開く。]
……おはよう。無事でなによりだね。
二人が中に居たんで、踏み込むのに迷った。
ああ、内容はよく聞こえなかったから、安心しな。
[次の言葉に刹那迷うも、結局は本題を切り出すことに。]
ところで……
――昨夜、人狼の声を聞いたよ。
折角夜間の犠牲者は無かったんだ、
夢であれば、と思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
アタシ視点では、アンタたち二人の中に
人狼がいる…ってことになる。
[鋭い眼光が、目の前のアルビンと
その奥に居るオットーとを交互に射抜き]
そろそろ腹括って、処刑にかからないといけない。
[短刀を手に、一歩、中に踏み込もうと。*]
話し合い、で済めば良かったんだけどね。
[人狼騒動には協議と議論がつき物だが、
この邸内で話し合いはもう、今更のように思えた。
それが叶うなら、きっとここまでの惨事にはなっていない。]
……昨日、アンタにローレルの事を聞いた時に、
アンタはローレルから襲って来たって、そう答えたね。
だけど、あの娘は人間だった。
人間であるローレルがアンタを狙った、その理由は何だろう?
何か決定的なものでも掴んでいたんじゃないか、
だからこそアンタを狙ったんじゃないか、
アタシはそうも思えてならないんだ……
[じり、とオットーの方へ一歩。]
あ、あれは……!!!
……っ…ああ、確かに昨夜、安置室へ行ったよ。
死者の魂と語らうために。
[昨日、アルビンに伝え損なったこと。
努めて動揺を隠すように口にしたが、このタイミング、この状況、
多少不自然に思われかねぬことは理解している。]
血の跡は……大方、その時にドジ踏んだんだろう。
真っ暗闇の中じゃ見えるべきものも見えない。
[足跡の説明は推測を口にすることとなる。
何せ、自身にも余りに想定外の事故だったからだ。
胸を押さえる。己の心臓の音が痛い。]
最初は、人狼が一匹だと考えていたんだよ。
でも、そうじゃなかった。
コンスタンツェの死後も殺しは続いた。
だから、アンタの言うとおり、二匹居たんだ。
仮にも殺し合いをしたアンタとローレルが
仲間であるはずはない。あれは演技には見えなかった。
ローレルが人狼ならば、アンタは潔白だろう。
だから――昨日は少し期待をした、ん、だが、
昨夜の遠吠えを聞いてしまえば、もう。
その線は消してしまっていいだろうと思った。
[ローレルが限りなく人間に近いと判じたのは
消去法に過ぎぬことを認めつつも、他の可能性を精査した上での結論なのだと。
ゼロではないが、3匹以上が存在するという可能性は考えない。
経験からの理解を大きく超えた話であるし、そも、家主を入れて8人の中に3人も人狼が潜んでいたら、もっと早くにこの村は滅んでいたはずだと踏む。]
……
ジェフロイは、確かに人間のようだったよ。
[ぽつりと、付け足す。]
謝罪は必要だが――…手にかけたことじゃあ、ないねェ。
[何を思うか、今や他の生あるものの気配のない
全ての客室の扉、そして廊下の足跡を再度一瞥すると、
再び短刀を握り締め、立ちはだかるアルビンを押し退けようと]
……ッ……、 っく……!!!
[―――したところで、
締め上げるような胸の痛みに、蹲った。
浅く呼吸を繰り返すが、手に力が入らず、息が出来ない。**]
[アルビンとオットーの反応を見れば、
己の置かれた状況はすこぶる悪いのは分かる。
疑念が疑念を呼び、常よりも剣呑な声からも、
今は恐らく、疑念がこの身に向いているであろうことも。]
……は 、っ
アンタは ほんっとに、 昔、っから、
[にも関わらず、咄嗟に案ずる姿を見せるアルビンには
思わず小さな苦笑が漏れてしまう。
自身の見立てが間違いなら彼にも人狼の可能性はあった、が、
この行動を見てしまえば、矢張り縁起では有り得ない、と。
理論による裏づけがあるわけではなくとも、
感情の方が先立つのは矢張り人間だからだろうか。
優しい良い子だったのだ。
アルビンは元より、彼に懐くオットーだって、本来は。
人狼と判じなくてはならなかったコンスタンツェだって―――]
大人に、二度… …?
[意味を量りかねて、鸚鵡返す。
様々な意味に届くその言葉から、
今こうして己が彼の処刑にかかろうとしている他もう一つ、
彼の過去に何かあったのだろうと推察はされるが、
それに思い当たるものもなければ皆目見当もつかぬ。
短刀は奪われ、今やオットーの胸元にある。
ぎり、と奥歯を噛み締めた。]
………ハ。
…もう、無理そうだね。
[分からぬながら思考を巡らせようとするも、
その間も心臓は引き絞られるようだ。
呼吸が浅く速くなり、己の身体の限界くらいは分かる。]
今、アタシが出来るのは
疑わしきを弾くことだけ なんだが
……それも、 身体が追いつかん なんて
[過去、数多の人間を殺してきた人狼――それを
今度こそ排する心算で文句も言わず召集されてやったが。
結局のところ、待っていたのは苦悶と絶望の上塗り。]
[切れ切れの息のまま、ぶるぶる震える身を起こし、
最期の力でオットーに向かって地を蹴った。]
――――この ……!!!
――――
―――…
[飛び掛ることは叶うかどうか。
指先一つでも触れることが出来たにせよ出来ぬにせよ、
その次の一手が彼に向かうことはない。]
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