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装幀家 テオドール は 詐欺師 カナン に投票した
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館の外とは言ったものの、どこへ行こうか
2(4x1)
1:いい感じの小屋を発見!
2:寂れた倉庫でしっぽり
3:館の横に教会があるよ!
4:青姦でいいじゃないの
……可愛い?
[信じられないという瞳で、寺脇を見た。
よく頑張ったね、と言われて。胸がきゅうと苦しくなる。
涙が零れそうになるのを必死に抑えて。
なんで自分は、この人を前にすると。
こんなにも幼くなってしまうのだろう]
苗字はないんだ。ただのオズワルド。
自分の親も分からない。捨て子なんだ、私は。
[オズ。子供向けの童話に出てくる、魔法使を騙る詐欺師の名前。
名は体を表す。詐欺師というのは、自分にとって天職なのだろうと]
宝石商だというのも、嘘なんだ。すべて嘘。
薄汚い詐欺師くずれなんだ、私は。
[言ってから、恐る恐る寺脇を見上げる。
親からも世間からも見捨てられて、自分ひとりで暮らしてきた男は。
誰かを騙して生きていく術しか持たなかった]
……トオル。
[ありのままの自分を見せた今、どんな顔をしていいかもわからず。
小さく肩を震わせることしか、できない。
それが恐怖という感情だと気付くのに。しばしの時間がかかった。
自分は、「トオル」に拒絶されることが怖いのだ*]
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……待てよ。表との整合性取れてなくていいなら、いっそとんでもないところへ行った方が村建ては喜ぶのでは?
個人的には、あまり異次元になるのは好みではないが。
悩むな。
……オズワルド。
[涙の幕がはった瞳。青さと相まって、まるで海のようだと思う]
綺麗な名だ。
……まあ、君の名前だったら。たとえ「じゅげむ」とかでも、私は美しいと思うだろうがね。
[そう言って、笑う。
名前があって、君がいるのではなくて。君がいて、君の名前だから、愛しいのだと。
それを、分かってほしい。
今にも涙の零れそうな目元に、またそっと軽く口付けた。もしも滴が溢れたなら、それはきっと海の味がする]
自分のことを、薄汚いなんて言わないでほしい。
君は、そうやって生きてきたんだろう。自分の、この手で。
[ささくれのできた、オズの手。その手があって、今のオズがいる。今まで生きてきた歴史があって、今の君がいる]
これから、取り戻そう。一緒に。
[その手を取る。外へと歩き出す。温かい手だ。失われた君の名字も、家族も、騙してきた過去も、私と一緒に、取り戻せたら]
―館の外―
[カナンの手を引いて、外へ出る。
誰にも、挨拶をせずに出てしまった。それだけ、気が急いていた]
……オズ。その
[すこし悩んで、名前を呼んだ。
愛しい人の名前。自分もそうであるように、彼も名前を呼ばれて、嬉しく思って欲しい]
……私の部屋に、来ないか。
[そう告げるのに、こんなにもどきどきした相手は、初めてだ。
『二人きりになれる場所』と言って、具体的にどこか、と考えていたわけではない。
こうして外に出て。なにもやましいことがしたい、というばかりではなくて。
一番落ち着いて話せる場所は、…の部屋だと思ったのだ]
―館の外―
[カナンの手を引いて、外へ出た。外の光が、眩しい。
二人きりになりたいとは言え。どこへ行こうかなんて、具体的に考えていたわけではない]
……あそこに。
[館の庭、隅に倉庫を見つけた。
引き戸を引けば、は外よりも多少暗いが、窓があり、陽の光が差し込む。
中にはいくつかの木箱があるのみで、整頓されており、不潔ではなさそうだった]
……こんなところで、すまないが。
すこし、君と話がしたい。
[許しが出たなら、カナンと二人、連れだって中へ入り、戸を閉める**]
―部屋―
[…の部屋は、昔ながらの木造アパートの一階。8畳の和室に板間で3畳ほどのキッチンが付いており、窓と押し入れがあるところ以外の壁には本棚が天井まであり、単行本を中心に本が詰まっている。
家具は、部屋の脇にパソコンの乗った小さな座卓があるくらいで、簡素である。
座布団を部屋の中央に敷き、座るように勧めた]
何もない部屋ですまないが。
[冷蔵庫から麦茶を取り出し、コップに注ぐ。パソコンが乗っているため座卓は移動できないので、お盆に乗せることにする。
取材に行っていた作家から土産でもらった京都の八つ橋と一緒に、オズの前へ出した]
酒の方が良かったかな。
[ふふ、と、オズを見て笑う。タキシード姿のオズとこの部屋は、随分不釣り合いだと思った**]
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普通はこんな勝手なことしたら怒られてしまうが。
身内村なので大丈夫かなと……これで相手があの人じゃなかったらどうしようという気持ちもあるが。
あまり発言できていない人も多いし、48h更新でもよかったのではと思ってしまうな。
それはそれで、長引くと参加できない人もいるのだろうが。
……っ。
[オズワルド、と名前を呼ばれた。自分の本当の名前を。
その優しい声に、この身が蕩けそうになる。
そこに先程までの紳士の面影はなく。
ただ恋という未知の感情に翻弄される若者の姿があった]
トオル。
[愛しい人の名を呼んだ。
涙が零れ落ちそうになった目元に、軽い口付け。
ふにゃり、と相好を崩して。
ああ、たぶん。自分はこの人には敵わない]
……取り戻す?
トオルと、一緒に。
[瞬間、そんなことは無理だと思った。
寺脇が眩しくて、まともに見つめることが出来ない。
この人は。今まで自分がどんな手を使って生きてきたか知らないのだ。
それでも、寺脇に優しく手を握られれば。
もしかしたら、この人となら。一緒に人生をやり直せるかもしれない。
そんな甘い考えが頭を支配して、彼に促されるままに館の外へと]
― 館の外 ―
[オズ、と愛称で呼ばれると。どこかくすぐったい。
普段は恰好をつけることばかり考えている詐欺師は。
こういう時にどういう反応をすればいいか分からない]
いいのかい、トオル。
こんな詐欺師なんかを自分の部屋に連れ込んで。
なにか盗まれるかもしれないぞ。
[詐欺師は自虐をするように肩をすくめてみせる。
彼なりの照れ隠しであった。
それから、寺脇の手を握ると。
今までの上品な微笑みではなくて、粗野な笑みをニィと浮かべて]
冗談だ。連れていってくれ、トオル。
トオルがどんなところに住んでいるか。
どんな暮らしをしているか。
教えてくれ、俺に。トオルのすべてを。
[これが素の自分であった。やっと見せることが出来た]
― 部屋 ―
……ここが、トオルの部屋?
なんだか、俺が住んでいるアパートと変わらないな。
[昔ながらの木造アパートの一階。
庶民めいた部屋に、くすりと笑みを零す。
座布団の上に陣取ると、はしたなく足を崩した]
このタキシードも、身分を偽るための一張羅でさ。
堅苦しくて仕方ない。
[やっとくつろげるとばかりに、シャツの1番上のボタンを外した。
コップを受け取ると、「ありがとう」と微笑んで。麦茶を啜る]
……酒、実は弱いんだ。
見合い会場では、人の目が合ったから。
恰好をつけて白ワインを頼んだのだけれど。
[ニィ、と。冗談めかして笑ってみせた**]
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2時までオンとか言ってなかったかいオズ(カナン)……
しかし。家に呼んだはいいものの、何をしたら良いかわからない。
はっはっは!恋愛なんて常に手探りさ!
……どうしたものか。
どうぞどうぞ。オズに盗まれて、それがオズの生活の糧になるのなら大歓迎だ。
……尤も。一番大事な「心」が、オズに盗まれてしまっているからね。
[照れ隠しに自虐的な冗談を言われれば。甘ったるいほどクサい台詞が口をつく。
彼の前ではこんなことばかり言ってしまうのは、やはり、初めての恋に浮足立っているからだろうか]
それが、本当の君?
……綺麗だよ。
[すごく。
握られた手の暖かさも。取り繕うことなく上がった口角の、無邪気な笑みも。年相応の一人称も、全て。
綺麗で、愛しい]
―部屋―
独身だしね。わざわざ掃除が大変な広い部屋に住みたいとも思わないな。
[オズは、どんな部屋を想像していたのだろう。
がっかりさせていたら嫌だなと思いつつ、足を崩してくつろぐ彼の様子に、杞憂だったかと思い直した]
今度、オズの部屋にも行ってみたいな。
[『俺が住んでいるアパートと変わらない』との言葉に、くすりと笑んで。
君がどんな暮らしをしているのか、興味がある]
よかったら、上着を預かるよ。
[シャツのボタンを緩めるオズに、手を差し伸べて。タキシードをハンガーに吊るして、鴨居にかけておこうか]
そうか。じゃあ、麦茶はちょうどよかったかな。
[酒は苦手だと知って。
今日初めて会ったのに、色々な面を見せてくれる彼が、嬉しい。
……そして。部屋に呼んだのは。…も隠さず言いたいことがあったから、なはずで。
館を出たころは昼過ぎだったのに、部屋に来て、外は夕暮れがかっていた。
部屋の電気をつけて、カーテンを閉める。
窓の下の座卓に置かれた写真立てを手に取り、しばらく見て、また置いた]
……私は。
[ぽつりと、話し始める]
おふくろが、死んだんだ。一年前に。
81歳だったから。天寿を全うしたんだとは、思うんだけど。
[ふ、と息を吐く。
カーテンの隙間から漏れる夕日を浴びたオズは、どんな様子だろうか]
最期まで、笑っていたけどな。
……本当は孫が欲しかったこと、分かってるんだ。
おふくろだけじゃない。親父も。
[写真立てに入っている写真。
幼き日の…と、若い父と、母。おしゃれをして、写真館で撮ってもらった、家族写真]
……小さい頃から、私は自分の恋愛対象が同性であることに気付いていた。
自分が恋天使だと分かって……どうせ恋愛できない、結婚もできないのだから、ちょうどいいとすら思っていたんだよ。
[麦茶を飲む。コップを持ち上げると、盆にはコップの底の形に丸く水の跡ができていた]
……私は。死ぬのが怖いんだ。
[オズを見る。
彼は今、どんな表情をしているのだろう]
おふくろは、私がゲイだと知らずに死んだ。何も知らずに死んだんだ。
きっと、親父もそうだと思う。
[若い頃は、言えるわけないと。知らずに何事もなく墓に入ってくれればと、そんなことも思っていたけれど。
この歳になって。
我が子のことを何も知らずに死んでいく親を見て。私は]
私はね。君より先に死ぬんだよ。
[真っ当にいけば、それは確実だ。
そこに、希望を抱いてしまうのは酷だろうか。
オズの髪。瞳。肌の色。それはきらきらと若く、自由の国の勝利の色。
生命の、色だ。
生きる君がそばにいて、私が死んだ先に、君の人生が続いて行くことに光を見出してしまうのは、身勝手だろうか*]
俺の部屋? 本当にこの部屋と大して変わらないよ。
いつ警察に嗅ぎまわられても逃げられるように。
必要最低限のものしか、家には置いていないんだ。
[寺脇を自分の部屋に招待することを想像してみる。
ずっとひとりきりで過ごしていくと思っていた、あの部屋で。
愛しい人と過ごすことを想像したら。それはこの上もない幸せで]
……おいしい。
[堅苦しいタキシードの上着を寺脇に預かってもらって。
しみじみと麦茶を啜るのだ。
外は既に夕暮れで。寺脇が立ち上がり、しゃらんとカーテンを閉める。
すでにあの見合い会場での出来事が遠い昔のように感じた。
ふたりきりで会場を抜け出して。
我ながら、どうしてしまったんだろうと思う]
……トオル?
[寺脇が真剣な顔をして話し始めたものだから。
崩していた足をぴしっと揃えて、居ずまいを正すことにする。
まっすぐに、寺脇の瞳を見つめた。憂いを帯びた色]
……正直、驚いた。トオル、あなたみたいな人でも。
そうやって後ろ暗いことを考えることが、あるのか。
[正直な感想がポロリと口を突いて出た。
―――これから、取り戻そう。一緒に。
そう言って未来を語った、大人びた彼でも。
人並みにこうやって、悩みを抱えていたのか。
なんだ。自分と同じじゃあないか、と。胸を撫で下ろして]
俺は、親も家族もいないから。
トオルの気持ちは良く分からないけれど……。
今まで、家族に隠し事をして過ごしてきたんだろう?
それはつらいことだと思う。
[自分が好意を持つ人に対して、嘘を吐くことの苦しさは。
先程自身が体験したばかりだから、と。
なにも告げぬままに、親を見送った寺脇の心中は。
きっと自分には想像できないものだろうけれど]
……死ぬ?
[物騒な単語に眉を顰めて]
そんなことを、言わないでくれ。
これからを一緒に取り戻そう。そう言ってくれたのはトオルじゃないか。
[トオルの手を、思わずぎゅっと握りしめようとして]
終わりのことなんて、考えたくない。
俺は、今を。トオルと生きていきたいんだ。
[じっとトオルを、見つめた*]
私を、随分と買ってくれていたんだな。
[『あなたみたいな人でも』、と。さながら聖人君子のような扱いの物言いに。ふ、とあきらめたような笑みが浮かんだ。
家族のいないオズと、家族に縛られる自分。
真逆のようで、ひどく似ている]
……そうだね。
[取り戻そうと言った。嘘ではない。まぎれもない真実だ。
だが、生きるものはいつか死ぬことも、真実だ。
眉間にしわを寄せ、じっとこちらを見るオズ]
生きているものが、大事だ。
[先のことは決まってしまっている。きっと、君につらい思いをさせる。
けれど。今、君が目の前にいて、私を見ているということが、大事]
……生きている今が、
[オズの手が、…の手に重なる。ぎゅっと力を込めて握りしめられたその上に、ぽたりと滴が落ちた。
自分が、泣いているのだと、気付いた]
……っ
[オズの肩に、額を擦り付けるようにした。
シャツが濡れてしまうと思ったけれど、我慢ができなかった]
……おふくろ。
[一年前、母は、死んだ]
おふくろ。おふくろ。おふくろ。おふくろ。
[木蓮の木は枯れた。父の背は丸くなった]
……母さん……。
[小さな嗚咽が漏れた。
ずっ、と音を立てて、鼻をすすった]
……今度。君の家に行かせてくれ。
そしたら、
[オズの細い肩に額を付けたまま、ぼそぼそと喋る]
……そしたら、一緒に住もう。
[もっと広いところ。
一軒家でもいいかもしれない。
縁側があって、小さな庭があって。
そこには白木蓮を植えよう。
猫も飼おう。布団を並べて寝よう]
私と……家族になってください。
随分話し込んでしまって、すまなかった。
[外は陽が落ちかかっている。狭い倉庫から二人して、出てくる]
大丈夫か、足元気を付けて。
[彼の手を握りながら、館の外へと。
もうじき、外に出てきた参加者と合流するだろう]
……君に出会えて、良かったよ。
[そっと。隣にいる彼の頬にくちづけた]
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