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[ 他の六隻の巡洋艦は主砲を用意しているだろう。だが、シュヴァルベはまだそれを使えない。
この艦が備えている主砲が戦艦級の大口径であることは、ぎりぎりまで伏せる ]
届かせますよ...
[ 瞬時、脳裏を過るのは、青い花の色** ]
― 閑話 ―
[ 15年前、男はオルヴァルでライフルを手に入れた。それは破格の値で売られていて、当時の男の収入からすれば、本来なら望むべくもない性能のものだった。
値は安くとも品質も確かで、狙撃兵としての役目も多くこなした男にとっては頼りになる相棒とでもいうべき存在だった ]
「お前のライフル、確かユルド社製だったよな?」
[ オルヴァルの敗戦からしばらくして、同僚の一人がそう尋ねてきたことがある ]
ああ、そうだけど?
「知ってるか?ユルド社ってあの戦争の間も帝国に武器流してたって噂」
[ この頃「あの戦争」という言い方をされるのはウルケルにとっても手痛い記憶となったオルヴァルの戦のことと決まっていた。そして男は確かにその噂を知っていたから、ああ、と頷いた ]
まあ商人てのは...そんなものだろう。どっちにしても武器の性能には関係ないしな。
[ 苦い想いも無くはなかったが、その武器に命を助けられてきたのも確かだったから、男は当たり前に、そう答えた ]
「まあな、そりゃそうだけど、なんか、孫娘だか娘だかを帝国に差し出してそのおかげで戦後も生き延びたなんて噂まであるんだぜ?」
...そりゃ、初耳だが...それはさすがに只のゴシップじゃないか?
[ いくらなんでも、商売のために家族を売り渡すという感覚が理解出来ずに男は顔を顰め...結局は、その噂を忘れる事にした ]
[ 男にとっては、それだけの話だ。
噂の真偽は結局知れず、その先の真実を知る機会も無かった ]
[ だが、時折、その時聞いた話が頭を過って、そんな時男がどうしたかと言えば...念入りにライフルの手入れをした。
何人もの敵の命を屠ってきた武器...誰かの血や涙で購われている自分の命を確かめるように ]
[ 時が過ぎ、当時最新式だったそれが、旧式と呼ばれるようになっても男は、ライフルを買い替えることはなく。
今は、狙撃兵としての役目を負うことはない男の傍らに、何かのお守りのように、或いは忘れられぬ古傷の象徴のように、そのライフルは今も在る** ]
恋人?
[ ゲオルグの落とした呟きに、男は遂に知ることのなかった、ファミルとゲオルグの間にあった心の刺の一端を感じ取る ]
......そうだと、いいですね。
[ 彼女を殺した自分が願うことではないのかもしれない。けれど、ゲオルグにだけは、それを告げてもいい気がして、静かにそう返した** ]
/*
ふう、やっとお腹が落ち着いてきた。
[ 腹痛で休んでました ]
ルートさんのヘイトが素晴らしくてwktkする。
くっそ、死ぬ前に会って殴り合いたい、物理でw
/*
さて、戦場図眺め直して来よう。
どやったら陛下のとこまで届くかしらね。
説得力ないと話しにならんし、多分地味だと受けてもらえない気がする...
[ 相変わらずハードルは果てしなく高い ]
― 戦艦シュヴァルベ ―
「敵艦隊、距離3000、依然方位変わらず…いえ、転進しました!方位2-4-0」
[ 男は戦艦シュヴァルベの艦橋で、じっとまだ距離のある帝国の第二艦隊を見つめていた ]
反航と見せかけて頭を塞ぎに来たか、さすがだな、扶翼官殿。
[ ここを押さえに来るのが、ルートヴィヒであろうことは、すでに確信している。ゲオルグもまた、それ以外はないだろう、と、男の予測に同意していた。
やはり、うかうかと挑発的な攻撃陣形に釣られて、向こうから飛び込んで来てくれる程、甘い男ではない…だが、それでこそ、だ。
ルートヴィヒが宣戦布告に現れたあの時、冴えた月のような秀麗な面に稲妻の裂光を閃かせた瞬間の、切り裂くような気配を思い出して男はどこか楽しげに目を細めた ]
[ 現在、ウルケル援護艦隊は、その先頭にある巡洋艦ヴァイスメーヴェを旗艦としている。
指揮を執るのは男の艦長時代に副長を長く務めた中佐で、ヴィクトリアが操舵していた艦にも同乗したことのある人物だ。
それ故に、彼の指揮は、正しく本来の指揮官の意を汲むものだった ]
「主砲斉射、用意!放て!」
[ 号令と信号に従い、六隻の巡洋艦から一斉に轟音が轟く、ほぼ同時に重なった砲撃の音は、まるでひとつの大きな大砲から放たれたと同じに聞こえたはずだ。
砲撃は、命中よりも転針する帝国巡洋艦隊の動きを少しでも遅らせるためのもの、わざと各艦の少し前方を狙って放たれた砲弾が、次々と着水し大きな水柱が上がった ]
[ そして主砲斉射とほぼ同時、ヴァイスメーヴェから、信号弾が打ち上げられる ]
「信号確認、ヴァイスメーヴェ、ヴァイ共に左舷転針開始しています」
了解した。では作戦通り、これより艦隊指揮艦はシュヴァルベに移行する。
[ 宣言して、男は戦闘海域到達後、初めての指揮官としての命令を発した ]
第一戦速用意。面舵一杯!
[ 帝国第二艦隊からは、不思議な光景が見えただろう。
指揮艦であるはずの新造巡洋艦ヴァイスメーヴェが左に舵を取り、向かって右の列の巡洋艦ヴァイが後に続く、それだけなら通常のT字封鎖を回避する行動だ。
だが、後ろの二隻と、向かって左に配された三隻は、いずれも右に舵を取り、最後尾の艦から順に速度を上げ始める。
一見すれば、無軌道に散開したとも見えるばらばらの動きだ ]
[ やがてヴァイスメーヴェも速度を上げる。
巡洋艦ヴァイを引き連れ、他艦の無軌道な動きを囮に、その快速を生かして帝国第二艦隊の後尾を擦り抜けようとするかのように ]
― 戦闘海域到達前 ―
もし、帝国艦が、ヴァイスメーヴェではなく、他の艦に目をつけるようなら、お前はそのまま突っ切っていけ、トーリア。臨機応変、にな。
[ ルートヴィヒをヴァイスメーヴェの動きに引きつけられれば良し、そうでなくても、旗艦に新たな援護を確実に送れる。ヴィクトリアの元々の乗艦である巡洋艦ヴァイが後に続くのはそのためだ。
ヴァイは、ヴィクトリアの動きを良く知っている、暴れ馬となったヴァイスメーヴェに確実についていける唯一の艦といっていいだろう ]
艦隊指揮、というには少し物足りないが…
[ 男は、いつかゲオルグと交わした会話を思い出して、笑みを浮かべた>>1:347 ]
お前ならやれる。頼むぞ、トーリア。*
/*
死ぬ前に会いたい人ばかりが増える罠。
うーん、嵐になるぞ描写きてるし、一度戦闘停止したりしないかしら?無理かな?
/*
あれなわけですよ、ルートさんの書き方をぐぐって、なるほど角度かって、メモ作って、その後腹痛でへたってる間に忘れた、というね。
なんのためのメモなの!?おばか!
ふ…やはり手堅いな。そう簡単にはひっかかってくれない、か。
[ 東に抜け出した二艦以外のウルケル艦は、船腹の副砲を牽制するように放ちながら北西へと針路を変え、また艦列を作り始める。
最終的に出来上がる陣形は「大型巡洋艦」と報告された小型戦艦シュヴァルベを先頭とした右梯陣 ]
仕方ない、出し惜しみするな、ということだな。
[ ヴァイスメーヴェとヴァイを送り込めたとはいえ、ここで時間は潰せない。ならば、こちらも押し通るまでのこと、だ ]
主砲用意!
[ 艦隊の前を塞ぐため帝国巡洋艦の造ろうとする壁の>>303丁度ど真ん中に狙いを定める ]
よく狙え、一発で沈めるぞ。
[ タイミングを計るのは、この艦においては、双眼鏡を覗く、男自身の「目」だった ]
撃てー!
[ 大口径の砲門が、目前の壁を貫かんと、火を噴いた// ]
やはり、扶翼官殿は一筋縄ではいきませんね、腕比べにはまだ少し時間がかかりそうですが、新造巡洋艦ヴァイスメーヴェとヴァイが、先に、そちらに向かってます。
ヴァイスメーベは、トーリア...スキュレステノ中尉に操舵を任せてますが...
[ そこで、ふ、と言葉が切れた ]
ウェルシュ殿も乗艦してます。
[ ある意味、これも砲撃に近い ]
[ 予想通りの雷が落ちた。ああ随分久しぶりな気がするなあ、などと、懐かしむ暇もなく ]
お叱りは、後でたっぷり受けます。
[ 溜め息混じりに、そう言って、僅かに声を和らげ ]
ウェルシュ殿も、もう子供ではありませんよ。ここが戦場だということは、ちゃんと理解されてます。
押し切られた俺が悪いのは確かですが...俺を押し切るだけの強さを持ってる。
[ だから、出来れば彼の事は叱らないでやってくれ、と、そう告げた ]
「主砲命中!敵艦被弾停止確認しました!」
艦列乱れたな、よし、前後の艦に砲撃集中させろ。
[ 副砲が続けざまに、停止した艦の前後の艦を狙って集中する。しかし、相手が怯む様子も後退する様子もなかった。むしろ、更に激しい砲火が、ウルケル艦隊を襲う ]
「シュヴァーン右舷に被弾!火災発生、下がります!」
[ いつ下がり、いつ前に出るか、その判断は各艦の艦長に任されている。火を出した艦は、消化のために一時下がり、砲撃はその分弱くなった ]
まったく、厄介だな。
[ 主砲をもう一度使うことは出来る、だが、今度は向こうも警戒しているだろうから、無駄玉になる可能性が高い。現に敵艦の回避行動は、明らかにシュヴァルベを意識したものに変わっていた++ ]
…旗艦を叩くしかないか。
[ 統率のとれた帝国艦隊、その統率こそが最大の武器だろうと、男は考えている。故に、それを崩すには、頭を潰すことが最善の策。
だがそれは、言う程簡単なことではない ]
水上機部隊は?
「現在上空にはおよそ10機」
信号送れ、敵旗艦に爆撃集中させろ、シュタインアドラーは援護を。
[ 簡単ではなくともやるしかない、ここはそういう所…戦場だ。
戦艦シュヴァルベは、帝国第二艦隊旗艦ザイヴァルを狙うため、回頭を始める。
機動重視と評されたその動きは、見た目よりも速いが、ザイヴァルは...扶翼官ルートヴィヒは、気付いて避けるか?或いは、向かってでも来るか?// ]
...は?
[ 思わず、声が漏れた ]
「大佐?」
いや、ああ、なんでもない。
[ 視線が一瞬、北の海域に向き、狙おうとしていた艦隊の旗艦ザイヴァルへと戻される ]
会見って...
[ ここ以外ないだろう、と、内心思いつつ、問い返さずに居られないのは、仕方が無い。肯定が返れば、戸惑ったように息を吐く ]
今、扶翼官殿と交戦中なんですが...
[ どうしましょう? と、滅多に迷わぬこの男が、心底迷った様子で、そう尋ねた ]
[ 海上では、未だ、激しい攻防が続いている。だが、ウルケル、モルトガット互いの旗艦とその周囲だけが、奇妙な沈黙に包まれて...その理由を離れた海域の南端で知ってしまった男は、心底戸惑った様子で、一度、溜め息をついた ]
上には上がいるもんだ...
[ この戦場でもまだ、砲火は止まらない。だが ]
水上機に再度信号、指示有るまで待機せよ。
[ 旋回を終え、主砲はザイヴァルを射程に捉える ]
.........
[ 皇帝が何を考えているとしても、扶翼官は手を休めまい。ならば撃つしか選択肢はない、のだが++ ]
全艦に信号...微速後進、敵艦よりの砲撃を避けつつ、一旦下がる。
[ 選んだのは、砲撃の号令ではなく、避けようとしていた筈の、引き延ばしの策** ]
了解、まあ、あの扶翼官殿が逃がしてくれるかどうかは疑問ですがね。
[ 多分無理だろう、と、男は笑って ]
ただ皇帝陛下に今直接向かうのは無理なようですし、策は建て直します。
提督も無茶せんでくださいよ?
[ 迷いは振り払える。そう証明するように軽い調子で声が届いた* ]
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