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そんなつもりじゃ……死ぬぞ?
[これは真剣勝負だ。
それもお互い国を背負った――。
胸を借りるつもりで挑まれたのではかなわないと
うっすらと笑んだ]
― 公国側橋付近 ―
[巧みに迫り来るレイピアを払いのけるように、
剣を打ち合わせるたびに、剣戟の音が響く。
とそこに左手のマンゴーシュが
フェイントをつくように薙ぎ払われる。
馬体をしっかりと脚で挟み振り下ろされないようにしながら、
手綱をとっていた左手を離して、腕で受ける。
せめてどちらかの手を使えないようにしなくては。
瞬間、そう判断して、
レイピアを払いのけるように大きく振ると、
その反動のまま、左手を目掛けて斬りつける。
マンゴーシュで切り裂かれた腕からは、
赤いものがぽたぽたと落ち始めた]
<b>― 卒業後の、ある日 ―<b>
[リエヴルの姿が見えた――と思った瞬間。
満面の笑みでリエヴルが駆け寄ってきて抱きついてきた]
…………!!!!!!
[痛い。
こんなに喜んでくれるのは嬉しいが、でも痛い。
肋骨を折った身に抱きつかれては、とにかく腹に響く。
大声をあげて呻きそうになるのを、意地で耐えて]
お、おう……。
元気にしてた、か?
[平静を装っていたけれど、
表情にも口調には苦悶のあとが残っていたかもしれない]
[それから暫くは、
まわりをうろちょろする可愛いリエヴルを抱きしめたくても
あの痛みが忘れられずに、頭を撫でるだけに留めていた]
[そうして和やかな歓談をしているうちに
リエヴルがすっと数冊のノートをディークに差し出した。
そのノートには見覚えがある。
リエヴルが今まで対戦相手や観察していた相手のことを
分析して記していたノート。
貴重なノートがディークに渡るのをみると]
そのノート本当にすごいだろ。
ま、それを書いたリエヴルがすごいんだから
当たり前だけどな。
[まるで自分のことのように自慢げに話して。
会話する2人を愉しげににこにこと見ていた]
[一旦、馬を引いたリエヴルが、再び突進してくる。
リエヴルの左手への攻撃は成功しているところをみると、
次は右手か。
そう警戒していた為か、次の行動への対処が遅れた。
狙いが馬だと気づいた時には、
既に馬の首にマンゴーシュが叩きこまれ、
黒鹿毛の馬体が苦しげに暴れて大きく揺れる]
[拙い――。
思った瞬間には、
馬体に掛けていた脚の力をふっと緩め、
力を入れた左手の傷が深くなるのも構わずに、
ぱっと馬から飛び降りて。
馬体が遮蔽物になっている間に、
ロングソードを左手に持ち替え右手で銃を抜き取ると。
指を銃爪にかけ銃を1回転させ
左側に駆けて、目の前が開けたところで、
銃口をリエヴルの胸のあたりに合わせ、銃爪を引いた]
[銃弾がリエヴルの胸へ吸い込まれる前に、
馬上の人は、素早く青鹿毛から飛び降り、
致命傷を与えられなかったことを知る]
さすがにそんなに簡単じゃないか。
[口走りながらも、
安全装置をロックして銃をホルスターにおさめると、
再びロングソードを持ちかえる。
残る銃弾はあと2発]
[リエヴルが踏み込む動きに合わせて飛び退ると
レイピアを強引に弾き返して――。
左手の動きにはっとしたように、右に飛ぼうとした]
…………ぐっ!
[右に重心が掛かった瞬間、
灼けつく痛みが右の脇腹を襲う。
右脇腹から右胸までざっくりと切りつけられ
真っ赤で温かいものが流れ落ちる。
右手で脇腹を抑えながら二、三歩後ろに蹌踉めいて。
だが、まだ戦えるというように
隙を探してリエヴルの姿を睨みつける。
ロングソードは未だ離さないまま]
[吐く息は荒い。
痛みで頭がくらくらしそうだ。
それでもここで倒れるわけにはいかない――。
リエヴルを殺すのは、自分の義務なのだ。
そう思い込むことで、ようやくこの場所に立っていられる]
[リエヴルの左手に今度こそ魔法銃が握られる。
と同時に姿勢を低くして、
怪我をしているとは信じられないほどの勢いで、
リエヴルの懐に飛び込もうと踏込み、
右の肩から袈裟懸けに切り下げようとロングソードを振るった]
[怪我を追った身体には、とても無茶な動き。
傷口はどんどん拡がるばかりで、身体は重い。
それでも、まだだ。
とどめを刺さないと]
[腹に吸い込まれた魔法弾は、
身体の内部で弾ける。
至るところを電流が走り抜けて、心臓が苦しい。
薄れゆく意識の中、それでも。
最後の力を振り絞って、
リエヴルの心臓を目掛けてロングソードを突き出した]
― 執務室 ―
[執務室の机の上には白い封筒と、
ローズクオーツの通信石。
今朝、ディークに伝えようとした言葉を。
万が一戻れなかった時のために、こうして手紙にしたためて遺す]
ディークへ。
出来れば、この手紙は読まれないで、
お前と直接話せることを願う。
シュヴァルベは素晴らしいところだった。
帝国も公国もなく、共に学んで、競い合い、お互いを高めてゆく。
シュヴァルベはそんな場所で、
俺はいつか同じように
帝国も公国もなく、いがみ合うこともなく
過ごせるようになれば。
そう思っていた。
でも、シュヴァルベにはまだ足らないものがあった。
シュヴァルベには、自らの出自を口にしてはならないという規則があり、
それゆえに、自らの国のありかたや、互いの国の関係をどうしていきたいか。
そんなことは一切語ることが出来なかった。
今回の戦争でまた関係は悪化するだろう。
またシュヴァルベを作るなんてことすら、すぐには出来ないかもしれない。
それでも最初の1歩からはじめなければならない。
今度は自らの理想を語れるシュヴァルベ以上のものを――。
もし、そうしていれば。
リエヴルが何を考えていたのか知ることが出来たのなら。
戦争の火種を消すことも出来たのかもしれないから。
だから出撃前には……。
リエヴルに触れる話だから。
帝国と刃を交える前に、
覚悟していることを証明する前には話せなかった。
お前はまた甘いというかもしれない。
こうして、リエヴルのことを考えているままの俺を、
お前はそれでいいとは言わないかもしれない。
けれど。
俺の目指す国のありかたが、
例えリエヴルが帝国の人間だったとしても、共に生きたい。
そんな思いから発している限り。
理想を捨てない限り、
またリエヴルへの想いも消えることはない。
どんなに苦しくても、
リエヴルを自分の手で殺すことになってもいい。
それでも、俺はリエヴルを愛したことを後悔しないし、
これからも愛し続ける。
何も望まないし、
リエヴルの為に、国を、そして自らの責務を捨てるつもりもない。
ただ心の中で想うだけなら、
それだけなら……許されたいと願う。
それと、もう一つ白状しなければならない。
この手紙に添えられているのは通信石だ。
もう一つはリエヴルのところにあるが、
彼の声を聴きたいと一瞬でも思ってしまったことが
ものすごく罪に思えて。
彼に別れを告げて、それ以降は通信をしていない。
それを信じるかどうかはお前に任せる――。
お前の友人
トルステン・フォン・ラウツェニング
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