情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
学芸員 オクタヴィアは、洋館の執事 ベネディクト を投票先に選びました。
― 庭 ―
[屋内へ入るというマリエッタとシルキーと別れ、しばし裏庭を歩き回った。
夏の盛りとは違い、草葉も日照りもやや遠慮しているようで、裏庭はそよ風の音が騒がしいほどにしんと静まっていた。
台所のティンパニ協奏曲にもサイレン音にも気づくことなく。
立ち止まって風に身をさらしているうちに、ああ、そもそもは何か伝えたいことがあってここにきたのだったっけ、と思い出した。
さて、どこへ行けばいいだろうか、しばし思案ののち、裏口を通って再び屋敷の中へ入って行った]
― 書斎 ―
[向かった先は階段を上った先の書斎。
壁のぐるりを本棚に囲まれて、ほとんどちいさな図書室、といった風情になっている。
なにやら天井裏からがさごそと音がするが、鼠でもいるのだろうか?
いや、鼠にしては一歩の間隔が大きいような、しかし猫にしては足音が柔らかくないような]
屋根裏で悪戯なのはだあれ?
梁を齧ったら、猫を放してしまいましょう。
人形を齧ったら、水に沈めてしまいましょう。
そこでチーズを齧ったら、罠に尻尾を挟まれた。
[歌うようにつぶやいて、本棚に近づき、そこにあった本の、豪奢な装丁が施された背をそっと撫ぜた]
ねえ、あの子が好きな本はどれだったかしらね。
[先程からあちらこちらにいるらしい、“誰か”もしくは“何か”に向けて、独り言のように問いかけた]**
― 書斎 ―
[家具のどれかが軋むような音>>11に混じって、自分がそう考えたのだと思い込んでしまいそうなほどに微かな声が聞こえたような気がする]
あらそう?
そうね、なんというか、花より団子な一面があったかも、恋愛ものならブロンテ、青春ものならヘミングウェイってところかしら?
私はカポーティだって好きなのだけれど。
[面影を思い出そうとして、浮かんできたのは<<ゴーストバスター(志望) リーゼロッテ>>の顔。頭を振ってそれを追い出すと]
どうしてでしょうね、あなたとしたことは思い出せるのに、あなた自身が思い出せない。
[ずらりと並んだ本の群れから、アンデルセンとエンデをやや苦労して抜き出した]
この場所で、一緒にお話を作ったよね。
額を突き合せて、お互いのストーリーをああだこうだって批評し合ってたっけ。
[呟きながら背をなぞっていた右手の人差し指が、『月と六ペンス』の上でぴたりと止まる。
なんだか暗示めいたその発見に苦笑いを残して本棚を離れ、机に先程抜き出した2冊を広げて読み始めた]**
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新