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あなたが悪魔でも、傍にいたいと…思ってしまうのですから。もうすっかり騙されてしまっているのでしょうね。
[声は呟きのような小さなもの。ほら、聖職者失格でしょう?と微笑んで]
――…。
[二度目の問いには、今までとは違う真剣な響き。空気の違いを感じれば、また考えて]
あなたが、悪魔なら…あなたは、わたしの死を望みますか?それとも、わたしに神への裏切りを望みますか?
命なら、差し上げましょう。
神への背徳ならば…
――…。
わたしを、騙したままで。信じさせたままで、あなたの手で、最期の時を、終えさせて下さいますか?
[金貨の意のままに、そう言わんばかりの彼の言葉。
すべてを捧げんと言う愛し子を嬉しく思わないわけがない。だが、金貨の神として創られた部分は、愛し子の有り様を良しとしないのだ。]
矛は、使う者次第で武器以外のものになります。
杯も、使う者次第で器以外になり得ます。
王冠もそうであるように、私もそうなんですよ。
[起こし、促す神の本質が、愛し子のありようをよしとしなかったのだった。]
[続く言葉は意識をのせて、肉声と共に彼へと伝える]
私が神であっても、人であっても、悪魔であっても……一番欲しいのは、あなたの意思です。
私が神であるのなら、あなたには自分の足で立ってほしいのです。
私が人であるのなら、あなたには私の後ろではなく隣にあって欲しいのです。
私が悪魔なら、騙しがいがある人を騙しますよ。
[そこまで、そこまで言いきったなら、大きく息を吐き出して……]
[愛し子の首へと手を伸ばし]
……と、ここまでが、本音の半分です。
あとは残りの半分ですが……
[する、と撫でるように、首筋をはだけさせた。
そして、血が出ない程度、歯形がつかない程度に、愛し子の首へと噛みつくと、その反応を窺いながら、そろそろと舌を這わせた。
そして……]
私にも独占欲はあるんですよ?
私を知って、それから嫌だといっても、手放す気がなくなりました。
その跡は、消えませんし消しませんから!
[「私はきちんと確認しましたからね!」と、どこかの誰かに言い訳するように口にして、かなり悩んだのに…と拗ねたような顔になるのだった]
……。
[自分の意思を、と。自分の足で立ち、隣に並べと。
それは、自分が今まで教えられ自らに課してきたすべてを崩す言葉。
そんな生き方は知らない。ずっと、神に従い神の意に沿うようにと教えられてきたから。今更そう言われても、どうしていいのか分からない。
へにゃりと泣きそうな顔をするも――]
…え?
[するりと伸びてきた手。温かで安心を与えてくれたてのひら。避ける気などなかったけれど、それでも服を肌蹴させられれば困惑したように身を竦める。ちりとした感覚。続いて、舌の這うくすぐったいような感覚にぞくりと震え]
――っ、…?!
[慌てて彼の肩に手を置くけれど、押していいものか分からない。そして、独占欲と言われれば――]
――…。
わたし、は…あなたに、独占されるなら。
…いえ。わたしは、あなたに、独占されたい…です…これは…我侭に、なるのですか?それとも、あなたも、望んで下さいますか?
[顔が赤い。そこまでを告げると、肌蹴た衣服のままで、今までになくぎゅうと抱きつく]
[泣かせるつもりはなかったのだ、そんな不安げな顔をさせたくなかったのだ。
滅多なことでは神が声をかけない世界の子は、神の見えない世界の子らは、どうやって生きてきたのだろうか……
“教義”というものに疎い金貨には、愛し子の姿はやはり危ういものに見えた。
独占したいという思いは嘘ではない。独占されたいという言葉を聞いた時、他者からの信仰全てを打ち捨ててしまってもいいとさえ思った。
――…だが、彼をこの窮地へと叩き落としたのは魔のものではなく神であり、その者と金貨の関係を思えば金貨にも責任の一端がある。]
[このことは、自身の口から伝えなくとも、いつかは彼の耳に入ってしまうだろう。
――ならば今、逃げ場の少ない今こそ、真実を、彼がこの世界に放り込まれた経緯を口にしよう。
抱き寄せた腕から力を抜くことはせず、気を抜いたら力の限り縋ってしまいそうになるのをこらえながら、とつとつと言葉を紡ぎはじめた。]
……ひとつ、懺悔を聞いてはくれませんか?
[全てを話し終えた時、先ほどまで身を寄せてくれていた彼の反応は、どのようなものになっただろうか。
卑怯なタイミングだという自覚はあっても、放すつもりは毛頭なく
――…相手が神だからといって身を委ねる事をしないでください。
そう締めようとした言葉は、一度は口にしようとしたものの、腕の中の彼の体温を手放したくないがために飲み込んだ。]
――?
[腕の中収まったまま、どこか苦しげな彼の懺悔を、という声を聞く。背中に回ったままのゆびさきが、小さく揺れている気さえして]
…わたしで、いいのなら…
[一定以上強くを求めてくれない彼の代わり、ぎゅうと背中に回した腕に力を込める。
不安が、ない訳ではないけれど。先程彼のくちびるがつけた首筋への痕が、彼と離れてしまうことへの不安を和らげてくれるようで]
[了承を得たのなら、洗いざらいを話すだろう。
――…あなたがこの世界に飛ばされた原因は、魔の者ではなく神の一柱によるものだと。
――…件の神の凶行は金貨らへの妬みからのものである可能性が高いこと。
――…神とはいえど誤るのだ、と。
――…件の神はもちろんのこと、あなたの思いよりも自身の欲求を優先してしまっている自分もまた、あなたの世界の神よりずっと未熟な神なのだ、と。]
今現在も、神を無条件に信じるなと伝えたいのに、私の腕の中にいてほしいとも伝えたいのですから。
[神としてどうなのだろうと自分でも思う、と――…自嘲を浮かべ]
相手が神だからといって身を委ねる事をしないでください。
[そう、改めて伝えたのだった。]
――…。
わたしは…あなた以外に、あなたの兄神や姉神ともお会いしました。けれど…
わたしに、安心を与えてくださるのは、あなただけです。
[言葉を継ごうか少しの間迷い、けれど結局素直に告げることにする]
わたしは…神としてではなく、あなたを、信じたいのです。
ですから…その腕は、そのままで。わたしを、あなたの傍に置いて下さい。
[そういう声は、少しだけ不安げに聞こえたかもしれない。聖職者としての青年は、村で大切に扱われ敬意を払われてもいた。
けれど、青年が青年として、リヒャルトとして必要とされた記憶など、ない]
[神としてではなく――…そう身を寄せられれば]
本当に、あなたは……
[泣きたくて微笑いたくなる程の充足感が金貨を襲った。
彼が望むなら何度でも、いつまでもと抱きしめようとしたのだが、ふと思い立って]
……少しだけ、待ってくださいね
[彼を一旦開放し、ぶつからない程度に距離をとった。
そして、指先から金貨を一枚生成し穴を開けて鎖を通し、この世界にきた後に、自分用に作ったもの>>0:175と似た一品を作り上げた。
お守りです。
[そういって愛し子の首にかけてやり――…]
当ててくださいなんて言っときながら、すいません。
[と、言ってしまえば、いつか彼に課した問いの答えを暴露しているようなものなのかもしれない]
……聖印とかあればよかったんですけどね。
[何かを与えたかった。彼だけに自分を表す何かを与えたかった。
問いを出した手前、伏せようと考えてはみたものの、他に何も思いつかなかったのだった。]
[少し待つように、とは言われても、腕から離されると心細げに眉が下がる。やっぱり聖職者としてではない自分では、ダメなのかと。けれど彼の表情は呆れたりはしていなくて、それに縋るような気持ちで身を離し…]
――え
[彼の手の中に現れる、きらきらと光るもの。遠目ではよく分からなかったのだけれど、鎖を通されて、自分の首にかけられたものを見れば。]
金貨?
[彼の言葉の意味を少し考えて――理解すれば、嬉しそうに笑む]
金貨の神に仕えるものとしては、一番の聖印でしょう。なにせ、神本人から賜ったんですから。
――…。
[一度離れた体をまたぎゅうっとしがみつく。肩の上顎をのせて、耳にくちびる近付けるような。けれど]
――あなたが、好きです。
[ひそりと、声には出さず]
[身を寄せる愛おしい生き物の“声”を聞けば、金貨の顔はほころんだ。
「私もですよ」と言いかけて、彼だけのものにはなれないと、神の身をもどかしいと感じてしまうのだけど……
今だけなら、彼だけのものであることができるのではないかと考えなおせば、寄せられた身体を抱きよせて、今度こそ言葉として紡ぐのだった。]
――…私もですよ
[耳近く、やはり唇から出る声ではない声で囁かれる。そのことばに、嬉しさと……それ以上に、目の前の神に愛しさが募る]
――…、
[温かな腕の中、今だけは。元の世界に戻れば、彼は自分だけの神ではないから。溢れる気持ちを表現しようとするけれど、それ以上のことばは出てこなくて]
すき。
すき、です…
[気持ちの大きさを表すよう、何度も繰り返す。やがて、眠りに落ちるまで]
― 塔の街・宿の一室の朝 ―
――あれ?
[身体に残る気だるさを冷たい水で押し流そうと、金貨は腕の中にいる愛し子を起こさぬように身体を起こし、部屋を出ようとするのだが――…
はて、この部屋の扉はこんなに豪奢だっただろうか?>>302
セキュリティは万全といわんばかりの閂と錠を見れば、自分達はこの部屋にどうやって入ったのだろうと、首を傾げた。
未だ眠る愛し子と二匹の双頭犬を背に寝ぼけ混じりの思考を続けていた金貨の脳に、趣味の悪いモーニングコールがやってきたのはそんな時だっただろうか>>298>>301>>302。]
――っ!リヒャルトさん!!
[脳を揺らすように響く声、その内容を深く反芻する前に金貨は愛し子の方へ意識を向けた。]
[“相応の代償を”
響いた声のその言葉に、びくりと肩を震わせる。
故郷から引き離された迷い子に
神々の軋轢に巻き込まれてしまった救い手に
少し目を離しただけで傷を負ってくるような弱き者に
金貨に全てを差し出さんとする愛し子に
――犠牲を払わせることはしたくないと。]
[ならば――…
代償を払う暇さえ与えなければ、代償を払う必要がないと理解できるほどの力でこじあければ、愛し子を護ることができるのではないかと思い立つ。
幸いにも扉の錠は金属製。
得意分野とは言えないが、叩き込めるだけの神力を叩き込めば、干渉できないこともない。
愛し子の祈りによって少しは回復できたとはいえ、万全からは程遠く。その状態で“普段の”叩き込めるだけの力をつぎ込もうとするならば、神性さえも捧げかねないということに……
愛し子をなにより優先してしまっている金貨は気づきそうにない。
たとえ気づいていたとしても、愛し子が何かを捧げさせるくらいなら自らの力を差し出しただろう。己の神性を捧げるという結果は変わらない**]
― ??? ―
[扉を開けようと試みてから、どれぐらいの時間が経っただろう。
身体を起こした金貨の手に触れるのは、宿屋の床のような木材の質感ではなく。
隣に居たはずの愛し子を探せば、金貨から少し離れた場所で双頭犬の親に守られながら、眠る姿が目に入る。]
――っ!!
[慌てて駆け寄り触れてみて、呼気と鼓動を確認できたなら、安堵の息をつき改めてあたりを見回してみた。]
[一面真っ白な様子に、神々の世界の白の間を連想しはしたものの、今いる場所にはまだまだ奥行きがあるようで、また家具のようなものはなく。
真っ白い世界で一箇所だけ色彩を持つ“それ”は、眠るために使っていた宿屋の一室の風景で
なるほどここは扉の向こうか、きっとこの先が元の世界に続くのだろうと、金貨はそう認識した。]
……?
[ふいに、金貨の傍で鳴き声がし、そちらへと視線を落とせば仔犬が一匹。鞄をかりかり搔きながら、金貨の方を向いている。
鞄を見て、金貨を見ての仔犬の訴えが、食事の催促であることを察するのは難くなく。
あれだけ懐いていた愛し子を起こすのではなく、今目覚めている自分のもとへくるあたり現金なものだと、金貨は小さく噴き出して]
骨を取るので少し待っててくださいね。
[そう言って仔犬の頭を撫でたなら、鞄の中から包みを取り出した。
包みの中から表れたのは鳥っぽい何かの肉である。折れやすい骨が刺さらぬよう取り除き、仔犬に与えていたのなら、何やら視線を向けられた。]
[視線の方を向いたなら、愛し子を支える親犬がそこに。その目には無言の訴えが含まれていた。
餌くれプレッシャーを向けられれば、金貨は「動けないですもんね」と苦笑して、それから親犬の顔の傍に鹿っぽい何かを丸々一頭を引きずり出した。
さきの鳥もどきも、今の鹿もどきも、元々は親犬が獲ってきた獲物である。
金貨は尾びれと鱗を持つそれを鳥として認めたくはなかったし、二足歩行の水かき持ちを鹿として認めたくはない。故にもどきと呼んでいた。
金貨は、獲物をもらう代わりに荷物持ちになっていた。
こと生命体以外の物質の保管という面では空間魔法は最強だったということである。]
[鞄から桶と水筒を取り出して水の準備を終えたなら、親子の食事風景を尻目に、愛し子の傍でその目覚めるのを待つことにしたのだった**]
……おはようございます
[目を覚ましたらしい愛し子に>>525目覚めの挨拶をし、続く言葉を待ってみる]
……?
[だが、所在なさげに迷う瞳に、ただ事ではない気がしてしまい、身を寄せ髪を漉きながら、リヒャルトの言動に注視した。
何をするにもありあまる神力に頼ってきた弊害だろうか?今の金貨に紡がれた心の声を聞くすべはなく。
だが、唇が開かれるのは見留めていたため、言いそびれたのだろう、今度は聞き逃さないしようと、近づいた]
……おはようございます
[目を覚ましたらしい愛し子に>>525目覚めの挨拶をし、続く言葉を待ってみる]
……?
[だが、所在なさげに迷う瞳に、ただ事ではない気がしてしまい、身を寄せ髪を漉きながら、リヒャルトの言動に注視した。
何をするにもありあまる神力に頼ってきた弊害だろうか?今の金貨が紡がれた心の声をきちんと拾うためには、少し時間がかかりそうだ。
だが、唇が開かれるのは見留めていたため、言いそびれたのだろう、今度は聞き逃さないようにしようと、顔を近づけ「どうしました?」と、聞き返した。]
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