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クレメンス−ヴェル
オズワルド−マリエッタ
っぽいからお邪魔はしたくないんだよね…。
ローレルが誰を好きになるかは分からないけど。
[食事を終えると、ととと、小走りになりながらも片づけを手伝い、一息つく。
情報過多の頭をふらふらさせながら広間を出た。
――テーブルにノートを忘れたことに気づかないままに。]
……。
[見覚えのある通路を通り、人気のないタイミングを見計らって、再びそっと中庭へ出る。
別に禁止されている場所ではないが、それを知らないため、心臓がドキドキ跳ねた。]
[頭に響くマリエッタの声は暖かくて、優しくて。
お伽話の"お母さん"のような、そんな感じがしたけれど、年が近いであろう彼女にそれを告げるのは憚られて、小さく口ごもった。]
……あり、がとう。
せっかく美味しいご飯なのに、もったいないことしちゃいました。
[苦笑の乗った声が風に揺れる。
数瞬の躊躇いの後、ゆっくりと口を開いた。]
まだ、遅くないでしょうか。
これから知っても大丈夫でしょうか。
― 中庭 ―
[ベンチに腰かけて、傍らの草を千切る。
心の中でごめんなさいと告げた。
唇に当てると、強く息を吹きかける。]
〜♪
[声が出なくなって間もない頃、義理の両親が怖くて、家を抜け出したことがあった。
その時出会った見知らぬ人に、草笛を教えてもらったのだ。
声が出なくったって、音を奏でることは出来る。
もう顔も思い出せないけれど、数少ない、とても大切な思い出だ。]
〜♪、〜〜♪
[茜色に染まる空に、軽やかな音が響く。
建物の外に出られることが新鮮で、静かに目を閉じ、草笛を奏でた。]
[マリエッタの言葉は柔らかな風のようだ。
不安や恐怖を簡単に攫ってくれる。
安堵に息を零し、微笑みが溢れた。]
そう、ですよね。
ありがとうございます。
これからいろいろ、知っていけたらいいな。
[帰る場所がないということは、前に進むしかないのだ。
見たこともないものや聞いたことのないものを知る機会も増えるだろう。
期待に胸を膨らませつつ、けれど気になることがひとつ――]
マリエッタさん、方向音痴なんですか……?
[初めて聞いた事実に目を瞬かせた。
優しくて、綺麗で、完璧だと思っていた彼女の愛らしい秘密に口角が上がる。
それは馬鹿にする笑いではなく、どこか安心したような笑みだった。]
ふふ、マリエッタさんにも苦手なことがあるんですね。
誰よりもマリエッタさんに懐いてしまっているローレルなのですが、同性NG…同性NG…(メモを確認して言い聞かせ中)
草笛を教えてくれた誰かとか、何とか方向転換できる道を考えながらのんびりとしますー。
ノートは意思疎通が出来ないイベント用だったんだけど、こんなに早くノートが戻ってくるのは思わなかったどうしよう…。
お話膨らませられればと思ったけど、確定で帰られたらどうしようもないなー。
クレメンスさんはヴェル先生一直線なのだろうけど、一発言終了はちょっと寂しかったかもしれない。
[風のように去ってしまったクレメンスを見送り、彼に注意をされたけれど、どこかに行く気もせず、中庭に留まった。
――だって、どこに行けばいいというのだろう。]
……っ!
[義理の両親が自身をここへ送り込んだ意味、考えれば考える程胸が苦しくなって、何度も瞬きを繰り返した。]
〜♪、―――……
[外に出ることはほとんど許されなかった。
外泊するなんて言語道断、こんなに自由な時間を過ごしたことはない。
だから帰る場所はないのだと、草笛を奏でながら現実を噛みしめる。
――アーヴァインと結婚するしか、道はないのだと。
それでもローレルは微笑み続ける。涙を零したくないから**]
[だからマリエッタとこうして話が出来ることが、神様がくれた最後のプレゼントなのだと思った。]
ふふ、はい。
マリエッタさんのことを、お友達のことを知れるのは、こんなに暖かな気持ちになるものなんですね。
[くすくすと笑みを零して、弾んだ声を返す。]
私、忘れません。ずっと、ずっと。
だからもっとたくさん、お話しましょうね。
[たとえ二度と会えなくても、かけがえのない思い出として胸にしまい続けよう。
にこにことした笑みは見えないけれど、声はきっと表情すらも表現していた。]
これ、から……。
[初めて聞いた言葉のように、驚いた声をあげる。
ローレルにとって、次というものはないに等しくて、草笛を教えてくれたあの人も、籠から落ちたオレンジを拾ってくれた誰かも、大切な思い出に登場する人物はたった一度しか会えたことがなかった。]
え……あ、はい。
マリエ、ッタ。
[楽しげな声に釣られるように彼女の名前を音にすれば、胸に広がる温もりにそわそわした。]
マリエッタ、私と一緒にお出かけしてくれるんですか……?
お買い物したり、ご飯を食べたり、あとは、えっと、えっと……。
[お伽話の中の話、ただの夢。
口に頭が追い付かなくて、言葉を詰まらせた。]
[こんなに長時間草笛を奏でたことはなくて、だんだん口が痛くなってきた。
僅かに赤くなった唇を指先でなぞり、ぼんやりと空を見上げる。
朱と藍の交わる様子に目を細め、小さな手を伸ばした。]
……。
[届かない。届かない。
けれど悲しくはなくて、そうあるべきだとさえ思う。
ポンチョを身体に纏わせて、頬を撫でる冷気に微かに震えた。]
できる、かな……。
私にもそんなことが、できるのかな……。
[マリエッタに向かってというよりは、茫然と呟くような声だった。
そんな、そんな夢みたいなことがあっていいのかな。
足元がふわふわする。]
ふふ、マリエッタの恋のお話、聞かせてくださいね?
好きな人とかいないんですか?
[冗談めかした笑みを、好きな人のことを考えていたのだろうと勘違いして尋ねる。
彼女が幸せだと嬉しい。だって世界で初めて、大切なお友達だもの。
頬を流れる涙にも気づかないまま、自然と笑みが浮かんでいた。]
わーい、たぶんクレメンスさんが気を遣ってくださった気がする。
ありがとう!
さっき寂しいとか言ってごめんね!
だってぼっち切なかったんや…(´・ω・`)
え……あ、ごめん、なさい。
[語調の強くなったマリエッタに怒らせてしまったかと、震えた声が零れた。
けれどすぐに普段の調子に戻った様子に、そっと息を吐く。]
あ、秘密にしたいならそれでも。
私、マリエッタのこと、いっぱいいっぱい応援します!
[勘違いをしたまま、気合の入った声で答えた。
拳をぎゅっと握りしめる様子が目に浮かぶほどだ。]
残念なことにここで空気読むスキルなんてローレルにないんだ…。
ふたりっきりでいちゃいちゃしてていいんだよ!?
[マリエッタの起こった理由が理解出来ず、けれど自身に対してではないことに安心した。]
悩んでいる……?
私じゃ、力になれませんか……?
[何も知らないけど、何も出来ないけど、何か力になりたくて。
そっと触れるように尋ねた。]
[マリエッタの言葉に小さく息を飲んだ。
恋人が出来れば逃げられるなんてことを聞いたこと自体が初めてで、そんな考えは自身の中になかったのだ。]
それ、は……。
[そうすれば、自由になれるんでしょうか。
思わず零しそうになった言葉に自身が一番驚いて、口を噤んだ。
マリエッタの感情が綺麗で、対比するような自身の汚さに辟易する。]
……マリエッタは、別の場所で出会えたらって思う人がいるんですね。
きっとそれだけで十分だと思います。
貴方が恋をしている。
その事実はどんな事態になろうとも、決して翳るものじゃない。
好きな人にだって、その気持ちはちゃんと伝わりますよ。
[叶うなら、今隣にいる彼女の手を握り締めたかった。
けれどオズワルドに不審に思われてしまうだろうし、気持ちだけに留める。
言葉が上手く出て来なくて、こんなにも話し慣れないことを後悔したことはなかった。]
[オズワルドの問いにこくこくと首を縦に振る。]
……?
[しかしシュウマイが何なのか、よく分かっていなかった。]
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