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― 戦場 ―
[雑然として乱れていた戦場が、魔王の意の響くままに秩序を次第に取り戻していく>>30
シメオンの放った動く死体どもは、その多くを切り払われ、炎にまかれ、残ったゴーレムどもも引かず動いてあれば、やがて人間どもにより壊されるだろう。
視界が時折、明滅するかの如く閉じられていく。
死霊が聖なる矢をもって、払われていく。]
…────、
[そうした全てを、己が僕どもが失われていく様を、何の感慨も見せず魔将は見下ろしていた。
所詮は消耗品、幾らでも補充のきくものたちである。
ただひたすらに敵へと向かい、そのまま敵を巻き込み壊れてしまえばいい程のもの。その物惜しみのなさが、生きる者とはまるで異質なその進軍が、これまでヒトに脅威を与えてきたものだが。]
( …ご不快か。 )
[音とはせず笑む気配。魔の赤い瞳が、ちらとクレレットにある魔兵器の威容へと向けられる
。
かの退き鐘は魔王の意によるものだろう。
これまで圧倒的な力で踏み潰すを良しとしてきた魔王であれば、雑兵どもといえども魔軍が人間どもに押される様など、確かに不快な光景であるに違いない。
ばさりと、上空で闇の翼が弧を描く。]
( …ご不快か。 )
[魔の赤い瞳が、ちらとクレレットにある魔兵器の威容へと向けられる。かの退き鐘は魔王の意によるものだろう。
これまで圧倒的な力で踏み潰すを良しとしてきた魔王であれば、雑兵どもといえども魔軍が人間どもに押される様など、確かに不快な光景であるに違いない。
ばさりと、上空で闇の翼が弧を描く。]
― 回想/7年前 ―
へえ…。面白いものを持っている。
[唐突に頭上から響いた声。
それを娘はどんな風に聞いたろう。
魔は娘の反応にも動揺にも頓着せず、彼女の目前に降り立った。
ばさり。一瞬、闇色の翼が風を起こす。
娘の目前には、ヒトならざる赤い瞳が、楽し気に煌めいていた。]
ふうん?なるほど?
ははあ…そうか。お前、────「掛け合わせ」、か?
[遠くから見えたのは、かの大鎌の色…気配のみだった。
目に留めて降りてみれば、娘の纏う気配までが良く視える。
覚えのある気配だった。
武器と結び付ければ、一つの名前が記憶の中から浮かび上がる。]
レオンハルトの… 娘、ということか。
ははあ、なるほど………?
[自らの言葉に勝手に納得したように、魔は頷いた。
確かめるかの言葉は、返答を期待してはいない。
ただ魔はひどく楽し気な笑みを浮かべ、非力な獲物を見る目で彼女をじろじろと見つめた。く、く。と、喉の奥から笑みが零れる。]
ふ。娘、ねえ。
… く、く …… あっはっははははは!!!!
────素晴らしい!!
素晴らしいぞレオンハルト、
役に立たない僕と思っていたが、とんでもない!
いいモノを作ったじゃないか!
お前、半分は人間だな?そうだろう?くく…面白い。
下等生物との掛け合わせか、考えもしなかったぞ!
[一方的に捲し立てる。
シメオンの中で、もう彼女は自らのモノと決していた。
当然だろう。彼女の父が魔の僕であったから…ではない。
単に力弱い者は、力ある者に従うのが当然なのだ。]
聞け 深淵に蠢く夢魔どもよ
我は汝らに呼びかけ 汝らに力与える者なり
闇よ 帳を閉じて この者の精神を閉じ込めよ
夢よ、悪しき夢よ この者の記憶と成り代われ
昼は夜となれ 夜は昼となれ
我が瞳 我が息吹 我の言葉は汝を捕え操らん
──── 閉じよ!
[詠唱と共に闇の力が凝る。
魔の右の掌にあるは、自ら懲り固めた闇の魔石、それに呪を込め獲物の喉元に差し伸べる。
石が娘の柔肌に近づけば、石の邪悪はちりと醜く肌を焼いた。]
[ざわり。と木々が蠢く。
次の瞬間、黒い魔石は娘の首に首輪のように…飾りのように輝いていた。衝撃にくたりと娘が倒れようとも構いはしない。
殺してはいない。
ただ精神を封じ、忠実なる生き人形とした娘は、そののち暫くちょっとお気に入りの玩具となった。]
[その後、何度か「掛け合わせ」の再現を試してもみたのだ。
村を襲い、人間を攫い、魔のモノと一所に置いてみるなど試してみた。
だが、その試みは上手くいかなかった。
魔は人間を玩具か食料としか見做さなかったし、結局のところ人間を消費するだけで実験は飽きて終わった。
だからアイリは、唯一の成功例という貴重品だ。
貴重品ではあるが所詮は半ば人間、そのうちすぐ壊れるだろうと思ってた。だが予想に反して彼女はしぶとく生き延びた。
今では案外便利な、使える僕にすらなっている。まったく予想外だ。だが予想外だからこそ、面白くある──*]
/*
マーティンがうっかり生存ルートに足を突っ込んでいる だと。
wwwwwwwwww
wwwwwwwwwwww がんばれ!!!w
― ** ―
[屍術、という。
忌まわしきその術の、出所を知る者はいるだろうか。
契機は5年前、魔王がクレステッドという希代のヒトガタを作り上げたことだ。5年前、魔王の命のままに僕たるアイリを、レオヴィルの皇太子を捕えるため差し向けた。
そのままアイリの如くに操るのかと思いきや、魔王カナン・ディ=ラーグは、魔将すらも思いもよらぬ方法で、見事な人形を作り上げた。
称賛の思いがある。
なればこそ、我が王よ。との思いもある。
それでも悔しさをも覚えるのは、シメオンが、殊の外そうした分野に秀でた者との自負を強く持っていたが為だろう。
何か、別の方法で別のものを。
常の如くに人界をまわり、見出したのがこの術だった。]
[その文書を見つけたのは、ミュスカの森の奥深く。
古くは修道院としての体裁を保っていたかと思われる建造物は既に遺跡と化していて、古びた石には微かにモンテリー王家の紋が読み取れるのみ、緑なす木々の合間にひっそりと蹲ってあるようだった。
そこにシメオンが訪れたのは、ただ気紛れによる偶然だった。
木々の合間に見えた遺跡に、或いは何か目新しい知識はないものかと、さほど期待もせずに立ち寄った。
そこで見出した文書は、古い、蘇生にまつわる試みだった。
元々は、ただ大切な者を死の淵から救わんとする試みであったのだろう。ひょっとすれば著者には、救いたい愛する者があったのやもしれぬ。
どうやら成功せず、日の目を見ることもなかったらしきその研究に、魔は好奇心を動かされた。シメオンが屍術の研究に熱心になりだしたのは、その後のことである。]
[余談だが、ミュスカの遺跡にその後立ち寄ったことはない。
既に用は済んだ。得るべきものは得た。
破壊衝動に支配されているわけでもなかったから、遺跡に手を付ける無駄もおかしていない。ただ少しばかり古びた文書が失われてあるだけだ。
その遺跡が真に守るもの。
それに、魔が気づくことはなかった。]
[ともあれ件の遺跡で見出した、元は人の子の考えた不完全なる術、祈りの術を、魔は昏い屍を僕とする術へと熱心に作り替えた。
人や魔や、幾らでも手に入る死体を使い───時には新たに作り出し、幾度か試して死体を「起き上がらせる」ことには成功した。
たが、彼らには知性というものが欠けていた。
ただ創造主の命のまま、他の生きとし生ける者へと向かう存在。
悪くなかったが、求めているのはこのようなものでなかった。
そうではない。魔王が見せた術は、こんな下等なものじゃない。]
[鮮度が重要かと、敢えて死にたてを用意するなどもした。
知性が失われている、記憶が失われているということは魂が失われているのだろう。そう考え、魔石を使って魂の定着を試みる試みることもした。
すると魂は少しの間留められたが、魔力に耐えかねた生身が今度は失われた。肉の身体を失った魂は正気を失い、青褪めた幽鬼となった。……これも違う。]
[ただ幾度かの失敗を経るうちに、気付いたこともある。
どうやら意志を強く持っているもの、何かの思いを強く持つもの、そうした者の魂は少し”持ち”が良いようだった。
それを魔は、品質が良い。と評価した。
モンテリー王の屍を魔王に願ったのは、モンテリー王の最後の願い>>0:157を耳にしたためである。自らの死と引き換えに、他の生を願う思い。その強さ。
伝え聞く、レオヴィル皇子の死にざま>>126にも重なるようだった。
なればこそ、王とその家族の屍をと魔王に願った。
結局手に入れられたのは、かの魔兵器に喰らわれた後の「抜け殻」であったから、王も王族も知性なきアンデッドと化しただけで終わった。]
これは…いいな。まるごとか、そうしよう。
ふ、それでお前たちは何を企んでいる。
褒美が欲しいならくれてやろう。
お前たちにしては、悪くない土産だ。
[機嫌よく双子に言いかければ、さて何と返ったか。
双子には気前良く褒美を弾んで、魔は女を手に入れた。女は既に絶望を悟っていただろう、なのに凛とした覚悟を決めた良い顔だった。]
『どうか……お願いがございます。』
なんだ、言ってみろ。
[女の願いに、魔は寛大な態度で応じた。
女も、この場で願いを述べるむなしさを承知していただろう。だが、それでも。抵抗も能わず、逃げることも叶わぬ中で女は儚い願いを述べた。]
『私の命は差し上げます。どうなっても構いません。』
『けれど子どもたちを──…息子たちを、どうか……』
『どうかお助け下さいませ。お願いでございます。』
己の命を差し出しても、か。
ふ……どうなっても構わんのだな?
[非力な獲物を甚振るように魔が笑えば、女は身体を震わせて、それでもこくりと頷いた。]
『子どもらを、お助け頂けるなら──…』
………ふん。
[下らんことだとは思う。無意味だろうとの感想すら抱く。
だが、その願いには興味をひかれた。
かのモンテリー王の言葉にも似た、他者を案じる心に興味が動いた。
魔の口元が、にやりと弧を描く。]
良かろう。我はお前の子どもらに手出しせぬ。
[断言すると、目に見えて女の顔が、ほ。と緩んだ。
けれどそれも束の間、続く言葉で再び絶望へと突き落とす。]
…だが。
残念ながら、子どもらはここにはおらぬ。
つい先ほど魔王様に献上されてな。
[女の顔が恐怖に歪む。
それを、ごく面白いもののように魔の瞳が覗き込んだ。]
く、くく。
無事に戻れば、我は約定通りに手出しはせんよ。
その目で確かめてみるがいい。
無論それを、お前が見ることが叶えば。な───…
[ざくり。と、何の前触れもなく女の腹に刃が突き立てられる。
女の瞳は、絶望の色を浮かべたまま宙に凍り付いた。
首を裂くのは良くない。どうにも見た目が宜しくない。
死体の首から上が、歩く都度かくかくする。
だから傷つけるのは胸よりも下がいい。
そうして確実に死を、さりとて素早すぎぬ程の緩やかな死を。
残念ながら、子どもらはここにはおらぬ。
つい先ほど魔王様に献上されてな。
[女の顔が恐怖に歪む。
それを、ごく面白いもののように魔の瞳が覗き込んだ。]
く、くく。
無事に戻れば、我は約定通りに手出しはせんよ。
その目で確かめてみるがいい。
無論それを、お前が見ることが叶えば。な───…
[ざくり。と、何の前触れもなく女の腹に刃が突き立てられる。
女の瞳は、絶望の色を浮かべたまま宙に凍り付いた。
首を裂くのは良くない。どうにも見た目が宜しくない。
死体の首から上が、歩く都度かくかくする。
だから傷つけるのは胸よりも下がいい。
そうして確実に死を、さりとて素早すぎぬ程の緩やかな死を。]
………見たくば足掻くが良い。
強く生を願ってみせるがいい……
[耳に囁きを吹き入れる。
事切れる前に女の唇が動いて、子と、もう一つの名を呼んだ。
……ヨセフ様。と呼んだのは、かのモンテリーの王族の名か。
悪くない。魔は再び小さな笑みを浮かべた。]
聞け 闇に彷徨い出し魂よ
我は汝を 死の楔より解き放つ者なり
我は汝に 永劫なる生を与える者なり
我は汝をとらえ 再び放つ者
暗黒の神の加護を 希う者なり
我は我が生の力をもって
永劫の安寧と苦痛を 汝に授けん
………応じよ。我が屍なる僕よ。
/*
ヨセフ・トネール・ド・モンテリー(36)(※RKヨセフ)
モンテリー王(※薔薇の下テオドール・40代後半)の王弟であり、軍を束ねる将軍の一人。
最前線であるマルサンヌ砦で指揮官をしていた。
王の名代として各地視察や隣国訪問をすることが多い。
同い年で貴族出身の妻(※C&Dヴェルザンディ)と2人の息子(長男(※薔薇下ロヴィン)15歳・次男(ベルティス)8ヶ月)が居る(砦崩壊時は王都に居住)。
長男の乗馬訓練の際、長男が騎乗していた馬が暴走、森に迷い込んだ時にシャドウに助けられ、以降屋敷に招くなど交流がある。
ロードの兄とは親友。
装備:クレイモア、プレートメイル
(魔法なしの物理型、騎馬可)
ロード:隣国皇太子。稽古をつけたりと親睦がある。
シャドウ:長男の友。長男を助けてくれた恩がある。
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