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……もう、いいダロ。あんまり歩くト、脚を痛め、…
[そうシて、伸ばしタ腕が她ノ肌へと触れタ瞬間。腹ノ熱が、一際大きなものとなる。
煮えるような熱さを持ち始めタそノ脚は、次第に、次第に。思考を、視界を溶かシていくようで。
なめらかな肌、大きな瞳。僕に対シて絶対なる信頼を寄せているそノ眼差しは、酷く心地よい。
手の大きさも、僕よりもずっと、ずっと小さい。肉は柔らかく、きっと臭みなんてひとつもないノだロうと思えるくらいには”綺麗”なままダ。
誰にも、何にも。侵されタ事ノないそノ身体。その心。
噫ダけれどそノ姿も今ダけだ。いずれは成長シて、心も身体も熟れていってしまうのダロう。
――魔導書が見つかれば。そノ姿のまま、不老でそシて不死でいられるノかもシれないけれど。
ダけれどもしも、其れが見つからなかっタ時は――?]
……、ハ。
[短い、短い息を吐いて。熱で朦朧とする頭をぐらりと傾がせ、她ノ肩を強く掴む。
傾いだ頭は、その小さく頼りない方ノ上へ。ふわりと香るノは、幼娘特有ノ甘い香り。
そう、何方にせよこノままいけば、次ノ她の誕生日には”お別れ”をする予定ダっタノだ。
ならば、いっそ。別に”今”そうシてしまっても――いいんじゃあ、ないか。
――或いは。以前から頭ノ片隅で、考えていタ方法。
こノ僕の牙でもって、她を僕と……”同じに”、してシまえばいいんじゃあないか?
穢く、穢れタ、哀れな
そんな存在に、女神を貶めてしまうノは許せない、我慢できない。
――ダけれど、もう。同じくらい、”お別れ”も耐えられなくなってきタんだ。]
……じっト、シてろ…ヨ。
[そうして。熱に浮かされタ僕ノ唇は、果タシて何を呟いタダロう。
それすらも解らないまま、自分が今”何をしようとシているノか”すらも解らないまま。
目ノ前に見える、細く白い首筋。
そこに向けて、尖りもシていない歯を立て よ う ト]
[怖い物なんてないと、その言葉が返ってきたのなら、ドロシーはひどく満足げにほほえみました。
ええ、ええ。そうでしょうとも。
彼には、ドロシーを失くす以上に恐ろしいことなど、あってはいけないのですから。
ドロシーが"そばにいる"と言ったのなら、不安もなにもかも、ふきとばしていただかないと]
なら いいんです。
しんぱいすることなんて、なにもありませんよ。
[彼の思惑も、想いも。ドロシーには気づけません。
だって こうも幼い自分を、彼が"想って"くださっているだなんて、どうして思いつけましょう。
色恋沙汰など、ドロシーにとってはまだまだべつの世界のできごと。
男の人と愛しあうより、"玩具"と遊んでいるほうがよほどたのしいというもので。
そんなドロシーが、彼の想いに気づくなど。どだい、むりなお話なのです。
――彼にとって、それは幸いなのかもしれませんが]
[彼がなにごとかをささやけば、ちらりと視線を向けたものの。
まぶたへと口付けが落ちてきたのなら、問いを投げたりはせずに。
撫でるようにその髪を 梳いてさしあげましょうか]
/*
くっそうまいことかわしやがって!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!あああああああまってかわいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
[向けられる眼差しガ心地良い――ト。先程迄は、確カにそう思っテいた筈ナのに。
ダけれど今、她カら向けられる眼差シ>>163は、酷く心地ガ悪いもので。
普段ナらば、そうも少シ思考ガまトもに働く時ナらば。她の言う、僕にダけ影響ガあるトいうその不自然さにも、思い至ったのだロうけれど。自分の汗を拭い、心配そうナ眼差シを向ける她に向けテ、心配するナと笑いカける位はきっト出来たのだロうけれど。
例え、過保護ト思われようと。脚を痛める事への心配ト、この腕に她を抱いテおきたいトいう欲望カら、その身体を抱き上げる事も出来たのだロうけれど。
しカし今は、其のどれもガ果たせずに。
緩く頭を撫でる手>>164に、吐く息は酷く熱いもの。肩を掴む手は她に何を与えただロう。痛みカ、不安カ――或いは、その両方カ。
ダけれどそれガ解っテいようトも、渦巻く情動は鎮まらナい。
目の前に見えるのは、細く、シカし柔らカい肉の付いた幼子の首。
今ここで、この首に歯を立テテしまえば。柔い肌の奥にある、血潮の流れる脈へと噛み付いテシまえたのナら。その首を捻り切り、芳シいその生き血を啜っテしまえたのナら。]
――………、
[だけれど。ふト、制するように差シ出された手>>165に、肌に触れそうにナった歯ガ止まる。
それは、意図しテした事では無い。她ト出会っテカら今迄の間に、僕ガ自らこの身体に刻み込んで来た事。
僕では無く、別の場所を――この部屋の入り口の扉に向けられた視線は、酷く不愉快ダったけれど。シカしその苛立ちは、少ナくトも女神の喉を噛み切るトいう愚行を止めるのには、大層役には立っテくれた。]
……ぁ、…いイ、や。
何でも……、無イ。何で、モ。
[傾げられた首>>166に、僅カに思考の靄ガ晴れる。
……そうしテ、今シ方犯しカけた過ちに。熱を持った頭ガ瞬時に冷えるのを感じる。
噫。今、僕は一体何をシようとシたのだロう。まさカ、まさカ。穢れ無き女神を僕のこの穢らわシい牙でもっテ、僕と同じ不浄ナ存在へと貶めようとシたトでも言うのだロうカ。
駄目ダ――駄目だ。そんナ事は、赦されテ良い訳ガ無い。
她は女神。僕の女神。穢れ無く純粋で、美シい存在であらナければならナいのに。]
……、いいダロ、そんナの。
何も聞こえテナい。
……悪イ。
少シ気分ガ……悪くテ。暫く休憩させテくれナいカ。
[問い返すように首を傾げる她>>166に向けテ、憮然とシた表情でそう呟き。辛くナっテきた身体カら力を抜けば、她の身体ごト床に倒れこんダ事だロう――僕ガ蘇った、あの日のように。
無論、她の身体ガ傷付カナいように気は付けテいたけれど――噫。今日の僕は、一体どうしテシまったんダ。
先程の"おにいさま"の話>>162ダっテ。普段もあまり気分は良くは無カったガ、ここまで苛立つ事も無カったのに。
父ト、母と、そしテ僕。それ以外の存在に向けテ女神ガああも嬉シげにするのガ――苛立っテ苛立っテ、堪らナい。
そんナ内心の苛立ちに、奥歯を噛み。ダけれど女神の暖カさを感じナガら床に寝そべれば、心も身体も幾分カ軽くナっテくれた。
だカら、もう少し。腕に力を込めるようにシテ横向きに女神を抱き締めテ、良い香りのするその髪へと擦り寄る。
そうしテいれば、きっト。この耐え難い熱も、収まっテくれるト信じなガら。]
[開いた先に見えるのは、柔らカな金の髪。二年前に惚れ込んでカら、どれほど焦ガれテ来ただロう。
その髪はどんナに柔らカいだロう。どんナ香りガするだロう。
その肌はどんナに滑らカなのだロう。その声はきっト鈴の音のように違いナい。
そうしテ想いばカりガ募っテいき。漸く相見えた時の僕の喜びト言ったら。
それカらは、ずっト。”何時もの"ように、慕情も劣情もひた隠しテ、真摯に仕えテ来たつもりダけれど。
だっテ、だっテ。僕ガそれを見せテしまえば、她トの時間は"終わっテ"しまうカら。
――一日でも、一刻でも。ほんの少シでも長く、共に時間を過ごシたカったんダ。
だけれど、今は。まるで押さえ込んできたその情動ガ、一気に吹き出テ来テいるようで。
噫、その肌を。柔らカく張りのある幼子特有のその肌を、舐めテ貪っテそしテ齧りついテ、小さナ唇カら漏れる声を味わいたい。
大粒の藍玉は、どんナ色を映すだロう。また、あの濁った猩ガ滲むだロうカ。]
[そんナ事を、考えテいたのナら。汗ばむ身体は、自然ト動き始める。
ゆらりト身体を起こしテ、そのまま女神の身体に覆い被さるように。上ガった息は我ナガら無様で仕方なカっただロうけれど、それを気にしテいる余裕は無い。]
――……"ドロシー"。
[口をついテ出たのは、普段は決しテ呼ばない女神の名。愛おシい愛おしい僕の女神の名ではナく、"たダの"一人の幼子の名。
噫、やめロ。頼むカらやめテくれ。
湧き上ガる情動に向けテ、遠い所でそう叫んではいるけれど、果たシテそれに意味はあったカ。
このまま、流されテしまったのナら。僕はきっト、この女神ガ生きテいる事を――許せナく、なっテしまうのに。
そうしテ、薄く笑みを浮カべテ見せテ。体内トは打っテ変わっテ不自然ナまでに冷たい手のひらを她の頬へト押シ当テたのなら。
浮かべルのハ、まるデ恍惚とシた表情を――今迄、見セた事ガ無いようナ。
ゆっくりト、身体を傾けさせ。
恋シさに身を焦ガしつつも結局は触れる事の出来なカったその唇に、自らのそれを重ね合わせた。]
[ゆるゆる、と。その背を撫でる手は止めず、此方からも すり寄るように。
彼の様子がおかしいのは きっと、具合がわるいから心細くなっているんでしょう。
考えてみれば、故郷からはるか遠くによび出された彼は、正しくひとりぼっちなのです。
彼には、ドロシーしかいないのです。
そんな彼がこうやって"あまえて"きているのですから、はねのけてはかわいそうというもの。
多少痛くっても、やっぱり。我慢してさしあげましょう。
彼が身体を起こしたのなら、よくなったのかと顔をほころばせようとしたのですが……
けれど 聞こえてきた荒い呼吸音に、眉を下げたまま]
なんですか、あーちゃん。
[いつもと呼び方がちがうことには、気づいていました。
そして それが、主をよぶには似つかわしくないものだということにも。
それでもそれを受けいれたのは、彼が弱りきっていると信じているからで。
心細さからくるあまえなのだと、むしろそれをあいらしく思いながら。
返す言葉は、瞳は。ひどくやわらかいものだったでしょう]
[彼が見せたことのないその表情の意味を、ドロシーはしりません。
だって そんな表情、彼だけでなく、他の人のものも見たことはありませんでしたから。
だから、近づく唇も拒むことはしませんでした。
――しっていたら、きっと。
必死になって、彼の下からのがれようとしたのでしょうけれど]
……よしよし。
きょうはなんだか あまえんぼさんですね。
[相手が従者とはいえ……いいえ、だからこそ。
歳上の男性にあまえられるという経験は、なかなかあじわえるものではありません。
うかれてしまうのも、しかたのないことでしょう。
此方からも頬に手をそえ、一度はなした唇を追うように軽く口付け。
なだめるようにほほえみをおくります]
あーちゃんには、ドリィがいますからね。
さみしくなんか ないですよ。
[だからはやく、いつもの"あーちゃん"に もどってくださいね]
/*
????????????????ねえ??????????ぼくのめがみ女神すぎない???????ちょっと凶暴化解いていい??????(あかんまだ1d)
/*
ドリィちゃんの信頼がつらい。。。。なんでそんなに信頼してるの。。。。ねえ。。。。もう。。。。つらい。。。。。。。。。。。。。。。あああああああうううあああもおおおおおおおとうといよおおおおおおあああああドリィちゃん;;;;;;;;;;;;;
[僕の不敬ナ態度に対シ、きつくきつく眉を寄せながらも>>209。僕の身体が傾いだのナら、直様心配そうに向けられる藍玉の瞳。
そシてそこには、一欠片の恐怖も、疑いもありはシない。
背を撫デる手だっテ、気遣わシげに掛けられる言葉だっテ。她は、何時もト何も変わらナいのに、シカシ僕はその言葉には何も返せナいまま。
それは、酷く心地良いもの。だってそれは、僕ト她が過ごシて来タ時間が、幸せナものだっタという証。
だから她が上げタ小さナ小さナ悲鳴>>210はほんの寸刻、細めタ目の中に戸惑いの色を――それも直ぐに、掻き消されテ行っタだロうけれど。
――噫。こうも乱暴に、爪を立てられテ、尚。未だ止まらぬ背を撫でる手は、幼娘故の無知さカ、或いは――僕への、揺るぎナい信頼なのカ。
逃げるデもナく、寧ロ此方へト擦り寄るように寄せられる身体には、伏せタ顔は酷く、酷く歪んだ事だロうけれど。]
[她の心の中まデは、覗く事は出来ナい。シかしもしも、覗く事が出来タのナら……她のその思考に、或いは涙すら流シタのカもシれないけれど。
甘えている自覚ナど、微塵も無くトも。噫シかしきっト甘えるトはこう言う事ナのだト、ぼんやりト考えタ事だロう。
初めテの口付けが受け入れられタ事には、喜びト、そシて其れよりも大きナ恐怖ト、驚愕ト。
離れタ唇を追う様に贈られタ拙い口付けには、更ナる恐怖ト、情愛ト。
――そシて。こうしテ口付けを交わシても尚、欠片も濁る事の無い她の姿への、大きな安堵を。]
………、寂シいヨ。
[宥めるようナ言葉に思わず零れタのは、酷く情けナいそんな言葉。熱デ朦朧トしタ思考は、她の自分を撫デる手によっテ、一欠片の理性を取り戻シてくれる。]
…………、
"ドリィ様"は、もうすぐ……誕生日、だロう。
[僅カナ逡巡の後、静カに、静カに言葉を紡ぐ。あの黒光の影響カ、はタまタ先程カら頭に響く”声”の所為カ。思考を奪う程に上がる熱は、抗いがタいものだけれど、シかし。]
僕は、小さナ……オマエ位の歳の幼娘が好きナんダ――そう言う、性癖を持っテる。
耐えられないんだよ、惚れタ相手が、醜く育ってシまうなんテ。
……だカら僕は、…、その日。
オマエを、殺すつもりだっタんダ。
[吐き出しタのは、ずっト秘密にシていタ想い。上がっタ息でトぎれとぎれになりながらも何トカ伝えタその言葉を、她は果タしテどう思っタだロう。
半ば自嘲気味に浮カべタ笑みと共に再度近づけタ唇は、今度こそ拒まれてはシまっタだロうカ。]
[寂シい、――そう、寂しくテ堪らナいトも。別れの時が、決まっている事が。
そシてそう思いつつも、この想いを曲げるこトの出来ナい自分が酷く、口惜しい。
こんナ事を思うのは、初めテだっタけれど。
だけれど、何時ものように。その首を捩じ切り、不死の存在トするカ。或いはそのまま、自分の心の中デ永遠に”生きて”貰うのカ。
今まデ平然ト取っテきタその選択肢に対シて、今にナって迷いが生じてシまっタのは――きっト。甘やカすように僕の背を撫でる、この小さな小さナ手のひらの所為。
僕は此れでも、幼娘には優シいんだ。そこそこに義理堅い所もあるんだ。
――だカら、ト。名残惜シさを噛み殺シ、荒ぶりそうになる情動を押し殺し。女神を抱いタ腕を、そっト、離す。]
さっきカら、酷く暑くテ……頭が、回らないんダ。
最初は、……オマエを僕ト、”同じ”にしようと、シタ。
次は、オマエの”純潔”を奪おうとしタ。
次は……きっト、オマエを殺シてしまうヨ。“そういウ”接吻を、シてシまっタカら。
………、“ドリィ”、オマエは僕の、女神なダヨ。
[――だカら、どうカ穢されナいデ。
そのまま僕カら、逃げテくれないカ――遠い、遠い。僕の手の届カない程、遠くまデ。]
[口付けを受けいれられた彼は、ただ喜んでいるというふうには見えなくって。
それが少々不満ではありましたが、それでも 此方からも口付けをおくってさしあげて。
……それにしても。これまでだってキスはしたことがありましたのに、彼はどうしてこんなお顔をするのかしら。
さびしくないと言っているのに、返ってきたのはなんとも情けない言葉。
それがおもしろくなくって、すねたような表情を向けていましたが……続く静かな口調に、文句もなにもかもを飲みこみます。
ああ、だって。彼の口からこぼれる言葉は、まるで懺悔のよう。
ぽつぽつ と落とされる"想い"を、ドロシーは正しく理解することはできません。
けれど 彼に愛されていたことと、殺されるところだったということはわかったでしょうか。
……それでもそれは "理解"とは、ほど遠かったでしょうけれど。
その唇を受けいれてしまったのは、なぜでしょう。
ずきずきと胸が痛むのは、此方の信頼が裏切られたからと、それだけでしょうか]
――……おおきくなったドリィは みにくい ですか。
[ あなたのそばにいるのに ふさわしくないですか。
――つむぐ言葉は、主人から従者へ向けられるのとは、まったくもって似つかわしくない言葉で。
どういう想いでその言葉を口にしたのか、ドロシー自身にもわかりはしません]
それなら、どうして。
ずっといっしょにだなんて、いったんです。
[その瞳には、もう かがやきすんだ蒼など存在しません。
どろり、と。ひどくくすんだ紅がひろがって、おおきな雫がひとつこぼれ落ちました。
昏い紅は、蒼とまじりあうことなく。
相反する色はよどみ、ただ にぶくひかるだけ。
それでもそこからこぼれる雫だけは、ただ 清らかにすんでいました]
[はなされる手を、追いかけることはできません。
彼の言葉を最後まで聞くこともせずに、するりとその身体の下から抜けだして。
兎の人形を強く強く抱きしめながら――そのまま、研究所からかけて行きました。
あそこで彼を"土くれ"にもどすのは簡単だったでしょう。
いいえ もしかしたら、なんらかの力に邪魔をされて、それは不可能だったかもしれませんが。
どちらにしろ、ドロシーには彼を"壊す"ことはできませんでした。
それは、死霊術師にとってはあってはならない未練で。
パパやママが知ったのなら、きっと 怒られてしまったのでしょうけれど]
――いやだよう。
いやだ……、あーちゃん、
[あてもなく走り続けながら、だだをこねるみたいに言っても 返ってくる言葉なんて、あるわけもありませんのに。
ドロシーにはまだ、それすらも理解できないことで]
ずっといっしょにって、いったのに……!
[恨みごとは、だれもいない廊下に反響するだけ]
[――ドロシーは ぼろぼろこぼれる涙をぬぐい、どこか隠れる場所はないかと やみくもにあたりを見まわしました。
薄暗い廊下に聞こえるのは、ドロシーの走る不規則な足音だけ。
いいえ、もしかしたら彼の足音も、聞こえているのかもしれませんが
それを聞きわけるだけの余裕は、今のドロシーにはありません。
走って、走って、はしって――、
走る間 いくつ目かの扉が目に入れば、あわててその部屋へと身体をすべりこませました。
急に走ったせいか、義足の接合部がぎしぎしと痛みをうったえていたためです。
どうやらここは 寝室のよう。
おおきなきらびやかな調度品の中に、おおきなベッドがひとつ。
ドロシーは痛む足を引きずりながら、その下へともぐりこみます]
は はぁ、はあ……、
[あらくなる息を必死に押さえながら、視線は警戒するように入ってきた扉の方へ。
……彼が本気を出して探したのなら、きっと。ドロシーを見つけることなんてたやすいはずです。
それでも扉が開かれないことをただひたすらに祈って……ドロシーは、ぎゅうと人形にすがりつきました]
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