情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
『 おい、シュテルン君!
大丈夫か?! 』
[ 爆風を突き抜け、僕は身をたてなおした。 ]
大丈夫……です!
[ 機体の状況チェックをしたが、問題なし。
でも、ヴィルトから見えるラプターの機体は、青の虎柄ペイントがところどころ煤けていた。
ちょっと残念に思う。その虎柄がかっこいいところなのに。 ]
……。
[ ウルズの通信>>61に耳を傾ける。
そうだ。僕は軍人ではなく、民間人。
給料のために働く企業戦士だ。 ]
……でも。
それでも人類救済計画の一翼を担う者です!
……絨毯爆撃ほど軍資金の無駄で、無意味な戦い方はありません。
それよりちょっと気付いたことがあるんですが、
聞いて、くれませんか!
[ 僕はオープンチャンネルで全軍へ向けて叫ぶ。 ]
僕は、蟲たちにそんなに詳しくはありませんが、
普通の蟻の巣移動なら、見たことがあります。
蟻は、ある巣が頭数上限に達したら、
若く新しい女王蟻が兵士を引き連れて、別な場所に巣を探しに行くんです。
この蟲たちも一緒だとしたら……、
この群れのどこかに、女王蟻が居るんじゃないでしょうか?!
僕には女王がどれなのか、判別する知識がありませんが……!
誰か知ってる人は……?!
……。
爆撃をすること自体が目的なのですか?>>68
[ 企業や軍によっては、資金が決められていて、
使い切らないと次が補給されないなんていうところもあると聞いたことがある。
絨毯爆撃が下策>>65と、心から思っていたがために、そういう発想になって。 ]
……!
蟲もやはり女王は大きいのですね。>>70
[ 割り込んで来たアンデッドなる男の声に、納得のうなづきをする。
本名じゃなさそうだから、コードという奴だろう。 ]
そいつを倒したら、こいつら引くか、弱体化するかなりしませんか?!
[ アリーセの通信>>69にはっとするが、
座標が遠いのでその場を動かずに。
輪を出てこちらに向かってくる蟲のみ、打ち倒す。 ]
今のこの複合軍は、統率がとれていない……。
爆撃をしたって、無駄に終わるんじゃないか?
僕はそれを危惧しているんです……。
……?
[ >>77「何かしらの偏見」の意味がわからずに、
僕はヘルメットの中で瞬きする。
「絨毯爆撃は下策」のことについてだろうか。 ]
クイーンスレイヤー?
そういう名称があるってことは、有効な方法ではあるのですね。
[ やるならば、爆撃が始まる前に行って帰ってくる機動力が必要か。
僕は唾を飲み込んだ。
「民間人」については、上空のアヴェから「丸くて見たこともないような機体」と聞いてハッとした。 ]
クレモトさん……。
─ 戦場 ─
い、一応勉強は出来る方ですよ……?
[ 連合軍を名乗る男の声>>84に、小さく抗議する。
が、着弾場所変更の言葉を漏れ聞いて ]
……?!
ちょ、どこに変更するんですか、どこに!
[ 巻き込まれる可能性がなかったので、待機していたが、
変更となれば事情が違う。 ]
『 あの船から艦爆するのかい?
砲台の向いてる方向は……>>86 』
[ 上空のアヴェの報告を聞く。
それなら巻き込まれることはないが、爆風くらいはきそうだ。
僕はその場でラプターを防御姿勢にさせ、榴弾の着弾に備えた。 ]
……!
状況は?!
[ ヴィルトからの視界で、状況を把握する。
友軍前衛ごと「きれいに」なった空白地帯。
今の爆撃で空いた穴。
その中心にそびえる巨大な蟲と、弾丸のように突き進む青い機体>>98 ]
あれは誰です?!
なん、て無茶を……?!
あれはなんだ……!!
攻城兵器?!
[ 天から落ちる光。
美しくて恐ろしくて、コンソールに置く手が震えた。 しかし、僕は防御姿勢を解き、4本足で立ち上がる。
即座に最速姿勢で走り出して。 ]
『 おいおい、
行くつもりなのかい? 』
ジンロボならどうしようもないけれど……。
ギアならば、ラプターの背に乗れる!
あんな大技、尋常じゃない。
帰ってくる方法がないかもしれません。
だとしたら、放っておけない……!!
[ 聞こえた声>>104にハッとする。 ]
アネーリオさん!
すみません、それでは退路確保をお願いします!
女王に直接攻撃を仕掛けた人が居るんです!
僕はその人の安否確認に行きます。
女王がうまく倒せていたら、恐らく蟲は引き上げて行くと思いますが……。
そうじゃないのもいるかもしれない!
パイロット シュテルンが「時間を進める」を選択しました。
[ 蟻たちは、先ほどまでとは違い、明らかに統率を欠いているようだった。
引き上げる者、右往左往する者、それでも進む者。
ずいぶん狭くなりつつある「穴」を、ラプターは虎柄の矢になって駆ける。
真っ二つになって湯気をあげている女王の傍に、
動かない機体が見えて>>110 ]
機体名称確認を要求!
……アンデッド?
あの人がさっきの通話の人なんですか!
[ 果断だけど、無茶な人だ。
僕はラプターの速度を一段と上げる。かなりの揺れがコクピットを襲うが、構うもんか! ]
おおぉぉぉ!!
[ 通り道にあるし、とりあえずこのギアを踏んでおこうか、
という感じに動かない機体へ進む蟲へ、僕はタックルを仕掛けた。
背部のミサイル砲門がぎしいと嫌な音をたてたが、知るもんか。
危険を顧みずに呉基地を救った英雄に、こんなくだらない死に方をさせるわけにいかない。 ]
大丈夫ですか?!
機体エラーですか?!
燃料切れですか?!
[ 質問をたたみかけるが、返答がない。 ]
くっ!
アヴェ先輩!
報告と爆撃中止要請をお願いします!
[ しかし、
全く動かない機体を、はたして落とさずに運べるものか?
……迷ったが、立ち止っている暇はない。
僕は背部砲門を収納すると、
動かないギアの下に、ラプターの頭部を潜り込ませるようにして、
洗濯物を干すような形で背に乗せる。
申し訳程度に、固定ベルトを射出して巻きつけた。 ]
揺れますよ……!
[ 早めの常足で、蟲の間を縫うようにして進む。
まずはバルタザールと合流だ! ]
[ バルタザールとは無事合流できれば、その後は基地をひたすら目指すだけで。
上空のアヴェからの視覚を頼りに、最適ルートを取って進む。
そうして考えるのは、さっきの光のこと。 ]
……。
[ あれは何かとんでもないものじゃないだろうか。
威力から推測して、恐らく攻城兵器……。
だとしたら、一個人が持っていい兵装の領域を超えている。
艦船や、固定砲台のレベルだ。
……アンデッドとは無関係だ、という可能性も一応はある。
だが、「クイーンハント」の作戦を聞き、女王の位置を割り出した彼が、傍に到着したと推測されるタイミングと、あの光の発動がほぼ同時。
全くの無関係とも思えない。
遠隔攻撃のようだったが、巻き込まれかねないほど近くにいたのは、恐らく発動条件。
安全装置の類だろう……。 ]
[ 結論は出ず、僕は結局首をゆるく振った。
彼は軍人だ。
ならば、あれは軍の秘密兵器か何かだったのだろう。
彼は人類の味方だ。
その事実さえあれば、他のことは追及すまい……。 ]
呉についたら、一休みの時間があるといいですね。
[ バルタザールには、そんな風に話しかけた。 ]
女王は真っ二つになってました。
さすがに倒した証拠は持ってこれなかったので、
視覚映像を記録したのを、基地に渡して証拠としましょう。
ギアのパイロットからの応答はありません。
ここで無理やり開ける訳にもいかないし……、
生きてることを祈って、基地まで運ぶしかありませんね。
[ でも応答がなくて良かったかもしれない。
気絶しているか……さいあく死んでいるかわからないけれど。
もし意識があれば、普段はないような方向からの振動や、
装甲同士がぶつかりあってガチガチ鳴る不協和音に、
きっと気持ちが悪くなっていただろうから。 ]
大阪にいつ戻れるかな……。
企業説明会に間に合うといいけれど。
[ ぽつんと落としたつぶやきに、意外なところから返事があった。 ]
『 ああ、まだ連絡が行っていなかったのかね。
君は次の企業説明会には出なくてよろしい。 』
[ アヴェからの通信に、僕はびっくりする。 ]
出なくていいって……。
でも、次はファルケンとラプターの売り込みを兼ねてるんでしょ?
販売予約が入らないと、次が作れないって。
……も、もしかして。
元の仕様が見る影もないほど、ファルケンが魔改造されてるんですか?!
シュテラったら……もう。仕様変更書を出してから改造しろと、あれほど……。
[ 微妙な沈黙があった。 ]
『 とにかく、心配は要らないから。 』
……はあ。
分りました。
では、民間戦報告と、報酬分配を終えてから帰還します。
『 うむ、それでよろしい。
私は一足先に帰還しよう。 』
[ 赤い戦闘機は、空中で鮮やかに一回転すると、西を目指して飛んで行った。 ]
― 帰還中 ―
[ バルタザールの質問>>138に、 ]
はい。
わが社の主力機<メイン>です。
エースパイロットですよ。
[ 僕は意味を誤認していると知らないままに答えた。
彼がそれをどう受け取ったかは彼次第である。 ]
― 呉基地 ―
[ 背に乗せた荷物は、なんとか落とさずに帰りついた。
医療設備を探し、ギアを乗せたままガシャガシャと歩いていたら、
軍属らしい一団に、向こうから話しかけられた。
僕は少し考えてから聞く。 ]
僕は、女王蟻の判別方法を知らなかったんです。
そんな僕に彼がまず言ったのは?
[ 「バカ」だろうとか、「まぬけ」じゃないかとか、「ボケ」かもしれん、
とか言う答えがあったので、僕は彼らを信頼することにした。
少なくとも、人となりを知ってることは間違いない。 ]
これが女王蟻の退治の証拠です。
[ コクピットを開き、ラプターの視界を記録したデータを焼きつけたチップを手渡す。
アンデッドの手柄だ。軍人の報酬分配がどうなってるかは知らないが、
これは彼の味方が持っているべきだろう。 ]
[ ラプターを伏せさせ、手伝ってもらってギアを下した。
彼の後の処遇は彼らを信じて任せよう。 ]
グローセンハンク・メカニカルのシュテルン・ディーツゲンです。
これから大阪に戻る予定ですが、それまでに彼に面会出来ればいいのですが。
[ ギアの中の生死がどうであっても。 ]
僕は、リントナー傭兵団の、クライナー・テラーに乗っているので、何かあればそちらへお願いします。
これ、名刺です。
[ ラプター内に戻りかけ、そういえば、生身をバルタザールに見せるのは初めてだった、と気づく。
このジンロボ世代にはよくあることだけど。
せっかくなので、ヘルメットのバイザーをあげ、
白騎士へ向けて笑顔を向けて手を振ってから戻った。 ]
あとは……と。
[ 司令部へ民間戦闘報告をすませ、その駐ロボ場にラプターを置くと、
僕は急いで街へ買い出しに出た。
バルタザールも何か買い物があるならば誘って行こう。 ]**
[ 初めて見る女性だったが、その声には聞き覚えがあった。>>147
あの手厳しいことを言った人と、同一人物と思えないような、
柔らかな様子にびっくりはしたけども。 ]
……いいえ、僕は何もしていません。
すべては、アンデッドさんの手柄です。
[ そう。
僕は結局いつも、大事な場面では何もしていないんだ。 ]**
ロゴ
http://wolfsbane.jp/img.php?filename=dc_1028319_1_1391794046.jpg&m=pc
明日メモ貼り。
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新