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7人目、空晶石の守り子 パメラ が参加しました。
空晶石の守り子 パメラは、囁き狂人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 『神魔の領域』・外周の森 ―
……本当に此処が、
あの伝承の場所で合っているんだろうか。
[立ち止まって不安に周りを見回したのは、数刻前に足を踏み入れてから変わらぬ景色を見せる森の様相に。
今歩いている道が正しいのかどうかすらも定かではなく、
だれかに確かめようにも自分以外、人どころか獣の気配すらも感じはしない。
引き返すべきか、進むべきかも迷う中、
どうしたものかと落とした嘆息は射した光にふと、途切れ]
え…?
[木漏れ日かと上げた視線に映ったのは、光と共に舞い落ちてくる一輪の花。
眩しい光だと目を細めれば、舞い落ちる花自身も煌めいているのにようやく気が付いて。
その茎が己の天命石と同じ煌めきを宿しているとわかったのと、その花が手の上に降り立ったのは同時で。
刹那響いた声>>6に、細めていた瞳を瞬きの後大きく見開いた]
[周囲には気配すら無かったし、今も無い。
それでも聞こえた声、そして今この手の中に確かに在るこの花は]
少なくとも、伝承の場所で合ってはいる。
…のだろうな。
[ならば、私の手に在る此れと同じ花、
紫羅欄花を持つ者を見つけ出してみせようと。
迷いを払った足取りで、更に奥へと続く道の先へと歩を進めていった**]
─ 『神魔の領域』・外周の森 ─
[自分の手元に降ってきた此れと同じ花を携えし者。
それが誰かも、何処に居るかもわからないまま、けれど進める足取りは危なげ無いものだ。
それは私の住む集落が辺境に在るからというのもあるが、幼子だったあの頃の思い出も大きいのだろう。
今はもう、苦いものと変わってしまった、記憶だけれど]
─ 回想 ─
[私の住む集落は、神魔の領域の周辺にある国よりも離れた辺境で。
決して豊かとはいえないが大体は自給自足で事足りていた生活の中、男は戦いの術を、女は生活の術をそれぞれ身に携えることがそれぞれの役割となっていた。
その集落の長ともいえる土地守の一族の家の娘に生まれた私も、当然その役割に準じるものとして育てられるはず、だったのだけれど]
なんで、わたしは、したらだめ、なの?
にいさまは、まいにち、やってるのに。
[物心ついて、言葉を発し、自らの意思で動くことを覚えて。
二つ上の兄が毎日している素振りを見て、自分もやりたいと思った。
けれど、見よう見まねで棒を振っていただけで周囲からダメだと言われて。
生じた疑問へと返された答えに、私は納得できなかった]
にいさまや、とうさまが、みんなをまもるために、してること。
どうしてわたしは、やったらだめ、なの?
[男はこの地、皆を守る為に武芸に励み、女は生活を守ることを第一に。
だから女の子はそんなことしなくていいのと何度言われても、私は分かったと頷くことができなくて。
頑なに拒む私を見兼ねて、何でそこまで、と踏み込んできたのは祖母、だった]
「パメラ。
あんたがそこまで強情はるのは、なにか理由があるんだろう?
ひとつ、あたしに教えちゃくれないかい」
おばあさま。
…うん。あのね。
[祖母は自らを変わり者と称している人だったけれど、私にとっては変なところなんて全然なくて。
私の話を聞いても、変な顔をしたり、笑わないでくれると信じられる人だったから、きっとほかの人に対してなら素直に言えなかっただろうことも、話すことができて]
にいさまや、とうさまたちは、みんなをまもるために、
たたかえるようにって、けいこ、してるんでしょ?
わたしたちをまもるために、つよくなろうとしてるんでしょう?
でも、じゃあ。
にいさまやとうさまたちは、だれが、まもってくれるの?
[ぎゅ、と。
正座した膝の上に置いていた手、握った拳が震えるのは不安と、納得のいかない理不尽への両方で]
みんなね、おんなのこがそんなしんぱいしなくていいっていうの。
でも、なんでしんぱいしなくていいのかはだれもおしえてくれないの。
ねぇ、おばあさま。
なんで、わたしはけいこをしたらいけないの?
にいさまたちをまもれるようになりたいって、おもったらいけないの?
[目に溜めた涙は、けれど零さないまま真っすぐ祖母を見つめて。
投げかけた問いに返されたのは、苦笑と、しかたないと言いたげな嘆息で]
「パメラ。
あんたのその気持ちはね、あたしにはよく分かる。
あたしはこの集落の外からきた人間だからね、女でも武器をふるうことがおかしいとは思わない。
この年にもなれば多少変わっていたって、そうそう気に留めるヤツもいないしね。
でもねぇ、パメラ。
あんたは此処で生まれて、育っていく子だ。
みんなと違うことをしようとすれば、よく思わない連中はたくさんいるだろう。
それこそ、父様母様、兄様すらあんたを悪く言うかもしれない。
余計なことを言ってくる連中は山ほど、あんたが大きくなればなるほど口出しも手だしも増えてくるだろう」
[そう言いながら近づいてきた祖母が伸ばしてきた手は、そのまま私の頭を撫でて]
「だからね。
あんたはこれから、山ほど頑張らなきゃいけないよ。
人と違うことをするなら、口出しも手だしもされないように力をつけなきゃならん。
あんたの年頃の女の子ができることも、男の子ができることも。
両方身につけて、なおかつ頭一つ飛び出るくらいにはならなきゃいけない。
それはとっても大変だ。
あんたの兄様だって、きっとそう簡単にはこなせない。
それでも、できるかい?」
[祖母の口調は優しくて、けれど視線は厳しさを宿していると伝わって。
だからこそ、ちゃんと考えて返事をしなくちゃいけないっていうのは、子供でもちゃんと分かったから、私は少し──ううん、とても、悩んで]
……わたしが、がんばらなきゃいけないこと。
しることから、はじめたい。
やらなきゃ、できるかどーかも、わかんない、から。
できるかどうか、やってみたい。
[導き出した答えを聞いた祖母は、苦笑のまま、それでも嬉しそうに破顔して。
結局、その日から私は祖母の教えを受けることとなった]
「…まぁ、教えるって言ってもね。
あたしの得物はあんたにゃ流石に大きいし、刃物を持たせるのはまだまだだ。
しばらくはこの棒を使うんだね」
[祖母が教えてくれたのは、父や兄たちのしている素振りや手合わせとかまったく違うものだった。
身の丈に合わぬ長い棒を短く持ち、重さに負けそうになりながら祖母の姿勢を真似ることから始まって]
「まずはこの長さの感覚、間合いを覚えな。
背が伸びたら、そのたびにこの間合いが取れるものと交換していくんだ」
「多少の力はつけなきゃならないけどね、けっして力で勝とうとするんじゃないよ。
この間合いを味方につけて懐に入れないことが大事。
まぁ、もっと腕が上がったら、あえて懐に入れることも覚えなきゃいけないけどねぇ」
[そんな風に、私の実力に合わせての指導は厳しくも温かくはあったのだけれど。
祖母から言われた通り、男の真似事に励む私への周囲の目は良いとは言えず。
やることはやっているから黙認されているだけ、というのは幼子でも容易に伝わった。
そして、そういう空気は伝染するもので、次第に私は、同年代の輪から外れて、ひとりになっていって。
祖母の指導で上がっていた武の腕も、頭打ちになり始めた]
「……やっぱり、一人でやってるからね。
だれかと手合わせができるなら、もっとやりようもあるんだが…」
[祖母から指導を受けるようになって、一年以上を過ぎて。
5歳になった私は、前よりも長くなった棒を振るうこと自体には慣れてきたけれど、それ以上にはなれていなかった。
人と打ち合ったことが無いから、具体的な動き方がどうしても分からなかったのだ。
祖母とは体格も違い過ぎたし、腰を患っているのも知っていたから祖母から申し出を受けても断っていて。
けれど、他に手合わせをしてくれる人は、私には誰もいなかった。
兄ですら、もうそろそろ止めたらどうかと言うばかりで、相手などしてはくれなかったから。
以前は家の庭でしていた自主練習も、今は一人、誰の目も無いと分かっている場所で行うようになっていた]
[この場所は、私たち家族だけが知っている場所で。
誰にも教えてはいけないよ、とも言われている場所でもあった。
集落で管理している社の裏、深い茂みに隠された道を通って幾つか張られた結界を越えて。
ようやく辿りつける、開けた、けれどなんにもないその場所が私一人の練習場所、のはずだった、のだけれど]
………え…?
[一人で棒を振るっていて、ふと聞こえた音に顔を上げて驚いた。
知らない人───いや、顔は見たことはあるけれど、名前は知らない人がそこにいたから。
確か父様たちの武器を作ったり直したりしてくれてる人と一緒に来ていて、兄様たちとよく遊んでる人。
それはわかるけれど、でも、なんで此処に──
そんな疑問よりも、また変なものを見る目を向けられるのか、そちらのこわさのほうが大きかった。
でも、その人から向けられたのは、そんなものではなくて]
え………?
[その目に宿っていたのは、純粋な好奇心。
これまで言われ続けてきた、女の子がこんなこと、という言葉が。
好意的な意味で使われたのなんて、初めて、だったから]
……あ、の。
わたしのこと、へんだって、おもわない…の?
[思わず紡いでしまった問いに、返された答えも今までとは違うものだったから。
こんなお願いを我慢できなかったのも、藁にもすがる思いから]
時間があるときだけ、で、も。
わたしと、てあわせして、くれません、か。
[このお願いに、その人が返してくれた答えもまた、初めてのものだったから。
抱いた嬉しさはとても大きくて、本当に、嬉しくて。
でも、なぜか]
……あ、
[笑ってお礼を言いたいのに、一音を発しただけで、目から雨が降り出した。
なんで、と思っても止めることもできなくて、それどころか喉がしゃくりあがって言葉を続けることすら難しくて]
あ、りが、とぉ…っ
[ひどい泣き顔のまま、それでもなんとかお礼を言えるまでにも少し時間がかかってしまった。
更に泣き止むまでにはどれ程の時間を要したのだったか。
それでも、いつまでも泣き続けることは難しいから、時間が過ぎれば涙は止まって]
あ、の。
わたし、パメラっていいます。
あなたのおなまえ、きいてもいい、ですか?
[ようやく名前を問いかけて。
祖母に頼まれて此処まで自分を迎えに来たのだということもこの時に教えてもらった。
これが彼との───イェンスとの、最初の記憶**]
─ 回想 ─
[>>103その人から向けられた、快活な笑み。
たしか兄と同い年だとは聞いたことがある、その世代の男の子からこんな笑顔向けられたこともなければ、すごいなんて言葉を向けられたことも無くて。
>>104変だとも思わないと返してくれたのも、何もかもが初めてだったから。
驚きと、現実だと受け止め切れない戸惑いとの中。
それでもこの人ならきっと、手合わせも嫌がらないでくれるんじゃないかと思って紡いだお願いも、>>105断らないで受けてくれて。
嬉しいのに言葉が出せない程泣いてしまったのは、いろんな感情がキャパオーバーしてしまったから]
ち、ちが、ごめ、ごめん、な、さ…っ
うれ、し、ぃ、のに、とま、ん、ない…の…っ
[突然泣き出した私に向けられた声が慌てているのは当然だろうと思ったけれど、すぐに泣き止めるほど私も器用ではなくて。
結局、何分もかかって泣き止むまで、その人も私と一緒にいてくれて]
[やっと泣き止み、名前を聞いた私に返されたのは、名前と共に差し出された手と笑顔。
意図は分からなかったけれど、私も同じように手を出したところで、握ってもらえればおずおずと握り返して。
渡されたハンカチも、これで顔を拭けということだろう、とは分かったから、恥ずかしくはあったけれどありがたく受け取って。
それと同じに確認された事柄に、ぱちり、と瞬き]
おばあさま、から?
あ、えっと、うん、わたしであってるとおもう、けど。
じゃあ、えっと、イェンス…さん
おばあさまのおまもりで、ここまでこれた、のね?
[此処に至る道に張られた結界は、私たち家族の持つお守りがなければ通れない。
同行さえしていれば持っていない者も通れるが、そうでなければ結界によって道を逸らされ辿りつくことはできない──とまではこの頃の私には説明が難しかったが。
ともあれ、なぜイェンスが此処に来たのか、此処にいるのかの理由もこれで納得できた。]
[この日以降は私と一緒に彼も此処に来て手合わせをしてもらうことになったわけだが]
あのね、ここも、おまもりも、だいじ、だから。
だれにもいったらダメって、いわれてるの。
だから、えっと。
イェンスさんも、 ひみつにして、くださいね。
[祖母が彼に頼んだのだから、言わずとも説明はされていたかもしれないが。
常に強く言い聞かせられていることだから、自分でもそうお願いをして。
それから、手に持ったままのハンカチを見て、あ、と声をあげ]
えっと…ハンカチ、ありがとう。
あらって、きれいにしてから、かえしたい、から。
もーすこしだけ、かしてもらって、いーですか?
[付け加えたお願いに返された答えはどうだったか。
受け入れてもらえたならば、次に会った時にハンカチを返すこととなったのだが。
その際には小さな花がいくつか咲いた、彼の瞳と同じ赤色の刺繍が片隅に施されていることに彼は気が付いただろう。
そのハンカチが今もまだ、彼の手元にあるかどうかはわからないけれど*]
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