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―――私は、神の手足です
[ 頭を下げ、膝を折る
身動ぎはおろか呼吸すらも押し殺し
自分にとって、敬うべき相手への畏敬の念を込めて。
やがて、気配が離れていったなら
深く息を吐き、ゆっくりと空の色をした翼を広げ。
向かう先は、岩と砂の支配する村。
信仰の厚い者が多いというその村に、恵みをもたらすわけでもなく
然りとて、何かを罰するわけでもない。
与える事も、奪う事もない
傍観するだけの役割を果たすべく、翼をはためかせ]
―― 寂れた村 ――
[ 荒れた大地の広がるそこは、豊穣とは縁の遠い場所。
強い日差しに嬲られた家屋の壁は色褪せ、屋根に使われた煉瓦には細かな亀裂が入っている
砂と岩の色が支配する風景の中、村の中央に設えた祭壇だけが、花に彩られている。
そんな光景を空の上から眺めつつ、やがて降りるに程よい場所を見つけたならば]
―――……。
[ とん。と降り立ったのは、村から程近くに積まれた石の上。
吹き抜ける風に衣服の裾が揺れるに任せ、ただ村を見つめていた*]
/*
胸のサイズ、ランダムした事なかった気がする。
せっかくだしやってみよう
4(6x1)
1→A 2→B 3→C 4→D 5→E 6→F
[ 吹き荒ぶ風に、音を立ててなびく衣服の裾。
押さえることも身動ぎすることもなく
つぶさに村の様子を観察していれば]
―――……?
[ 僅かな違和感を感じ、そちらへと視線を向ける。
村の上空を飛び回る無数の鳥たち>>73>>74
祭壇の果実に集るのならば理解もできる
けれど餌を漁るわけでもなく、ただ群れをなすその光景は、異様にも見え。
何か異変でもあるのだろうかと一歩、動きかけた時]
[ 『エレオノーレ』と呼びかけ、近づいてきた気配>>75
それが誰のものかなど、視線を向けなくても理解できる。
けれど、どう反応すれば良いのだろう
懐かしいと微笑めば良いのか、それとも敵だと剣を向ければ良いのか。
相応しい言葉すら見つけられない自分は
糸のような視線を一瞬そちらに向けた後、また村へと戻そうとして]
………―――
[ 視線を捕らえたのは、全てを染めるような黒
夜を思わせる射干玉色の翼。
わからないわけがない。覚えている。
それは目の前の相手に限ったことではなく
救いを求めるような視線を投げかけた
あの子のことも、覚えているけれど]
[ 見つめてしまったなら
気がつかないふりはもうできない]
……レト
[ 一方的に告げられた言葉に>>76
口元に貼り付けていた笑みが消えていく。
もとより戦闘は得手ではない。
勝てるとは、はなから思ってはいないけれど
神の僕として、足掻いて殺される方が良いだろうから]
嫌だ。といったら?
[ 武器としては貧弱な小刀を握りしめ、姿勢を低くする
戦い方など習ってはいないから、ただ闇雲に振り回すだけ。
それでも、万に一つ逃げる事は叶うかもしれない
そう思っていたけれど]
[ 襲いくる小鳥を振り払おうとした時、その正体に気がついた。
真っ二つに切り裂かれた黒い羽
それは紛れもなく、魔族となった相手のもの。
触れてはならない存在に、触れてしまったのだと気がつけば、足元から力が抜けていく。
崩れ落ちそうになるのを堪え、震える手で小刀を握り直そうとして]
………っ!!
[ 動かした右の手は紛れもなく自分のもの。
けれど指の細さも、掌自体の大きさも今までとは違う
慣れ親しんだものより、ひとまわり小さな掌。
それが意味する性別―――女性へと
変化しつつあることに気がつけば、当惑した視線を相手へと向け]
なん、で……
[ カラン。と、武器が地面へ転がった**]
──……アンタを、愛してるからだよ。
[相手の身体に触れて、直接その魂に言の葉を伝える。
偽りなき、心からの言葉を]
[ 自らの変化に直面して戦意など消え去っていた。
体の変化のためか広がった動揺のせいか、地面を踏みしめることもままならない
それでも武器をと屈もうとして]
―――ッ、はな……して
[ それより早く腕の中へと捕らえられた>>176
こうしている間にも止まない変化が、相手と自分との体格差を教えてくれる。
頬から顎へと触れていく指の感触
自分のものとは違うその感触に、背筋に汗が伝い落ち]
気持ち。なんて……そんな、もの
[ 反論しようとして、言葉に詰まる
相手の言葉をこれ以上聞いてはいけない
穢れた上にこれ以上、神から離れてはいけない。
次の言葉を見つけることもできずに
半ば唇を開いたまま、呼吸だけを繰り返していたけれど]
……………あい…して?
[ 届けられた言葉に、喉笛が小さく音を立てる
それとほぼ同時、唇が重なり]
[ 碌な抵抗もできないまま、重なった唇>>179
甘く、苦い液体が流れ込んでくるのを感じれば
相手の胸元を押し、離れようと足掻いてはみたけれど、それも程なくして]
れ、と……
[ ぼんやりと定まらない焦点を相手へ向ける。
その衣服を掴もうとして手に力が入らずに
重力に従うように、だらりと腕が垂れた*]
…あぁ、そうだとも。
[愛している。だから]
オレは何があっても、
アンタを見捨てたりなんかしない。
約束する。
[意識の定まっていないであろう彼女に
さながら刷り込みのように愛情と独占欲の染み込んだ言の葉を紡ぐ。
その魂を、搦め捕ろうとするかのごとくに]
[ 力なくおろした腕が振り子のようにゆらり、揺れる。
先に吐かれた言葉>>283への反論を模索したけれど
混濁した意識では実を結ぶことも叶わずに
ただ、幾度か唇を動かすだけ]
[ ―――…神に救いを求める等
そんなこと、はなから考えてはいない。
神へと忠誠を誓っているからこそ
己だけが助かる事など
あってはいけないのだと思っている。
神に救いを求めるのは、自分ばかりではない
自身は戦いに赴くことこそなかったけれど
戦闘を得意とする同胞の中には
戦いに敗れ、散っていったものもいる
魔族に捕らえられ、姿を消したものも
屠られる寸前の獣や、刈り取られる間際の稲
それに、飢えや病に苦しむ人間も―――]
[ 砂の数ほどある救いを求める声。
屠られる直前の獣を救ったならば
その裏側では、飢えに苦しむものが現れる
片方だけを救ったならば
天秤は傾き、終いには倒れてしまう。
それでも、救いを求めて良いと
そう思えるだけの何かを、自分は持ち合わせてはいない]
[ ―――だから。
せめて、ここで終わりを。と
朦朧とした中、訴えようとすれば
頬に湿度と暖かさのある何かが触れる>>286
魔酒を呑まされた時とは違う感触
その正体を確かめることもできずに
ゆっくりと意識を手放していき]
―――約束、なんて
[ 繰り返された言葉は甘く苦い。
存在ごと搦めとるようなその言葉に
あやふやとなった心は縋りそうになるけれど]
……だって 貴方、は
私をうらむはず でしょう……?
[ 確かめた記憶はない。
けれど少なくとも
個として想われることはないだろう
そう思っていた。と]
[ とろりと細くなった瞳の端に捉えた花の色>>286
祭壇にもあったその花の行き先も追えないまま
ゆっくりと、瞼を閉じた*]
―― 記憶の断片 ――
[ ゆらり、夢うつつに見るのは過去の記憶
あれはそう、まだ天の光から出たばかりの頃
初めて視察を命じられたときのこと。
一人で訪れたのか、それとも仲間がいたものか
今ではもう、思い出せはしないけれど。
一面に広がる草原に、草を食む獣達
農耕には向かないその土地は、
牧畜を主として成り立っていた。
今日訪れた村とは違うけれど
この村もまた、貧しい村だったように思う]
[ 初めて降り立つ地上。
地面と土の感触を足の裏で確かめていたならば
衣服の裾を食むものがいた。
驚いて半歩後ずさった後
服の裾を取り返そうと引っ張ってみれば
『メェ』と、批判じみた声が上がる。
引っ張り合いののちに衣服の自由を取り戻せば
その裾はだいぶ破けてしまったけれど
ふわふわの白い毛を持つその獣のこと
気にかけるようにすら、なっていた]
[ ひときわ良い毛並みを持つ獣。
――――それが子羊であり
神への供物として使われる存在だということ
それすら忘れていたのだと気がついたのは
白い毛並みが、蘇芳に染まっているのを見た時。
村人は、ただ己の信心を捧げただけ
だから彼らを恨むなど筋違いなこと
間違っていたのは、自分自身。
神の手足であるならば
手足として、そこに意思などは必要ない
なにかを特別に気にかけるなど
そもそも、あってはいけなかったのだと
神だけを見つめていればよかったのだと
強く思ったのを覚えている*]
―― 天獄の泉:どこか ――
[ 幸せな眠りなどとは程遠いはずの眠り
けれど、繰り返される呼吸は穏やかなもの]
―――……
[ 呼吸をするたび、髪を飾る三色菫が微かに揺れる
やがて、随分と時間のだった頃
ゆったりと眠りの淵から意識が浮かび上がり]
……ここ、は?
[ 見慣れない天井に目を見開く。
何があったのか、ここがどこなのか
思い出そうとして、じくりと鈍く頭が痛んだ*]
『私を恨むはずでしょう?』
[彼女が意識を手放す間際に発した言葉]
……。
[それに応えることはなかったけれど]
……それが、あのひとの望みでもあるんだ。
[彼女を守ってほしい。
たとえどれほど状況が変わったとしても、
その約束を守ることだけは、手放せない]
―― 天獄の泉:居室 ――
―――……?
[ 寝台に横たわった姿勢のまま
順繰りに周囲の風景に視線を巡らせる。
見覚えのない、調度品の数々>>431
この天蓋付きの寝台も、記憶の中に存在しない。
どうして此処にいるのか、此処はどこなのか
思い出そうとすればするほど
頭の痛みが邪魔をして、思考が纏まらない。
それが魔酒由来のものだとは思いもせず
体を起こそうと身動ぎすれば]
―――!?
[ 『気がついたか?』と、問いかける声>>432
自身を覗き込む瞳に一気に記憶が戻ってくる。
脚本じたての芝居にも似たそれらの記憶は
けれど紛れもなく自分に起きたこと
記憶ごと失ってしまったほうがよかった
そんな恨み言を吐こうとすれば
問いへの答えに、苦いものが喉をこみ上げてくる
息を飲むことで、それらを押さえつけ飲み込んで]
……飼い馴らす?
―――それなら
私は、売られるの……です、ね……?
[ そうあって欲しい。
自らの意思で己を捕らえたのではなく
依頼されたのだとしたならば、その方が良い
それならば、責め苦にもきっと耐えられる
彼のため息に>>433都合の良い幻想を抱き
問いかけを口にしたけれど]
―――……!?
[ 近づいてくる身体に>>434
本能的な恐れを抱き、息を飲む。
こちらへと伸ばされた手から遠ざかろうと
寝台の奥へとじりり後ずさってはみたものの
幾重にも重ねられたシーツが動きの邪魔をして]
ゃ、め……
[ 唇が重なる間際、哀願するような声をあげ
せめてもの抵抗として、相手の胸元に爪を立てようと足掻いた*]
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