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[そんな時に『ゴールデン・グルトップ号』に出会った。正直最初は海賊は怖いと思っていたし、不安でいっぱいだったけど、船長のドロシーをはじめ優しく愉快な仲間でいっぱいだった。
どうすれば料理が上手くなるんだろう?
俺は海賊船の厨房で、いつも1人母の味を追いかけている。
……本当は星を出る時に母も一緒に連れて移住すれば良かったんだけど、『風の内戦』に駆り出された父の帰りを待つと、母はマーゼリーを離れたがらなかった。]
[母の料理で一番好きだったのが、『星蕪のマリネ』。星蕪は、昔はマーゼリーのそこら中に生えていたけど、大嵐以降育たなくなってしまった。
俺は星蕪をずっと探し求めていたけど、元々マーゼリー特有の野菜だっただけに、どの星に行ってもそんなものはなかった。それどころか手がかりすらなかった。
そんな中、ある作戦の調査で『シルバー・メリー号』内の室内栽培場に星蕪があるかもしれないという噂を聞いたのだ。そして今回、『ラグナロク』が運ばれるのはまさにそのシルバーメリー号。まさに千載一遇のチャンス。
いつもは海賊らしいことをしない俺だが、今回ばかりはその「宝」を狙う。男の野望は、密かに銀の羊に向いていた。]
ー回想・船長室ー
[無言で食べる船長を見て、にっこりと微笑む。
作った料理を美味しそうに食べるところを見るのは、料理人としてとても幸せなことだ。]
ですよねぇ、俺も心配なんですよ 向こうでイケメンと出会ってないか。
え、そんな美男美女の星があるんですか。是非今度連れて行ってほしいですね。
[カラリと笑う彼女の表情を見れば、何か事情がありそうなのを察して。]
そうなんです、マグネシウムとか、まあ頭痛の時は色々栄養とるのがいいです。そうですね、今度大豆クッキーでも作ってみましょうか。
[ふと船内にいい香りが漂った。船長の手元のカップには、蜂蜜入りの紅茶が入っているようだった。
去り際、彼女がにこやかに笑っているのが見えた]
ー回想・食堂ー
[そういえば、船員の中にとんでもない甘党がいる。あれはここへきてすぐのことだっただろうか。]
え、甘さが足りないですか!?
これでも今日は砂糖を入れすぎたのに!!
[男の名はゲオルグ。重厚感のある見た目とは裏腹に、この男甘いもの命である。好きなものはバターを塗りまくって蜂蜜をかけたパンケーキだそうだ。
あれ以降、ゲオルグのメニューだけは味付けを変えている。……もはや普通の人には吐くくらい甘いものもあるかもしれない。事実、とんでもない量の厨房の”甘いものセット”は、ゲオルグ専用のものなのだ。
なんであんな味付けでバクバク食えるんだ。
作っているこちらが胃もたれになりそうなのだが。]
ー回想・ゲオルグー
マジか。結構甘党なんですね……
[男は満足できねぇ文句を垂れながら、渋々とお菓子を食べていた。不満げな顔でシガレットチョコを食べながら食堂を後にしたのは、今でも覚えている。
それからはお菓子を作るときは砂糖なんかをふんだんに使っているのだが、それでも文句を言われるときは言われるのだ。むしろ回数は多くなっている気もする。
お菓子を作るときは、というのも、お菓子に関しては恐ろしく甘党なゲオルグだが、普通の料理に関しては普通なのだ。昔、刺身に砂糖醤油を出してボロクソに怒られたのはいい思い出だ。
そんなことを考えていると、自分も甘いものを食べたくなってきた。そういや数日前に大豆のクッキー作るって船長と約束してたっけ。練習がてら作ってみようかなぁ。
大豆と、卵と、牛乳と……
…は足りない食材をメモして食料庫へと向かった。途中、例の張本人(>>39)と遭遇したかもしれないし、していないかもしれない。]
ー回想・ゲオルグー
[甘党、という言葉に眉をひそめる様子を見て、あれ違うのかと思いつつ。甘いものがお好きなんですね、と若干言葉を濁し機嫌をとってみる。
砂糖醤油事件をきっかけに、ゲオルグの養父が海の惑星出身であることを知った。煩く文句も言われただろうが、捌き方や魚料理について彼のおかげで上達したのは間違いない。もしかしたら、直接教わったこともあったのかもしれない。
また、他の料理についても味が濃いなどと細かく感想をくれるので、実は参考にしていたりもするものだ。意外と彼は繊細な舌を持っているのかもしれない。
……無論、お菓子の文句については全く聞き入れていないが。]
ー食料庫前ー
蜂蜜、ですか。
[蜂蜜なんて盗む奴いるのかと思ったが、話を聞いていると食料庫も閉まっており困り果てている様子。舌打ちもしてかなりきているようだ。
…は職業柄鍵も持っているし、ある程度の食料庫事情も知っている。]
食料庫の鍵は俺が持ってますけど、蜂蜜とメープルシロップはちょうど切らしてるんですよねぇ。
あ、そういえば数日前に船長が蜂蜜入りの紅茶飲んでるのを見ましたけど。もしかしたら持ってるんじゃないですか。
[まさかそれがゲオルグのものだとはつゆ知らず、記憶の片隅の蜂蜜の在り処を伝えた。]
大豆クッキー食べます?いいですよ、口に合うかはわかりませんが。
[大豆クッキーを作る旨を伝えると、自分にも作ってくれと頼まれ、快く笑顔で承諾する。調理の作業量が2倍になるけれども。]
[…はそれを聞けば、ゲオルグとは別れて食料庫へと入っていくだろう。
…は持っているスペアキーで重い扉を開く。
比較的新しい施設の食料庫は、色々な食料、中には戦利品の貴重な食材が数多く揃っている。以前は腐敗したりネズミが湧いたり酷いものだったが、綺麗好きの…が入ってからは比較的綺麗に整頓されている。
厨房で書いたメモを見ながら、ひんやり冷たく薄暗い庫内で食材を探していると、ある”エキス”があることに気がつく。それを見た瞬間、…は不思議な気持ちに包まれた。]
これは…まだこれだけ残っていたのか。
これだけ厨房に持っていこうか。
[…は、赤い液体の入った小さな容器を、大切にポケットの奥にしまった。]
ー回想・ゲオルグー
[残念ながら、特攻隊長であるゲオルグも作戦は聞かされていないようだった。船長に聞いてくれるそうで、頼んだと頷いた。
あまりオオゴトでなかったり、短期で決着がつくような場合は…は船内で待機することが多い。長期戦や大掛かりな作戦の場合は別だが。緊張しているのかと聞かれれば、]
いやいや、むしろワクワクしてますよ。
シルバー・メリー号って凄い船って噂ですからね。
[と少し張り切り気味に答えてみる。”凄い船”には私的要因も含まれるが、シルバー・メリー号が宇宙でも有数の宇宙船であることは事実だ。]
では船長室へ行かれるでしょうから、また。
[特に話すことがなければ、別れをして食料庫へ向かうだろうが。]
ー回想・ミーネー
[3年前、金馬号に入った時、とても食欲旺盛な船員がいた。3つ下の女の子、ミーネだった。比較的痩せ型な彼女だったけど、…の作った料理を誰よりも食べてくれた。
得意料理の一つ、幼い頃に母から教わったふわふわのオムライス。…の作るオムライスが好きだと伝えられた、その時の彼女の優しい笑顔を見て。
ー食料庫→ー
[さて、クッキー作りに必要な準備が揃い、また食堂の厨房に戻ろうとする。
そう言えば、さっき話していたゲオルグは銀羊号に乗った経験があると聞いたことがある。……とは言え、中の猫と兎をもふってきただけらしいが。なんか操縦士に捕まったとかなんとか話してたような……?
さて、食堂への道で誰かとは会っただろうか。大豆の袋など、材料を抱えて来た道を戻る。]
ー食堂ー
[食堂に戻ると人影があった。よく見ると青髪の大柄の男、機関長のテオドールだ。
テオドールのことはよく知っている。というのも、困ったことにこの男食堂で葉巻を吸おうとするのだ!マーゼリーには喫煙の文化がなく、さらに五感に優れた傾向のある人種であり、葉巻が臭くてたまらないのだ。最近では、敏感すぎて火をつける前に気づくこともある。
ちょっと歩けば喫煙所があるじゃないか!が…のいつもの言い分。
そんなテオドールが1人立っていたので、慌てて持っていた材料をドサっと机に置き、エプロンをつけ紐を縛る。]
すみません食料庫行ってて。
何か食べますか?
料理人 ノーラは、栞を挟んだ。
ー食堂ー
[慌てなくてもいいよ、とテオに手を制される。そういえばテオの手は義手だっけ?それともそんなこと知る由ないか。
小腹が減った、という彼だが、彼の言う小腹が空いた食欲は並の一食分はあるだろう。何か適当にとは料理人にとって一番困る回答なわけだが、今回はちょうど厨房にこの間の麺の残りがあるのを思い出した。]
じゃあラーメン作りますね。10分くらい待っていてください。
[麺を茹で、あらかじめ作ってある特製スープの素を入れたら簡単に完成。ラーメンはお腹が空いた人の最強の味方だ。メンマとチャーシューでもトッピングしておこうか。良い感じのラーメンの懐かしい香りが食欲をそそる。]
はい、しょうゆラーメン一丁!
[テオは喜んでくれるだろうか。テオを横目に、クッキーの材料を厨房へ運ぶ。]
ー回想ー
[母星マーゼリーは風の内戦に巻き込まれはしたものの、厳しい環境と気象変化後の荒れ具合により アースガルドの植民地にはならなかった。
しかし、父を含む風の内戦に駆り出された者たちは未だ母星に帰って来ていない。 捕らわれたのか、それとも殺されてしまったのかすら知ることもできない。
…自身ラグナロクにさほど興味はないが、今回の作戦に加担するのにはアースガルドへの不信感を持つ背景もある。もしかしたら、アースガルドは反勢力への武器として使用するかもしれない。そうなれば、多方面で甚大な被害は免れないだろう。
自然、人、生き物を大事にするマーゼリーの住民。それを科学で破壊することは、星の民のポリシーに反するのだ。]
[一度だけ、父の手料理を食べたことがある。
それは、お世辞にも美味しいとはいえないオムライスだった。ケチャップの混ざりにムラはあったし卵もパサついていたが、それを食べた母は笑顔だった。 後日母に話を聞くと、あまりに母の作るオムライスが美味しいから、自分にも教えてくれと父が頼んだらしい。
料理には、人をつなげる力があるんだ、味というベクトルを超えて人を笑顔にできるんだと気が付いたのはその時だ。
その後、料理人を目指したいと母に伝えた時、最初に教わったのはオムライスだった。はじめは父よりも下手くそだったらしい。父は「練習したらうまくなるぞ」と偉そうに言っていたが、あれ以来、父に成長したオムライスを食べさせてあげることはできていない。]
[…のもう一つの夢は、家族皆でもう一度食卓を囲むことだ。少年のささいな、切ない夢は叶えることができるのだろうか。
それとも、もう二度と____]
[…は、厨房の片隅に置いてある光線銃を持って行くバッグに差し込んだ。唯一使える、使い慣れた自分の武器。ここに入ってから、少しでも戦力になるためにトレーニングと射撃練習は欠かしていない。他には救急セット、僅かながら非常用の食料を詰めてバッグを圧縮する。
最後に、御守りのスプーン型のペンダントに一度祈りのキスをし、胸につける。]
(行ってくるよ、父さん、母さん。)
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