情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
/*
初手からここに登場したらアカンやつだった感がひどい。
幸い何もしてないのでちょっと前の話でしたってことにしておこうかな。
[明るい日差しが降り注ぐ練兵場にさっと影がさす。
振り仰いで見ると大きな飛竜が頭上を飛んでいた。
それを見るなりヤコブは声を上げて、さっと飛竜の後を追っていった]
あっ……!
[声を掛ける間もなく行ってしまったヤコブを見送ると、
律儀にも訓練場に残された練習用の剣を片付けはじめた]
[練兵場を一通り片付けてから、ぼろぼろになった木柱に一瞬目を向けて、そわそわ落ち着かない様子をしている]
さっきの……。
ソマリアラン様か。
[なんといっても騎士団長の一家の人である。
自分の立場からは雲の上の人であって、気さくな人柄であってもつい緊張してしまう。
その彼の後をヤコブが追ったとなると、気になって見に行ってみたくもあるのだが]
……俺も訓練しようかな。
[ぽつりとそう言うと、練習用の剣を再び取り出して、
さきほど眺めた木柱とは別の木柱へと相対した]
[しばらく真剣に素振りをしていたが、そのうち若干息が上がってくると、その手を止めてふうと大きく息を吐く]
俺……ちゃんとやれているのかな。
[幼い頃に亡くなった父はかつて騎士団に所属していて、どれほど立派な人物だったかと母から聞く度に、父と父の所属していた騎士団に憧れていた。
だから、入団できる年になったらすぐに騎士団に志願できるようにと、街の道場で稽古もしてきた。
それ故か、同時期に入団したものの中でもそれなりに優秀な成績を収める事ができたが、ヤコブやシェットランド、ローズマリーといった自分より少し上の彼らの才能には目を瞠るばかりで――
少しでも彼らのようになれるようにと必死で後を追うばかりだった]
[うん、と頷いて先ほどシェットラントが見せたように、
力の入れ加減を十分意識しながら剣を振り、踏み込んで、逆側に振りぬいた]
あっ……。そうですね。
踏み込んでからの返しが早いし、力も少なくて振りやすいです。
今までもっと力が必要だったのは、最初の振りが大きかったのをカバーするためだったのか。
教えて頂いてありがとうございます!
[再びシェットラントに対して頭を下げた]
[その後賛辞の言葉を聞くと、面映げな表情になり]
ありがとうございます。
でもまだまだ頑張らなくちゃなって……。
俺もヤコブみたいに力で……っていうのは無理だろうと思いますし。
本当に参考になりました。
[シェットラント同様に細い身体を見下ろしては納得したように頷いた]
あ……ところで。
シェットラントさんも稽古されに来たんですか?
[彼の手の中に収まっている木剣にちらりと視線をやって、
思い出したように彼がここにいる理由を尋ねた]
[シェットラントの剣は、さすが天才と言われるだけあって素早い。
身軽な体格をいかして右後ろへ飛び退って、ぎりぎりで鋭い一閃を避け]
やぁっ!
[気合の掛け声を発しながら、自らも彼と同じように踏み込んで、右からシェットラント目掛けて木剣を振った]
[剣を受け流したシェットラントの剣が下から向かってくると、はっと剣を左から押し当て、剣先を逸そうとする。
そのまま剣を振り上げ腕を反転させ左上から切りかかる。
だが、シェットラントの剣を押さえつけようとして力をいれた影響か、はたまた素振りとは違う打ち合いで意識しきれないのか、僅かに力のバランスが崩れていた]
[シェットラントの形のよい唇から零れる気合とともに、
がつんという強い衝撃が剣に伝わる。
耐えてみせる――はずだったが。
願望虚しく、剣の根元をしたたかに打ち払われた衝撃で、完全に剣の軌道は逸らされ、あまつさえたたらを踏む]
[ぞくりと震えがくるような気を感じる。
突き出された剣が胸の前でぴたりと止まった。
瞬間、息が詰まる。
剣先をまじまじと凝視して、それから息をふうと吐いて口を開く]
参りました。
[表情に悔しさを浮かべながら、シェットラントに一礼をした**]
えっ、受け売りなんですか?
意外です。シェットラントさんって子供の頃から何でも出来て、全てを見通しているってイメージがあるので、
そうやって他の人から教わったことがあるなんて聞くと、親近感が沸きます。
え、えと失礼なことをいってたらごめんなさい。
[シェットラントの姿は、秀麗で貴公子然としていて、いつもと全く変わる様子がない。
だから彼も少し手が痺れたのだということには全く気づかなかった]
そんなシェットラントさんに宜しくだなんて。
俺のほうからお願いするところです。
また、お手すきの時にでも稽古をお願いします。
[真剣な顔でそう口にして、何度目かのお辞儀をした]
/*
ざっと目を通したけど、リアルタイムで拾わないといけないところはない。
進行があればそっち優先にするけど、今はとりあえずは大丈夫かな?
― 芽生えた能力のお話 ―
[正確にはヤコブと会ったのは初めてではなかった。
大人になったヤコブと初めて会ったので、自分の知っているヤコブその人とすぐには気づかなかったのだった。
あれは10年ほど前。
母方の伯父がティレル村に行く用事があって、彼にくっついて一緒にティレル村に数日間ほど滞在したことがあった。
その時にヤコブ・バルドと「友達」になったのだった。
ほんの少し年上のヤコブと村で遊んだ時間は、カレンの街にいては到底出来ないような刺激的な体験で。
すっかり彼に懐いて、いざ街に帰る時には帰りたくないと駄々を捏ねまくった。
とはいっても甥っ子を置いていっては、伯父は彼の妹にものすごく責め立てられるだろう。
困った顔をしながら半ば引きずるようにして、シュテルンを街に連れ帰った]
[それから数日後。
そんなに彼と仲良くしていたいのなら、文通でもしたらどうだ。
しょげかえる甥っ子を見ていた伯父は、そう言って紙とペンを机の上に置いて部屋を出て行った。
その時だった。
不思議な不思議な力が芽生えたのは――]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新