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― 2年前・ラウツェニング邸 ―
これで……事実はどうあれ
父上の希望通りになったわけですね。
[夕食の席。
父に向かって憎々しげに吐き捨てる。
負け犬の遠吠えであることがわかっていても
言わずにいれなかった]
……心配されずともわかっております。
開戦したからには、微力ながら力を尽くします。
やるからには勝たなくては――。
[それは嘗てジェフロイが東寮生に言い放った言葉。
似たもの同士と言われた彼と同じ言葉を父に向けながら、
比べ物にならないほどの深刻さを帯びていた。
止められないなら勝つしか無い。
そうしなければ公国を守る事はできない。
負けたら待ち受けるのは公国より
遥かに巨大な帝国による支配。
そうなれば公国民にも辛い運命が
待ち受けているに違いないから]
/*
うう。
当初は組織だった大きな戦争ではあっても、その中で旧友同士が戦う小規模なのでいいかなーと思って中隊長クラス(大尉)を想定してたのだった。
ただログ見てるともうちょっと大規模だし、とはいえ指揮系統ないほうがいいかなぁと思って連隊長クラス(大佐)にしたのだが。
もう1つ上にして、前線司令官っぽいことをしたほうがいいのだろうか。
/*
無粋かなと思いつつ確認してしまったんだが、適当なモブに更なる警備を押し付けて
理由をつけてシェットランドにいってもらう、が正解かなぁ。
― 公国前進拠点 ―
ああ、それから。
カーク・フォン・バウムガルテン中尉率いる第5補給部隊が、
現在補給活動を行っている。
ポイントはここと、ここ。それから……ここだ。
[いくつかの構築拠点を地図上で指し示す]
現在1つ目のここで活動中。 明朝、2つ目のここに移動を開始する。
二個小隊が警備として当たっているが、
帝国の動きが激しくなっている以上それだけでは手薄とみるべきだろう。
そこでカナン大尉率いる隊に、新たに護衛として彼らについて欲しい。
[そこで一旦言葉を切り、シェットランドに視線を転じて]
シェットランド・マルシュナー少尉!
急ではあるが君はこれからカナン大尉の隊に同行して貰いたい。
最前線という危険な任務ではあるが、引き受けてもらいたい。
[咎める声に振り向く。
シェットランドの上官の声だった]
ああ、ゲオルグ少将。
忘れておりましたが、これを。
[テーブルの上に出されたのは2通の辞令。
一つはトール・フォン・ラウツェニング大佐を准将へ任じるもの。
そしてもう一つはゲオルグ少将の大佐への降格の辞令だった。
表向きは、戦線の膠着による降格になっていたが、
無論ゲオルグに過失があったわけではない。
ただ、上下を重んじる軍隊のこと。
トールに指揮権を握らせたい人間が存在する。
これが今回の人事の真の理由であった]
[尚も声を荒立てるゲオルグ小――大佐を無視して、
カナンとシェットランドに向き直り]
では、カナン大尉。
それから、マルシュナー少尉。
……武運を祈る。
[記憶の中で、生徒会室に物静かに座っていたシェットランド。
その蒼氷色の瞳をじっと見つめた]
― 公国前進拠点 ―
[一人の男が挙手をして発言の機会を求めた]
ニコラス中佐。
[名を呼んで発言を促すと、彼は1枚の書状をテーブルの上に広げた]
『ご覧下さい。これは帝国軍に潜むもの。通称「狼」が寄越した密書です。
今回の報告は、帝国側の城砦のどこが脆いかを調べ上げたようです』
[密書を覗き込むと、数箇所、
過去の公国の攻撃により物理的に脆くなっている場所。
また、比較的警備が手薄な場所などが書かれていた]
なるほど……。
帝国の司令官が大人しく篭っているようならば、大軍で陽動をし
一方で腕のたつ一個部隊を送り込んで、暗殺ということも可能、か?
[真っ先に浮かんだことを呟く。
フレデリカやベリアンあたりならこの種の任務も難なくこなせるのではと、
そんな考えが掠めもした]
……いや、これは決定事項じゃないから。
[学生時代、座学も実技ほどではないものの
比較的こなしてはいたのだが、
戦術について得手でないのは確かだった。
そんな時、思い出してしまうのは彼の顔。
戦術が得意だった彼が側にいてくれれば――。
思っても詮無いことだった]
― 6年前・再会 ―
[再会と呼べるほどのものだったのだろうか。
それほど、友の顔をすぐ見ることになった。
自身の名を聞けば驚きもしたかもしれないが、
澄ました顔からは一切窺えなかった]
ああ、在学中は世話になったな。
こうして再び、君と交誼を結ぶことが出来るのを心より嬉しく思う。
ディーク・フォン・ベルンシュタイン――
これからも宜しく頼む。
[公の場では、そうして自身もまた澄ました顔で挨拶を交わす]
[だが私に移れば、学生時代のような気楽さで]
全く……。もしかしたらって、結構ひやひやしてたんだよな。
でも、まあ、ホントよかったよ。
お前はいるし。ジェフロイの野郎はいないし。
[この場にいないもう一人の同級生の名を上げた。
まだ帝国皇帝の不予の噂さえ、公国には聞こえてこない頃。
気に喰わない同級生との別れに喜べるほど平和だった]
[差し出された手を握り返すと、圧を掛ける様に力を込める]
お前……。
プライヴェートでは、絶対に殿下って呼ぶなよ。
お前にそう呼ばれるとむず痒くて仕方ない。
俺……?
そうだな。あと6人死ねば、
転がり込んでくる算段になるな。
新大公のところの赤ん坊も含めてね。
……冗談だ。
それに俺で押さえられるなら、
従兄殿がとっくに押さえているさ……。
[従兄である現大公は、知識も人望もある立派な男だった。
それでも海千山千の開戦派の老人どもに囲まれてしまっては、
その実力を遺憾なく発揮することは難しかった]
……もし、か。
覚悟は出来てる、といいたいところだが。
残念ながら、まだその心境じゃなくてね。
……考えとくよ。
[頷くと視線をどこか遠くへ向けた。
卒業式の前、別れの泉を見つめた時と同じような眼差しで]
[本当に暗殺が時代を動かさないのなら――
こんな時代は、訪れることはなかったのではないか
口にしないそれを、視線に籠めてディークを見遣る]
[頭を振って口を開く]
そうだな。
ベルンシュタイン大佐の言うとおりだ。
ここで司令官を害したところで、
帝国が戦いを辞めるなんてことは、それこそ絵空事だな。
……済まない。
少し、毒されすぎていたようだ。
[再び報告書に目をやる。
報告書の一番最後に書かれていた名前はとてもよく知る――
僅かに目を見開いて息を呑む、が。
その場ではそれだけだった]
― 少し前・執務室 ―
[書類に目を通しながら、何もない空間に右手を伸ばして。
そこには何もないことに気づいて再び手を戻す。
学科試験の直後、ヒンメルと購買で話してから
書類仕事の際には甘いものを常備するようにしていたのだが、
物資高騰の折でなおかつ最前線ともなれば、
手に入らないのは仕方がなかった
と、そこに来客があり書類から目を離して席を立つ]
レナト・デ・フォルテア大尉。
よく来てくれた。
……とはいうものの、
俺も先ほど赴任してきたばかりなんだがな。
[手を下げたレナトに、敬礼ではなく手を差し出した]
[彼との再会ももう何年も前になる。
学生時代は東寮生とはどうしても一歩引いてしまっていたから、
彼との時間の共有は公国に戻ってからのほうが多かった。
そういえば彼はジェフロイと同室で、カレルと仲が良かったはずだ。
そして公国で彼らの噂を聞くことはなかった。
彼もまた同じように――
学生時代の記憶よりずっと大人びた表情を見つめながら、頷く]
ちょうどいいタイミングだったな。
これから齎された情報に対する会議がある。
お前にも参加してもらおう。
[それがレナトへの初めての命令だった]
― 公国前進拠点:会議室 ―
[会議が終わると、
ディーク、ベリアン、シェットランド、カナンの4名に向けて]
まだ前哨戦だ。
くれぐれも無理はするな。
では……行ってこい。
[そうして4人を送り出すと執務室に戻って、目を瞑る。
こうなることは2年前。
あの日ディークに言われてからずっと考えていた。
だから動揺なんてしない――はずだったのに。
こんなにも息が苦しい――]
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