情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
……妙なところで律儀と言うかなんというか。
[思わずこんな突っ込みが落ちたが、喧騒の中では届くまい。
ともあれ、ヒトガタの相手は自分の領分ではない。
己が当たるべきは、灰色の騎士たちだから、と意識を切り換えて]
……いくぞ、アヴァーンガルデ。
陽の進む道を拓くために……あの霧を払う!
[宣に応じるが如く、銀月の牙がひかりを零す。
そのひかりをふわりと受けた赤紅が翻った。*]
[灰色の騎士たちの戦場──否、そこだけは既に狩場の様相か。
ともあれ、立ち込める霧に近づくほどに感じるのは強い瘴気]
……っ!
[他よりも耐性があるとは言え、長く晒されればただでは済まない。
万全であるならともかく、今はそうとは言い切れない状態だからだ]
さっさと、片付けるに限る……か!
[低い呟きの後、一騎との距離を詰める。
灰色が翻り、赤い光がこちらを向く。
それに返すのは、揺らぎなき亜麻色の瞳]
……はっ!
[気合と共に地を蹴り、高く跳ぶ。
大鎌は右肩に担ぐ構えで振りかぶり、勢いを乗せて騎士へと振り下ろした]
くっ……!
[大鎌の刃が触れた瞬間、灰色のフードが裂けて中に渦巻く瘴気があふれ出す。
それが齎す衝撃は少なくないが、そのまま勢い任せに斬り下ろし、影の馬諸共に斬り裂いた]
……ひとつ!
[数え上げつつ、地に膝を突いて。
低く身構えながら、次の一騎との距離を測った。*]
[突然飛び込み、一騎を両断した娘を灰色の騎士たちが取り囲む。
どうやら、こちらを危険と見なしたらしい──或いは、近しき力に寄せられたか]
……どちらにせよ、単純だな。
[引き寄せられるならばその方がいい。
これがあちこちに散ろうものなら、それこそ大惨事だ。
一騎ずつ、確実に仕留めなければ、と。
そう思いながら呼吸を整え]
……次、もらうぞ!
[一声あげて、駆けだす。
低い姿勢のまま、大鎌は自身の右横に流す態。
騎乗する敵と相対するならば、『低さ』を利用するのも一つの手。
もっとも、視覚に頼らぬ騎士たち相手にはその効果は薄かろうが。
灰色の一騎に真っ向から向かう、と見せかけ、直前で横へと滑る。
円陣組む二騎の間に滑り込み、右手の向きを変える事で力をかける方向をも変えて]
はっ!
[気合と共に石突を前へと突きだしつつ、同時、手前にかけた左腕を引く。
銀月の刃が弧を描き、影の馬の一頭の前脚を斬り払い、もう一頭の後脚を打ち据えた]
[本来であれば、物理的な衝撃などは物ともしないであろう、影の馬。
それに、打撃による衝撃が通ったのは、異界のむ戦士の血より生じし魔鎌のそれであるが故か。
何れにしろ、前脚を失った馬は霧に溶けるように消え失せ、柄に打ち据えられた馬は大きく身を震わせ、態勢を崩した。
その隙を逃すことなく、娘は再び右手の向きを変えながら体の向きを変え]
……そらっ!
[掛け声と共に跳ね上がりながら、同時、大鎌を切り上げた。
霧を裂き、天に昇るが如き動きで銀月が舞い、それは灰色の騎士を切り裂いた]
……ふたつめ!
[霧の中、響く声音に宿るのは、どこか楽し気ないろ。*]
/*
は、いけない。
楽し過ぎてついついじっくり書いてるけど、ある程度巻いていかなくては。
[※大鎌アクション久しぶりでなんかこわれている]
[二騎目を霧へと戻した背後に、先に馬を無くした騎士が揺らめき立つ。
無音で振り上げられた剣が赤紅へと振り下ろされた]
……っ!
[こちらは不安定な態勢からの連撃のため、安定を欠いている。
とっさに前へ向けて転がるものの、冷たい刃が僅かに右の肩を裂いた]
……ち。
あまり、傷はうけられない、な……!
[傷から零れたのが血だけではないような気がして、低く呟く。
所謂生命力とか、そう言ったものが奪われるような──そんな心地がしていた]
[態勢を立て直し、徒歩となった騎士と正対する。
直後、一気に駆けだし、大鎌を真横に一閃した。
時間をかければこちらが不利になるし、戦況にも影響するだろう。
霧から放たれる瘴気に当てられている者も少なくはないはずだ]
……みっつめ!
[横薙ぎの一閃で目の前の騎士の胴を斬り払い、その勢いに乗せてくるりと身を翻す。
ふわり、と舞う赤紅の花弁は霧の中でも鮮やかに花開いた]
ついでに、もうひとつっ!
[花弁が揺れる間も銀月は止まる事無く、上を向く。
高く掲げられた牙は背後に迫る灰色の騎士と正対すると同時、勢いよくその上へと落ちた。
四度散る、霧と瘴気。
亜麻色は周囲を見回し、残りの騎士との距離を測る。*]
[四騎落として、残るは三騎。
瘴気を帯びた霧に触れ続けた銀月の牙は、薄暗いその場で仄かに煌めく]
……は。
アヴァーンガルデを正式に担ってから、場数は踏んできたが。
こんな状況での戦いは、初めてだ。
[口調は楽し気だが、ほんの少し息が荒い。
半魔の身とは言え、濃い瘴気に晒され続ければさすがに堪える。
それでも、これは自分が、自分だから為せる事だから、と。
そう、繰り返す事で意識を保った]
……月は、狂気の象徴、とも言うがな。
[低い呟きと共に、息を吐いて]
あたしは、瘴気に飲まれて狂気に走る事は、もう、しないっ……!
[闇に飲まれた孤独な月ではなくなったのだから、と。
そう、言い聞かせる事で自身を奮い立たせる。
照らしてくれる陽があるのだから、闇に沈みはしないのだ──と]
……そろそろ、終わりにするぞ!
[宣と共に、残る三騎へ向けて駆ける。
灰色の騎士たちが応じるように剣を構えた。
駆けた娘が向かうのは、右手の騎士。
軽い跳躍から横薙ぎの一閃を放ち、そのまま、隣の騎士へと向けて刃を振り抜いた。
相手が近接していた事と、人ならざるものから継いだ身体能力故に適う無茶。
二騎を更に斬り払い、残るは一騎、と。
そう思いながら地に降りて、態勢を整えるべく後ろへ飛びずさった時]
……!
[締め上げられる感触に、息が詰まる。
与えられた呪が為すのがそれだけとは知る由もなく。
牙の動きは刹那、完全に止まった。*]
……や……だ。
[締められる感触が思い起こさせるのは、自由を失った日。
違う、あの時とは違う──と、思いながらも恐怖が蘇るのは止められず]
…………たすけ…………シェン…………。
[無自覚、落とすのは、あの時と同じ、助けを求めるコエ、ひとつ。*]
……気楽に、いわない。
[現実に叫ばれた、逃げろと言う声。
それへの突っ込みは、コエに落ちた]
諦める気、ないけど……ちょっと、難しい、よ……。
……うん。
あたしもね、一緒にいたいよ。
でも……身体、持たない、かも。
命、使いすぎてる、から。
[ぽつり、と落としたのは、今まで隠していた事]
…………あたしの治癒の対価は、自分の命。
だから、ほんとに大事な……使っても、絶対に後悔しないひとにだけ、使いなさいって、言われて、ね。
……途中、ちょっと無駄づかいしたのも、まずかったかなぁ……。
[落ちるコエは、いつもと変わらない──否、いつもよりも穏やかな響きを帯びたもの]
……怨嗟……おま、え、の?
[綴られる声に、掠れた声を落とす。
疑問に返る声はなく──生み出されるのは、半透明の鎌]
……っ!
[避ける事など叶わぬ状況、半透明の刃は背から胸を貫いて──]
[貫かれる衝撃に、息が詰まる。
鋭い痛みに、ああ、こういうものなんだ、という妙な感慨が過ったのは刹那の事]
…………シェ…………ン…………ごめ…………。
[ごめんね、と。
言いかけた言葉は、ただ、風に舞って──散り果てた。**]
……シェン、ごめん、ね。
探してくれて、見つけてくれた、のに。
…………約束、ちゃん、と。
果たせなく、て。
…………言いたい事、まだまだあったんだけど。
おいつかない……や。
[それでも、と。
ひとつくらいは、と、意識をぎりぎり、保たせて]
……ううん。
まもってくれてた、よ。
あたしが壊れなかったのは、シェンのおかげ、
だから。
だから、また、逢えて。
うれしかったのは……ほんと、だよ?
[ぽつり、と落ちたのはどこか稚い響きの感謝のコエ。
その後に落ちるのは──沈黙、のみ。**]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新