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― 都市中心部・路地 ―
[左腕で引いた鎌に、確かに手応えがあった。
部位を正確に確認する余裕はなかったが、浅くない傷を相手に与えたのは確かだろう>>24。
その間に体勢を立て直すべく、路地を縫って距離を取る]
つっ……動かせないほどではない、か。
[確認したのは右腕の状態。
曲げると傷が開き相当に痛むが、無理すれば出来ない動きではない。
飛行は維持したまま右の袖を裂いて、応急処置としてきつく縛る]
……追ってこないわね。
[その作業を終えた所で、目論見が外れたこと>>26に気付く]
[速度を緩め周囲を探る。
死角が多いのは、こちらも相手も同じこと。
ただし、相手にあって自分にないものは――]
耳か!
[普段は隠密を意識していない蟷螂にとって、鎖の音は些細なものに思えていたが、聴力に優れた者であれば、隠さぬままのそれは容易に探れたであろう。
気付き、顔を上げた時には既に、梟は無音のまま眼前へ迫っていた>>27]
ぐ……っ
[痛む右手も無理に持ち上げ、鎖でどうにか三日月斧の突きを防ごうとする。
位置を合わせるのには間に合ったものの、落下の勢いも合わさった一点集中の攻撃に、鳩尾の辺りへ強か衝撃が入った。
そして右斜め下へ押された体は、そのまま建物の壁の方へ。
無意識に翅を庇い身を反らしたため、肩甲骨の辺りを強打する]
かはっ!
[高度が低かったことは幸いであった。
壁で跳ね返った体を前に倒すことで、どうにか足から着地することに成功する。
しかし即座に飛び立つことは出来ず、痛みに細めた眼差しだけを相手へ向けた*]
/*
前二戦はひたすら押しまくる展開になってたのが心配だったんだけど、いざ押されてダメージ描写多めに書くようになるとそれはそれで心配になるなぁ。
さすがにこのダメージは攻撃繰り出すまでにワンクッションいる…と思うけど。
― 都市中心部・路地 ―
[喘ぐようにして肺に空気を戻しつつ、相手を見れば向こうも右腕から紅を零していた。
彼我の距離は激突の反動を示しているようだ>>31]
あんたも、……手負い、か。
[答えが返ることは期待せず呟いて。
三日月斧の切っ先向けられれば、応えるように鎖を引いて左手に鎌を持ち直す。
諦める気がないのは、こちらとて同じこと]
[右腕と肩は負傷したが、翅だけはまだ無事だ。
動けるようになるのはどちらが早かったか。
蟷螂はしゃがんだ状態から脚の力で立ち上がるのではなく、斜め上へ向け押し込むように後翅の力を放つ。
三日月斧が振るわれるならば受け止めるように、柄の側を相手へ向け、鳩尾へ打ち込むような軌道で振るう**]
― 都市中心部・路地 ―
[硬質化が腕の出血を減らした>>34のは、こちらの視界にも入っていた。
便利な技を、と思うが不満を漏らしても仕方がない。
今はただ、硬い皮膚の内へダメージを与える策を考える]
[鎌の柄を交差する形で受け止めたのは、オズワルドの左腕の三日月斧。
互いに利き手でない側での攻防は、肩の支えがある分相手側に分があった。
籠めた力は逸らされ、鎌はオズワルドの左へ滑る]
[硬質な音が耳に届いたのはその時のこと>>35。
応急処置には気付いていても、それがそのまま武器となりえることは失念していた。
しかし鍔迫り合いになっていなかった分、次の行動に移るまでは早い]
はっ!
[鎌の柄が滑る動きに合わせるように、自身の体を右へ傾け。
左翅から強く光放ち、自ら右側向け横向きに吹っ飛んだ。
左脇狙いの拳は掠めるように当たり、また着地を考えぬ回避は右肩からの落下になるだろうが、それでも拳がまともに入るよりはましと判断してのこと。
そしてその最中、右手は鎖を握り、オズワルドの左足側から掬うような軌道で分銅を振り回した*]
― 都市中心部・路地 ―
ぐうっ……
[右手で振った鎖に手応え>>38を感じる暇もなく、右肩から地面に叩き付けられる。
打撲だけでなく、地面との摩擦で先の傷が開き、止血の布から紅を滴らせると共に強い痛みを齎した。
また、左脇腹への打撃も掠めた程度とはいえ、内側へ通る衝撃に呼吸が乱れ。
起き上がることも出来ないまま、数秒が過ぎる]
[ようやく半身を起こし振り向けば、オズワルドもまた立ち直りに時間を要しているようだった>>40。
しかし三日月斧を支えに立ち上がろうとする様は、痛みを堪えてでも戦おうとする意志が感じられる。
自身もまた、壁を支えに体を持ち上げた。
脚へのダメージが少ない分、立ち上がり自体はオズワルドよりは容易であった]
[互いに呼吸を整えるため、言葉はなく。
ただ視線を交錯させた後、蟷螂は地を蹴った。
脚による踏み切りと加速力のある翼というアドバンテージでオズワルドより高所を取り、鎌による斬撃を防ぎにくくするために*]
― 都市中心部 ―
[こちらに僅かに遅れて、オズワルドもまた地を離れた>>44。
翅の付け根に熱持たせながら、仕掛けるに十分な高度差が生まれるまで一直線に上を目指す。
住宅の屋根は眼下に遠く離れ、高さで肩を並べるのは研究塔のみとなる]
[オズワルドからの攻撃はない。
出方を待つ気配を感じつつ、ちらと横目で見たのは研究塔までの距離。
徐々に寄せる軌道を取ったことは気付かれただろうか]
[鎌を右手に分銅の側を左手に、間の鎖を極力弛ませ長く持つ。
そしてまず投じたのは右手の鎌。
傷により狙いが外れたかのように、それはオズワルドを掠りもせずあらぬ方向へ飛ぶ。
しかし、目的は別にあった]
[研究塔の、翼ある者たちのため開け放したままの窓の一つに、鎌の刃が引っ掛かる。
後翅の加速を止め、無事な左手で、次いで鎌を投じた手負いの右手で、鎖を握り締める]
あああああああっ!!
[気合いの声と共に行うのは、鎖を利用した強引な方向転換。
加速を止めても慣性力により上昇は続き、鎖は張り詰めてぎちぎちと音を立てる。
掌もまた紅を滲ませるが、巻き付けた布の摩擦がどうにか滑りを抑えていた]
[頭が真下を向いた瞬間、蟷螂は再び加速をかける。
高さと、速度による力を借りて、上下に擦れ違いながら分銅を振り下ろす*]
― 都市中心部 ―
[こちらの動きを読んだ上で、オズワルドが選択した行動に息を呑む。
重さに速度を足した分銅による打撃は、硬質化した皮膚をも通すだろうとの目論見はあったが。
オズワルドはそれを、敢えて受けてみせた>>49]
[硬質化した肩に減り込み、その奥の骨へも達する一撃。
それに耐えるオズワルドの眼前を通り過ぎ、勢いのまま更に落下する。
その動きがガクンと、引っ張られたように一瞬止まった。
――比喩ではない、と理解したと同時、衝撃が走る]
かはっ!
[回避を意識から抜いた攻撃の直後、防御も間に合わず、石突による一撃をまともに背中へ受けた。
体が大きく仰け反り、後翅の光が弾けるように消える。
意識が一瞬飛んだのは、今度は演技ではなかった]
(だめだ……墜ちたら……)
[塔の窓が、真横を幾つも通り過ぎていく。
いつの間にか、両手は鎖を手放していた]
(目指すべき場所は、……どこ?)
[通り過ぎる風を掴むように翅を震わせ。
顔を、体を、持ち上げる。
見上げた先、鎖は漂っていただろうか?]
――――はっ!
[全身に痛みと軋みを感じながら、上方へ急加速する。
左手を、鎖を手にとるべく伸ばして*]
[鎖のある場所はオズワルドよりも向こう、その間身を守るものは何もない。
そして手が届いても――恐らく体をまともに動かせるのは、この一撃が最後だろう]
[だから後翅の力を全開に加速し。
鎖に手が届いたなら、傷付いた右手に構うことなく全力で振るう。
そのための力を]
『運命の輪』よ――手を届かせて!
― 都市中心部 ―
[オズワルドの意志を示すように、負傷した右腕が力を取り戻す>>57。
そして大上段から降る攻撃へ、空中で掴んだ鎖鎌を手に向かい合う。
回復せぬままの両腕では、力ある一撃は到底受け止められはしまい。
それでもカードの力を信じ、敢えて真正面から突っ込んでいく]
[前髪を散らし、眼前を通り抜けていく三日月斧の刃を、見開いた両目で眺めていた。
体すれすれを通り抜ける一撃に、心臓が痛いほどに早鐘を打つ。
しかし――当たらなかった。
両腕を振り上げつつ、急制動により半身となって、振り下ろされる一撃を回避する。
不可能とも思えたそれを、
[緊張の余り引き伸ばされた一瞬から、現実へ意識を戻す。
オズワルドの渾身の一撃を潜り抜け、鎌は未だ手元にある。
両手で握ったそれを、今は目線より下にあるオズワルドの肩目掛け、ただ、振り下ろす*]
――これで、終わりだ!
蟲鳥 グレートヒェンは、鳴無 オズワルド を投票先に選びました。
― 都市中心部 ―
[左肩に鎌の刃が落ちる。
硬質化されていないその場所に、刃は予想外に深く突き刺さり。
オズワルドの手から、三日月斧が滑り落ちるのが見えた>>61]
オズワルド!
[鎌から抜け落下を始めたオズワルドを、加速を止め翅の動きだけで速度を制御しながら追い掛ける。
意地を示すよう広げられた翼に、こちらも無闇に手を貸すことは出来ず。
やや高い場所から見守るかのように降りていく形となる]
ちょっと、大丈夫……?
[地に足を着いた途端、倒れ込むオズワルド>>62。
揺さ振りかけた手を止めて、せめて深い傷だけは止血をと、服を裂いて脇下を通すような形で左肩に縛り付ける。
それ以上は専門家ではない自分に出来ることもなく。
おろおろと助け求めるように周囲を見た*]
/*
実は結構、鎌の攻撃をどの程度当てるかは躊躇いがあったのですよね。
ラストの描写も斬らずに決着する形を最初書いていたのだけれど、直前の描写と矛盾するので没にしました。
(やや先の行動を含めて描写するとこれが困る)
― 都市中心部 ―
う、……うん。
[薄目を開けたオズワルドに窘められ、大人しく頷く。
両腕で起き上がり座り直そうとするのを見れば、手を貸そうとはするが、不要ならば手を引っ込めてただ心配げに見守った]
そ、……っか。
[差し出されたカードの枚数は多く、纏めて受け取れば重みすら感じる気がした。
そして顎で示されたのは、残りの一枚――『力』のカード>>68。
飛ぶ程の距離ではないから、歩いて取りに行き]
確かに受け取ったよ、オズワルド。
……他の人たちの分も一緒に。
[振り返り、先に受け取った分に重ねて示す。
パメラに、ロヴィンに――他、多くの者の願いの籠められたカードが、今、手元にある]
オズワルド。
――あんたはどうして、空を目指したの?
[ふと思い立って訊ねたのはそんなこと。
カードを奪う引き換えには、到底ならないだろうけれど。
せめて、彼の願いの一端でも背負っていきたいと*]
― 都市中心部 ―
[こちらの問いに、口端持ち上げるオズワルドの表情>>71が見えた]
そう。
[彼の話>>72に耳を傾けた後、ぽつりと呟く]
未来や、可能性……。
あたし、この戦いが始まった時は、そんなこと考えていなかったわ。
[未来に背を向け可能性を閉ざしたことで手にした
導かれた結果が現在だった]
良かった。そう言ってくれて。
[諦めない。
幾度か交わしたその言葉をオズワルドも口にしたことに、自然、笑みが零れ]
――きっと、その分は高く飛べる気がするの。
[見上げるのは、籠に閉ざされた空の向こう*]
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