情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[狭間を漂う意識は、いつしか森の木々よりも高いところから周囲を俯瞰して眺めていた。
そして見覚えのある騎兵隊が、戦線を離れこちらの拠点へ迫りつつある>>3:48のに気付いたのだった]
あいつら……今度は何が狙いだ!?
[仲間へ警告をしたくとも、眺めることしか出来ぬ身がもどかしい。
やがて小隊はベリアンの部隊とかち合うこととなった。
幾人かは逃げ出したものの、あの年若い小隊長は、ベリアンの意識を引く形でその場に留まっていた]
[そして大将首を狙うミヒャエルとの、戦闘が始まる。
万に一つでもベリアンが敗北するとは考えていなかったが、負傷した姿を見れば肝を冷やした。
それに敵兵とはいえ、見知った者の死を見届けるのはやはり複雑なものがある]
立派だったよ。
……敵ながら、な。
[小さな称賛の呟きと共に、最期まで胸を張っていた青年を見守った]
[そうしてあてもなく彷徨っていたのだけれど]
…………?
[呼ばれた>>+3、ような気がして振り返る。
するといつの間にか、青一色の、よくわからない空間の内側に居て]
なんだここ……。
って、お前。ミヒャエル……か?
[死んだはずの人間の姿を、同じ空間の中に見付けた。
となると、先の声も彼のものだったのだろう。
何となくの理解をしながら、彼の方へ近付いた*]
……おう。よく覚えていたな。
[驚いた様子の相手から、何故かフルネームで呼ばれた>>+11。
憮然とした表情で瞬いている間に相手の言葉が続く>>+12]
よくわからんが、まあ死んでしまったことには違いないだろうな。
――って、なんだ騒々しい。
[この世界に関する考察については一旦置いておいた。
冥王がどうのという神話は聞いたことがあるが、そう深い知識があるわけでもない。
そして唐突に叫んだミヒャエルへ向け、訝しげな顔を向けた*]
あ? あ――……
ってお前、聞いてたのか!?
[今際の際のあれこれ。
朦朧としつつも口にしていた願いのことを、ミヒャエルの一言>>+14で鮮明に思い出した。
今になって思い返すと、なかなかに恥ずかしいことを言っていた気もする]
まあ、それは気にしなくていい。
元々伝わるとも思っていなかったし。
というか、それどころじゃなかっただろ、色々。
[敵の指揮官と遭遇した上、結果として命を落とすまで戦ったのだ。
むしろ謝られたことが以外という風に手を振って]
正直、そこが心残りになってるの、ある意味すごいと思うぞ。
[それだけではないだろう、とは思うものの。
しゅんとする様子のミヒャエルに、大真面目な顔で言った*]
えっ、見て――……
……そうか。
[身振り手振りを交えながら、こちらを評するミヒャエル>>+19。
結局は負けた戦いとはいえ、褒められて悪い気はしない]
――本当に強かったよ。
俺が一撃でも入れられたのは、……自分が何をくらっても、この槍だけは届かせるって。
そう考えてたからかもしれないな。
[既に生きては帰れぬ覚悟をし、攻撃が成功しようとしまいと、自らの身は顧みぬまま戦った。
とはいえ歴戦の兵ならば、そのような死線を幾度もくぐり抜けてきているものかもしれないが]
……思い残しは多いよな、お互いに。
[恐らくは自分と変わらぬ年齢の青年に、共感めいた慰めの声を掛ける。
そして心残りを伝えたい相手のことを思い浮かべた。
一人は、ミヒャエルの命を奪ったまさにその人なのが複雑なところだ]
[そこで、ミヒャエルが窓の外に意識を映した>>+23。
如何なる仕組みかはわからないが、こちらが見たものも恐らくミヒャエルと同じものだった。
自分の命を絶った相手が、部下を労い、また死した者を思いながら、鋭さを増した槍でこちらの兵を打ち倒していく。
こちらの目には、冷徹と見えたあの軍人だったが]
――目をかけられてたんだな、あの人に。
[それ以上は言葉を掛けず、窓の外で続く戦いの様子を静かに眺めた**]
……そうか。
[拳を握り締め後悔を口にするミヒャエル>>+29へ、短い呟きと頷きを一つ。
自身の後悔とも重なる思いに共感はするけれど、慰めを口にするのも違う気がして、それ以上は何も言わなかった]
[しかし切り替えは意外に早かった>>+30]
お、おお……。
[突然の大声に一歩退きつつも、食事の誘いに否やはなかった]
食べ放題、なのか……?
[勧められたのは山鳥の丸焼き。
貴族育ちの自分から見ると、随分と野性味溢れる調理法と見えたが]
そうだな。折角だからな。
[丸焼きから一切れ分ほどナイフで切り取り、そのまま手で口に運ぶ。
家でやったら行儀が悪いと怒られそうなやり方だ]
……うん。
ここまでシンプルな料理は初めて食べたが、なかなか美味い。
俺のおすすめは……そうだな、羊肉の香草焼きなんてどうだ?
[どうやらこの状態でも、料理はきちんと味わえるらしい。
しばし自分の好物を食べたり、相手に勧めたりして時を過ごした*]
[ミヒャエル>>+34ほど思い切りよく食べられないのは性分だろう。
しかし互いに勧めたり勧められたりしながらの食事は、常よりもハイペースに進む。
ミヒャエルの笑顔に釣られるように、こちらも存分に食べ物を味わい満足そうに表情を崩す]
[しかしそうしている間にも、窓の外では進展があったようだ]
おい、お前、はしたないぞ。
[人参を落とす>>+35様子につい口を出すが、外の様子が気になるのはこちらも同じで]
――そうか。
伝えてくれたのか。
[酷薄と見えたゼファー軍人だが、こちらの願いを律儀に果たしてくれたらしい>>74。
改めての敬意と共に姿勢を正していると、傍らから視線を感じた。
この対峙に複雑なものを抱えるのは同じか]
[だが、吹っ切れたように大声で応援を始めるミヒャエル>>+36に、つい顔が綻んだ。
その割り切りの良さはゼファー軍人らしさか、彼の性格的なものなのか]
――ベリアン様。
俺は勝利を信じています。
[ミヒャエルと比べれば控え目だが、祈りを籠めるように呟いた。
フェリクスを恨む気持ちはない、ただ自軍の、敬愛する上官の勝利を願って*]
[静かになった隣と、互いの上官が言伝を伝え合う様を見詰める]
――お前もな。
[掛けられた言葉と、笑みと。
こちらも同じものを返して頷く。
ベリアンとフェリクスの評に顔を赤くしもだえる様は、微笑ましいというかなんというか。
可愛がる者たちの気持ちが、少しわかったような気がした]
[互いの兵の消耗を避けるためにも、一騎打ちを、と。
ベリアンが提案し、フェリクスが同意する。
フェリクスは直に強さを思い知らされた相手だが、ベリアンの"個"としての強さは、自分にとって未知のものだ。
隣の青年と同様に、固唾を飲んで見守る*]
[いつの間にか新たな窓が出来ている。
その先にいるのは相手方の将軍か、見知らぬ姿が駆けていく様子。
どうやらこの窓は千里眼のように、離れた場も同時に見られるらしい――
それに気付いたからか、とある心残りに反応したようにまた別の窓が現れる]
カレル――!?
[そこには今まさに、倒れんとするカレルの姿が映っていた>>104。
如何なる経緯があってその場面に至ったのか、注視していなかった者にはわからない。
ただ相手方が相当な大物ということは、周囲の様子や立ち居振る舞いから知れた>>110]
……俺なんかより、余程戦功を挙げたんじゃないか。
[かつては自分が指導する立場だった。
しかし一部隊を任された彼が立派にその役を果たしたのは、その状況から窺い知れた。
最後は敗北であったにしても]
というか、よくこの状況で生きて――……
……生きてる、よな?
[地に転がり、仲間に運ばれていく様子>>118をはらはらと眺める。
あれだけ痛がっているということは、逆に致命傷ではないのだろう。
しかし、大怪我ではある]
[騒がしい仲間に運ばれていく様子に、とりあえずは大丈夫だろうと視線を戻す。
ベリアンとフェリクスの交錯は続いていた。
フェリクスの槍がベリアンの腕を貫くのに息を呑み。
しかし続く一撃は、フェリクスの脇腹の深くを裂いた]
[それなりの地位にある者同士が、緋色に塗れながらも戦い続ける。
その様を目を逸らさず、決着の刻まで見届けた**]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新