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[飲み込んだ思いはそっと、かたわらのひとに寄り添う。
ほんの少し、その色を変えて。]
師父も、
…… お辛くは、ありませんか。
[心のぬくもりを求めるよう、分け合うよう、そっと触れる。]
あなたの御力になりたい。
あなたの御心を乱すようなことが、
これ以上起こらないようにと、願っております。
[守りたい。
そんな決意が、ふと零れた。]
天の兵をいくらかお借りしても良いですか?
あれは私にとっても、放置できない者達です。
[自ら討ちに行くという意思を込めて、天の軍団を預かる許しを願った。*]
― 繭 ―
[許可を得た天の子は、群れ飛ぶ下級天使の中から波長の合う者たちを選び、呼び寄せた。その数おおよそ、アディリエルが率いていたほどであろうか。
中でも特に響き合う二体を呼び寄せ、それぞれの額に触れる。]
In nomine Domini
Vestri 'mutantur in species
[主の御名において。
囁きかけるほどの声音で呪を編み、触れる指先から術を注ぐ。
二体の天使は溶け合うように一つになり、姿を変えた。
それは車輪の代わりに翼を備えた、古代の戦車のよう。
引かせる馬がなくとも自在に飛ぶ戦車は、乗り手を受け入れればその周囲を
まずは、かの黒い船を追おうと思います。
[戦車の上に立ち、大天使へ向けて一礼する。
その表情に、"蘇る"前には残っていた幼さ、甘さは無い。
二度目の目覚めを経て、神の種子は成長段階をまたひとつ進めたようだった。**]
[天の兵を借り受けるにあたって、大天使からの祝福を受けていた。
尊き翼よりもたらされた羽根は、黄金色に輝く宝石として授けられる。
聖なる力が形を成したそれらは、掌に乗せただけで弾けるような力を感じた。
懐に収めている今も、温かさが全身に伝わるかのよう。]
ありがとうございます。
これほど心強いことはありません。
必ず、良い知らせをお持ちします。
行ってきます。
[恭しく一礼して、戦いに赴く準備を始めたのだった。]
[頼りにすると言われた喜びと、笑ってくれた安堵があった。
加えて、もう子供ではないという自負と、認められたい欲求も。
結局のところ、
すごいな、と驚かれ、
よくやった、と褒められたいのだ。
そんな心の動きに、当人は気づいていない。]
[無数の天の目は、人間たちが去った方向を教えてくれた。
人間の兵の多くは西へ向けて去ったようだが、
あの黒い船は北へと向かっているらしい。]
あの船と竜を追います。
[宣言とともに、数百の天使を引き連れて
翼ある戦車は空高く舞いあがった。]
/*
師父が首都攻撃に動くのなら、私はこちらかなあというところ。
思うにやっぱり、中間攻略拠点とか、進軍ルートとかがはっきりしていないと、両軍ともにちょっと動きづらそうだねとしみじみしてる。
― 河川上流 ―
[最初は、大地と空のあわいに浮かび上がる、小さな点だった。
進むにつれてそれは大きさを増していき、
黒い帆を広げた帆船のかたちになっていく。
言葉に拠らぬ意思を受けて、天使の軍は速度を上げる。
この小部隊は、既にひとつの意思によって繋がっていた。
下位の天使を手足として操る。
その意味では、確かに天の子は既に天使と同質になっている。]
[次第に彼我の距離が減じていく。
追いつきつつあるのがこちらの翼の速さにあるのか、相手の速度制御にあるのかは、天の子はあまり気にしなかった。
いかにあの船を浄化するか。そのことに思考は絞られる。
だがある程度近づいたとき、周囲の天使から歌が沸き起こり始める。
それは紛うことなく、天上の歌だった。
それも、ひとりの天使が光に還る間際に奏でられた音。
どこからか流れ来る音に、天使たちが共鳴したもの。
力強く透明な響きが、心を震わせる。]
アディリエルさま ───…
[惹きこまれる指揮官の心を映して、
天使の群れは同じ歌を響かせながら船に近づいていく。
気づけば本来近づくべきではないところまで、近づいていた。*]
[歌い交わす天使たちのさまは、天上の世界を思わせるもので、
響きの中には、天に還ったきょうだいを思わせるものがある。
なにか、名残が船の中にあるのだろうかと向けた視線が、中に立つ黒いものを捉えかけたとき、何もかもを吹き飛ばす轟音が天軍の列に穴を穿った。]
──────!!
[天の子が乗る戦車に向かって来た大砲の弾を、前面の天使たちが身をもって防ぎ、光と散っていく。
何が起きたのかと混乱し思考が止まった数秒の間に、撃ち抜かれた天使たちの光粒で視界が煙った。]
………。
[一瞬、泣きそうに歪んだ眼差しに、怒りの火がともる。
前面の天使たちに応撃の光の槍を放たせながら、距離を取ろうと試みた。
さらに中核の天使たちを伴って、もう一段後ろへ下がる。]
In nomine Domini
[唇から祈りが流れると同時に、伴った天使たちが展開し、歌い始める。
それは御使いらで形作られる魔法円であり、多重詠唱からなる神聖魔法でもあった。]
Somno,Somno.Somno homini.
Et homo, in pace.aeternum.
[力ある言葉は大砲や銃火の騒音をすり抜け、思念の波として人間たちに届く。
その波は人の心を穏やかにし、闘争心を失わせ、さらには意識さえも絡め取って安らかな眠りに誘おうとするのだった。*]
[ふ、と聞こえてくる影の天使の声に、ひととき耳を傾ける。
自分に向けられたものではないため答えはしなかったが]
……コンラート、 …。
[無意識のように漏れた言葉の後、物思うような沈黙に沈んだ。]
/*
私の率いている部隊、最初の一撃で1/3とか半分とか吹き飛んでいる気はするのですが、このあとどうしようかな。
少しコンラートと話したいような気もするのですよね。
最終日でもいいのかもしれませんが。
/*
ははあ、なるほど。
下級天使無力化音波か。
面白いなとも思うけれども、私の一存ではちょっと受けにくいかな。
確かにそれあると、最終戦がだいぶすっきりしますね。
[人に安らぎを与える天の加護は、黒き船の人々にも恩恵を与えたようだった。
火砲の轟きが一つ減り二つ減りして、船が眠りに包まれていくのが分かる。
そのまま穏やかな眠りの中で浄化を受け入れてくれればいいと願ったのだが、銃火は減りはしても無くなりはしなかった。]
……哀れな。
[憂い帯びた眼差しを投げ、次なる奇蹟を請うべく詠唱の態勢に入る。]
[この時、一糸乱れず動くはずの天使たちの一部で、奇妙なことが起こっていた。
動きを止めたものがいて、見当違いな方向に光を放つものがいる。
数はごく少ないが、確かな不協和音として存在していた。**]
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