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碧眼 シルキー は 兎 ツェーザル に投票した(ランダム投票)
碧眼 シルキー は、夜盲 ジャン を護衛している。
碧眼 シルキーは、夜盲 ジャン を能力(守る)の対象に選びました。
碧眼 シルキーは、ランダム を投票先に選びました。
[知っているひとだ。
お花をもってゆくと、約束を交わしたひと。
……一瞬の躊躇いは欲望にかき消されて。
ドレッサーに向かいごそごそとなにやら探っているその女性に、金糸雀は狙いをつけた。息を殺してタイミングを待つ。
――なかなかどうして、隙が見つからない。
随分と警戒しているようだ。
金糸雀がいい加減焦れてきたその時だ。
窓を震わすほどの振動が鼓膜を震わせて。同時に女性の意識が一瞬、そちらへ向いた>>3:227ことに気付く。
まさに千載一遇の好機。
金糸雀はすり減った神経となけなしの魔力を使って気配を消し、魔力に「毒」を仕込む。そうして、女性の首元へと迫った。
少しだけ、少しだけ相手よりも速ければ良い。
嘴さえ突き入れてしまえば此方のもの…――]
[あ、拙い。
眼前に迫る腕を認識した時にはもう遅い。
アドレナリンが出ているのか、時間がコンマ単位でページを捲るようにゆっくりと進んで見えるが。その体は一切反応を許してくれない]
きゅ、
[小さく悲鳴のように啼いて、金糸雀は壁にたたきつけられた。
内臓に重圧がかかって潰れるような、なにか嫌な音を聞く。
それきり金糸雀の意識は薄れる。
スローモーションのようにふわりと地面に落ちれば。
小鳥の体の何処から落ちたものやら、
濃紫色の花が、金糸雀の傍らに献花のようにこぼれ落ちた。
時間が経ってすこしだけ萎れ、僅かに花弁に血痕が付いているものの。それは紛うことなく、杜若。]
[浮かび上がるような感覚に、金糸雀はほんの少しだけ目を開ける。
視界は曇りガラスのように煙り、周囲の状況はよく分からないけれど。
(ああ、分かるわ)
金糸雀の体を持ち上げて覗きこんでいるのが誰かは、分かる。
異形の身として生まれて初めて、――いや。
"死んで"初めて出来た、お友達。
(ああ、エルさん。泣かないで。)
ぼやけてしまって表情なんて分かりやしないし、彼女が何を言っているのかもさっぱり聞き取れないけれど。何故だか彼女が泣いているような、そんな気がして。
しかし声を上げようと口を開いても、出てくるのはか細い呼気だけ。]
――……、
[嫌われて、しまったかしら。
大好きなおにいさまも、初めて出来たお友達も、襲ってしまった。
――もう、眠ってしまいましょう。
そうすれば暫くすれば体も動くようになるし、その間は誰も襲わなくて済むのだもの。なにより、逃げられるわ。この目を背けたい現実から。
……でも、嫌われてしまうのはやっぱり嫌だなあ。
またひとりに、なってしまう。――――*]
―???―
[金糸雀は、いや、少女は半ば強制的に覚醒させられる。
霧と深い闇だけが広がり、どこを向いているのかはおろか、立っているのか座っているのかもよく分からない。曖昧模糊とした世界。]
ここは、――?
[少女は握った掌を開いて、曖昧な闇を見通そうと目を凝らした。
感覚としては先ほど干からびそうなほどの量の血を奪われたその場所に似ている気がしたけれど。ヒトの形を取れぬほどに乾いているのに、今こうして人の姿で立っている。つまりこれは夢、あるいは幻術の類なのだろう。
魔術に少々心得のある少女はそう当たりをつけた。]
――!!
[果たしてそれは、幻術の類のものであったらしい。
少女の箱庭を保つためだけに殺されてしまった屋敷の使用人達が、涙のように血を流して少女の首を絞める。異形となってから喰らい尽くしたヒト達が、恨みがましい表情で此方を見ている。
傍にいて欲しいと願ったそばから喰らってしまった、
最愛の兄の狐火が少女の身を焼く。
友人の青銀の狼が少女を苛むように威嚇し、腸を食いちぎる。
その苦痛はあまりに真に迫っていて、少女の視界はぼやけ、赤く明滅する。体の痛みなのか心の痛みなのか最早判別付かないが。
暴虐的な苦しみの中、少女は確かに幻視した。
己の身を裂く人々の幻の向こう、ずっと奥に、かの元老の姿を。
その口元は僅かに笑みを浮かべているように見えた。]
――っ、は、あは、
[苦痛に顔を歪めて少女は笑う。]
なるほど、ね。逃しはしない、ってこと。
解放など望むな、ってことなのね。
[そう理解した瞬間、少女の体は重力に従って落とされる。
長い自由落下に身を任せ、少女が零したひとつぶの涙は、
――血で、できていた。*]
―現在―
ぴぃ、
[悪夢から跳ね起きたといった風に、金糸雀は一声啼いて友人の手の中から飛び上がった。内臓に受けたダメージは修復されており、飛行に支障はない。]
ぴぃ、ぴぃ、
[威嚇するように羽根を大きく広げて羽ばたくが、
(どうして捨てておかなかったのかしら)
(とどめを刺すなり、放置して立ち去るなりすればいいのに)
そこに考えが至れば、金糸雀は友人から数メートル離れた所に下り、おそるおそる相手の様子を窺った。
(ああ、そういえば。)
(初めてあったときも、こんなふうだったわ。)]
[友人だったひとの気配に殺意が感じられぬことが分かれば、金糸雀はすこしだけ警戒を解いて]
ぴぃ、ぴぃ、くるくる。
[歌ってみせた。
でも、違う。金糸雀は相手に歌を聞かせたいわけではなかった。
――あやまらなくっちゃ。
その一心で口を動かすけれど、その言葉は普通のひとには分からない歌声となって流れてゆくだけだ。]
ぴぃ、ぴぃ、
[不意に、何処かで嗅いだことのある匂いが鼻をつく。
血と薔薇の匂い。兄を助けた小瓶の匂い。それが床に置かれた口紅の袋の中から漂っている事に気づけば、
おねがい、お話をさせて。謝らなきゃならないの。
ころころと甘えるように啼きながら、その袋をつんつんと突いた。
戦闘直後に彼女が譲与の意思を示していたことは、ダメージを受けて意識の曖昧だった金糸雀には分からぬことであった。]
[突然にやってきて挨拶をするなり、「こんにちは、死ね!」と襲ってきた男。彼は何時だったかに蔦から救出した男、その人に他ならなかった。
小石が蹴り飛ばされるようにあっさりと金糸雀の体は宙を舞う。
金糸雀はスローモーションで流れる時の中、小さく歯噛みをする。ああ、ヒトの姿を取ることができれば、と。
親以外の吸血鬼と殆ど会ったことがなかった少女。
飢えたことがなかった少女。
彼女はこの壮絶な数刻の間に、確かに学習をしていた。
ヒトを相手にするのと同じではいけない、持てる魔法全てを使わねば、未だ青い彼女に勝ち目はないのだと。そしてそれら魔法は、この姿では使いようがないのだ。]
ぴぃ、
[一声啼いて、金糸雀の体は窓ガラスを割って建物の外へと落下する。さあ、相手は追いかけてくるかどうか。それとも友人の相手で手が塞がってしまっているか。
落ちた先は、"中庭"。
また彼女は振り出しへと。]
―中庭―
[体重が軽いことが幸いしたか、落下のダメージ自体は然程でもなかった。小鳥は、枯らされてしまった花々の上にかさり、と乾いた音を立てて落ちる。
カワイソウ。こんなにされてしまって。
わたし、お花はだいすきなの。
ひどいわ、ひどいわ、きっとあの杜若も枯れてしまったわ。
小鳥はその嘴で、萎びて乾いた葉を愛しげに撫でた。]
ぴぃ、
[金糸雀は細く啼いて、花達にはなしかけた。
そうだ、わたしがたすけてあげるわ。
げんきになるお呪いをかけてあげる。
ねえ、そうしたらわたしを助けてくれる?]
[この数刻の間に少しずつ分かってきた「獣の身体の動かし方」「獣の言葉」。ヒトの姿であるときにできることが今もできるかはわからないけれど。
試してみないことには結果は分からない。
どちらにせよ、このままではいつ殺されてしまうかわからないのだ。何か行動を起こさなければ、その時はきっと早まるばかり。
ならば、足掻くだけ足掻いてみなければ。
きっと元老共もそれを望んでいるのだろう。]
ぴぃ、――――――。
[金糸雀は囀った。
歌は何処か神秘的な響きを帯びて、中庭全体へと響き渡る。
中庭の外の何処まで届いたかは分からない。
金糸雀が人の姿であったなら、それはきっと「呪文」として他者の耳に届いただろう。]
―――。
[小鳥の歌が止み、中庭に静けさが満ちれば。
金糸雀の倒れた場所から、じわりと草木が萌え出でた。
やがて中庭を覆ってゆく眩しいほどの緑。
美しい花々がそこかしこに咲いて、その存在を主張する。
蔦が金糸雀を包み込み守るように伸びた。
大きな葉に覆い隠され、雲隠れ。]
[シルキー・フォン・クラウゼヴィッツ。花籠の吸血鬼。
敵を迎え撃つ少女の箱庭が、出来上がった。]
[己の内の何処にこんな力が残っていたのやら。
こわいわ、極限状態って。
金糸雀は半ば朦朧としながら、自分を守る植物に体重を預けた。]
/*
つえーになりすぎてないかが不安で仕方ないが、この出目&周りが超サイヤ人なのでどうにか対抗手段作らないと勝ちロールが難しいくらいなんだよなあ。
んー、バランスってむじゅかしい。
―中庭―
『だぁれ?私の
[金糸雀はぴくりと反応をして、侵入者に向かって触肢を伸ばす。
その見た目は吸血蔦によく似ているが、吸血の機能はない。
突き刺したり追い払ったりといった用途のものだ。
幾本ものそれらが顔も見えぬ侵入者を拘束しようと動き出す。]
『ジャン?』
[その名を聞けば一瞬だけ、動きを止めて話に聞き入るけれど、]
『そう、元気なら良かったわ。大切なひとができたなら、――それは、とっても良いことね。』
[返答はにべもないもの。]
『だれも近寄らないほうがいいわ、きっとわたし、誰かれ構わず襲ってしまうわ。ひとりぼっちは慣れているから、大丈夫。だから。』
[そうして、一瞬だけ動きを止めた触肢を再び動かした。]
『――だから、あなたもあっちへ行ってよ!』
[悲鳴のようにそう伝えて、金糸雀の
『話すことはないわ、その五月蝿い口を閉じて頂戴!』
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