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[親友の伴侶が内心でどんな感慨を抱いたか、などは知る由もないが、知れば、かなわないなという感想を抱いたことだろう。>>11
相変わらず、優しく強い花のようなひとだ、と思う。
泡雪のような花のイメージが浮かぶ理由は、思い出さないままに。]
私も、同じようなものです。
気づけば、繭の中にいた。
夢、で片付けるには、現実感がありすぎるようですね。
[夢であればよいとは思うけれども、羽を背負ったジルに会えたことは幸運だった。ジークがいれば、てらいもなく「可憐だ」とか「妖精のようだ」とか言うんだろう。
我が妻がいたらどうか、とかどんな翼が似合うだろう、などと関係ないことにまで思考が流れかけて、軽く表情を引き締めた。]
あの男がベッドに行こうと言うと、18禁な台詞にしか聞こえないのがさすがだな。
ゆこう。
そして寝よう。
今日は昼からおせち食べつつ延々と酒飲んでいたからな…**
[体が揺らいだと見えたのは、ごく短い間のことだったろう。
支えようとするものがあれば、手を伸ばして押しとどめた。
その所作のひとつひとつ、伸ばした指の先までもが嫋やかに甘い。]
心配いらない。
身体をほんの少し、借りているだけだから。
[切れ長の目元はそのままに、伏した睫毛の影が表情に色を添える。
それまでの、秀麗の中に凛とした威を宿す武人の相とは一変して、華やかにして奔放な、背徳の華の気配を纏っていた。
他のなによりも目に明らかなのは、背の翼が鮮やかな赤に変わったこと。
咲き誇る薔薇を思わせる色彩が、背を彩る。]
驚かせてしまっただろうか、美しいひと。
貴女のような方を前にしては、衝動に耐えることなどできなかった。
ひとこと、貴女に賛辞を捧げたいと、"彼"の口を借りている次第だ。
可憐で麗しい花の女王よ。
春の淡雪のように甘く優しいあなたの声は、私を蕩かしてしまう。
貴女の前ではどんな色も霞んでしまうよ。
できうることならば、愛らしい貴女の指先に留まる蝶でありたい。
[ジルの前に跪き、蠱惑の笑み湛えて彼女の瞳を見上げ、
許されるならばその手を取り、指先に唇を落としもしよう。]
[立ち上がり、───もし手を取っていたならそのままに、赤み差す唇に笑み含ませる。]
このまま貴女を私の城に連れ去ってしまいたいところだけれど、
貴女という花が添いて咲く地は私の傍らではないのだろう。
惜しいことだけれども───
[濡れる吐息の混ざった声を零し、片手を胸の前に持ち上げる。
掌から芽生えた野茨は手に巻き付いて蔓を伸ばし、指先で一輪の赤い花を咲かせた。
その花を摘んで、ジルへと差し出す。]
稀なる出会いのよすがに。
夢の通い路の、道標に。
望むところへ貴女を導く助けともなるはずだよ。
貴女ならば、独力で道を見つけ出せるだろうけれどもね。
[そうしてようやく、視線を待ち焦がれているだろう器に注ぐ。
鉄灰色の髪と目をした、我が
迎えに来たよ。
おまえが私を呼ぶ声が聞こえたから。
もう、堪能しただろう?
さあ、帰ろう。
[視線と共に指を伸ばし、淡い青の翼に触れる。
張りつめた皮膜の上を指先で辿って、滑らかな感触を楽しんだ。]
この翼も佳いね。震えるさまが見てみたくなる。
帰ったら、再現してくれるね?
[もちろんその時は触れるだけでは済まないと、瞳と指が雄弁に語っている。**]
久しぶりに動かしたいひとを動かしてみたら、想定以上に時間が掛かった件。
やはりスイッチが入らないとつらいな。
それでも一度はジルを褒め倒してみたかった。
後悔はしていない。
(寝よう)**
麗しく強き御方。
貴女といつか茶会の席を共にできることを楽しみにしている。
御名をいただいても?
[問いかけるころには、紅の翼はいくらか色が薄れている。]
[指先に絡む濡れた冷たさに、蕩けるような吐息零す。>>61
甘い薔薇の香がふわりと広がった。
弟が溶けて流れた雫を、絡まり伸びた茨の蔓が受け止める。]
では、そろそろ私も失礼するよ。
貴女の佳き人と、この"彼"によろしく。
[指先で差し招けば、蜜を湛えた蕾を次々と膨らませながら、伸びた蔓がアーチを作る。
一歩踏み出した、と思えば姿が二重にぶれて、よく似た顔の男が歩み出ていった。
半ば透き通ったその姿も、野茨のアーチを潜れば、もろともに滲むように消え失せ、後には"間借りされた"男が、いささか疲れた顔で浮かぶのみ。
翼の色は、金に戻っていた。*]
[ジルと共にやってきた男が、琥珀に変じたのには軽く目を瞠る。
だが、そんなこともあるだろうと納得した。
己の身体を通して人外の業を行使された今なら、大概のことは呑み込める。]
帰り道のエスコートは、私が。
[ジルに手を差し出し、身体を寄せる。]
それと、
私があれに乗っ取られていたというのは、
ジークにもゾフィにも秘密にしておいて欲しい。
頼むよ、ジル。
[親しみ込めてそう呼びかけ、ウインクひとつしてみせた。*]
こちらはこのままなんとなく帰ってもいいかなという気分になっているよ。
この口でジルを口説いた(っぽいこと言った)とか知られたら、絶対笑われるとかねだられるとかするに違いないから、秘密にしておきたいの心。
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