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王国兵 トール は 精霊師 コンスタンツェ に投票した
[上衣を脱ぐ前にユーリエが去っていったのは、言葉通り土埃を落としに行くのだろうと思っていたので、なんら気にはしなかった。
治療するローランドの手際に不安も無かったので、黙って身を任せる。
ただ、傷の処置については少し口を挟んだ。]
麻酔は要らない。
感覚が鈍ると動きが狂う。
[痛みには慣れているが、無感覚なのは困ると主張する。
それ以外は特に異論もなく、帰ったら〜、というのにも頷いておいた。>>2:159]
さっきの香りはおまえだろう?
[治療の合間、戦場に流れた香りのことを口にした。]
殴るでもなく、魔法でもなく、獣をおとなしくさせるのは初めて見た。
さすがだ。
[素直な賞賛を伝える。]*
[───と、カークと話していた公子が近づいて、目礼する。
治療について指摘されれば、ゆるく目を見開いてから笑み浮かべた。
気づかれていたのが驚きだし、目を配っているのを知れば嬉しい。]
御意。
───殿下。それはあなたも、です。
もっとも、ローランドが見逃さないでしょうが。
[胸の傷の血止めだけで済まそうとしている公子に、念押しか覚悟を促すニュアンスで言った。]
― 地の神徒の間 ―
[次に待つ相手の詳細を聞いて、暫し黙考した。
聖獣だろうが何だろうが、肉体があって斬れるものなら問題ない。
問題は、水だろう。
結局、他の人間が治療を受けている間、鎧の補修がてらワックスを塗りなおしておいた。
革が水を含んで重くなるのが一番困る。
微々たる対策だが、しないよりはましというところ]**
― 地の神徒の間 ―
[治療と次の戦いへの準備を終え、そろそろ、と声が掛かり始める頃。]
…?
[いつもの飛び跳ねるような足取りでユーリエが近づいてきた。
どうしたと聞く前に礼を言われて、ああ、と曖昧な声が出る。
それ以上答える間もなく離れていく背を、少し見送っていた。]
………。
[やはり子兎だ、と思った内心は、口にしなくて正解だっただろう。
子ども扱い、というのとはまた違うニュアンスではあったが。]
― 水の神徒の間 ―
[術による移動も三度目となれば慣れる。
出現した先に、敵意ある相手がいるだろうことも予測済みだ。
カークと公子が揃ってぼやく頃には得物を構え、カークから呼びかけがあった時には、もう数歩駆け出していた。
真っ先に標的としたのは、駆け出せば厄介となるだろう真っ白な牛。
長く伸びた角は美しかったが、強力な武器であることには変わらない。]
[頭を下げて身構えた牛の先を打ち、鼻先に柄の一撃を叩き込む。
怯んで下がった牛が頭を上げて鳴いたところへ、下から掬い上げるように刃で喉を薙いだ。
物悲し気な悲鳴を上げて白牛が倒れるのを見もせず、次の相手を探す。その視線が、一頭の牡鹿のそれとぶつかった。
よくよく鹿と縁がある、と笑う思考とは別に、身体は新たな獲物へと駆け始めている。
神々しくも狂える獣の眼差しは、見つめているだけでこちらにまで狂気が伝染しそうだ。]
[最短距離で近寄り、相手が反応する前に斬り倒す。
今までもそうして獣たちを倒してきたが、ふと嫌な予感がした。
牡鹿は、体当たりの前動作なのだろう、頭を下げて数歩下がり、力を溜めている様子。
緩やかな曲線を描いて回り込みつつ、機を捉えて前へ踏み込もうとした瞬間、予感の正体に気づく。
目の前の足元が、深く落ち窪んでいた。
何も考えずに踏み込めば、水に嵌ってしまっただろう。
咄嗟に軌道を変えて深みを避けたが、姿勢の崩れた一撃は鹿に傷を負わせるに留まる。
痛みに瞳を燃え立たせた鹿が、鋭い角を振り立てて突進してきた。]
[躱しながら斬りつけるには足場が悪い。
咄嗟に抜いた匕首を鹿へと投擲し、横に飛んで突進を避ける。
眉間に深々と匕首を埋めた牡鹿は、少しの間余勢で書けた後、膝を折って倒れ、くすんだ光へと変じた。]
[水に落ちた匕首を拾う暇もなく、ただ直感のみで飛び下がる。
一瞬前まで立っていた場所に、これも真っ白な毛を持つ大猿が落ちてきた。
おそらくは別の眷属を踏み台にして飛びかかってきたのだろう。
そいつが投げてきた飛礫のようなものを長柄刀の柄で払い、返す刀で斬りつけにいく。
飛び下がろうとするのに追い縋り、胸の中心に突きを叩き込む。
刃を引き抜きながら切り下げれば、大猿は泡を吹いて倒れた。]
[大猿を斬った刀を大きく振り、牽制とともに汚れを払う。
その手首に白いものが巻き付いているのを見て、目を瞠った。
しまったと思う間もなく手首に小さな痛みが走る。
先ほどの大猿が投げつけてきたのは、生きた飛礫だったのだ。
右腕に細い体を絡めながら牙を立てる白蛇を、左手で引き剥がし投げ捨てる。
踵で頭を踏み砕けば、しばらくはのたうっていた白い身体もしだいに動かなくなっていった。]
[白蛇が動かなくなったのを確認してから、帯紐を一本抜き取り、右の上腕をきつく縛り上げる。
聖獣と呼ばれるものが通常の生き物とどう違うのかという知識はないが、見た目だけを信じるならば、あれは毒蛇だ。
噛まれた箇所を切って血を零しながら、改めて得物を構えた。]**
[くら、と目が霞んだ。
失血のせいか。やはり毒だったか。
まだ動ける、と判断はするが、動き続ける危険は認識する。
幸いなことに周囲を見渡せば、白の眷属たちはかなり数を減らしているよう。]
……下がります。
[公子に声を掛け、最前線から少し身を引く。]
王国兵 トールは、調香師 ローランド を投票先に選びました。
/*
投票変更しようとして、今日もデフォルト公子だったのに気付く。
むふん。デフォルトは初期配置に左右されるんだっけ?
いや、そんな仕様ではなかったな。
ふふふ。
ローランド。
[下がった先で調香師を呼んだ。
戦いの最中に…とは思ったが、早く前線に復帰したい。]
手間をかける。
たぶん蛇毒だ。
[噛まれた後に自分で開いた右手首の傷口を見せ、蛇の特徴を伝える。毒にせよ、そうでないにせよ、彼ならば適切な治療を行うだろうことは、疑わなかった。]
[治療を受けながら、ローランドが身に着けているストールから、先ほどの爽やかな匂いがすることに気が付いた。
下がる途中、彼がストールを巻いたトンファーで狐を気絶させたのは目にしていたから、そのからくりに納得する。]
その香り、直接鼻先に当てれば、あの御大にも効くと思うか?
[問いを投げたからには、肯定が返れば当てるつもりだ**]
ああ。頼む。
価値があるなら、やらない手はない。
[もう少し香を濃くする必要がある、との判断に頷いて、準備を願う。
かの神獣がいる場所へ、自分が行って戦うのは相当に不利だ。
分の悪い賭けに出るよりは、ここでできることをした方がいい。]
橙崔。
あの雲を使って、奴の視界を奪えないか?
[先ほどから闇を操っている彼女ならばあの雲をさらに強力にできないかと、コンスタンツェに呼びかける。
ひとつの力では完全に封じ込めることは難しいかもしれないが、彼女たちの力が合わされば神徒と言えども一時感覚を奪うことは可能だろう。]
[そうして、片膝をついて姿勢を安定させ、両手で弩を構えて機を待った。
闇が濃く深くなった一瞬を狙い澄まし、引き金を引く。
スカーフをなびかせながら飛んだ矢は、水の柱をすり抜け、闇の雲を貫いた。
直後上がった悲鳴にも似た鳴き声は、狙い違わず一角獣の鼻先に矢が突き立ったからだろう。周囲に立ちあがっていた水柱が、ざ、と音を立てて崩れる。
ローランドの浄化の香が効力を示したに違いなかった。]*
[そうして視界を塞がれ、香の効力を受けた白の神獣へと、公子が立ち向かっていくのを見た。
熱によって生み出した靄を氷に変え、空気までも凍り付かせながら駆けていく背を視線で追う。
微細な氷が煌めく中、白い足場を生み出しながら走る姿は、荒々しくも美しい。
我が主、と口の中で呟いてみる。
胸に、灯がともるよう。]
[熱雲と氷霧。その向こうで公子の身体が跳ねあがる。
刃と角の交錯のさなか、赤が散ったように見えて息を吞んだ。
直後、熱気と冷気の衝突が激しい爆発を産み、視界を塞ぐ。]
…殿下。
[呟くほどの声で呼び、頽れた白と地に落ちた主君の元へ駆ける。
先を行っていたユーリエが叫べば、なお足を速めた。]
[水をかき分けながら進み、白の上に伏している公子の元へたどり着く。ユーリエの声に応えて動いたのは目にしたから、半分ほどは安堵した。]
殿下。お見事でした。
[傍らに立ち、素直な賞賛を口にしたあと]
……あの程度の無茶は、しても叱責されぬものと思っておきます。
[つまりは相当な無茶だったと、感心したような諫めるような複雑な声音で告げた。]
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