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― スラム街 ―
[思えば戦いを愉しいと思うことが、これまでにあっただろうか。
自分が戦いと遭遇したのは、面倒な追手を振り切る時か、護衛や用心棒の務めを果たす時で。
許される結果は勝利か、無理ならば上手に逃げること。
敗北しても構わないという心境など、今まで一度も至ったことはない。
ノトカーの表情の読み取りに齟齬が生じるのは、きっとそんな過去が理由となっていただろう]
[相手の足下を潜る一瞬、その姿は視界から外れていたから、空中での仕草を目にすることは出来なかった。
だから重量変化の力を借りて身を翻した瞬間、向こうもまたこちらの背後を取ろうとしていたのだと気付かされる。
足場に逆さまに着地するノトカーから、向けられたのは笑顔>>*0]
[片腕で振り抜いた直後の幅広槍は、穂先の勢いを制御しきれず、咄嗟の防御には間に合いそうにない。
ならば、とせめて落とさぬよう、右手で強く握り直した。
あと必要なのは、覚悟と運]
うおおおおおおお!!
[気合いの雄叫びと共に、体軸の位置を僅かに調整して、鉤爪が左肩へ突き刺さるようにあえて受ける。
無論急所は避ける、が、切り裂くのみで逃げられてしまったらこの次の動きには繋がらない。
ぎち、と固めた筋肉は、僅かでも鉤爪が傷口から抜け出すのを阻んだか]
お前、も――
[痛みに顔を顰めながら、半ば気合いで左腕を持ち上げる。
叶うならばノトカーの右手を掴み捕えるため]
墜ちろぉっ!!
[そして、自分の出せる最大限まで重量を一気に上げた。
屋根の梁が強く軋み、やがて耐え切れぬようにべきべきと、柱を内へ傾けるようにしながら崩れていく。
その瓦礫と粉塵の中へノトカーを引き摺りこもうとするが、負荷に耐え切れず傷口が血を噴き、掴む左手の力が弱まるのが先か*]
おめぇにないもんで勝負しようと思ったら、こうなっただけだ。
[ふらつきながら起き上がる相手に、少なくないダメージを与えたことを見て取り口の端を持ち上げる。
とはいえ彼とは違い、こちらには止血の手段はない。
左肩から流れた血が、シャツを紅く染め、その内側の羽根が段々と重くなっていくのを感じた]
はっ、そうさなぁ……。
[ノトカーの問い>>*18に目を細める。
昼行性の鳥である自分は、夜目は利く方ではない。
月明りが射し込むのみの薄暗い現状では、猫である相手に対し不利なのかもしれないが]
ただ外に出るってぇのも芸がねぇ。
[室内の風が緩く渦を巻く。
先のような吹き飛ばすためのものではなく、むしろこちらを中心に纏わりつくような動き。
それは粉塵や軽い瓦礫を巻き込んで、小規模な旋風へと変化していく。
尾羽がふわりと空気を孕み、持ち上がった]
目立つし周りが汚れるから、普段はあまりやらねぇんだけども――
[ついでに予備動作が長いから、というのは言葉にはしない。
が、相手が何かを感じ取り行動に移すくらいの間はあっただろう]
はあっ!
[こちらの視界もほぼ塞がれた状態ではあるが、旋風の中へ相手を巻き込むべく、槍を正面に構え前方へ突撃する**]
んなら、試してみろってんだ!
[挑発するかのような声>>*31に応え、風は一層強さを増す。
この力を直接攻撃に使うのは、滅多にないことだった。
尾羽や袖口の羽根を揺らす上昇気流に自身が飛ばされないよう、重量を掛けた足で一歩を踏み出す]
おらぁっ!!
[閉ざされた視界の中、先にノトカーが居た場所目掛け、大きく数歩踏み込んで幅広槍を突き出す。
砂嵐の中薄らと見えた影は、ぶつかる瓦礫により徐々に削られ、槍を中心に突き立てられれば一瞬で崩れ落ちた。
しかし、そこには実体あるものを刺した手応えはない。
勢いのまま数歩進めば、ノトカーの姿そのものがそこにないことも知れた]
やられたっ……!
[つまりは、囮だったのだ。
ノトカーが選んだのは、一撃を正面から受け止めての防御ではなく]
そこか!
[今現在の位置からすればほぼ真上。
声>>*32が聞こえた方を見上げれば、旋風の巻き上げた瓦礫を受けながらもそれを突破し、こちらの眼前まで迫るノトカーの姿があった。
瓦礫によるダメージは目論見通り、なれど負傷を厭わぬ強行突破は、奇しくもノトカーを一番風の穏やかな部分――"目"の位置へと飛び込ませていた]
おおっ……!
[突きこんだ姿勢から両腕をどうにか持ち上げつつ、旋風の範囲を凝縮して気圧によるクッションを作ろうとする。
しかし、それらは体当たりの衝撃を幾らか和らげはすれど、勢いを殺すには至らぬだろう。
最終的には半ば後方へ倒れ込むようになりながら、体当たりを受けることとなる*]
/*
今更だけど、おれっち獣人設定いまいち活かせてないんだよなぁ。
術や戦法と獣としての強みがあんまり噛み合ってないというか。
まあ、もう一段階は変化するつもりだけど。
(完全獣化はまともな戦いになる気がしないのでやりませn)
なんの、……おめぇのすばしっこさを見誤っていたのさ。
[自身の視界すらも塞ぐほどの大技、その陰で何かを仕掛けられてもその仕掛けごと粉砕する気概がなければ、放つものではない。
故に威力があるのは、ある意味当然で。
しかしノトカーはこちらの意表を突くことで、その中でも一撃を通してきたのだ。
口の端に浮かぶ笑みは、僅かながら称賛めいたものが混じっていた]
[息を整えるように数度呼吸した後、槍を構え直す。
ダメージの大きい左手が僅かに震えるのを、気合いを籠めて握り直した]
そうでないなら、
[そう宣言すると共に、中断に構えた槍で、能力を纏わぬ純粋なる突撃を敢行する。
相手が応じるなら、右腕をぐっと押し下げての斬り上げ、刃の重さを利用した斬り下ろしと、いずれも能力を使わぬまま連撃する*]
― スラム街 ―
[続行の意志を告げたこちらに、ノトカーはやはり楽しげな表情を向ける>>*54。
実際にはそこまでの余裕はないはずだと察している今、その笑顔に初めて苛立ちではなく好ましさを感じた]
降参する気は――ないみてぇだな。
[戦闘続行の意志を訊ねた理由を量りかね、もしやと思って訊ねるがそのつもりはないようだ。
こちらの構えに相手が応じる様子を見せればやるべきことは一つだった。
突撃に対する反応で、相手もまた能力を消耗していることが伺えた]
く……。
[リーチと重量では幅広槍に分があるが、交差した鉤爪を通すことは出来ず受け流される。
続く斬り下ろしも受け流されれば、彼我の距離は相手が得意とする範囲まで狭まっていて]
ぐっ!
[槍が己の左へ流れた瞬間、がら空きの胴に鉤爪が迫る。
咄嗟に下へ向かう刃を床へ突き立て、そこを支点に槍から身を離すよう腕の力を籠めて、後方へ下がろうとする。
それでも相手の側にあった右胴は避け切れず、鉤爪が薙いでいくのを感じた]
はあ、こりゃ……。
[まずいかもしれん、と、懐へ飛び込む姿勢に気付きながらも跳躍での回避に移れぬ己の状態に気付き冷や汗を滲ませる。
完全な回避は不可能であろうが、かといって黙って喰らうつもりもなく]
やあっ!
[気合いと共に、床へ突き刺していた刃を、強引に引き抜きつつ斜め上へ振り上げる。
先端に力が加わったことにより撓りのついたそれは、こちらの左下から右上へ、相手の右胴を狙う。
刃ではなく、柄で打ち据えるのが目的の一撃**]
[眼前から響く気合いの声>>*64。
四肢を使う前進は、まさに獣の襲撃を思わせる。
左右後方へ流した腕から、交差軌道の斬り上げに移ることは見えてはいた、が]
ぐっ……!
[刃の重量が仇となり、振り抜いた槍を防御の位置まで引き戻すのでは間に合わない。
せめて急所への攻撃は届かせぬよう、脇を締め両腕を交差させることでガードする。
既にボロボロになっていたシャツの袖がついに弾け飛び、黒白の羽根が幾枚も宙を舞った]
はあ、はあ……。
[半ばたたらを踏むように一歩、二歩後退する。
槍を引き戻すのに成功すれば、その石突を床に突くようにして、更に後方へ向けて跳んだ。
どうにか距離を取る、といった程度のキレのない動き]
[じりじりと、槍の刃先を相手へ向けて牽制しつつ、少しずつ位置取りを変える。
間を持たすように開いた口から、何気なく言葉が零れてきた]
――おれっちなぁ。昔は自分が、なんの動物なのかわかんなくて。
羽根が生えるから鳥だっつーことはわかっても、次の疑問は当然浮かぶよなぁ。
『それならなんで飛べないのか』って。
[両親の顔は知らない。ろくな教育も受けていない。
だから動物の種類を知る機会などほとんどと言っていいほどなかった]
せめて、飛べる鳥だったら気分も幾らか晴れたのにと、そう思ったこともあるよ。
[頭上から月明りが射し込む。
その淡い光の中で微笑を浮かべながら、両足の靴を脱ぎ捨てた]
でも、まあ――そんなおれっちだから与えられたのかもしんねぇな。
飛ぶよりも疾く、跳んで、翔ぶ手段をさ。
[ぐ、と床を踏み締めた両脚に白い羽毛が生え、強靭な駝鳥の脚へと変化していく。
腰を落とし力を籠めれば、全身の傷が開き紅が噴き出した。
消耗も負担も大きいが故に、ぎりぎりまで切ることのなかった切り札。
十分に力が溜まった所で、地を蹴ると同時に重量を極限まで落とす]
はあっ!
[一直線に飛び出した身体は、頭上に空いた屋根の穴を通り抜け、10mほどの高さに達するまで宙を舞った**]
[眼下のノトカーが何を思い語ったか>>*79>>*80、高く翔んだこちらに知る術はない。
跳躍が最高点に達した瞬間、両腕を広げ姿勢を安定させる。
ばさり、風を孕み腕の羽が膨らむ様は、まるで本当に飛んでいるように感じられた]
良い眺めだ。
[自然の風に乗り赤色が散るのは意に介さず、そう、ぽつりと言葉を落とした]
でも、どんな鳥だって、無限に飛ぶことは出来ねぇんだよな。
[身を翻し、頭を、そして幅広槍の刃を下へ向ける。
相手の動きが鈍っていたが故に、姿勢を整える時間は稼げた。
眼下、足場を跳躍し、穴の外に出るノトカーの姿を捉える>>*81]
[あとどのくらい剣戟を交わせるか。
少なくとも、これだけの高い跳躍を出来るのはこれが最後だろう。
なれば、高さを活かせる機はこれ以外にない]
――いくぞ。
[刃先を照準のようにノトカーの居る位置へ向ける。
更に駝鳥の脚は、風の集中が弱まっている現状でも、空気の密度変化を力強く捉え足場とする]
おおおおおおおっ!!
[そうして、宙を翔け下りた駝鳥は。
ノトカーの頭上目掛け、幅広槍を振り下ろす*]
/*
おれっちの心境。
よーし、互いに満身創痍だしここいらで必殺技だー→あれ、でもドンパチって言ってるし、もうちょっとやり合うの期待されてるのかなー→そもそも獣化したのいまいち活かしきれてないやんけ
で一応余力を残すチキンなのでした。駝鳥なのにチキン(
実際、0:30で決着後もまだ動けるし、その前に発言する時間もあるからここで決めに行くのは早いんだよな。
とはいえダメージ的にはもうそこまで長時間動けねぇだろっていうジレンマ。
/*
鳥篭懐かしいな(←書くの忘れてた)
鳥系獣人だとあの村と被るのではとちらっと思ったが、真っ先にイメージ湧いたのがダチョウだったのと、あの村でやったの鳥じゃなかったから…許して…。
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