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― サシャとの部屋 ―
[ それは夜への一歩手前の黄昏時。響き渡った2発の銃声。
嫌な予感と共に部屋から飛び出ようとするも、サイレンが鳴り響き階級を持たない一般兵の外出の禁止がアナウンスにて命じられる。
思わず立ち止まり放送の流れるスピーカーを茫然と眺めると、すごすごと部屋の中へと戻るだろう。
それからはベッドの上に膝を抱えるように座り、じっと訪れることのないサシャの帰りを待ち続けた。
どのくらいの時間がたっただろうか?
もう夜の帳が下り辺りが闇で満たすころ、カシムは何を思ったのかのろのろと起きだし着ぐるみに触れる。
幾ばくかの間そのまま撫で続けていたが、途端に涙が流れ出す。
漏れ出す嗚咽は止めようがなく―― ]
…ぐっ、ふっ、ぐっ、っすす……
……なんで、帰って来ないのでありますか!
………なんでっ!!
[ ――そのまま泣き崩ずれるように着ぐるみへと抱き着き決壊したように泣き続けた。* ]
――…ゴトリ
[ そのような時だった、サシャが着ぐるみの下に隠していた>>2:91が顔を出す。
カシムは不思議に思い銃を引っ張り出すと、彼女が愛用していた銃であることが分かった。
と、同時にパラリと一枚の手紙も一緒に出てきただろう。
慌てて開いてみるが流石に暗すぎて中身を読むことが適わず、急いで作業机に駆け寄り蛍光灯の電源を入れた。
震える手でその内容を読んでいく。
それはサシャの遺言であり、カシムへの忠告でもあった。
そしてライフルと着ぐるみは自分へ譲るとあった。 ]
……なんなんでありますか?
…どういうことでありますか?
……なにが言いたいのか分からないであります
[ 否、口では拒否しようとしているが冷静な頭は正確に状況を理解していく。
サシャは狼化病の嫌疑を掛けられていたのだと、そして彼女は無実であると、そして彼女自身は事件に巻き込まれただけであるとも。
震えはいつの間にか止まっていた。
大事そうに手紙を畳み胸ポケットにしまう。
丁度、そこにはフィオンから預かった包みも入っていた。 ]
……もしや、これがサシャ殿の無実を晴らす証拠という事でありますか?
しかしフィオン殿はこれを数日後に本部へと
サシャ殿は上層部を信じるなとも
……何を信じていいのか分からない以上
明日、フィオン殿に確認する必要があるであります
[ カシムはライフルを大事そうに立て掛け、蛍光灯の電源を落とした。** ]
― 翌朝 ―
[ 朝、外出禁止令が解かれ部屋の外へ出ると真っ先に容疑者であったサシャが自害したといった知らせを受ける。
それはある程度予測できた答えであり、だからこそ言いようのない怒りがカシムを襲った。
彼女のライフルを背おい、真意を確かめるべくフィオンを探す。 ]
――…っえ、フィオン殿が?
[ 寝耳に水とはこの事だろう。
真意を質そうとした当人は第二の犠牲者となってしまっていた。
残されたのは彼から預かった包みと、サシャの遺言だけ。
カシムはそこで茫然とたたずむことしかできなかった。* ]
[ 廊下に立ち尽くしているとカスパルに道の邪魔になっていると声を掛けられた。
いつもの敬礼を忘れて首だけでカスパルに振り返った。 ]
……サシャ殿が自害したと聴いたであります
狼化病の嫌疑を受けていたとも耳にしたであります
しかし、今日もまたフィオン殿が犠牲者になったと聴いたであります
まだ、狼化病の者が捕まってないことになるであります
……カスパル中尉殿、一つだけ答えて欲しいであります
――…なぜ、サシャ殿は自ら死しなければならなかったでありますか?
[ カシムは何も映さない瞳をカスパルへと向けていた。* ]
――……そうでありますか
[ カスパルの返事は、カシムにはとても納得行くものではなかった。 ]
……『運命』でありますか
[ 『運命』という言葉を聴いて、やっとカチリと何かが記憶の底で一致する。
ふいに涙が流れ落ち、直ぐにそれは滂沱となる。 ]
自分は…、自分の『運命』は……
――…おそらく"見届ける"ことだと思うであります
もし、もし抗うのであれば、それはサシャ殿が生きていた時であったはずであります
もう、なにもかも遅いのであります……そう、この記憶さへも……
[ ぐしぐしと顔を拭い、目を真っ赤にしてカスパルへと敬礼する。 ]
サシャ殿の事、お答えくださり感謝であります!
[ これから宣言通りカシムは傍観者に徹するだろう。
……おそらくこれが『運命』であるなら自分はまだ死ぬことはない。
そう、二人に託されたものを渡すその時まで彼は『運命』に身を委ねる選択を取ったのだ。* ]
― 訓練所 ―
Baaaaaaaaang!!
命中であります。
[ カスパルと別れた後は訓練所にてサシャから預かったライフルの試射を繰り返していた。
不思議なほど今日は的によく中る。
これで13(6x3)度目の試射であったがその全てが的の何処かに中っていた。 ]
――…カチリッ
Baaaaaaaang!!
[ それは何も考えなくてよくなった為か
はたまたこの銃そのものが彼女の魂である為なのか
答えはカシムの中には出てこない。 ]
……今更なのであります
新兵 カシムは、尉官 ドロシー を投票先に選びました。
……ありがとうであります
[ 銃を撃ち終え次の動作に入ろうとした所、ドロシーに声を掛けられた。>>32
何か自分に用事ですか?と尋ねればドロシーはカシムを探していたらしい。 ]
――サシャの事は、聴いてる?
[ もう動くこともないと思っていたカシムの感情が僅かに揺らぐ。
直ぐにライフルの銃口を下に向けドロシーの言葉に耳を傾けた。
更に紡がれるドロシーの言葉に一瞬眼を眇めるが、大きく首を左右に振り彼女を無視して再度ドロシーを無視して的へと向き合った。 ]
……自分は、犯人が誰だか最後まで知ることができない立場にあるであります。
ただ、これが『運命』であるのならば……"小さな"ドロシー中尉
貴女ではない事もまた事実なのであります
――カチリッ
Baaaaaaang!!
[ 空薬莢が飛び、的の中心へと穴を空ける。 ]
……ドロシー中尉殿は『運命』に足掻くでありますか?
/*
信じられないだろ…今、ドロシーが狼だって気が付いたんだぜ←
なんか、根本的なところで重大な部分を読み飛ばしてる
ん、ん〜?
……自分にも分からないであります
もう既に自分は傍観者であるのであります
[ サシャが死んだ時点でカシムの主体性はもうそこにはない。
ドロシーが何を望もうがカシム自らが動くことはなかった。 ]
……そうでありますか
ご武運を祈っているであるます
[ カシムは決して動かない、託されたものを渡せる時がやってくるまで、決して……。
ドロシーの決意を横目に射撃の訓練を再開するだろう。* ]
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