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―回想・精霊節まで、彼たちと彼女たち-V―
ステファンさん。
私、不思議に思ったんですけど、
ここって――どうして、日本語が通じるんでしょうか。
[フラクシヌスに召還されてから、
気になっていた疑問をステファンにぶつけてみた。
ファーストネームで呼んで欲しいと言われたときは、
思わず怯んでしまったが、気負うことなく付き合える相手だと知って、
自分から言葉を掛けるようになっていた]
[――この世界の疑問について、
確実な答えが欲しいなら神官長に聞くべきだろう。
けれど、いくら已むを得ない事情とは言え、
自分たちの都合を押し付ける相手と、
気軽に雑談をする気にはなれないのも事実だったし]
もしかして魔法のおかげ?
それとも、実はここって――もう一つの日本だったりするとか。
[実のところ、寄る辺なき異界で不安を紛らわせることの出来る、
数少ない相手と話すことそのものが目的で、疑問に対し真剣に答えを望んでいるわけではなかった**]
―水の精霊の領域―
……ごめん、少し時間を貰うね。
[もうすぐ始まる試練を思うと、内蔵が裏返りそうな気分になる。
ベルティルデの厚意>>18に甘え水筒の水を口に含み、呼吸を整える]
(私がベルに勝つには、先手を取って、
魔法を使われる前に決着をつける――それしかない)
[玲緒の槍術は素人の域を出ない。
それでも『剣の百合』の加護を得ることで、
格闘戦なら何とか体術が不得手な相棒の上を行けるだろう]
(でも、もし――万が一の間違いで勝てたとして、
その勝ち方で本当に良いのかな。
それだと、私もベルも強くなる余地がない気がする)
[考えたくもないのに、思惟は試練の周囲を巡る]
[覚悟を決め、想いを口にして>>2:119
それでも尚、弱い心は容易く揺らぎそうになる]
(……だめだ、負けて元々なんて考えるな。
私は弱いから。
だから勝って、変わらなくちゃいけないんだ)
[ぱちん、と音がするほど強く両頬を叩き、
相棒の淡藤色の瞳に視線を据える]
お待たせ。――始めようか。
[ベルティルデの同意あれば『剣の百合』を構え、歩を踏み出す]
[――狙うは神速の勝利。
そう決めて頭を振り、纏わり付く思惟を振り落とした。
今は試練を乗り越えることだけを考えれば良い。
勝ち方だなんだと考えるのは、全力を尽くしてからでも遅くない]
いくよ!!
[二歩目は大きく踏み込んで。
三歩目で地を蹴ると同時に、槍の柄で横殴りに殴りつけた*]
流水の御魂 灰吹 玲緒 エレオノーレは、大地の守護者 アイリ を投票先に選びました。
[初撃が弾かれることは予想していた。
予想外だったのは、その手段。
槍を止めたのは魔力を込めた領巾。
体術が不得手のはずの相棒が、敢えて盾の魔法を使わなかったことに驚嘆する。
ベルティルデは正しく、自らの新たな力を引き出そうとしているのだ。
そのまま玲緒を押し返すと後方へと飛び退き。
オヴニル戦で見せた短縮呪文が唱えられた]
[召喚される水の奔流。
押し寄せる波をかわそうにも、
七大蛇との戦いの世界樹の枝葉のような、退避の出来る場所がない]
幼き水精たち、力を貸して!!
[叫びながら『剣の百合』の穂先を地に衝き立てる。
身に纏った水の紗幕の外套が、魔力を帯びて輝き出す。
地を穿つ槍と外套の護りを頼りに、荒れ狂う水流が過ぎ去るのを耐える*]
[猛る波が耐える瞬間を待つ玲緒の脳裏に
修練中、ベルティルデから与えられた知識>>77が蘇る]
そっか、あれが魔力付与の術なんだ。
[それは装備品に魔力を込めて、防御力の底上げを図る術だ。
確か耐久力には限度があり、万能ではないという話だったが――]
……まさか、モーインの鱗みたいに堅いなんて。
[どれほどの攻撃を加えれば領巾の守りを抜けるのか、考える間もあればこそ。
奔る水流が絶えたと同時に、四個の水珠が風を切り襲い掛かってくる>>95]
――――っ
[回避は恐らく間に合わない。
――いや、間に合ったところで、
その間にベルティルデは次の魔法を投射してくるだろう。
そうして後手に回り続ければ、領巾の守りを抜くどころか、
延々魔法を喰らい続けるジリ貧に陥るだけだ]
(けど、今がチャンスなんだ――)
[オヴニル戦で、ベルティルデの魔法の連続投射は二度が限度だと判明している。
水珠の魔法に耐えさえすれば、反撃の機会が見えてくる]
やああぁっ!!
[胃の奥からせり上がるような恐怖を打ち消そうと
雄叫びをあげ、両腕で頭を庇うように――迫り来る水珠へと走り出す]
[一つ目の水珠は、鋭い風切り音を残し通り過ぎるが、
頬に鋭い痛みを感じた瞬間、視界の端を赤が流れた。
次いで、左腕と右肩に続けざまに激痛が走る。
水の紗幕に守られて、水珠は貫通こそしなかったが、
これまでの生で受けたことのない苦痛に涙が零れ、呻き声が漏れた]
――りゃああっ!!
[それでも足を止めずに走り抜け、ベルティルデへと二度、三度と槍を突き入れる*]
[夢中で衝き込む槍は、ついに虹色の盾に綻びを生じさせる。
ようやく得た、反撃の機会。
だが、淡藤色の瞳は未だ輝きを失ってはいない]
[――虹色の守りを打ち砕く。
玲緒の意志に呼応して『剣の百合』の穂先に水の魔力が集う。
恐怖も痛みも忘れ。
大切なパートナーと相食む苦しみすら、今は乗り越えて。
ただ、その先にあるものを掴み取ろうと――ひたすらに手を伸した*]
/*
ベルには本当にいろいろ申し訳ないです。
村人なのに赤窓潜伏を疑われた文章作成の遅さが、ここにきて発揮されてしまうとは。
そして、私は何をもふもふしたのでしょうか……。
>二つ上のact
[貫く槍に虹の守りは砕け、衝撃でベルティルデは後ろから倒れた。
耳を打つ小さな悲鳴に、玲緒は涙と痛みでぼろぼろの顔をぎゅっと歪める。
守りを失おうと、きっと相棒は戦意を失わない。
簡単に折れてしまうような、脆い心の持ち主ではないと知っていたから]
――……っ。
[叫ぶことも出来ず、ただ荒い吐息を吐き散らしながら。
倒れる少女を逃すまいと縺れる足で追い縋り、、
自分の身体を使って抑えこもうと、跨るようにして両膝をついた]
[――もし、今、ベルティルデを追い詰めていると言えるなら、
それは自分の能力などではなく、彼女の矜持故だと玲緒は思う。
試練の相手は、槍しか扱えない半端な勇者候補。
そんな相手にまともに付き合う必要はなく、
未熟さに付け込んで、試練を有利に進めれば良い。
『剣の百合』を真正面から受け止める必要など――なかったのに]
[けれどベルティルデは――玲緒のたった一人の相棒は、
望まれた通り、逸らすことなく正々堂々と戦ってくれた。
異界から喚ばれた、知り合ってまだ短い少女を理解しようとし、
本気で向き合ってくれたのだ。
そうでなければ疾うに、玲緒の敗北で決着はついていたに違いない]
レオ、呪文が使える相手に口を動かす余地を与えてはいけませんわ。
[呪文を唱えながら、自分を抑え込む相棒に優しく語り掛ける聲。]
魔力がある限り、この口が動く限り。
私は絶対に諦めたり致しません――
この魔法に私の全てを賭けましょう。
私に勝つ心算なら、乗り越えて下さいませ。
『降参は、致しません』
[ベルティルデの言葉>>196に唇を噛み締める。
槍の石突を突き付けるだけで決着をつけずにいたのは、
自分の手を汚すことなく終わらせたいと願う、心の弱さ故だ。
――けれど、誇り高き桔梗色の少女は、そんな玲緒の惰弱を赦さない]
[玲緒を打ち倒す為の呪文を紡ぎながらも、優しく諭す聲に応える]
……そうだよね。
本気で戦ってって、お願いしたのは私の方。
だから、私が終わらせないといけないんだ。
ありがとう。――いくよ。
[抑えこまれたベルティルデが、全てを掛けて呪文を紡ぐ。
二人の上空に浮かび上がる十二の水球。
七大蛇との戦いでも、これほどの規模で魔法は発動していない。
振り仰ぎ視線を向けずとも、
頭上でどれほどの魔法が凝縮しているのか。
『剣の百合』を通じてではあるが、水の魔力を操る術を覚えた玲緒にも理解が出来た。
このまま魔法が発動すれば、
既にダメージを負い、かつベルティルデの盾になる位置にいる
玲緒の負けが確定するだろう]
[死力を振り絞り雄叫びをあげると、
『剣の百合』を中心に水の魔力が集い、幾つもの魔法円を描いた]
やああぁ!!
[石突でベルティルデを打ち、
同時に襲い来る水珠から二人を守る為、
水の魔力を解放し、魔法を破壊しようとする*]
[水珠と『剣の百合』の魔力――二つの流水の力が空中で衝突すると、魔法は砕けてきらめく欠片となり、二人の少女の上へと降り注ぐ。
そんな幻想的な光景を顧みることもないまま。
得物を手放すと、頭を殴りつけ気絶させてしまったベルティルデに焦燥も露に呼びかけた]
ベル、終わったよ。
……ねえ、目を開けてよ。
[頭を強打しているから、動かすことも出来ない。
動転のあまり、メレディスから預かった魔法信号弾>>346の存在も忘れ、ベルティルデが目を覚ますまでの間、おろおろと狼狽えるばかりで。
――試練を乗り越えたことにさえ、思いは至らない]
ベル、大丈夫!?
[ゆるり目を開ける相棒に安堵して、息を吐いた。
きっと泣きそうな顔をしていたに違いない。
それなのに『強く、なりましたのね。本当に』などと言われ、
眩しそうに見つめられれば、困ったような含羞みを浮かべる。
更に、礼まで言われてしまえば、
慌てて手を振って、ぺこりと頭を下げた]
こっちこそ、ありがとう。
[玲緒は自分が弱いことを言い訳にして、
ベルティルデに依存していた。
――けれど、これからは違う。
相棒の後ろに付いて行くのではなく、肩を並べて歩いていこう。
だから莞爾と微笑む少女へと、晴れやかな心からの笑顔を向けるのだ]
[慈しむような水精の声が苦しかった試練の終わりを告げる。
二人共に力を認められたことが、何よりも嬉しかった。
優しい癒しの力を感じ、身を委ねていると
幼い水精たちの歓喜の歌が聞こえた。
指先に触れる熱と瑠璃色の光に驚くうちに
右の人差し指には、水精からの贈り物]
――お揃いだね。
[そう口にして、相棒に嬉しそうに流水紋の指輪を見せた*]
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