情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
ちったぁ腕のある奴がいたか。
[面倒な、と表情が語る。
だが既に包囲網は破られており、男の背後はがら空きだった。
横から取り押さえに来た団員らの足を払い、よろめいたところに顎目掛けて拳を振り下ろして。
その隙に近付いてきた者には肘で鳩尾を打ち抜いてやった。
地面へ転がる団員達が増えていく。
先程魔法を放ってきた団員が、魔法で荊の蔓を伸ばし男を拘束しようとするのが見えて。
そこで初めて赤く波打つ剣を引き抜いた。
後方へと下がりながら、伸びる蔓を斬り払う]
あばよ。
[粗方包囲網を無力化した男は、バックステップを踏みながらその場から離れていく。
その時だ、横合いから小さな影が走り込んできたのは]
っ 、 ふん!
[それが魔導師団が連れてきた子供だというのには気付いていた。
こちらに掴みかかろうとするのを見て、躊躇いなく子供の腹を蹴り飛ばす。
地面へと転がる子供を見て、魔法に長けた団員が名を呼んだような気がした。
男はそんなことに気を止めることもなく、背を向けて全力で走り出す。
その日を最後に、男はマンダレーを、そして共和国を後にしたのだった**]
― デメララ近くの川 ―
[架橋の最中、不意に過去のことを思い出した。
15年前、マンダレーを訪れた時に囲まれた魔導師団の一人が、ロンリコで邂逅したロヴィンに似ていることに気付いたのである]
なんだ、二度目だったのか。
[1年前のあの日、アーノルドは気付いていたのかもしれない。
だからこそ、男との戦いに応じたのではないか。
今となっては真相は闇の中である]
[急に思い出したのは虫の知らせのようなものだったのかもしれない。
だがあの時の子供がロヴィンであるとは気付かないのと同じように、彼が仕掛けたものには気付かないまま*]
/*
>>72 日本語でおけ、になってるな(
考えてた分の過去は出し尽くした(多分)、ので。
後は現在を頑張る。
/*
よし、流される(キリッ
ここで距離流されて這い上がった位置がデメララから離れれば、時間のロスにはなるな。
しかしそうなると夜になってしまうから、上がった先で野営になりかねんが……落とし穴どうするかな。
全員流される?(
/*
あー、待てよ。
部下先に行かせて逃れたやつと流されたやつと残ったやつで三分割。
逃れたやつらは穴に落ちる、流されたやつはしばらく戦線離脱。
残ったやつと俺で川強行突破、穴に落ちたやつらを部下に任せて、俺はロヴィンと一戦。
こうかなー。
― デメララ近くの川 ―
[日暮れ前に架橋が完了した舟橋。
架橋を担当した部下達は川に入った流れでそのまま渡河し、対岸で外した装備を装着し始める。
彼らはその場で待機となり、残る部下と男が舟橋を渡る段となった時、それは起こった]
─── 、 っ
近い方の岸に飛べ!
[耳に届く、上流からの轟音>>77。
短い指示に部下達はそれぞれの判断で避難を試みたが、如何せん川幅が広い。
跳躍が間に合わない者も多く、当初の3分の1の数の兵が濁流に巻き込まれた。
後方にいた男は、目の前を流れゆく濁流の中に、尖った岩や槍のような木材が紛れ込んでいるのを見る。
岸から溢れる土砂から逃れるように後ろへと下がれば、今度は対岸から鈍い音と悲鳴が上がった]
二重の仕掛け、だと…!
[これらが人の手によるものであることは一目瞭然。
誰が、と考えて思い至るのは早かった]
魔術師の連中、俺らが渡るのを読んでやがったのか。
[恐らくはデメララへと向かうことを想定されていたのだろう。
それは同時に、彼らが山狩りを危惧していることの示唆となる。
こちらの推測も強ち間違ってはいないのだ]
[舟橋の上から流された兵は、濁流の中で障害物に襲われながら下流へと流されていく。
今は《ウル》を服用しているため致命傷とはなり得ないが、流された先で効果が切れたなら、川面に浮くことになるだろう。
辛うじて軽傷で済んだ者でも、流されてしまったが故に合流が遅れることになった]
[一方でデメララ側に渡り切っていた者達は、濁流から逃げた先で唐突な浮遊感に見舞われる。
地面に大きく開いた底が見えぬような顎門。
落下の際に穴の中にあった櫓が壊れ、落ちた兵達に襲い掛かる。
落ち方によっては深刻な負傷を受ける者もいたはずだ。
比較的無事な者は、当然穴からの脱出を試みる。
垂直跳躍で届かぬ分は、穴壁に指跡をつけながら登ることになった]
[そして、男と共にマンダレー側の岸に残されたのは、3分の1の兵。
未だ流れる濁流を、どう渡河するかを男は考えていた]
こんなもん長くは続かねぇ。
ある程度落ち着いたら渡んぞ。
[人工的な土砂崩れは、その場に溜めた分しか流れてこない。
恐らく舟橋は破損するだろうが、流れてきた土砂や岩、木材が引っかかり足場とすることは出来るだろう。
男はいくらか濁流が落ち着いたのち、残った部下を引き連れて強引に川を渡っていった]
[渡り切った対岸で見たのは、街道に出来た途方もなく大きな穴。
先に渡っていた兵が軒並み穴に落ちている]
さっさと上がって来い。
日が暮れちまったじゃねぇか。
[辺りはだいぶ暗くなって来ている。
共に川を渡った兵が火を灯し、暗い穴の中を照らした。
デメララは目と鼻の先だが、これではしばらく街に入れまい]
しゃーねぇ、陣を張れ。
お前らは小隊組んで下流を見てこい。
[動ける兵に手分けさせ、兵の救出と陣営の作成を指示した。
もう一段、デメララ付近で何か仕掛けられているのを警戒してのことでもあった*]
― デメララ付近 ―
[流された兵らが戻って来たのは夜半のこと。
数は流されたうちの半分ほどになっていた。
《ウル》の効果切れになった者、かなり遠くへ流された者もいるらしい。
已む無く放置してきたが、それはそれでマンダレー経由でこちらへ向かっている後発隊に異変を報せるものとなるだろう]
交代で休め。
夜が明け次第、あの大穴を越えてデメララへ向かう。
お前は街道を戻り、後発隊に状況を伝えろ。
[消耗の少ない一人を伝令兵として、渡河時に妨害があったこと、街道に大穴が開いていることを後発隊に伝えさせることにし、こちらの出発も明け方とした。
そうして陣の中で一息つくことになるのだが、どうにも落ち着かない]
……デメララへ向かう妨害としては悪くねぇ、が。
どうにも違和感があるな。
[如何に先発隊を足止めしたところで、いずれ山狩りは始まる。
徒党を組んで仕掛けてこない辺り、相手は単独なのだろうか。
だとしても、大穴に落ちた後に追撃が無かったことには違和感が残る。
あれは絶好の襲撃タイミングだったはずだ]
何を企んでやがる。
[何かしら仕出かす、と評したリヒャルトの顔が思い浮かぶ。
仕出かすとしたら何か。
過ぎるものはあったが、推測の域を出ず。
違和感を残したまま、その日の夜は更けていった]
― 襲撃当日夜明け前・デメララ付近 ―
[夜明けと同時に出立するため、その前に起床し、腹ごしらえの後に陣営の撤収を始める。
粗方片付け終え、地平線から陽が顔を覗かせようとしたその時、異変>>103は起きた]
なに!?
[大穴に掲げていた炎が燃え上がり、炎の翼となって穴の底へと飛び込んでいく。
直後、大穴から吹き上がる、炎の壁。
デメララへ向かおうとする男らを阻むように立ち塞がっていた]
近くにいるぞ、探し出せ!
[誰が、と言わずとも伝わる指示は、やがて南へと飛ぶ人影を発見。
南方の森に魔術師が一人逃げた、と男には報告された]
一人か、追い詰めて縛り上げろ。
他の連中の居場所を吐かせる。
[残党狩りが目的であるため、デメララへ向かうのは後回しにし、先ずは見つけた魔術師を捕まえるための指示を出す。
兵らが南の森へと進む中、伝令兵は当初の予定通りに街道を走った]
[ややあって、後方、デメララの方でざわめきのような空気の振動と、強烈な光が走り。
何事か起きているのを感じ取った。
それが魔術師達の襲撃であるというのは、まだ分からねど、昨夜過ぎったものが現実になったような心地がする]
デメララの監督官は……
[デメララへ赴任する者は、言わば閑職に追いやられた者達で。
指揮は然して高くなく、指揮官は無能になり下がった、と男は認識している。
生じた異変をあの無能者に任せなければいけないのが口惜しいが、今は任せるより他ない]
収容所が破られても、全部アイツの責任だしな。
[昨夜過ぎった推測、それは魔術師達が収容者の解放を目論んでいるのでは、ということ。
そう考えるなら、昨日の足止めのような仕掛けも納得がいく]
まぁ良い。
何があろうとも、ねじ伏せてやればいいだけのことだ。
俺らは奴を追うぞ。
[それが出来る力を帝国は持っている。
その自負からデメララの異変は駐屯隊に任せ、男の隊は南の森へと飛び去った魔術師を追った**]
― 近衛時代 ―
[教官は自分が倒した、と。
はきとした言葉、態度で宣され>>81、僅かばかり面食らった。
そう言えばさっきも飛び蹴りをしてきたか、と彼が大人しいわけではないことを思い出す。
加えて先日、殿下付きの教官が処刑された話があったことも思い出した。
これが原因か、と一人納得する]
……そいつぁまた。
[決闘の相手>>82が皇帝であると言われ、思わず半目になったのはきっと仕方のないことだ]
いやまぁ、別にいいけどよ。
[皇帝だから戦いたくない、という感情があるわけではないため、決闘自体に否やはやはりない。
ここで負けて首を刎ねられるなら、それまでの人生だったということだ。
そもそも、己が負けるなんて微塵も思っていない]
[探し人の特徴>>83を必死に説明するドロシーだったが、その内容はだいぶざっくりしている。
ただ、《ウル》を服用しているらしい情報を得て、捜索枠がだいぶ狭まった]
…てことは、《ウル》絡みの誰かか。
俺らもいくらか配給されるが、身体が《ウル》で出来るとまで言われるなら、《ウル》兵か、《ウル》の被験者だろ。
金髪の男なら、更に絞れるな。
[恐らくは後者、《ウル》の被験者の方が可能性が高いだろう。
《ウル》の研究は、彼らの存在なくしては成し得ない。
他のものよりも人一倍《ウル》を投与されているはずだ]
心当たりは、なくもない。
[過ぎるのは、ドロシーと同じくらいの年頃の少年**]
― デメララ南の森 ―
[先を行く兵達の頭上から樹木が襲い掛かる>>119。
そのほとんどが避けることが出来ず、樹木に埋まっていくのを見て、男は「あー」と声を零した]
アイツら、《ウル》切らしてやがんな。
[元々、超速行軍のための分の《ウル》しか与えておらず、当初の予定よりデメララ入りが遅れてしまったために不足が発生していたのだ。
男を始め、直属の部下であれば、余分に確保しているのだが、末端の兵に余剰は無い]
[倒れた樹木の先、拓けた部分を見遣れば、見知った姿がそこにはあった]
ハッ、誰かと思えばお前か、ロヴィン・ブルバード。
[ドロシーから聞いていた名前を口にし、部下より一歩前に出る]
てめぇら下がれ。
アイツは俺が
[口端を持ち上げ、迸る殺気を隠すことなく立ち上らせた]
デメララへ向かう道を確保してこい。
偵察も忘れんなよ。
[下がらせた部下には別の指示を出し、来た道を戻らせる。
いくらか残った部下と兵は、樹木の下敷きになった兵達の救出へと行動を転じていた]
今更何を抗う?
お前ら魔術師が根絶やしにされる未来は変わらねぇ。
[ロヴィンの方へ一歩ずつ歩みを進めながら言葉を連ねる。
兵と樹木が折り重なった堰を越え、それらを背にしながら、赤く波打つ剣を引き抜いた]
それでも抗うってぇなら……その覚悟を見せてみな。
[剣の切っ先をロヴィンへと向け、《ウル》を左手の親指で高く弾き上げた。
男は今日の分の《ウル》をまだ服用していない。
戦場に立つその時に《ウル》を噛み砕くことが、戦いへ赴く際の儀式となっていた*]
― デメララ南の森 ―
[名は出さず、示唆するだけの言葉をロヴィン>>154へと向ける。
淡々と返る答えは、教師であれば思うであろうもの。
そこに共感は一つも覚えなかったが]
足止めの間違いじゃねぇのかね。
[引っかかっていた推測を敢えて口にし、かまをかける。
それに反応するかしないかはどちらでも良かった。
何故ならやることに変わりはないため]
[煽る言葉を投げつけられれば、クッ、と喉奥で笑った]
お前らだって魔法が無ければ何も出来ないだろうに。
[魔法を纏い、高く飛び上がった位置から振り下ろされる相手の剣>>155。
その切っ先から風が放たれ、男を襲う。
風に対し男は赤く波打つ剣を振るい、己の軌道上の風を斬り払った。
同時、高い頂点を経て落ちてきた丸薬が、ロヴィンの狙い通りに放たれた風により男の頭上から弾き飛ばされる]
《ウル》は嫌いか。
そうだろうな、これがあるからお前らは国を失った。
魔法を至上とする国は《
[そう言って左手の中から摘み上げるのは、別の《ウル》]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新