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[ ─── "ユーリエ"には 関係のない話だが、
写真立ての向う、収められたものは、
"幼い頃に良く似た" 少女の肖像画 の "写真"で
良いカメラで撮ったわけじゃあないんだろう、引き伸ばしたように画像は荒かった。
──── もうひとつ 関係のない話。
箱の投げ込まれた引き出し、 箱の下 聖書の 更に下。
何の用心のためだか、 おもたい鉄のかたまり───銃、 と 身元を示す手帳が隠されている。
"Harvey・A・Somari"
"Naval Criminal Investigative Service"
"Special Agent" **]
好事家 ソマリは、船長 ローゼンハイム を投票先に選びました。
[ ふわ、 と 地面が揺れていた。
…今さら思い出す。 此処は 海の上だ。
最早船に酔うようなことは無いとは言え、
酒に酔うようなことぐらいはある。
トロピカルカクテルってなんか度数高いんだよな。
たった、 二杯であれど
速度とテンションが合わさってしまえば 巡りも早いのだろう。]
[ 男の歩みだって、大分遅かった。
(二歩進めば一歩下がるような様子であったので、仕方無くはあるが……)
結局、後を追うようになってしまうのは、 戻るところが一緒だからで、
途中、 どうやら 文句を言いたげな様子の男に、出会し、
" あのおんな 、" と、はじまったものだから、]
フラれたのかい?
君、 最初に彼女に "ご挨拶"をしなかったろ。
あの子は触られるのが大層嫌いなのさ。
[ 丸で、 "結果はわかりきってた"みたいな顔をして、
鼻であしらい、
─── 数歩 離れ、 振り返り様、 ]
[ 酒のせいじゃあない。
潜入捜査 の 割合がとても多く、
その為に、海軍基地の外への 出入りも激しかった。
嘘も 誤魔化しも "距離"も、 そう、失敗したことはない。
嗚呼、 それでも時々、 "酔って"しまうんだ。
──── "僕"は 誰だったか、 ]
[ その日は、 随分と久しぶりの帰宅だった。
"ユーリエ"を保護してから どれだけだったか
辞書のどこまでを開いていたのか、 忘れるくらいには長期に渡っていた。
"報告書を纏める前に 一度、帰って寝ろ。"
チームの上官に勧められるがままだった記憶もある。
…きっと 歩き方さえ忘れていたのだ。 ]
[ 今日も 雪の降る 真白の夜。
口笛で 映画音楽をなぞりつつ、車を降り、
──── 傘をさす少女に、 真っ先に出迎えられた。
否、 "出迎え"じゃあない。
待っていたんだ、 と けして鈍くはない男のこと、気づくのだって早かった。
おんなじように冷えてしまった身体を 暖かな暖炉の前に寄せ合いつつ、
髪の感触と 体温とは 確かに"在る"ものだ、と
──── その時ばかりは 肖像画の"姿"は忘れてしまっていた。]
[ 扉の手前で、 立ち止まっていた。
うーん、 ちぃさく唸りもして、髪も掻いたが、
ノブを回してしまえば "表情"は もと通り。
扉を通りすぎ、碧を 上げたとき、
一瞬で "皮"が 剥がれ、
凍り付いたように 瞳を見開いて、
─── 嗚呼、 随分と長く感じた。]
[ 白のひと房が落ちるまで、 ナイフが何のためのものか、冷静に判断することさえできなかったようで、
髪が落ちると同時に、酒に負けて、酒精を孕んだ血液さえ"落ちた"ようで、
(瞬間的に"酔い"など吹っ飛んだとは言え!)
その場に ゆるゆると しゃがみ込んだ。
は────、と 大きく 息を付き、 ]
びっ くり したなあ、 もう……
[ このときばかりは 自慢の舌もこれきりで、
真白の 濡れた服の裾を ぼんやり眺めるまま
肖像画のことなんて 見えちゃいなかった。**]
/*
ギィさんに関しては男…?ともなったので
勘が察知した"男"は中性とか フィオンさんの存在とか そういうものも ふくむ と いうことで……
[ 服の 裾よりも
膝を抱える掌の 違和感 を 見下ろしていたのかもしれない。
視界にフリルを纏った黒が舞い落ちるまで、
不思議そうに 強張ったような 微かな 震えを
眺めていた。
不随意な反応だった。
……珍しくも、 ]
[ たぶん 言葉は半分くらいしか聞いていなくて
差し出された写真立ても、 今は"どうでもよくて"
受けとることもなく 碧は 通り過ぎ
覗く紅色を 見上げていた。]
──── 死んで、 しまうのかと、
[ 問われたわけでもなく 溢れるように
"返事にならない返事" ]
[ ──── そうまで 呟いて
これだって無意識だった。
それだから 後々 思考が追い付いて、
手の 震えも、 血が下がるような 此れも、
──── "死"なら幾らでも見てきたのに、]
" 此れ、僕が来てから100回目の事件なんですよ。"
" 記念撮影していいです? "
" 嗚呼、……そうですよね、不謹慎だ。 "
" 何で思い付かなかったんだろ… "
[ 海軍兵同士の喧嘩で命を落とした、
"名もない誰か"を 背景に、 ]
[ 自分の発した言葉を 反芻するようだった。
"どうして?" が 自分に帰ってくるから、
凍ってしまった舌はやっぱり、これ以上は動かなくて、
写真立てを受けとりつつ、 漸く立ち上がった。
体温のない どこかのだれか。
写真を一瞥してから、 ]
…暖まってくるよ。
[ バスルームを目指そうと、膝を払って、
…その時、 床に落ちた白が 目にはいったから、]
切るなら、 ─── 濡らしてからの方が良い。
乾かしながら、 切ってあげる。
[ "君の求める長さに。"
…返事を聞かないまま、バスルームに 消えた。**]
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