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韋駝天 ヤコブ は、影雷鉤 ノトカー を支配した。
……さっきの見張りか。
[影の中から現れたのは、先に見たのと同じ小さな獣>>2:91]
丸腰とはいえ、妙な術を使う。
[攻撃に転化するためのこちらの力とは違う、相手を翻弄するかのような奇妙な力。
未だ底知れぬ相手だが、黙って見ているつもりはなく]
こんなんで、おれっちを試してるつもりか?
[こちらへ噛みつかんと、口を開け牙を晒す小カラカルの、一体は上から振り下ろした刃で叩き、もう一体は右腕を外へ振るようにして横薙ぎにする。
二体の獣が消えたところで、こちらの動きは止まらない――というより、振り抜いた槍の動きに引っ張られるようにして、大きく右側へ回り込む。
通常の体重移動ではあり得ぬ動きは、相手の目にどう映ったか。
着地と同時に今度はしっかりと屋根を踏み締め、刃を左へ振り戻して側面からの一撃を狙う*]
― スラム街 ―
ふん……いいさ。
そっちが何を考えてようが、おれっちにゃ関係ねぇからな。
[相手の動きが時間稼ぎであれなんであれ、惑わされては負けと振り切るように幅広槍を振るう。
能力を用い変化をつけたこちらの動きに、相手の顔から笑みが消え>>*1、僅かながら優越を感じる。
次の瞬間、こちらの視界を影が遮るも、それらもまた槍の一薙ぎであっけなく裂けた]
なんだぁ?
見掛け倒し、か――……
[キィン]
[挑発の言葉と槍の一撃が、高い金属音に止められる>>*2。
裂かれ消える影の向こう、刃を受け止めた相手は手に鉤爪を装着していて]
ほう、やる気になったか。
[攻撃が通らなかったにも関わらず、口の端が持ち上がる]
― スラム街 ―
一応、村じゃあ荒事要因なんでなぁ。
[見掛けによらず、の言葉>>*20に答えて言う。
元々は必要以上の争いを避ける性格だったが、今の居場所に流れ着いて以降は、自分を受け入れてくれた見返りに自分にしか出来ないことをやりたいという思いを強くしてして。
辿り着いた答えが、野生生物や野盗の襲撃から村人たちを護る役目だった]
はあ。だったらなおさら、勝たなきゃならんくなったわけだ。
[情報を出し惜しむ相手に、勝利への意志を新たにする。
戦略を失敗したとは思っていない。
どのみち勝利は必要だったのだから、その理由が増えた、それだけのこと]
はっ、何処まで余裕ぶってられるかね!
[ゆらゆらと揺れる尻尾。
あくまで状況を愉しむという相手>>*21を、打ち崩さんと意気込む。
その相手の身は、影の足場に押し上げられ、次の瞬間にはこちらの頭上にあった]
なるほど――宙を翔けるのはおめぇも同じか。
[分散した影により生まれる足場。
ノトカーはこちらを翻弄するかのごとく、足場を蹴って縦横無尽に駆け回る。
その動きは視界を振り切り、そして左側から迫る鋭い気配と風を感じた]
んなら――"下"はどうだあっ!?
[素直に受けたなら、防御は間に合わぬタイミングの一撃。
しかし、左肩を鉤爪が掠めた瞬間、こちらの身は大きく下へ沈んだ。
単にしゃがみこんだのではない、巨大な重量を掛けられて屋根そのものが撓んでいたのだ。
そしてぎりぎり重量を耐え切った屋根が元に戻る瞬間、こちらも自身の重量を戻しながら床を蹴る。
重量を上方への加速に転化しつつ、下段にあった幅広槍を上へ向け、相手の胴を狙うべく振り上げた*]
― スラム街 ―
[愉しげな態度を崩すことのないノトカー>>*26。
その内心を読めはしないが、全力で応じる様子に湧き上がるのは苛立ちではなく、戦いへの高揚だった。
とはいえ心境が変化した所で、戦闘スタイルが変わるわけではなく]
浅いなぁ。
[掠めた鉤爪はシャツを引き裂き紅が滲むが、動きを阻害するほどのものではない。
それを察した相手も動きの軌道を変えるが、重量変化による加速でそれに追い付かんとする。
振り上げた槍は、しかし相手の胴を捉えることはなく]
んなっ!?
[鉤爪と槍とが打ち合わされるかに思えた瞬間、破裂音と共に衝撃が走る>>*27。
思わぬ一撃に槍を振り抜くことは叶わず、大きく下にぶれた刃を持ち直すに留まった。
一方ノトカーはと言えば、まるで吹き飛んだが如く宙を舞っている]
[力で足場を生み出す戦法はこちらも同じ。
性質そのものを変えることは出来ない分、不可視である点はこちらに利があると思考する。
ならば取るべき戦法は]
はあああああ……っ!
[真っ直ぐに突撃し、槍を突き出す、愚直にも思えるだろう一撃。
しかし真の狙いはそこにはない。
空気を押し固めた不可視のブロックが、ノトカーの足元に激突する軌道で飛んでいき、その姿勢を崩さんとする**]
― スラム街 ―
[こちらの攻撃をいなすように相手の鉤爪が動く>>*46。
しかし刃先が十分に逸れるより早く、相手の身体がつんのめった>>*47。
それは不可視の一撃が有効だった証]
届いたか……!
[確かな手応えと共に、相手の左の二の腕から紅が迸る。
倒れたならば更に追撃を加えるところだが、相手の身は強引な動きで反転する。
引き戻し更に突き入れようとした一撃は、こちらから見て左へ大きく逸らされた]
はっ、大人しく喰らっちゃあくれねぇか!
[重量を上げてその場に踏ん張りつつ、逸れた刃を戻してノトカーの正面へ突き付けようとする。
しかし、波打ち競り上がった三本の影がそれを阻んだ>>*48]
ちっ!
[相手側に向ける形になっていた右手は、回避が間に合わず幾条かの赤い線が走る。
刃としての確かな攻撃力を持つそれに、真正面から突っ込むという選択はさすがに出来ず。
大きく一歩跳んで後退すると、幅広槍で一本一本、叩き折り影の中へと戻していく。
それは相手へ立ち上がるだけの間を与えるか*]
― スラム街 ―
[こちらが仕掛けた一手に、相手は何かしら思うところがあったようだ>>*65。
こちらから種明かしする気はないから無言を返して]
――減らず口を、
[対峙の最中聞こえる声は相変わらず愉しげなもの>>*66。
影刃を捌き切ったなら、今度こそ余裕ぶった相手へ攻撃を届かせんと意気込んだが]
ぬおっ!?
[意識を刃へ向けている間に、大きく跳躍したのであろう相手は、次の攻撃動作へ移りかけたこちらの眼前へ着地の軌道を取る。
槍は懐深く入られた場合に弱い、故に予備動作を見た瞬間、左手を手前に持ち上げるようにして柄を引き寄せ、防御の姿勢に入ろうとする。
しかし、彼の両脚は屋根に接することなく、空中――影を踏み切って再び跳んだ>>*67]
んなろっ!!
[フェイントに引っ掛かった悔しさと、頭上を越えられる屈辱に思わず声を上げる。
だが無論、黙って見過ごすつもりはない。
身を低くして屋根を蹴りつつ、固めた空気を自身の背中にぶつけることで更に加速して、相手の足元から素早く抜け出す。
左手が屋根についた瞬間重量を空気抵抗に負けぬ程度にまで軽くして、手を突き放す勢いで身を反転させる。
相手の想定よりも素早く身をこなせたのなら、一瞬なりとも背後を取れる位置関係となる、はずで]
そこだぁっ!!
[狙うのは相手の足首、どちらかより低い方があるならそちら側。
尻を着いた状態から左手と両脚の力で跳ね上がりつつ、右手に握った槍を右下から上方へ、半円状に大きく薙ぐ軌道で振るう。
速度と高さを出すための片腕での一撃は、必然的に軽くもなるが、相手に届かせるは叶ったか*]
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