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[空を駆け昇った『剣の百合』は幾百もの薊となり、
オブニルの上に降り注ぐ。
棘持つ薊の雨に打たれれば、
さしもの輪を為す蛇も怯みを見せ、動きを止める*]
[周囲の大気が急速に冷え、
水の魔力が収束していくのを膚で感じた]
おいで、『剣の百合』!!
[天に向かい掲げた右掌に薊の花が集まり、
再び槍の形を取る。
ベルティルデの鋭い聲が裡に響くと同時に
玲緒は梢を駆け上がり、幹を蹴ってオヴニルの頭上へと飛翔する]
[>>145 撃ち出された魔力が、
眼下の「輪をつくるもの」を凍て付く氷に閉じ込める。
ベルティルデの大魔法は、不完全なものだったかも知れない。
だが、玲緒にオヴニルを討つ絶好の機会を与えてくれた。
駆け上がった空の上。
指を柄から穂先へと滑らせ、一挙動で長槍に変えると。
そのまま槍を抱きしめるようにして、
オヴニルの尾を銜えた頭部へと、逆落としに襲い掛かる]
やあああぁっ!!
[流星の一撃は、過たず「輪をつくるもの」を貫いた]
[オヴニルの氷結した身体は『剣の百合』の一撃に耐え切れず、
音を立て、粉々に砕け散った]
やった
――ベル、やったよ!
[恐怖を超え、ベルティルデと連携を決めることが出来た。
喜色を浮かべ、手を振る玲緒の背後。
――オヴニルは未だ死なず。
砕かれた欠片が、寄り集まろうとしていることに気付かない]
[玲緒と同じように笑顔を浮かべていた、
ベルティルデの顔を不意に当惑のいろが過ぎる>>179
次の瞬間、駆け出した相棒に
切迫する声で背後の危険を告げられて]
――え?
[振り返れば、倒したはずのオヴニルの、
巨大な顎が一面の視界を埋め尽くしていた]
[ひゅ、と笛の鳴るような音が喉から零れた。
驚愕の余り、身動き一つ出来ない。
――ぐい、と。
襟元を掴まれ、激しい勢いで引き倒された>>186
その次の瞬間。
小さな身体が立っていた空間を、
がちり、牙を鳴らしながら、死の顎が通り抜けていく]
[転がりそうになりながら逃げようとする、少女たちへ喰らいつこうと
死に損ないの巨大蛇は、再び鎌首を擡げた]
流水の御魂 灰吹 玲緒 エレオノーレは、疾風の御魂 九神 星司 シュテルン を投票先に選びました。
[至近距離を掠めていった死の気配に、
全身の血の気が引いていく。
手を引かれ、縺れる足で走り出す背後>>194
猛烈な速度で追い縋ってくる巨大蛇の影が迫る。
不意にベルティルデは足を止めると、
玲緒を背に庇いながらオヴニルに向き直った]
――ベル、どうしたの!?
[悲鳴にも似た問いが漏れた。
動きを止めた獲物を噛み砕かんと、襲い掛かる巨大な牙。
>>195 恐怖に眼を瞠る玲緒の眼前で。
間一髪、唱えられた煌めく盾の魔法に阻まれ、
「輪をつくるもの」の牙が激しい衝突音を立てた]
[>>196 執拗なオヴニルの追撃に、硬質の音と共に盾に罅が入る。あと、どれほど攻撃に耐えうるか分からない。
狼狽する少女に「オヴニルを足止めした薊を使えるか?」と、
相棒の問いが向けられる]
大丈夫。
使えるけど――
[威力に欠ける薊がこの窮地に役立つか分からない。
けれど疑問など抱いている場合ではなかった。
『剣の百合』を――タイミングを指定されたなら、その通りに――
再び蒼穹へと投擲すれば]
―回想・精霊節まで、彼たちと彼女たち-T―
……結局、男の子って、あーいうの好きなんだね。
[鍛錬所の片隅。槍の扱い方の訓練の休憩中。
徹とアイルリートの試合を眺めて、玲緒は呆れたように呟く。
実力には明らかに開きがあり、
大柄な徹が自分より小さなアイルリートに面白いように打ち据えられている。
それでも――何度、地を舐めようと、徹は不屈の闘志で立ち上がる。
もし双眸を覗き込んだなら、きっと昔のスポコンアニメのように、
燃え上がる焔が見えるのだろう]
加地さん、厭々やってるんじゃないのかな。
[あれほど神官長に不満をぶつけていたはずなのに。
玲緒のように諦めているわけでもなさそうなのに、
どうして
[その一方、武器と言葉で容赦なく徹を撃つアイルリート。
傍から見ていると、鍛錬に名を借りた虐めなのでは? と疑いたなるけれど。
徹が本当に危険な状態になると、秀麗な顔に心配のいろが過ぎるのは、決して気のせいではないはずだ]
なるほど、あれがツンデレっていうやつだ。
初めて見た。
[初対面のとき、どこか居心地悪そうにしながらも助言をくれたこと。
ベルティルデへの論評。そして、徹への態度。
――つまり、アイルリートは人付き合いが下手なだけ]
……やっぱり、いいひとじゃん。
[本人が聞いたら、玲緒に対する苦手意識が増幅しそうな感想を口にして、二人に小さく会釈をすると鍛錬所を後にした*]
―「輪をつくるもの」オヴニル―
[ベルティルデの推測とオヴニルの攻略方法>>279を説明され、
ようやく、玲緒は落ち着きを取り戻す]
うん、――わかったよ。
あんなやつ、絶対にベルに触れさせないから。
[薊の雨の降り注ぐ中、魔法を発動するため下がる相棒を
今度は小さな身体で庇うように前に出る。
棘に身体が傷つこうとも、少女たちを守る盾を砕くべく
オヴニルは巨大な牙を突き立てる]
――……っ。
[槍握る掌に汗が滲んだ]
[噛み砕く牙の圧力。
ピシリ――音を立てて、魔法の盾が砕ける、その瞬間。
ベルティルデの聲が飛ぶ]
貫け!『剣の百合』!!
[手槍は長槍へと転じ、神速で繰り出された突きが
「輪をつくるもの」の顎を世界樹へと縫い止める]
[追い詰めた筈の獲物の反撃に、オヴニルは怒り狂う。
猛る咆哮は衝撃となり、玲緒を打ちつける]
――ぐッ!
[背後に流れる水の気が集うのを感じた。
あと、少しだけ耐え抜けばいい。
巨大蛇に貫く槍を抜かせまいと歯を食いしばり、強く足を踏みしめる。
[刺し貫く楔を圧し折ろうと閉ざされる顎門から、
槍を引き抜き構え直す]
――喰らえ!!
[横殴りにオヴニルの顔を殴りつけ、穂先を突き込む。
背後にベルティルデを庇っている為、
巨大な敵との足を止めての殴り合いという、
極めて不利な状況になってしまったが。
れでも怯むことなく、オヴニルの動きを牽制する]
(もう、長くは保たない――でも)
[触れさせないと、ベルティルデに約束したのだ>>285
だから弱音など吐けない]
―回想・精霊節まで、彼たちと彼女たち-U―
[廊下を歩いているとミリアムと擦れ違う。
お日様のいろの柔らかそうな癖っ毛が、
弾む足取りにふわりと揺れている。
人懐っこい笑顔と屈託のなさそうな人柄が相俟ってか
初対面時に、ふと『――あの髪に触ってみたい、わしゃわしゃと掻き回してみたい』などと思ってしまったせいで。
彼女と顔を合わせると、つい黄金色の髪へ視線を送ってしまうのだ]
こんにちは。
これから、訓練ですか?
[髪のことは意識しないよう、
努力をして猫を被り、すまし顔を作る。
けれど挨拶を返そうと振り向く動きに合わせて、黄金色の髪が靡くと。
まるで動くものに反射する小動物のように、無意識に手を伸ばしそうになり]
(鎮まれ、――私の右手!!)
[右手を咄嗟に左手で掴みながら、
心の中で叫んだのは、きっと、どこやらで読んだライトノベルのせい。
妙なポーズで動きを止めた玲緒を、不思議そうに見つめるミリアムに、
誤魔化すように引き攣った笑顔を向けるのだった]
レオ、オヴニルから離れて下さい!
[二つ目の魔法を完成直前まで練り上げた少女は再び相棒に聲を飛ばす。]
[ベルティルデの聲が落ちると同時に飛び退き、
魔法を投射するための射線を作る。
無防備な姿を晒す少女を、蹂躙しようとするオヴニルを、
裂帛の気合で紡がれた呪文が産み出す、浄化の泡が包み込んだ。
最早、咆哮する力さえ失ったのか、
オヴニルは悶えながら泡の中へと溶け始めるが]
あれが、オヴニルの……。
[相棒が指し示すのは、巨大蛇の核たる紅き火輪。
あれを潰さない限り、時を過ごせば「輪をつくるもの」は再び蘇るのだと言う]
わかった――後はお願い!!
[デッドライン寸前、裡へと飛ばされたベルティルデの聲に
此方も聲を飛ばした]
[激しい戦いに決着をつけようと『剣の百合』を構えようとして]
『――これを』
[>>316 止めを刺してくれと、差し出される扇に瞬いた。
精霊の加護を受けし武器は、遣い手の力そのもの。
――いや、分身とさえ言っても過言ではないだろう。
それを他人に託すことは、何よりも深い信頼の現われだから]
了解。
[淡藤色の瞳を見つめて頷くと、扇を受け取った]
[小振りなロングソード、と言えようか。
流水の加護受けし扇を振りかざし]
やあっ!!
[掛け声と共に撃ち降ろすと、
燃え盛る火輪は粉々に砕け散る。
――こうして「輪をつくるもの」オヴニルの討伐は成されたのだった]
[魔法の連続発動で、疲労しきった様子のベルティルデに歩み寄り、
苦しげに顔を歪めて頭を下げる]
無理させて、ごめん。
私のミスのせいだ……。
[玲緒の油断がベルティルデまで危機に追い込んでしまった。
二人とも無事だったから良かったものの、それは結果論に過ぎない。
きっと彼女は玲緒を責めないだろうけれど、それが何よりも辛い]
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