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― 昨夜 ―
[広い所は嫌いだった。
無防備で酷く不安になる。
広い洞穴も、隙間を埋めるようにどんどん作物を増やしていった。
広い空間はいくらでもあるのに、一番狭い部屋で寝起きしている]
ロー……駄目、だよ
[だから、目を瞑ったまま、寝言のように拒絶を口にした。
狭いとこから連れ出さないで。
広いところは嫌だから、と。
縋るものが欲しくて、腕は支える体にしがみついたけど
駄目だよ、といつもの調子で]
― 今朝 ―
[寝台の上でも、やはり窮屈に丸くなって
なんとか安らかに眠っていた。
明け方に滑り込んできた温かいものに手をのばして
ちょうどよい広さになったことに安心して、もう一眠り]
……ん、誰…
[目を覚ます。
隣のリヒャルトをいつかのローみたいに組み敷いて――
それは少し、力が強かったかもしれない――見下ろしたまま、カラスの声を聞いた]
なんだ リヒャルトか
……オオカミさん、て
[ローゼンハイムの姿は昨日から見ていない。
オオカミの姿なんて、一度だって見たことがない……はずだ]
朝ご飯、食べよ
[手を離して、寝台を後にしようと。
マーマレードの甘い匂いと、焼きたてのパンの香りが小屋中に*満ちていた*]
― 寝室で ―
[柔らかい手が頭を撫で、耳はいつもよりふにゃりと垂れた。
押しつぶさないように、そっと、抱擁を返して]
ゆっくり、おやすみ
[柔らかい毛布に包まれていれば
おおかみだって、きっと手を出せない。
目を閉じたリヒャルトの前髪をかきわけて
幼子にするように、おやすみの挨拶を額へと。
ありがとうの、意をこめて]
[今日は、一日をローゼンハイムの小屋で過ごした。
物言わぬカラスのただの鳴き声に、何度も窓の外を見やった]
………唯一信じる者以外なら
誰を閉じ込めても、構わない?
[不安にかられているような、ファミルの呟きに
そう、小さな声を返して、首を振った。
口にした言葉は戻らない]
おおかみさんは、何がしたいんだろうね
[敷き詰められた布団を撫ぜる。
壁にもたれて、膝を抱えて
何もしなかった一日。
漠然とした不安は、飲み込み切れずにいる]
そう、だね
………そうだと、いいね
[ただ一人、信じられる。
羨ましいのかもしれない。
きっと、違う。
わからない。
わからなかった]
おかえり、ゲルト
[手にしていたホットチョコ。
甘みの足りないそれを、飲むだろうか、と差し出した]
洞穴暮らしの マレンマは、負けず嫌い レト を投票先に選びました。
[夕餉の香りが漂ってきて、くぅ、と小さく腹が鳴った。
ホットチョコは冷めてきて、苦味が際立っている。
ひんやりとしたそれを無理やりに飲み下した]
誰かを、閉じ込めるなら
それを誰が……
[くらいところに閉じ込められるのは、構わない。
家に帰るようなものだ。
けれど、誰かを、押し込めるのは]
ご飯 ……できたかな
[用意を手伝おうと立ち上がる]
カスパル
………
[彼にかける言葉は、なかった。
レトをおおかみと思うわけではないが
姿を見せない以上
安心を、与えられぬ以上
"仕方のないこと"だと、そう思って]
[けれど、そう
隔離するにしても、まずは
レトは何処にいるのだろう?
探しに行こうかと立ち上がったのは、すぐ。
けれどカスパルの勢いには勝てず、去っていく様を見送って]
探して、くる
[誰を、とは言わず
そのまま小屋を後にした]
[カスパルは、他にも誰か追っていったようだ。
ならば、大丈夫。きっと、大丈夫。
レトの姿があったとは気づけず、そのまま道を外れ
暗い、黒い、森の中。
僅かに赤く染まる月光の中、ゆっくりと歩き始めた**]
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