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[確認して、真実を知ってしまうのが怖かった。
兄と直接言葉を交わして、「けれど、もしかしたら…」なんて、その微かな可能性に縋る事が出来なくなるのが怖かった。はっきりと拒絶されてしまうのが何より恐ろしかった。探し続けた長い年月に積み重なった疲弊と、拒絶される事への恐怖心とが邪魔をして、あの頃のチャールズには、恐らく、まともな判断は出来ていなかったのだろう。自分本位に始まった兄を追い掛けるチャールズの旅の終焉は、そんな風に自分本位な侭に、
――そうして積み重ねた過ちの代償の様に、また兄を見失う朝が来る]
[独り残されたあの日の侭に、育つ事の無かった
「あれ」は八つ当たりでもあり、多分、きっと自害でもあった。
二人の
真実は、屋敷の主は捨てられたのではなく捨てた側だったなんて…屋敷の主の最大の不幸は、子供がそれを理解し得なかった事かもしれない]
[あの拳銃は今も己のベッドの下に隠してある。
「売り物」になった時に確かに一度手放した筈なのに、全く同じものが帰って来たのは王子に買われたすぐ後の事。
「お前のものだろう?」そう問われて、一発だけ減った弾数を確認してから頷いた。きっと、王子は自分が「あの事件」の犯人であることを正しく理解している。
なのに警察に突き出すでもなく、こうして匿う様に飼っている理由は興味も無いから知りもしない。
この身を抱く理由も、痛めつける理由も、等しく興味はない。
殺さぬ加減を心得ているのだから、行為の一環であると勝手に理解して納得している。
飼い主の趣味が何であろうと、愛で方が多少過激だろうと、飼われる猫が気にすべき事では無いのだから。
――また捨てられるんじゃなきゃ、なんでもいい*]
[邪魔なドールの身体は適当に投げ捨てて、>>99崩れかけたクレステッドに手を伸ばしたが不要だった様だ、手を引き廊下を駆け抜けた。
…――さて、何処に逃げようか。クレステッドに視線で尋ねる序でに振返り確めた>>101レトが追い掛けて来る気配がない事を逆に警戒しつつも、ほんの少しだけ、クレステッドに合わせて駆ける足並みを緩めた]
[昔、兄を迎えに行ったのは、自分の寂しさを埋める為だけだった。
誰かを救おうと、或いは庇おうとした経験なんてこれまで一度も無かったから、如何していいか勝手がさっぱり判らない。
あぁ、そうか、幼い日のチャールズはこうすれば良かったんだ。少年にも満たないようなあの頃の小さな子供の身体では、こんな風に共に手を取り逃げ出す事は叶わなかっただろう。それでも、最初に連れ去られたあの瞬間に、抗えば良かったんだ。幼い日に出なかった答えが、今、やっとすとんと胸に落ちた]
[>>104高い場所に逃げるのは余りいい案とは思えず逡巡したものの、階段に辿り着く方が早く、大人しく指示に従い辿り着いた談話室。部屋の中に異常がない事をざっと確認すれば、繋いだ手を離しソファーに座る様促しただろう。
締めた扉には暖炉の灰掻き棒を閂代わりに、傍の適当な家具をずらして、多少何か崩れたり壊れたりする音が鳴り響いてもお構いなしで、簡易のバリケードを築き、…やっと動きを止めた処へ掛かる彼の声に、ふらり、誘われる様彼の元へと戻ると有無を言わせぬ力強さで抱きしめた。
甘えるように擦り寄って顔を埋めた首筋、乾き掛けた血に唇を寄せて、舌で拭い取る。
口の中に広がる鉄錆に似た香りに普段以上の甘たさを覚え、渇いた咽喉が、身体が、「もっと」と求めたけれど、飢えや渇きを遣り過ごす術に幼い頃より慣れ親しんだ身体はその欲求を容易く抑え込んだ。自身の欲より彼の安否の方が重要だったから。
傷口が塞がっている事に疑問を覚えるよりも、深い傷が其処に無い事に安堵して、やっと力を緩めた]
何処か、痛む処は?
これ以外に、何もされていない…?
[>>108自分のしたい様に動いた事へ礼をされてもいまいち理解出来て居ない顔で首を傾げるのみ。そんな事より引っ掛かったのは、その後の言葉…]
…お前”も”?
[強調するように繰り返して首を捻る。そして不思議と、彼が、自分が、何を欲するのか本能で理解している事に気付く。
ぺたり、その場に膝を付けば、ポケットから取り出したのは、釣り具等の手入れに使う折畳みの小さなナイフ。
収納用の革袋を噛み締めれば、掌を返し逆手に持ち直し、己の腕に刃を突き立てた。前腕の中程から、戸惑いも無く深く、縦に手首迄]
……――っ、……は、……
[刃を引き抜くと弛緩した唇から歯型の残る革袋が床に落ちた。
詰めた息をゆっくりと吐き出しながら、伺う様に見上げる先へと傷つけた腕を差し出す。
吹き出し、溢れる体液がぼたぼたと滴り彼の膝を汚しただろう]
[>>126強い制止の言葉を聞いて居たが為に、伺う眼差しにほんの少しの怯えが滲む。先生は怒ったのだろうか?俺は何処かで間違えた?…俺を、嫌いになる?
少し派手にやり過ぎたのか失われる血の多さに眩暈を覚え、縺れた舌は結局一つとして言葉を紡がせてはくれなかったが、>>129程無くして彼の唇が傷口に触れた事を不正解では無かった証明と受け取り、一人安堵した]
[美味そうに這う舌が己の色に染まる、その得も言われぬ征服感に、ぞくり、背筋が震え、いつしか力が入らなくなった腰が砕けて、床に座り込む]
[謝罪の言葉も礼と同様、不思議な顔をするばかりで意味を理解する事は無い。抱き寄せらる侭その胸に頬を埋めつつ、綺麗に塞がった腕を横目に眺めて]
……――へぇ、便利。
[感嘆めいた声音でまるで場違いな呟きを一つ。のろのろ顔を上げれば、彼の頬を両手で包んで、尚も繰り返し謝罪の言葉を紡ぐその唇を、この唇で塞いでしまおうか。きっと砂糖菓子のように甘たるい味がするんだろう、なんて、想像に弧を描く唇が、血の色に染まった彼の唇へと近付き――……]
[>>152黙らせるおまじないとしては十分な効果を発揮したらしい。毛並みを整え清める獣の様な色気と無縁の所作で唇に残る血の名残を舐め取れば、やはりその味は酷く甘ったるく渇き切った咽喉を焼いた。
泣き出しそうな彼の目尻にも、其処に未だ無い涙を吸い取る様な啄むだけの口付を、右に左に、ひとつずつ]
[覗き込んだ双眸に、戸惑いと、怯えと、…――僅かな期待が見えた気がしたのはきっと、自身の願望が見せる幻想だろう。
全部纏めて一緒くたに笑い飛ばす。そうして彼を欲する肉欲を律し、制御した。正しく「彼を」欲している訳ではないと、それ位の事は足りぬ頭でも理解出来たから。
きっと目の前に居るなら今の自身は誰であろうと求めただろう、そんな気の迷いで、彼を…――彼だけは汚したくなかったから]
[未だ年若い身体は精神に反し一向に落ち着く気配を見せないけれど、まぁその辺りは致し方ないだろうと割り切って。
――そんな折に、まるで見計らったように普段休ませ通しの自分のイドが戻って来て、各々の部屋を巡って集めた皆の様子を二人に開示しただろう]
……――さて、現状確認と行こうか、先生。
何か、…知ってる事はある?
[彼の足許に跪いた侭に、彼の両手を、各々の手で掬い上げるよう繋ぎ、彼の目を真っ向から見詰める。それは何時も、何に対しても、然したる今日を見せない彼の生徒が始めて見せる真剣な眼差しだったかもしれない]
ねぇ、先生。必要ならどんな些細な事でも良い、俺に命令してくれ。
俺を指揮して、思う侭に使え。
俺は先生の、手となり、足となり、剣となり、盾となる、先生の駒になりたい。
何が起きても絶対に考える事を放棄するな、どんな汚い手を使ってでも生き延びろ。
…俺は貴方の為になら死んだって構わない。
[こんなに話すのは何時振りだろう。きっと「先生の知るカレル」は一度たりとも…、あぁ、「チャールズ」は随分と口達者で生意気で、泣いたり笑ったり些細な事で拗ねて怒ってみたり、騒がしく賑やかな子供だった気が、する]
[一瞬だけぼんやりと、考え込んだ様はきっと目の前の彼には言葉を択んでいる様にしか見えなかっただろう]
…――けど、先生が生きているなら、何度だって先生の元へ帰ってくる、絶対に生きて戻るから、…
[声が震え擦れそうになり一度深い呼吸を一つ、しかし呼吸を整える事は叶わず、頭を垂れて、彼の両手に顔を埋める。祈る様に、希う様に、みっともなく泣き出しそうな情けない声音の侭に、続きを――]
だから、……だからどうか、俺を独りにしないでくれ…っ、
[彼の掌を、ぎゅっときつく握り締める。丸めた背を震わせ顔を隠した侭に、じわり、滲んだ涙が彼の指の背を濡らした。
…――卑怯者。
心の内で冷静な自分が自分を蔑んだ]
[良心的で面倒見のいい彼が、自分を投げ出せる筈はないだろうなんて打算を込めて択ぶ言葉。こんなやり方で彼の心を縛ろうとするなんて本当に卑怯だと自覚位ある。
けれど自分が「どんな汚い手を使ってでも」彼に「生き延び」て欲しかった。彼がそれを望むかなんてこの際どうだって良かった。
先程レトの牙を見た時、ドールの首に何度も何度も噛み付いて引き千切った自分自身と重なった]
[レトがそんな事をする筈はないと思ったのか
レトにならどうされても構わないと思ったのか
きっと両方だろうと、思う。そんなのは絶対に許せない。
彼を傷つける者も、それを赦す彼も、自分自身も]
[傷の治りが速いとあの時の彼が既に知っていたとしても、首と胴が離れても「元の彼」に戻るなんて考えられないし、そんな彼を見て、自分が、自分の侭で居られる自信は無い。
これは「彼の生徒のカレル」で居る為、自分自身だけの為。
もう
[俯いたまま乱雑に目元を拭い、零した涙を恥じる様に、はにかみ笑いで顔を上げ]
…けど、今は、少しだけ眠らせて貰うよ。
流石に…――少し血が足りない。
膝を借りても良い?
[質問では無く確認の形の甘えた問い。恐らく彼には断らせない。
濡れた侭のスラックスだけ身に着けただけの格好で、この侭眠れば流石に寒かろうと乱暴に引っ剥がして来たカーテンを羽織り、彼の座るソファーに乗り上げた。
腹を減らした侭に自身の血の匂いを濃く染み込ませた彼の膝を借りて眠れば、盛大に涎を垂らしたかもしれない…**]
気儘な猫 カレルは、薬師 クレステッド を能力(占う)の対象に選びました。
――幕間―――
[夢を、見た
やせ細った小さな身体を丸めて、穏やかに眠る幼い子供。
そのぱさついた金の髪を撫でる暖かな掌の主が、
かつて恋焦れた兄のものだったのか、
現在想い慕う先生のものだったのか、
眠い目を擦ってその眼を開いて確認しようとしても、
ぐずる子供を宥める様に撫でるその掌の暖かさが、滲む優しさが瞼を更に重くさせて、ずるずると微睡の淵に引き戻されるから判らない。
けれど、どちらでも構わなかった。
安心しきって「彼」に身を委ね、甘えて深い眠りの淵に落ちて行く…]
[…そんな子供を腹を抱えてげらげら嘲う子供が、もう一人]
『……――裏切り者』
[泣き方を何処かに置き忘れた子供は、一瞬だけ、泣き出しそうに貌を歪めて、眠る子供を恨めしそうに睨みつけた。
絶対に赦しはしない、赦されはしない、その赤い双眸がそう語る]
[再び声を上げて嗤い出した子供は、積み重なった幾つもの無残な亡骸の上に、独りきり。
血に濡れた掌の内には、その小さな手には随分と大きな拳銃が。
…――鳴り響く銃声。
打ち抜いたのは
嗤う子供自身か、穏やかに眠る子供か、子供の求めるひとか――…はたまたそれ以外の誰かだったか、
見届ける事を恐れた臆病者の「カレル」は、目を閉じて耳を塞いだ]
『……――裏切り者』
[泣き出しそうな「誰か」の声が、いくら耳を塞いでも、頭の奥にこびり付いて離れない]
――幕間・了 ――
[目覚めたばかりの吸血鬼の本能を抑え付け血を欲する欲を抑え付けた身体は、精力を取り戻す為の休息では無く、生命を維持するための「休止」を求めていたようで、>>218膝を借りて目を閉じた瞬間一気に身体が重くなり、動けなくなった。
けれど、未だ、限界ではない。動ける筈だ。
自身の身体の限界を量る機会に否応なく恵まれた子供時代の勘で推し量れば、動かねばならぬ時の為に大人しく意識を手放した。
無防備な身体を預けるのは、相手が彼であるからに他ならない。
貴方になら、この身を奉げる事も厭わない。
けれど、彼はきっと受け取らないだろう事を理解していた
それを「寂しい」と感じてしまう自分はきっと何処かが壊れている]
[…――暫しの眠りの後、うとうとと浅い微睡から意識が覚醒する僅かな時間。
未だ完全に目覚めるのは身体が渋っている。
未だ、先生が其処に居てくれる事を温もりで知ってしまったから]
[五感が如何のというのは、元より、他人より大分敏い方だったので基準が判らなかったけれど、そういえば「これ」が自身の一部であるかのように動かしやすくなったと、おもう。
寝惚けた眼を薄く開いたその一瞬の視線だけで正しい意図を送り、汲み取らせた自分のイドは、休めて居た翼を広げ飛び立った。あの人に――
…――ソマーリュに、自分の無事を伝える為と、彼の無事を改めて確かめる為に]
[目当ての主の元に辿り着けば、自身のイドは、彼の肩で翼を休めてみたりソマーリュの邪魔にならぬ範囲で傍に在ろうとした事だろう**]
[…――身体が休眠した侭でも、嫌が応にも頭に流れ込んでくる幾つもの、音、音、音。
知っている言語では無い、けれど、確かに意味を理解出来た。昨日まではその「鳴き声」を聞きとる事すら殆ど出来なかったのに、感覚の何処かで拾っているのは、其処彼処を行きかう、音の、波]
………――うるさい。
[擦れる声音で低く、不機嫌に唸れば、>>354イドが一匹ベッドの下から慌てて逃げて行った。あれはギィのイドか。そう理解したのは何故だっただろう?
傍で待つもう一匹、クレステッドのイドが、伝言を、ひとが理解出来る言語で伝えようとするのを視線で制した。聞こえて居たから良い、と。声にせずとも伝わった様子で、>>349クレステッドのイドは、主から言い渡された要件が済めば何処かへと飛んでゆくだろうか]
――自室――
[暗い室内を見渡して、其処が自室であると認識する。
彼が傍に居ない事を少しだけ残念思ったけれど、無事であることは誰かのイドを通じて理解していたから、我儘な落胆には気付かぬ振りをした。
自分は吸血鬼ではなく蝙蝠の仲間入りでもしたのだろうか、溜息を零す間にもイドが運び行き交う情報は頭に流れ込んでくる。小指で耳をほじってみても聞こえる筈の無い遣り取りは変わらず頭に流れ込んでくるから、耳で聞いて居るのではないのかもしれない。
其処彼処で喧しいお蔭で頭が割れそうに痛い]
……――――、違うな。貧血、か。
[偏頭痛の正しい原因に思い当たって、独り納得する。
だからといって、血を摂れと言われても余り食指は動かない。
未だ、片っ端から何にでも喰らい付く飢えた獣の様には理性は欠落していないらしい。
けれど、それも時間の問題だろうか…]
[水浸しにした靴と衣服の代わりが用意されている事に気付き、のそり、重い身体を起こせば着替えを済ませる。
支給品のスラックスにタイを結ばず幾つか釦を開けたYシャツ、邪魔な袖を幾つか捲った、寝癖も気にせぬ普段通りの出で立ち。
血の気が薄く酷い顔色なのを除けば、恐らくは、総て普段通り]
……――みず。
[血を欲する餓えに似た渇きだけではなく、純粋に咽喉が乾いて居る事に気付けば、ふらり、歩き出し水場へと向かう。
多分しっかり歩けるけれど、脈打つように絶え間ない痛みを覚える頭痛に足腰ではなく気分の方を挫かれて、壁伝いにのろのろと、部屋を後にし…]
――自室→厨房――
――→厨房――
[>>216「考えることをやめるな」と、先生は言った。
けれど、別に考える事を放棄した訳では無い。自分の頭ではいくら考えてみても、同じ回答しか出てこないだけで]
[大事な大事なペットたちに壊れない細工を施して、欲望の欲するままに喰らい合う泥仕合でもさせる心算だろう。
そうして一番最後に残った一匹を待ち受けるのは、あのひとのご褒美か、それともただの絶望か…]
[器が壊れなくたって、元は只の人間だ。中身も壊れないとは限らない。それが、自分にとってもっとも恐ろしい事でもあり、…観客であるあのひとから見れば最高のスパイスになるだろう]
[…そんな夢も希望も無い仮説、仮説の侭であって欲しいから、クレステッドには話さなかっただけだ]
[…ぼんやり思考を巡らせながら辿り着いた扉を開ける。其処に居る面々を興味無さ気に見渡しながら合間をすり抜け水道迄]
[皆が賑わい話して居ても今迄、自主的に会話に混ざろうとした事は数える程度、あるかないかだったけれど…、今くらいは参加しておくべきかと、グラスに水を汲みながら、>>383オズワルドの話に口を挟み]
「治る」だけで、何処かから補われる訳じゃない。
「治す」エネルギーだって身体の内から消費されている筈だ。
飲まれた血がそっくりそのまま飲んだ者の血になるか?恐らく違う。
食事と同じ、総てが都合よく望んだエネルギーとして還元される訳じゃない。
つまり、餌同志、喰らい合っても、皆が皆、平等に飢えるだけの話だ…――と、俺は考えるんだが、違うだろうか?
[血の気の足りぬ顔色の侭に、虚ろな眼で振り返り、>>389彼の開いた唇から覗く牙をぼんやり眺め見る。…そういえば、自分の牙は何処へ行ったんだろう?伸びたり縮んだり可笑しな仕組みだと気付いて、一人感慨深げに舌で口の中をもごもご探った]
血は要らない、未だ――…
[渇きを覚えない訳ではないと、含ませることで返答に代えて、グラスの水を一気に煽って流し込む]
……っ、ごほ、……――ぅ、……ッぐ、
[空っぽの胃が驚いて、逆流しかけたものを、口元を掌で塞いで堪えた。どうせもう吐く物は入っていないけれど、嘔吐すれば只でさえ足りぬ体力が削られるだろう。幾つか咳払いをして、呼吸を落ち着ければ、今度は、少しずつ、二杯目の水を口に含み]
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