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[初めは退く動きと見えた。
しかし、流れるように滑らかに、続いて前に出て来たのは軽歩兵。
軽装、と言っても、武骨に誂えられたそれは、こちらの軽鎧と比べずっと重厚に思えた]
落ち着け、人対人なら訓練で散々やってきたはずだ。
[鉄の武器は鋭く、敵の練度は高い。
しかしそれはもう知った恐ろしさだ。
ただ一点、今は敵が同じ目線の高さにいる]
前に出ようとしなくていい。
立って、後ろを支えてくれ。
それだけで、持ち堪えるための力になる!
[軽歩兵と向かい合い、競り合いながら、元いた森の方へ向けて徐々に後退する動きを取る。
真正面が少数精鋭だけでは、とても相手になる人数比ではない。
しかし負傷が軽くただ騎兵を避けていた兵たちが、後方から戦闘に復帰し始めていた*]
― 平原北の丘 ―
『おい、大丈夫か!?』
『いてぇよ……でもここで立ち止まるより、逃げる方がマシだ』
[騎兵小隊の奇襲を受けた遠距離隊は、先の手筈通り逃げ出していた。
投げ槍>>168などによる負傷者も出ているが、壊滅的なものではなく、次のポイントに辿り着けば再び攻撃に移れるだろう]
『網やらはほぼ使っちまったがな……』
[どうやら騎兵隊も深追いはしない方針らしい。
作戦の内にしろこちらは有難く逃げおおせるのみだ]
『しかし統率が取れてるばかりでなく、自由に動いてくる奴もいるんだなぁ』
『もっと頭の固い奴ばかりかと思っていたが……』
[まだ若いようだが勇敢な小隊長の姿は、よくよく皆の頭に刻まれた*]
― 平原 ―
[森側の奥では、そろそろ波状攻撃の次発隊が準備を始める頃合いだろうか。
弓矢・投石兵たちも次の持ち場を目指しているだろうが、時間がくればこちらの交代を支援した所で一旦休憩となる。
――と、そんな思惑を正確には相手は読めていないだろうが>>181。
深追いをしないまでも容赦のない攻撃が、こちらの戦力も徐々に削りつつある。
精鋭隊の中にもそろそろ体力の厳しい者が出て来た]
[その時、次発隊に先んじる形で、伝令に出していた者が戻ってきた。
盾兵が援軍に回ってくれた>>161ことをそこで知る]
助かった……。
流石にベリアン様は見越していたか。
[こちらの力不足は恥ずべき所だが、敬愛する上官に救われたことは素直に嬉しい]
後方はもう大丈夫だ、目の前の敵に集中しろ!
[ややはったり込みでそう声を張り上げた、が]
『大変です、敵後方から更なる兵が……!』
――え?
[大地揺るがす靴音>>178は。
さてその時、どれほどまでに迫っていたか*]
― 平原 ―
[ゼファー軍の増援は、騎兵・軽歩兵相手に粘っているこちらを横合いから叩くものかと思われた。
しかしその時、南側から飛来した矢が、敵軍に浴びせられた>>195]
カレルたちの隊か!
[野営地より南回りに動いていた隊が、ポイントに到着したらしい。
あちらの狙いが足場の悪い泥地や、森への誘導ということも事前に聞いてはいた]
流石に動揺はしないか、でも……!
[ゼファー軍の対処は落ち着き払ったもので、盾での防御はしつつ進行は乱さない>>200。
それでも、少しでも意識が削がれれば、こちらの立て直しにも繋がるはずだ]
[しかし、事態はこちらの予想を超えていた。
ゼファーの本隊と思しき一軍が、南側へ進路を変える>>202。
カレルの隊と全力で当たるつもりだ]
『おい、大丈夫なのかあっちは!?』
……相手の人数が多ければ、無理せずに下がる手筈になっている。
大丈夫だろう。
[実際、その通りの動きが生じている>>206ことは遠目にもわかった。
しかし言葉通りに受け止められないのか、浮足立つ兵も現れ始めていた]
おい、目の前の戦いに集中しろ!
あいつらの作ってくれた好機なんだぞ!
俺たちの仲間の力と知恵を信頼しろ!
[挟み撃ちは成功し、狙い通りには進んでいるのだ。
交代要員はいるし、必要な場面ならば援軍が送られるはず。
"予定通り"を信頼できずに崩れるのは、まずい]
[しかし戦場には再び動きが生じていた。
見覚えがある、あの十数人の小隊>>218。
丘から下りて来たかと思えば、もう一つの隊を加えて、南から迂回する動きで西へ駆け抜けていく>>219]
あの方向は……。
盾部隊の方を抑えるつもりか?
[騎兵による奇襲部隊の存在は、逃げた遠距離隊>>196か伝達係かによって、既に伝わっているだろうとは思う。
しかし戦場を自在に駆け回る小隊の存在に、何をするかわからないという不安が過ぎった]
――みんな、ご苦労だった。
時間が来たら徐々に森の方まで後退し、次発隊と交代しろ。
その後は十分に休息を取り、次の出陣に備えるんだ。
[それは号令というより、副隊長へ向けての方針指示のようだった。
それを受けた副隊長は、疑問を浮かべた顔で問い返す]
『隊長は? 何かされるおつもりで?』
俺はまだ動ける者を少数連れて、盾兵の方に助力してくる。
例の騎兵小隊が西に回った、動きを崩されるかもしれない。
[その言葉に、副隊長は面食らった顔をした]
『しかし、隊長だってそろそろ交代時間のはずでしょう?』
大丈夫だ、まだ動ける!
……ゼファー軍はずっと戦い続けてるんだ、やってできないことはないだろう。
[あちらは鍛え方が違う、とは勿論承知の上だ。
不安げな副隊長を納得させるため、少しだけ表情を和らげる]
何もフルで戦い続けようってわけじゃない。
盾兵が上手く抑えになってるのを確認したら、俺も退くつもりだ。
少し遅刻するくらいなら、ギデオン様も大目に見てくださるだろう。
[その言葉に、副隊長は『絶対ですからね!?』と念押しした。
彼が隊員への号令をかけ始めたのを見ながら、セルウィンはまだ体力の残っていそうな兵を10名ほど選んで、隊後方を回り西側の盾部隊の方向へ急いだ。
もっとも騎兵と比べれば、遥かに遅い速度ではあるだろう**]
― 平原西側 ―
『おい、誰か南の方から抜けて来るぞ!』
[後方より増援で送られて来た盾兵部隊。
敵の先鋒を抑えるのがその役目と聞いていたが、それより速い速度で30騎ほどの隊が迫って来る>>219]
『遠距離隊の方を攻撃したって奴か?』
『聞いてたのより数が多いが……』
[しかし率いる小隊長の姿は聞いていた特徴と一致している]
『人数は関係ない! 列を乱さず前進するんだ!』
[盾兵部隊200に対し敵30。あちらも本気で隊を壊滅させる意志はないだろう。
槍を主とする相手に揃って盾を構えて応じる。
そこに、別方向から友軍の小隊が駆け付けた]
大丈夫か!
『セルウィン隊長! あっちの隊は……』
そろそろ次の隊と交代する。
こっからは盾部隊の援護だ。陣地まで抜けられたら流石に困る。
[前進速度が遅かったのは体力維持のためと承知している。
そこは咎めることなく、引っ掻き回す動きの騎兵小隊>>239に対応しようとするが]
『ま、待った! あっち……!』
[連れて来た精鋭の一人に腕を叩かれ、元来た方を指差される。
そこで見えたのは――先よりも明らかに前進している敵軽歩兵隊と、蹂躙と呼ぶに相応しい速度で減らされていく自部隊の兵の姿>>243]
くそっ……。やられた、そうか……。
[元々、自分と精鋭兵だけでぎりぎり維持していた戦線だったのだ。
下がって次の隊に任せる間なら、とは思っていたが、本気で潰す気で来た相手に持ち堪えられるものではなかった。
その次発隊の存在が知らされたことで、敵の方針に変化が生じていたとは考慮の外である]
『どうします? 今からでもあちらに戻りますか?』
…………!
[唇が破れるほど、歯噛みして考える。
これは完全に自分のミスだ。どうやっても言い訳出来ない。
しかし、更に移動の時間分手を空かせて、それで損害を減らせるか]
このまま、あっちの戦場に追いつく所まで前進する。
悪いが少しだけ速度を上げてくれ。
出来る限り援護はする。
[焦れる思いと後悔に耐えながら、盾部隊に随伴する形で前進した。
盾部隊の両側に軽歩兵が並び、敵からの攻撃があれば、耐える盾兵たちの横から飛び出して攻撃に加わった。
その間にも遠目には、後退が間に合わず打ち倒されていく自軍の兵が幾人も見えていた*]
― 平原西側 ―
[急報が齎される少し前。
南側側面から、騎兵小隊が姿を現した>>255。
がやがやと騒がしい小隊の様子は、厳格な軍事国家の兵らしくないと思えた。
しかしその自由さがこの行動力を生むのだろう]
――来るか。
[若き小隊長の号令で、一気に雰囲気が締まるのを感じた。
その構える槍の先は――こちらに向いている]
[疾走する馬の速度に投擲の速度を乗せて、槍が飛んで来る>>256。
馬上にありながら狙いは正確で、胴のどこかには確実に当たる位置。
盾で防ぐことも考えたが、取り回し出来る軽さを重視した盾では容易に貫かれるだろう]
はっ!
[大きく横合いに飛んで交わす。
敵の接近は止まらず、その後も何度も投げ槍が飛ぶ。
そして]
来るぞ! 構えろ――!
[号令に続いて、一斉に振り下ろされる敵の槍。
盾隊は盾を頭上に掲げることで応じるが]
待て! 止まれ!!
[西側に抜ける気配を感じたセルウィンは、進路を阻むように半歩騎兵の側に踏み出した。
しかし、馬の勢いの前に身を投げ出すわけにもいかない。
振り払うような槍の一撃が、右肩の辺りを掠め通り過ぎていった]
抜かれたか……。
[援護に加わったにも関わらず、思うような効果は上げられなかった。
気落ちするセルウィンに、『追いますか?』と軽歩隊の方から声が掛かる]
いや、馬相手にこれ以上は無理だろう。
後方を守る部隊に任せるしかない。
それより――
[盾隊の前進を優先する、と口にするより早く。
まさにそれどころではない事態>>243が飛び込んでくるのだった*]
/*
やば……盛大に読み違えた……。
ロール全書き換えっていうか、ガンガン戦況悪くする方向した見えねぇんすけど……(自分が悪い)
― 平原西 ―
[急報を受けて行軍を急ぎたいところだが、纏わりつくような騎兵の動きはそれを許さなかった。
西へ抜けた騎兵隊>>272は反転する動きを見せる。
本陣まで抜けるのは読み違いだったか、とは思うが]
……好き勝手やらせてなるものか。
軽歩隊、後ろへ回れ!
[敵が来ると思しき方向へ、自隊の兵を集中させる。
無傷で走り回られるばかりでは、それこそ自分たちの来た意味がない]
盾兵は防御!
軽歩隊、構え――!
[実際には真後ろではなく、北西から相手は来た>>273。
蹄の音が聞こえる方向へ回り込みつつ、馬の駆けて来る方角へ各々槍や剣を振り下ろした。
長槍ではないその攻撃が、確実に当たるかはわからなかったが*]
/*
フェリクスさんの方どうしよう。
もうNPC相手に蹂躙してもらうしかない気がしてきた。
そもそも盾隊をNPC描写のみで切り抜けなかった私の失敗なんだが。
普通に中の人のミスって感じがして辛い…。
― 平原 ―
[隊長が救援に向かった途端、ゼファー軍の動きが明らかに変わった。
精鋭でどうにか持っていた前線は、彼らを欠いた際にあっさりと崩れた]
『どうして、後は退くだけだったんじゃあ……』
『目論見が見破られたのかもしれん。
それとも……そもそもの実力差がこれだけあったのか……』
[もはや抵抗は捨てて多くが逃げに徹しているが、冷徹なる敵はそれを見逃しはしなかった。
状況に勘付いた北の伏兵は、予定よりも早く前進を始めているだろう。
しかしそれも、酷薄なる敵将>>265相手にどれだけ抵抗できるかはわからない*]
― 平原西 ―
[盾兵より前に軽歩兵を配した陣は功を奏した。
30騎の内幾らかが傷を負い、落馬者も出る>>288。
それで一喜一憂することもなく次なる動きを警戒していたが、予想外のことが起きた]
お前……。
[隊のリーダーと思しき青年が馬を飛び下り、落馬して呻く兵士を代わりに馬上へ上げたのだ。
後にはその青年だけが残される>>289]
…………。
[槍を振り回しながら後退する青年。
周囲の軽歩隊が一斉に彼へ武器を向けるが]
いい! ここは前進が優先だろう!
[仲間に手を振って先へ進むように促す。
自身はその場に残り、油断なく青年へ短槍を向けた]
――さて。
[本音を言えば、自身も少しでも先を急ぎたかった。
退く素振りがあればそれ以上追わないつもりで、青年の動向を観察する*]
― 平原西 ―
[逃げるか、それとも斬りかかってくるか。
どちらかを予想して警戒もしていたが、名乗りを上げる相手>>293を見て、やや虚を衝かれたように瞬いた]
……セルウィンだ。
セルウィン・アルニム。
[同い年くらい、だろうか。
しかし、鍛錬の差もあろうが、それ以上に場慣れを感じる]
どうした?
互いに、悠長に立ち止まっている場合ではないと思うが。
[槍は下ろさぬまま、真意を窺うように相手を眺めた*]
― 平原西 ―
……そうか。
[言われた言葉>>305に瞬いた後。
咄嗟に礼の言葉も出ず、ややぽかんとしたような声が漏れる]
ミヒャエル、お前もな。
それほど軽々と馬を乗りこなす奴を、俺は知らない。
[こちらも相手の名を受け取り、感嘆の言葉をひとつ。
あいての宣言と、それに被さるかのような仲間の言葉に、ほんの少しだけ表情が緩んだ]
ああ、
[敵でありながら、それは本心からの叫びに聞こえた。
だからそれに、小さく頷いて]
― 平原 ―
[盾兵の進んだ先では、既に新たな動きが生じていた。
態勢を立て直した騎兵が、こちらへ向けて進軍している。
追い付いたセルウィンは、盾兵両側の精鋭兵と頷きあった。
既に心は決まっているという確認だった]
[盾兵と騎兵がぶつかる直前に、軽歩兵隊は護衛を外れた。
元々自分たちがいなくても彼らの役割は決まっていたのだ、戦況が変化したにしろここは任せるべき場面だろう]
[敵の軽歩兵隊は既に後退し、前線は再び騎兵に入れ替わっていた>>298。
既に森に程近い所まで前線は迫っている]
…………!
[ここまで来ると、地面に倒れた幾つもの影がよく見えた。
兵役に入った当初から共に訓練してきた同期も。
訓練中に同じ飯を食べながら談笑した義勇兵も。
血と泥に塗れ転がっているその顔まで、はっきりと見えた]
[既に自軍は第二陣に入れ替わっているだろうが、戦況は芳しくない。
初発隊が早くに崩れた影響は明白だった]
――これ以上は。
[自分が冷静さを欠いていることはわかっていた。
それでも、このまま平然と合流して隊長面をすることなんて出来なかった]
これ以上は、やらせるものか!
[精鋭部隊を率いて、敵の横合い目掛けて駆け出す。
敵本隊まで槍を届かせられるかはわからない。
それでも、無謀を承知で駆ける以外になかった**]
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